46 / 59
守りの聖女と学園生活
聖少女
しおりを挟む黄金のような髪は豊かで、それを三つ編みにして後ろで束ねている。
菫色の瞳は好奇心に輝き、その肩の上で白銀の小鳥が不服そうに座っていた。
「はじめまして、守りの聖女様。私はジャンヌ、聖なる乙女のスキルを持つものでございます」
ドレスではなく聖騎士の装備を纏う彼女はあの手紙をくれた方だ。
とある国の御令嬢でもある人だけれど、神からの声を聞くとも呼ばれる彼女は早くにその身分を神殿に移した。それ故に家名を名乗らないのだと聞く。
実際に神の名の下に魔を打ち倒し、スタンピードが起こった際には、妖精馬に跨り、旗を掲げ先陣を切る。
そんな彼女は民衆から多くの支持を集めていたりする。現代の英雄というものでしょうか。
「あなたも私と同じ、神の愛娘。共に世界のために頑張りましょうね」
彼女の中で、私も世界のために頑張るのは確定なのかな、と少し遠い目をした。
学園から帰ると、お家に神官が三人ほど待ち構えていた。ヴェールを被った聖女として知られているからか、私を見ると頭を下げる。
そして、彼らはジャンヌ様が私と話したいと言っているとこちらへと招待してきた。
彼らの案内の下、私はジェリーと共にジャンヌ様のいる場所を訪ねた。
それで今に至る。
「申し訳ないのですが、私は主のお声を聞けるわけではありません。世界のため、とはどういうことでしょうか?」
何かしら危機があるのであれば、それに応じてガチガチに対策を練っておきたい。
ジェリーはきっと私を守ってくれるけれど、私も彼が私のために傷つくのは嫌なのだ。
何故かそのあたり、ジェリーの理解を得られていないようなのですが。身代わりなんて望んではいないので。
「主の愛は一方的なものです。声をお聞きしたことがなくとも仕方のないことですわ。ですが、私はこの身に神託を受けました。他の聖女と共に、世界を食い荒らさんとする魔を祓えと」
彼女は指を組んでキラキラと瞳を輝かせている。これが信仰心というものだろうか。
「一度目は厄介な方に目をつけられて酷い目にあったようですが、今回は五体満足でいらっしゃいますでしょう?きっと私たちであれば邪悪なものを効率よく打ち倒せますわ!」
彼女の言葉に目を見開いた。
私たちが時間を二度目の人生だと知っている彼女を警戒をもって見つめた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
113
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる