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欲情プール3
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「茉歩愛してるっ、愛してる!」
その返しを喘ぎ声で誤魔化した私の上で、満足そうに果てる聡。
約束通り、早く帰れる日を作った私は……
急速に聡との溝を埋めるようにして、この前から身体も許し始めた。
当然、聡は感激して。
とても優しく……
だけど色んな思いを抱えてか、執拗に。
私の身体に愛を注ぐ。
なのに私は、もうそれを受け入れる事は出来なくて。
目を閉じて、慧剛だと思うようにしても……
その行為は、その体温は、違ってて。
そんな現状に泣きそうになった声すら、喘ぎ声にして取り繕う。
そんな私は最低で……
この状況に至った理由は、輪を掛けて最低だった。
それは、一週間前に遡る。
*
*
*
「茉歩の事が、解らない」
眉をひそめて呟く慧剛。
利用されてた事実を知っても、今までと変わらない私。
それどころか、以前にも増して慧剛を求めてる状況に。
何か企んでるのか?と、不審に思われても無理はない。
「俺の事を、何とも思わないのか?」
状況的に、許せないと思わないのか?って事だろう。
「……そうだね。
理由は何であれ、慧剛は夫を取り戻してくれた。
だから、今まで通り側に居て。
今度は私が、慧剛の目的通り。
あのコの気を引いて、婚約をサポートしてあげる」
不審の目を躱す為の、思い付きで言った訳じゃない。
ここ何日か漠然と考えてた。
離れられないお詫びに、私が慧剛に出来る事……
慧剛の目的を、サポートする方法を。
まずは私が聡を繋ぎ止めて、あのコが完全に振られたら。
きっと傷心に付け入る隙が出来て、慧剛ならそこに上手く取り入る事が出来る筈だ。
そしてそのタイミングで、慧剛の気持ちが自分にないと思ったら……
あなた(ロミ)なら、手に入れたくなるでしょう?
その計画を、さっきから表情を曇らせてる慧剛に告げると。
「どうやって、俺の気持ちが露美にないって思わせるんだ?」
乗り気じゃない様子で、躱すように笑われた。
真剣に考えてた私は少しだけカチンときて、勝手にその計画を実行に移して……
ワイシャツの第一ボタンを外したら見える位置に、唇を押し当てた。
「っ、茉歩っ……」
その肌に赤い吸い痕を印す私に、驚きと戸惑いの声が降りかかる。
「……この状態で、あのコを抱くとか」
「っっ!
本気で、言ってるのかっ?」
「っ例えば、だよ」
そんな訳ないじゃない!
だけど……
「でもそんなに驚く事じゃないでしょ?
あのコを挑発するのに、キスマークは効果的だと思うし。
別に今さら……
あのコを抱いた事くらい、あるんでしょ?」
お願い、ないと言って!
「……ん。
茉歩と関わる前には、何度か……」
やっぱりそうなんだ!
同棲してる訳だし。
私への手口から、慧剛なら上手く身体の関係まで漕ぎ着けてるとは思ってた。
だけど、そんな推測覆して欲しかった……
だいたい、この前からロミロミって。
そんな呼び捨て聞きたくないっ。
「だったら!
抱くのに何の問題も、ないでしょう?」
胸が嫉妬の炎で苛まれて、それを慧剛に当て散らす。
「っっ……
俺が露美を抱いても、いいんだな」
いい訳ないっ、そんなの嫌!
だけど私には、それを止める権利なんか微塵もなくて。
なにより慧剛は、問題あるって否定しなかった。
それどころか、いいんだなって許可を求めてるように聞こえて……
「……いいも何も、慧剛の婚約者じゃない」
慧剛がそうするのなら、私はそれを受け入れる。
「っ、また離婚に発展するのが、そんなに怖いかっ?」
「……え?」
いきなり横道に逸れた話題に、一瞬面食らうも。
もしかして……
聡とあのコのよりが戻るのを、私が怖がってるとでも思ってる?
だからこんな計画を立てたとでも?
今となっては、その2人がどうなろうと構わないのに。
ただ、強いて言えば……
「別に怖くはないけど、離婚は防ぎたいかな」
だって聡と別れたら、慧剛は責任を感じるでしょう?
そんな思いはさせない。
罪悪感なんて持たなくていい。
それは私が背負うから、慧剛は自分の背負った道を成し遂げて。
ー必ず離婚を阻止してやるー
「……そんな約束、するんじゃなかった」
「えっ?」
「いや……
わかった、露美は俺が繋ぎ止める」
俺が繋ぎ止めるって……
そもそも自分の為じゃない。
とはいえ。
ー「茉歩の事も何とかしてあげたいって思ったのも、事実なんだっ」ー
私の事(家庭)も心配してくれてるんだね……
*
*
*
それからの私達は、2人の時間を減らして。
週の3分の1は、それぞれの相手を繋ぎ止める為に費やした。
つまり聡との夫婦関係は、慧剛の為に成り立ってる訳で……
今の私は全て慧剛中心で、心は慧剛で埋め尽くされてる。
聡に抱かれる事は、そんな自分の心を裏切ってるだけで。
その理由が聡に失礼でも、慧剛と不倫してる時点でそれ以上なんだし。
これで慧剛も聡も喜ぶんなら、これでみんなが上手くいくなら、それでいい。
なんて……
きっと私はもう手の施しようもないくらい、人として腐り切ってる。
しかもこんな近い空間で、こんな狭い関係で。
私達4人は相手を変えながら、それぞれの欲情をぶつけ合ってたなんて……
ねぇ慧剛、このビルにプールなんて要らないよ。
プールなんか無くても、既にここは……
散々と私達の欲情を溜め込んだ、欲情のプール(溜まり場)だから。
その返しを喘ぎ声で誤魔化した私の上で、満足そうに果てる聡。
約束通り、早く帰れる日を作った私は……
急速に聡との溝を埋めるようにして、この前から身体も許し始めた。
当然、聡は感激して。
とても優しく……
だけど色んな思いを抱えてか、執拗に。
私の身体に愛を注ぐ。
なのに私は、もうそれを受け入れる事は出来なくて。
目を閉じて、慧剛だと思うようにしても……
その行為は、その体温は、違ってて。
そんな現状に泣きそうになった声すら、喘ぎ声にして取り繕う。
そんな私は最低で……
この状況に至った理由は、輪を掛けて最低だった。
それは、一週間前に遡る。
*
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「茉歩の事が、解らない」
眉をひそめて呟く慧剛。
利用されてた事実を知っても、今までと変わらない私。
それどころか、以前にも増して慧剛を求めてる状況に。
何か企んでるのか?と、不審に思われても無理はない。
「俺の事を、何とも思わないのか?」
状況的に、許せないと思わないのか?って事だろう。
「……そうだね。
理由は何であれ、慧剛は夫を取り戻してくれた。
だから、今まで通り側に居て。
今度は私が、慧剛の目的通り。
あのコの気を引いて、婚約をサポートしてあげる」
不審の目を躱す為の、思い付きで言った訳じゃない。
ここ何日か漠然と考えてた。
離れられないお詫びに、私が慧剛に出来る事……
慧剛の目的を、サポートする方法を。
まずは私が聡を繋ぎ止めて、あのコが完全に振られたら。
きっと傷心に付け入る隙が出来て、慧剛ならそこに上手く取り入る事が出来る筈だ。
そしてそのタイミングで、慧剛の気持ちが自分にないと思ったら……
あなた(ロミ)なら、手に入れたくなるでしょう?
その計画を、さっきから表情を曇らせてる慧剛に告げると。
「どうやって、俺の気持ちが露美にないって思わせるんだ?」
乗り気じゃない様子で、躱すように笑われた。
真剣に考えてた私は少しだけカチンときて、勝手にその計画を実行に移して……
ワイシャツの第一ボタンを外したら見える位置に、唇を押し当てた。
「っ、茉歩っ……」
その肌に赤い吸い痕を印す私に、驚きと戸惑いの声が降りかかる。
「……この状態で、あのコを抱くとか」
「っっ!
本気で、言ってるのかっ?」
「っ例えば、だよ」
そんな訳ないじゃない!
だけど……
「でもそんなに驚く事じゃないでしょ?
あのコを挑発するのに、キスマークは効果的だと思うし。
別に今さら……
あのコを抱いた事くらい、あるんでしょ?」
お願い、ないと言って!
「……ん。
茉歩と関わる前には、何度か……」
やっぱりそうなんだ!
同棲してる訳だし。
私への手口から、慧剛なら上手く身体の関係まで漕ぎ着けてるとは思ってた。
だけど、そんな推測覆して欲しかった……
だいたい、この前からロミロミって。
そんな呼び捨て聞きたくないっ。
「だったら!
抱くのに何の問題も、ないでしょう?」
胸が嫉妬の炎で苛まれて、それを慧剛に当て散らす。
「っっ……
俺が露美を抱いても、いいんだな」
いい訳ないっ、そんなの嫌!
だけど私には、それを止める権利なんか微塵もなくて。
なにより慧剛は、問題あるって否定しなかった。
それどころか、いいんだなって許可を求めてるように聞こえて……
「……いいも何も、慧剛の婚約者じゃない」
慧剛がそうするのなら、私はそれを受け入れる。
「っ、また離婚に発展するのが、そんなに怖いかっ?」
「……え?」
いきなり横道に逸れた話題に、一瞬面食らうも。
もしかして……
聡とあのコのよりが戻るのを、私が怖がってるとでも思ってる?
だからこんな計画を立てたとでも?
今となっては、その2人がどうなろうと構わないのに。
ただ、強いて言えば……
「別に怖くはないけど、離婚は防ぎたいかな」
だって聡と別れたら、慧剛は責任を感じるでしょう?
そんな思いはさせない。
罪悪感なんて持たなくていい。
それは私が背負うから、慧剛は自分の背負った道を成し遂げて。
ー必ず離婚を阻止してやるー
「……そんな約束、するんじゃなかった」
「えっ?」
「いや……
わかった、露美は俺が繋ぎ止める」
俺が繋ぎ止めるって……
そもそも自分の為じゃない。
とはいえ。
ー「茉歩の事も何とかしてあげたいって思ったのも、事実なんだっ」ー
私の事(家庭)も心配してくれてるんだね……
*
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それからの私達は、2人の時間を減らして。
週の3分の1は、それぞれの相手を繋ぎ止める為に費やした。
つまり聡との夫婦関係は、慧剛の為に成り立ってる訳で……
今の私は全て慧剛中心で、心は慧剛で埋め尽くされてる。
聡に抱かれる事は、そんな自分の心を裏切ってるだけで。
その理由が聡に失礼でも、慧剛と不倫してる時点でそれ以上なんだし。
これで慧剛も聡も喜ぶんなら、これでみんなが上手くいくなら、それでいい。
なんて……
きっと私はもう手の施しようもないくらい、人として腐り切ってる。
しかもこんな近い空間で、こんな狭い関係で。
私達4人は相手を変えながら、それぞれの欲情をぶつけ合ってたなんて……
ねぇ慧剛、このビルにプールなんて要らないよ。
プールなんか無くても、既にここは……
散々と私達の欲情を溜め込んだ、欲情のプール(溜まり場)だから。
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