異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第二部

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 私とヴァレさんが見下ろしている広場では、いま老若男女たくさんの人たちがスライム拾いをしてくれている。最初は10人くらいだったんだけど、拾い終わってお金を受け取った人たちが他の人を呼んでくれ、今じゃ数えきれないくらいの人が集まっている。 
 スライムの切り出しはビョルンとロルフ、そして力自慢の大柄な衛兵さんが担当している。その途中で出てくるガラクタは、衛兵さんたちが大雑把に燃えるものと燃えないものに分けてくれているみたい。二つの山が徐々に築かれていっている。この現場のあと片づけは、衛兵さんたちがしてくれる予定だ。私たちは夕方にプレゼンもあるし、モーガンさんが申し出てくれたので、ありがたくお任せすることにした。ヴァレさん、お手当弾んであげてくださいね。
 スライムに取り込まれた『ヤバイもの』が出てきた場合は…さっと迅速に片づけてくれている。動物はそのまま燃やすつもりなんだろう。燃える方のガラクタの山に置かれる。そして…現在3体、ぼろ布を被せられた遺体が並べられている。やはり人も飲み込まれていた。ほとんど白骨化したものが2体。比較的新しい遺体が1体。カッツェが遭遇して以降は周囲にスライムの存在を知らせて避難させていたそうだから、それ以前に飲み込まれてしまった人なんだろう。その1体も若い女性だということはわかるけど、スライムの中でもみくちゃにされたのか損傷が激しくて、個人の識別は難しいかもしれないとのことだった。今日中に引き取り手が現れなければ、共同墓地に埋葬されるとのことだった。
 ただそういったものが出たとしても、周囲の人たちが大騒ぎすることはなかった。ミンミが掛けている魔術がうまく効いているのかもしれないし、スライムを拾うのに夢中になっているのかもしれないし。
 ……人の死に、慣れているのかもしれない。



 スライムは順調に切り取られていき、どんどん容量が小さくなっている。参加者はかなり増えたんだけどね。まだまだ在庫?に余裕がある感じだ。
 体を好き放題切り取られているスライムは、非常に大人しい。赤い石を見つけると即破壊したという報告が上がってくるんだけど、すでに3つ破壊したそうだから、残すはメインの核ひとつになっているはずだ。そりゃスライムも観念するわ。そこまでの思考能力があるかはわからないけど。
 まぁ、こそっとたまに抵抗をしたいのか、触手を伸ばしてくるそうだけど…ビョルンとロルフの前では、無駄な抵抗よね。二人に瞬殺されて、急いで触手を戻している。ちょっと可哀想にな…いやいや、同情はするべきじゃないね。
 ビョルンとロルフ達が切り出したスライム片は、カッツェの声掛けで集まった5番街の有志の人たちが、細かく切り分けてくれている。女性や子ども、お年寄りややせ細った人もいるから、バケツに拾いやすいようにしてくれているようだ。バケツが重すぎて持ち上げられない人たちにも、運ぶのを手伝ってあげてるみたいだし。
 うーん、カッツェって人を動かすのがうまいよね。私たちが来るまでスライムの相手をしてた時も、カッツェが中心になってやってたみたいだし。目端も効くし、気遣いも上手いし…ビョルンに相談してからだけど、簡単な任務で一度隊長を任せてみてもいいかもしれないね。



 会場の雰囲気は、活気はありつつも和やかだ。
 5番街の人は荒くれ者が多いって聞くから、騒動にならないか心配だったけど。衛兵さんたちが見張っているし、たまにスライムの取り合いで一触即発の雰囲気になっても、衛兵さんが仲裁に入ってくれて大事にはならずに済んでいる。
「衛兵さん達、上手ですねぇ」
「まぁ、イベント毎の警備も彼らの仕事だからね。慣れているんだろう」
 素っ気ない返事をするヴァレさんだけど、その顔はちょっと嬉しそうだ。衛兵さんたちの質の向上は、ヴァレさんたちが力を入れていたところだもんね。褒められればやっぱり嬉しいんだろう。
「それに、この国の英雄たる君が、ここで会場全体を見張っているんだ。悪さなんてできないさ」
「んふふ、抑止力くらいにはなってますかね」
 ふたりでそんな雑談をしながら、会場の様子を見守る。
「あ。シャトラ、あそこ」
「おっと!おーーい、黒いシャツに半ズボンの僕!そうそう君、君!スライムに触った手で鼻を擦っちゃだめでーす!危ないよ!」
 ヴァレさんが目ざとく見つけてくれて、拡声器で少年に注意する。10歳くらいかな?少年はハッとして、鼻に持っていった手を離す。無意識のクセなのかな。5番街の子たちにとってはスライム捕獲からの素材販売ってけっこう定番の副業だから、こういう作業も慣れてるはずなんだけどね。
「ごめんなさーい!」
「謝らなくていいよ、気を付けてね!」
 はーーい!といい子の返事をした少年に手を振って答える。ふふ、可愛い。
「シャトラ、喉は乾いてない?」
「あっ、めっちゃ乾いてます」
 拡声器使ってたくさん喋ったからね。
「はい、どうぞ」
 ヴァレさんがわざわざ水筒の蓋を取ってから、手渡してくれる。来る途中で急いで買った、竹の水筒に入ったお水だ。
「やだー。皇帝陛下が手ずから渡していただいたお水なんて、美味しく感じちゃうー」
「はは、何を言ってるんだか」 
 笑いながら軽口を叩き合って、水分補給し、また広場に目をやる。
 あんなに巨大だったスライムは、もうかなり小さくなってしまった。ビョルンの背丈と同じくらいかな。それでも充分大きいんだけど。
 参加者はどんどん入れ替わっているけど、落ちているスライムはまだ充分ある感じ。このままだと、残った分は最後に衛兵さんたちにかき集めてもらって、一括買取りになるかな。足りないよりは、全然いいよね。

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