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巻き戻った世界

追いかけてきた初恋

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一応貴族の養女となった私だけれど、基本的にその理由って保護なので(スキル持ちにはままある話らしい)、冒険者活動は引き続き行なっている。今日も元気に魔物を圧死させていた。
我ながらエグいとは思うんだけど、正直攻撃方法がこの結界で押し潰すという方法しかないので許してほしい。

なお、一度こっそり一緒にきたジュリアス義兄様にはドン引きされた。


「攻撃手段になり得る防御手段だ、と聞いていなかったわけではないが」


言いたいことは分かる。
死体は大抵、お金にならないレベルの損傷になってしまう。なので、基本的に貴重な薬草などの探索を行なっている。聖女スキルのおかげか、レア物の薬草を見つけられたり、回復薬なんかも結構良い値がつくものが作れる。
ちなみに前回の人生もアルマリア王国の教会にそこそこ回復薬を作らされていたけど、聖女は清貧を(以下略)とか言われてお金はいただけなかった。今考えると確実に私関連のお金はあいつらが懐に入れていたなと思うけれど、やり直す前の話なので…。

今はドロップアイテムだけで結構普通に暮らしていける感じの収入があるので、以前より気楽だし、心なしか体の調子も良い。
本当に大切にされていなかったのだなぁと感じる。

自分の周囲5mほどを結界で覆って鋏で薬草を収穫していく。義母が素手で採取して怪我をしたら大変だと持たせてくれた。
結界をスカークロウという鳥型の魔物がつついているけど、破る前に力尽きてアイテムを落として消えていくものもいる。その亡骸を食べに同種が寄ってくるの本当に怖いのですけど。


マジックバッグに色々仕舞い込んで立ち上がると、戦闘音が聞こえる。
あんまり近づくのも怖いので遠くからこっそりと少年三人組がスカークロウに襲われていた。人の住む地域近くのいる魔物が人間の味を覚えると厄介なことになる。眉を顰めて、いざとなれば苦戦をしているっぽい彼らをまとめて結界に入れなければならないことも考える。

ふと、そのうちの一人が何かにそうしろとでも言われたように突然振り返る。
晴れた空のような青い目を見開いて、それからその唇が、私の名を紡ぐ。


「ジェラルド様」


震えてまともに音にならなかった声だけれど、通じたのか彼は心底嬉しいと言うように破顔した。
そして、それを見たアロイス様が「ジェリー!!」とキレ気味で名前を呼ぶ。名前を呼ばれた途端に、ジェリーは剣を振るう。
はっとして駆け寄り、周囲を結界で覆った。


「メグ!」


駆け寄ろうとする彼の襟首を、おそらくドライ様が引っ掴む。まぁ、彼らからすると、自国の王子に近づく怪しい女だもんね。納得である。


「グッ……」

「女性に安易に抱き着こうとするんじゃねぇです」


溜息混じりに言われた言葉に頭が冷えたのか、シュンとした。そして、私を見て少し恥ずかしげに咳払いをした。


「メグ、ただのジェラルドになってきた。私と結婚してくれ」

「違うだろう!!」


顔を赤くする私、瞬時に頭をはたくアロイス様、頭を抱えるドライ様。
感動の再会…にしてはシュールだった。
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