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探り合う心と想い合う心2
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夏も終わりに差し掛かって……
「茉歩の事が、解らない」
ピロートークで、もはや口癖のように呟く慧剛。
「またそれ?
人を見る目に長けてるんじゃなかったの?」
「そのつもりだった。
けど、茉歩の事だけ解らない」
なにそれ、人を変わり者みたいに……
「解らなくていいよ」
この関係が終わるかもしれないと思った、あの日。
失いそうになって初めて、慧剛しか要らないと思った。
慧剛が全てになってる、この心は……
重過ぎて、その人生の足を引っ張るだけで。
知られる訳にはいかない。
私は慧剛の目的を、選んだ道をサポートするだけ。
なのに、それを探るかのように。
もしくは、何かを訴えるかのように。
たまに切なげな目で見つめられるから……
心臓がドクンと、弾けそうなくらい反応して。
高揚の波にのまれる。
だけど今回は、その肉食獣の瞳で逃さないように見つめて来て……
耐えられずに逸らしても、その都度「茉歩」と呼び戻されて。
逸らす事も出来ずに……
身体が、心が、どうしょうもなく悶える。
それが慧剛の欲情を、再び刺激したようで……
こんなにも求めて止まない私達に、愛が無いなんて誰が思うだろうか。
なのに、奈落に突き落とされる。
「なぁ茉歩、聞いてくれっ……
俺は1人の女の為に、全てを捨てたくなってる!
けどそんな事、許されると思うかっ?」
思い詰めたように吐き出されたそれは……
別れた彼女さんとやり直すために、会社も私との関係も切り捨てたいって事!?
嫌……
そんなの嫌っ、離れたくない!
だけどっ……
「……慧剛の人生だよ?
許されるとか許されないとか、そんなの関係ないんじゃないかな」
慧剛が幸せなら、それでいい。
そんな私を意味深に見つめながら……
「それでも茉歩は、側に居てくれるか?」
残酷な事を言うんだね。
やり直した2人を側で見てるなんて、そんなの辛過ぎる!
なのに、切り捨てられるよりマシだなんて……
「っ、私は相棒なんでしょ?。
慧剛がどんな道を選んでも、サポートしてあげる」
そう応えると、苦笑いが返された。
いいよ、慧剛。
私はその人生の秘書になって、それに徹する。
そう思ってるのに……
なんでこんなに苦しいの?
そんな私に、さらなる追い打ち。
計画と心は反して、その苦しみに打ちのめされる。
あのコを抱いた後でもいい、とまで覚悟していたつもりなのに。
慧剛の肌に、付けた覚えのないキスマークを見つけて……
嫉妬に狂いそうになる!
上手く、いってるんだ……
それを望んでた筈なのに。
目の当たりにすると、醜い感情が溢れ出す。
慧剛を独り占めしたい。
誰にも渡したくない、触れてほしくない!
きっと私が、誰よりも慧剛をっ……
慧剛を……
言葉に出来ない感情が、暴れて胸を破壊する。
そしてそれは、今にも出て来そうで。
必死に堰き止めて、飲み込んで……
もう気が狂いそう!
「ねぇっ、好きっっ……」
絶頂の瞬間、防ぎ切れなかった言葉が零れて。
ハッとしたところで、耳を疑ってるような慧剛を捉える。
「っ、慧剛の抱き方、すごく好き」
無理やりカモフラージュしたものの。
ハハッと、困ったような笑顔が返って来て。
「……何?」
不安な思いで、困った理由を問い質す。
「いやこう見えて俺、本来は淡白なんだ。
だから茉歩の抱き方は、俺の抱き方ってより……
特例?」
それは、喜んでいいんだよね?
ううん寧ろ、嬉しくて堪らない……
「私も本来、ベッドでもクールだよ?
それにこんなに感じたのも求めたのも、慧剛が初めて。
だから私も、特例かなっ」
そう笑い返すと。
慧剛は少し驚いた様子で、何かを探るように見つめて来た。
まずい!余計な事言い過ぎた……
「なぁそれって、」
「よっぽど身体の相性がいいんだろうね」
遮るようにして、そう躱すと。
慧剛は視線を落として、寂しそうに微笑んでた。
◇
まだ一緒に居たいな……
それに、あのコの所に帰ってほしくない。
そんな心を読んだかのように。
「……帰る?」
帰りのエレベーター内で、そんな事を訊いてきた慧剛。
「帰る、けど……」
だってもう着いちゃう。
2階から4階までは、あっという間で。
すぐに到着して扉が開いた。
「………そっか、おやすみ」
「おやすみなさい……」
ねぇ、慧剛……
帰らないって言ったら、どうするつもりだったの?
閉まった扉を見つめながら、心でそう問い掛けた。
◇
そして今度は慧剛が、私と同じ苦しみを味わう事になる。
「……茉歩、キスマーク付けていい?」
「えっ?
どうしたの聡……
もうそんな歳じゃないでしょっ?」
「そうだけどっ。
でも別に、誰が見る訳でもないんだし……
なぁ、いいだろ?」
「もうっ、急に体調を崩したらどうするの?
病院で恥ずかしいじゃない」
「でも頼むよ!
茉歩を信じてるけど……
不安なんだっ」
まだ不安なの!?
こんなに頑張ってるのにっ……
結局それを、仕方なく許したものの。
"茉歩を信じてる"
この時、その不安な理由を推測出来てたら……
ちゃんと行動を慎めたかもしれないのに。
「茉歩の事が、解らない」
ピロートークで、もはや口癖のように呟く慧剛。
「またそれ?
人を見る目に長けてるんじゃなかったの?」
「そのつもりだった。
けど、茉歩の事だけ解らない」
なにそれ、人を変わり者みたいに……
「解らなくていいよ」
この関係が終わるかもしれないと思った、あの日。
失いそうになって初めて、慧剛しか要らないと思った。
慧剛が全てになってる、この心は……
重過ぎて、その人生の足を引っ張るだけで。
知られる訳にはいかない。
私は慧剛の目的を、選んだ道をサポートするだけ。
なのに、それを探るかのように。
もしくは、何かを訴えるかのように。
たまに切なげな目で見つめられるから……
心臓がドクンと、弾けそうなくらい反応して。
高揚の波にのまれる。
だけど今回は、その肉食獣の瞳で逃さないように見つめて来て……
耐えられずに逸らしても、その都度「茉歩」と呼び戻されて。
逸らす事も出来ずに……
身体が、心が、どうしょうもなく悶える。
それが慧剛の欲情を、再び刺激したようで……
こんなにも求めて止まない私達に、愛が無いなんて誰が思うだろうか。
なのに、奈落に突き落とされる。
「なぁ茉歩、聞いてくれっ……
俺は1人の女の為に、全てを捨てたくなってる!
けどそんな事、許されると思うかっ?」
思い詰めたように吐き出されたそれは……
別れた彼女さんとやり直すために、会社も私との関係も切り捨てたいって事!?
嫌……
そんなの嫌っ、離れたくない!
だけどっ……
「……慧剛の人生だよ?
許されるとか許されないとか、そんなの関係ないんじゃないかな」
慧剛が幸せなら、それでいい。
そんな私を意味深に見つめながら……
「それでも茉歩は、側に居てくれるか?」
残酷な事を言うんだね。
やり直した2人を側で見てるなんて、そんなの辛過ぎる!
なのに、切り捨てられるよりマシだなんて……
「っ、私は相棒なんでしょ?。
慧剛がどんな道を選んでも、サポートしてあげる」
そう応えると、苦笑いが返された。
いいよ、慧剛。
私はその人生の秘書になって、それに徹する。
そう思ってるのに……
なんでこんなに苦しいの?
そんな私に、さらなる追い打ち。
計画と心は反して、その苦しみに打ちのめされる。
あのコを抱いた後でもいい、とまで覚悟していたつもりなのに。
慧剛の肌に、付けた覚えのないキスマークを見つけて……
嫉妬に狂いそうになる!
上手く、いってるんだ……
それを望んでた筈なのに。
目の当たりにすると、醜い感情が溢れ出す。
慧剛を独り占めしたい。
誰にも渡したくない、触れてほしくない!
きっと私が、誰よりも慧剛をっ……
慧剛を……
言葉に出来ない感情が、暴れて胸を破壊する。
そしてそれは、今にも出て来そうで。
必死に堰き止めて、飲み込んで……
もう気が狂いそう!
「ねぇっ、好きっっ……」
絶頂の瞬間、防ぎ切れなかった言葉が零れて。
ハッとしたところで、耳を疑ってるような慧剛を捉える。
「っ、慧剛の抱き方、すごく好き」
無理やりカモフラージュしたものの。
ハハッと、困ったような笑顔が返って来て。
「……何?」
不安な思いで、困った理由を問い質す。
「いやこう見えて俺、本来は淡白なんだ。
だから茉歩の抱き方は、俺の抱き方ってより……
特例?」
それは、喜んでいいんだよね?
ううん寧ろ、嬉しくて堪らない……
「私も本来、ベッドでもクールだよ?
それにこんなに感じたのも求めたのも、慧剛が初めて。
だから私も、特例かなっ」
そう笑い返すと。
慧剛は少し驚いた様子で、何かを探るように見つめて来た。
まずい!余計な事言い過ぎた……
「なぁそれって、」
「よっぽど身体の相性がいいんだろうね」
遮るようにして、そう躱すと。
慧剛は視線を落として、寂しそうに微笑んでた。
◇
まだ一緒に居たいな……
それに、あのコの所に帰ってほしくない。
そんな心を読んだかのように。
「……帰る?」
帰りのエレベーター内で、そんな事を訊いてきた慧剛。
「帰る、けど……」
だってもう着いちゃう。
2階から4階までは、あっという間で。
すぐに到着して扉が開いた。
「………そっか、おやすみ」
「おやすみなさい……」
ねぇ、慧剛……
帰らないって言ったら、どうするつもりだったの?
閉まった扉を見つめながら、心でそう問い掛けた。
◇
そして今度は慧剛が、私と同じ苦しみを味わう事になる。
「……茉歩、キスマーク付けていい?」
「えっ?
どうしたの聡……
もうそんな歳じゃないでしょっ?」
「そうだけどっ。
でも別に、誰が見る訳でもないんだし……
なぁ、いいだろ?」
「もうっ、急に体調を崩したらどうするの?
病院で恥ずかしいじゃない」
「でも頼むよ!
茉歩を信じてるけど……
不安なんだっ」
まだ不安なの!?
こんなに頑張ってるのにっ……
結局それを、仕方なく許したものの。
"茉歩を信じてる"
この時、その不安な理由を推測出来てたら……
ちゃんと行動を慎めたかもしれないのに。
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