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中東系エルフ魔術師編
32
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イスを見送ったあと、リビングに戻る。なんだかもう、ドッと疲れた。何もする気力が起きなくて、ぐったりとソファに身を沈める。
「ちょっと、ベッドに横になるか?」
「んー…」
やる気のない返事をしながら、ぼんやり虚空を見つめる。何もせずに布団に潜り込みたい気もするけど、嫌な記憶って、後から何回もフラッシュバックするのよね。他よりも強い記憶だから、脳内で勝手に再生されちゃうのかな。ひとりでぼんやりしているとそれは顕著で、何度も思い出しては心臓がドキドキしたり不安が蘇ったりして、嫌な気分に陥る。時間が経つと脳が記憶を整理してくれるのか、思い出す回数が少なくなるし、思い出しても大丈夫になったりするんだけど、それまではただ耐えるしかない。
まぁとにかく、時間が経つのを待つしかないなぁ。何て思ってると、ビョルンが近づいてきて、膝と背中に腕を回されヒョイと抱き上げられた。
「じゃあ、付き合ってくれ。俺はお前とベッドに横になりたいんだ」
今回の任務は大変だったからなぁ、くたびれたよ。なんて白々しく言ってのけるビョルンに、白い目を向けてやる。いやいや。帰って来たのは一昨日の夜よね?昨日だって訓練もしてたし、私のことめちゃくちゃにしたじゃん。
「よし、じゃあとっておきを開けてやるか。あそこの宿にあった蜂蜜酒(ミード)、やっと出所割らせたんだよ」
ロルフがそう言って、お酒の棚をガチャガチャやり出す。
「おっ、やるなぁロルフ!あの蜂蜜酒が家でも飲めるとは、ありがたい」
「元々個人にゃ売らねぇってんで、買い取れたのはしょっぺぇ量だけどな。がぶ飲みすんなよ、兄貴」
「ああ、味わうとも」
ビョルンが嬉しそうにしている。だいたい大雑把な味覚してるのに、蜂蜜酒には反応するのねぇ。思い出の味とかなのかな。
「甘みの少ないヤツだからな、お前にゃ蜂蜜と、レモン入れてやるよ。好きだろ?そういうの」
ロルフが私の目尻にキスを落として、ニヤっと笑う。うわぁ、ぜったい美味しいヤツじゃん、それ。
「飲む!」
「ヨシヨシ、兄貴と先にベッド行ってな。つまみも作って持っていってやる」
ロルフがミニキッチンで準備を始めたのを見ていると、ビョルンがチュッと私の鼻にキスを落とす。
「行こう。今日はお前の言うような、『背徳的な』一日を過ごそうじゃないか」
軽々と私を抱き上げたまま、寝室へ向かって歩き始めるビョルン。なんか私の返事を聞かないまま決まってしまったけれど、まぁいいか。どうせ今日は何もできそうにないんだから。
私は肯定の返事をする代わりに、ビョルンの胸に顔を寄せた。
寝室に入るとベッドに降ろされて、優しいキスが降ってくる。大きな体に抱きしめられて、すごく安心する。ちゅ、ちゅ、とたくさんキスをして、幸せな気持ちが広がっていく。だけどまたフラッシュバックが起きて、心臓がドクリと嫌な鼓動を刻む。私は、こんな風にしてていいの?人間じゃないものなのに?ビョルンの妻なんて名乗って、いつか誰かに私の正体を知られたら、この人も傷つくんじゃないのかな。
暗い気持ちが浸食してくるけど、ビョルンがまたキスで気を逸らしてくれる。たくさんキスをして、くちゅりと舌が入り込んできて。優しく絡めとられて、頭がふわふわしてきて、また幸せな気持ちを取り戻していく。
キスをしながらさらに体を寄せて、私たちの間を隔てるものは衣服しかない。足も絡みつかせて、ビョルンの硬くなったモノを太ももに感じて。
「…硬くなってる」
「そりゃあ、なるだろう?愛する女とベッドにいるんだから」
私、ホムンクルスなのにね?今までと変わらず、私に欲情してくれているのが嬉しい。
「したい?」
唇が離れたすきに、でもほとんど触れ合っている状態で聞く。
「したいよ。だが、するのが怖くもある。…俺たちの子が、殺されるかと思うと」
「……うん」
避妊具もまともにないこの世界じゃ、せいぜい中出しを避けるくらいしかできない。でもそれだって確実な方法じゃない。それでもし子どもができて、また殺されたら?生理が来るまでの間、ずっと恐怖がついてまわると思う。そしてまた生理が遅れて来たら、罪悪感で死にそうになると思う。
でもね、ビョルン。私もう、キスだけじゃ物足りないの。貴方の素肌で、傷ついた私を慰めてほしい。
「ねぇ、ビョルン。最初みたいにしよっか」
「最初?」
「私のここで、気持ちよくなって?」
ビョルンの腕を取って、太ももに挟む。ぎゅっと力を込めて、その太いモノを締め付ける。コクリ、とビョルンが喉を鳴らす音が聞こえる。
「いや?」
「…いやなわけ、ないだろう」
「ちょっと、ベッドに横になるか?」
「んー…」
やる気のない返事をしながら、ぼんやり虚空を見つめる。何もせずに布団に潜り込みたい気もするけど、嫌な記憶って、後から何回もフラッシュバックするのよね。他よりも強い記憶だから、脳内で勝手に再生されちゃうのかな。ひとりでぼんやりしているとそれは顕著で、何度も思い出しては心臓がドキドキしたり不安が蘇ったりして、嫌な気分に陥る。時間が経つと脳が記憶を整理してくれるのか、思い出す回数が少なくなるし、思い出しても大丈夫になったりするんだけど、それまではただ耐えるしかない。
まぁとにかく、時間が経つのを待つしかないなぁ。何て思ってると、ビョルンが近づいてきて、膝と背中に腕を回されヒョイと抱き上げられた。
「じゃあ、付き合ってくれ。俺はお前とベッドに横になりたいんだ」
今回の任務は大変だったからなぁ、くたびれたよ。なんて白々しく言ってのけるビョルンに、白い目を向けてやる。いやいや。帰って来たのは一昨日の夜よね?昨日だって訓練もしてたし、私のことめちゃくちゃにしたじゃん。
「よし、じゃあとっておきを開けてやるか。あそこの宿にあった蜂蜜酒(ミード)、やっと出所割らせたんだよ」
ロルフがそう言って、お酒の棚をガチャガチャやり出す。
「おっ、やるなぁロルフ!あの蜂蜜酒が家でも飲めるとは、ありがたい」
「元々個人にゃ売らねぇってんで、買い取れたのはしょっぺぇ量だけどな。がぶ飲みすんなよ、兄貴」
「ああ、味わうとも」
ビョルンが嬉しそうにしている。だいたい大雑把な味覚してるのに、蜂蜜酒には反応するのねぇ。思い出の味とかなのかな。
「甘みの少ないヤツだからな、お前にゃ蜂蜜と、レモン入れてやるよ。好きだろ?そういうの」
ロルフが私の目尻にキスを落として、ニヤっと笑う。うわぁ、ぜったい美味しいヤツじゃん、それ。
「飲む!」
「ヨシヨシ、兄貴と先にベッド行ってな。つまみも作って持っていってやる」
ロルフがミニキッチンで準備を始めたのを見ていると、ビョルンがチュッと私の鼻にキスを落とす。
「行こう。今日はお前の言うような、『背徳的な』一日を過ごそうじゃないか」
軽々と私を抱き上げたまま、寝室へ向かって歩き始めるビョルン。なんか私の返事を聞かないまま決まってしまったけれど、まぁいいか。どうせ今日は何もできそうにないんだから。
私は肯定の返事をする代わりに、ビョルンの胸に顔を寄せた。
寝室に入るとベッドに降ろされて、優しいキスが降ってくる。大きな体に抱きしめられて、すごく安心する。ちゅ、ちゅ、とたくさんキスをして、幸せな気持ちが広がっていく。だけどまたフラッシュバックが起きて、心臓がドクリと嫌な鼓動を刻む。私は、こんな風にしてていいの?人間じゃないものなのに?ビョルンの妻なんて名乗って、いつか誰かに私の正体を知られたら、この人も傷つくんじゃないのかな。
暗い気持ちが浸食してくるけど、ビョルンがまたキスで気を逸らしてくれる。たくさんキスをして、くちゅりと舌が入り込んできて。優しく絡めとられて、頭がふわふわしてきて、また幸せな気持ちを取り戻していく。
キスをしながらさらに体を寄せて、私たちの間を隔てるものは衣服しかない。足も絡みつかせて、ビョルンの硬くなったモノを太ももに感じて。
「…硬くなってる」
「そりゃあ、なるだろう?愛する女とベッドにいるんだから」
私、ホムンクルスなのにね?今までと変わらず、私に欲情してくれているのが嬉しい。
「したい?」
唇が離れたすきに、でもほとんど触れ合っている状態で聞く。
「したいよ。だが、するのが怖くもある。…俺たちの子が、殺されるかと思うと」
「……うん」
避妊具もまともにないこの世界じゃ、せいぜい中出しを避けるくらいしかできない。でもそれだって確実な方法じゃない。それでもし子どもができて、また殺されたら?生理が来るまでの間、ずっと恐怖がついてまわると思う。そしてまた生理が遅れて来たら、罪悪感で死にそうになると思う。
でもね、ビョルン。私もう、キスだけじゃ物足りないの。貴方の素肌で、傷ついた私を慰めてほしい。
「ねぇ、ビョルン。最初みたいにしよっか」
「最初?」
「私のここで、気持ちよくなって?」
ビョルンの腕を取って、太ももに挟む。ぎゅっと力を込めて、その太いモノを締め付ける。コクリ、とビョルンが喉を鳴らす音が聞こえる。
「いや?」
「…いやなわけ、ないだろう」
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