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混血系大公編:第二部
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ちなみに東諸島は大陸の東側にある島の集まりで、各島に私みたいなアジア系の人種が住んでいるそうだ。その中の一つが大和。近衛騎士の兵衛さんみたく、日本人!って感じの人たちが住んでいて、日本語を話すそうだ。今は東諸島全体が帝国の傘下に入っているけれどその歴史はまだ浅いらしく、帝国内に住んでいるモンゴロイドは、コーカソイドやネグロイドに比べれば少ない印象だ。
「ヤマト…ヒョウエの出身地だな。意味はわかるか?」
「爆発しろ(Explode)…かな?」
この世界…というか、帝国の言葉ってほぼ英語なのよね。私はよくわからない補正で言葉が通じるんだけど、それも相手の言葉が日本語に聞こえるわけじゃなくて、相手が話すと頭の中で勝手に意味が変換される感じなのよね。話す時は、仕組みはさっぱりだけど勝手に翻訳されているみたいで普通に話せば通じる。だけど文章は変換してくれないから、読んだり書いたりするのに苦労するんだけど…。この辺は、私の名前が他の人に聞き取れない件と一緒で、人智を超えた力が働いているのかなーと漠然と思っている。
まぁ、それは今は関係ないから置いておいて。
私の言葉に、イスは納得したように頷いて見せた。
「なるほど、それがキーか。詳しい調査はこれからだが…スライムに掛けられていたものは、お前が言ったように『レディと同じもの』の可能性が高いと思う。残った魔術の波長が、レディのものと似ていた」
「レディと同じもの?ハリソンが報告してきた件かい?」
ヴァレさんが聞き返す。ああ、ハリーさんがちゃんと報告してくれてたのね。話が早くて助かる。
「ええ、それです。どこまで聞いてますか?」
「ローブの件まで聞いてるよ」
「じゃあ、レディ・アマニータに掛けられた魔術についても聞いてますよね。東諸島の呪術とか…それに近いものかもしれないって」
「聞いている。サークルの専門家に見てもらう予定なんだろう?…ああ、そうか」
ヴァレさんも思い至ったようで、キラリと目が光る。
「指定された言動を引き金に発動する魔術…スライムを爆発させたのも、東諸島の魔術ということか」
そう。結論はそこに辿り着く。
「可能性の段階ではありますけど…大和語がキーになって爆発したんだと思います」
「なるほどな」
ヴァレさんが納得したように頷くと、今度はビョルンが口を開いた。
「結局、爆発したのは何だったんだ?やはりあの魔核みたいなやつか?」
「ああ、私は見ていないが…魔核に似たものがあったと言ったな?他にそれらしき物がなかったか?」
「私とビョルンで見たけど、あとは瓦礫しかなかったよ。まぁ、魔核も色が着いてなきゃ、一見石ころにしか見えないけど…。あ、魔核の数は8個で間違いないよね?」
「ああ、間違いない。ただ、他に魔力を帯びたものは3つあった。1つは生存者、1つは新鮮な遺体、1つは魔道具もしくは魔石、までは調べた」
新鮮な遺体って言い方ぁ…。若い女性って判別できた遺体のことよね。亡くなったばかりならまだ魔力は体に留まっているって聞いたことあるし。
「じゃあ、やっぱりあの『魔核モドキ』が爆発のキーなんだね」
「そうだろうな。だが…大した魔力も感じなかったから、そこで調査を終えてしまっていた。結果、シャハラを危険な目に合わせてしまった。…すまない」
もう、イスは全然悪くないのに。私の事を思って後悔しているみたいなので、ポンポンと肩を叩いて慰める。
「ううん、あの状況ではスライムの戦力を削ぐのが最優先だもの。あれがベストだったと思う」
「ああ、私もそう思う。しかし、『魔核モドキ』には大した魔力を感じなかったんだろう?それがあんな大きな爆発を起こせるのか?」
ヴァレさんの疑問は最もだ。だいぶ切り取ったとはいえ、スライムはまだビョルンの背丈くらい…つまり2メートルくらいはあった。横幅もそれに応じて大きい。それが吹き飛ぶ規模の爆発なんだから、かなりの威力があったはずだ。
イスは眉間に皺を寄せて考える素振りを見せた後、静かに口を開いた。
「…仮定に過ぎないが。レディと同じ『呪術』の類だとすれば…あの『魔核モドキ』はあくまで起爆剤だ。爆発そのものは、スライムの魔核が含む魔力を使ったと考えられる」
「え、それじゃあ…!」
導かれた恐ろしい結論に、心臓がドキリと鳴る。
同時に気づいたのか、ビョルンとヴァレさんの顔つきも険しくなる。
スライムの魔核は、8つあった。
もしすべての魔核の魔力を使って、爆発していたとしたら?…それが目的だったとしたら?
「…スライムは、迷宮区画(メイズセクション)に向かっていたと言っていたな?」
「カッツェは…うちの団員は、そう見えたと言っていたよ」
もちろん確定ではないけれど、でもそう見えたから誘導したと言っていた。
「…あの区画を、吹き飛ばす程度の威力はあっただろうな」
「……」
狙っていたのは迷宮区画?それとも、そこに匿われたレディ?どちらにしても、犯行の規模が大きすぎる。
相手の目的はわからない。犯人が誰かもまだわかっていない。
ただ久しくなかった…『対するもの(コントラ)』と対峙していた時以来の、強烈な悪意を感じて。
体の芯が冷えるような思いに、私は無意識に自分の腕をさすった。
「ヤマト…ヒョウエの出身地だな。意味はわかるか?」
「爆発しろ(Explode)…かな?」
この世界…というか、帝国の言葉ってほぼ英語なのよね。私はよくわからない補正で言葉が通じるんだけど、それも相手の言葉が日本語に聞こえるわけじゃなくて、相手が話すと頭の中で勝手に意味が変換される感じなのよね。話す時は、仕組みはさっぱりだけど勝手に翻訳されているみたいで普通に話せば通じる。だけど文章は変換してくれないから、読んだり書いたりするのに苦労するんだけど…。この辺は、私の名前が他の人に聞き取れない件と一緒で、人智を超えた力が働いているのかなーと漠然と思っている。
まぁ、それは今は関係ないから置いておいて。
私の言葉に、イスは納得したように頷いて見せた。
「なるほど、それがキーか。詳しい調査はこれからだが…スライムに掛けられていたものは、お前が言ったように『レディと同じもの』の可能性が高いと思う。残った魔術の波長が、レディのものと似ていた」
「レディと同じもの?ハリソンが報告してきた件かい?」
ヴァレさんが聞き返す。ああ、ハリーさんがちゃんと報告してくれてたのね。話が早くて助かる。
「ええ、それです。どこまで聞いてますか?」
「ローブの件まで聞いてるよ」
「じゃあ、レディ・アマニータに掛けられた魔術についても聞いてますよね。東諸島の呪術とか…それに近いものかもしれないって」
「聞いている。サークルの専門家に見てもらう予定なんだろう?…ああ、そうか」
ヴァレさんも思い至ったようで、キラリと目が光る。
「指定された言動を引き金に発動する魔術…スライムを爆発させたのも、東諸島の魔術ということか」
そう。結論はそこに辿り着く。
「可能性の段階ではありますけど…大和語がキーになって爆発したんだと思います」
「なるほどな」
ヴァレさんが納得したように頷くと、今度はビョルンが口を開いた。
「結局、爆発したのは何だったんだ?やはりあの魔核みたいなやつか?」
「ああ、私は見ていないが…魔核に似たものがあったと言ったな?他にそれらしき物がなかったか?」
「私とビョルンで見たけど、あとは瓦礫しかなかったよ。まぁ、魔核も色が着いてなきゃ、一見石ころにしか見えないけど…。あ、魔核の数は8個で間違いないよね?」
「ああ、間違いない。ただ、他に魔力を帯びたものは3つあった。1つは生存者、1つは新鮮な遺体、1つは魔道具もしくは魔石、までは調べた」
新鮮な遺体って言い方ぁ…。若い女性って判別できた遺体のことよね。亡くなったばかりならまだ魔力は体に留まっているって聞いたことあるし。
「じゃあ、やっぱりあの『魔核モドキ』が爆発のキーなんだね」
「そうだろうな。だが…大した魔力も感じなかったから、そこで調査を終えてしまっていた。結果、シャハラを危険な目に合わせてしまった。…すまない」
もう、イスは全然悪くないのに。私の事を思って後悔しているみたいなので、ポンポンと肩を叩いて慰める。
「ううん、あの状況ではスライムの戦力を削ぐのが最優先だもの。あれがベストだったと思う」
「ああ、私もそう思う。しかし、『魔核モドキ』には大した魔力を感じなかったんだろう?それがあんな大きな爆発を起こせるのか?」
ヴァレさんの疑問は最もだ。だいぶ切り取ったとはいえ、スライムはまだビョルンの背丈くらい…つまり2メートルくらいはあった。横幅もそれに応じて大きい。それが吹き飛ぶ規模の爆発なんだから、かなりの威力があったはずだ。
イスは眉間に皺を寄せて考える素振りを見せた後、静かに口を開いた。
「…仮定に過ぎないが。レディと同じ『呪術』の類だとすれば…あの『魔核モドキ』はあくまで起爆剤だ。爆発そのものは、スライムの魔核が含む魔力を使ったと考えられる」
「え、それじゃあ…!」
導かれた恐ろしい結論に、心臓がドキリと鳴る。
同時に気づいたのか、ビョルンとヴァレさんの顔つきも険しくなる。
スライムの魔核は、8つあった。
もしすべての魔核の魔力を使って、爆発していたとしたら?…それが目的だったとしたら?
「…スライムは、迷宮区画(メイズセクション)に向かっていたと言っていたな?」
「カッツェは…うちの団員は、そう見えたと言っていたよ」
もちろん確定ではないけれど、でもそう見えたから誘導したと言っていた。
「…あの区画を、吹き飛ばす程度の威力はあっただろうな」
「……」
狙っていたのは迷宮区画?それとも、そこに匿われたレディ?どちらにしても、犯行の規模が大きすぎる。
相手の目的はわからない。犯人が誰かもまだわかっていない。
ただ久しくなかった…『対するもの(コントラ)』と対峙していた時以来の、強烈な悪意を感じて。
体の芯が冷えるような思いに、私は無意識に自分の腕をさすった。
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