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守りの聖女と学園生活
過去の手がかり 1
しおりを挟む一回、聖女のお仕事でやらかしかけたので国からのお仕事でもジェリー付き添いになった。私は好きな人と一緒なので嬉しいんだけど、やっぱり引き離そうとする人もいる。
「普通、大人数に囲まれてビビりまくってるアンタ見てりゃ、その気おきねぇと思うんですけどね」
「だから大多数は離れているな」
ドライさんの言葉にアロイスさんが溜息混じりで答えた。私は人見知りを遺憾なく発揮している。ジェリーに関しては吹っ切れたのか、それとも私に関わることに関しては話が別なのか私が話す暇すら与えずに対処してくれている。
今回のお仕事に関しては私にも利のある話なので、本当なら前に出て行った方がいいのだろうけど、その目に映る何かしらの欲を感じると恐ろしくて身が竦む。
お昼休みに王国から届けられた依頼書。
そこに綴られていた“聖遺物に彫られた文字”というのが、お母さんの時計と似ていた。
一緒に見ていたジェリーも同じことを思ったようで、それが見つかった遺跡へと足を運ぶことになった。あくまでも王国の依頼のついでという形ではありますが。
「お前ら、相変わらずだな」
呆れたような声が聞こえたと思えば、そこにエイリーク義兄様がいらっしゃった。
「メグはもう少し慣れろ。お前らは過保護」
「申し訳ないのですが、これはマーガレット嬢を過保護に思ってのこととは言いかねます」
「っス。コレ、ジェリーの暴走抑止のためにやってるんで」
「そうなのか。いや、でもまぁ……ジェリーはお前らと違って相手が好きな女だから仕方ねぇんじゃないか?」
いや、十分過保護なのだろうなぁとは察しております。
エイリーク義兄様は親と兄と弟を見ているからか相手が好きな人であれば過保護じゃなくて愛だと思っている節がある。
「好きな女のためなら何を擲ったって構わない、みたいなの、兄上たちと同じだよな。俺よりもグリズリー家みたいで面白い」
実際には、彼らには責任感があるので何も捨ててはいない。人をまとめ、領地の民が少しでも平穏に過ごせるように尽力しているのがわかる。
だからこそ、私も皆様と領の皆さんが好きだ。あの場所ではヴェールなしでもちゃんと立っていられる。……何故かジェリーは外すのを嫌がるけれど。
「メグは怯えながらでも、仕事を成し遂げようとしている。それもまた、強さだと私は思います。…それよりエイリーク様、遺跡の方は」
「もとより、国王陛下は聖女の仕事に大変感謝しておられる。時間が出来次第、調査を始めて構わないそうだ」
エイリーク義兄様の言葉に頷いた。
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