黒羽の約束

猫目オテテ

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第1話「その瞳に、また恋をする」

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放課後の図書室。
窓際の席で、律は参考書を開いたまま、うわの空だった。

「……集中しろって、オレ」

ため息混じりに呟くも、視線はどうしても斜め前の男子に吸い寄せられてしまう。

艶のある黒髪に、翡翠のように透き通った瞳。
人間離れした空気を纏いながら、静かにページをめくるその横顔――。

(……ノア、やっぱ、なんか変だよな)

初めて見たときから、心臓を掴まれたみたいに視線を外せなかった。
それが憧れなのか、恋なのか、まだ明確には言えない。だけど――。

「……律くん」

名を呼ばれた瞬間、ビクリと肩が跳ねた。

「えっ、なに?」

「そんなに見つめられると……照れるよ?」

ふっと口元を緩めて、ノアがこちらを見た。
穏やかで、それでいてどこか挑発的な微笑み。

「ごめ……いや、違っ」

言い訳しようとしたけど、どうにも喉が渇いて言葉が出ない。

「僕のこと、気になってる?」

「……っ!」

図星を突かれて、顔が一気に火照る。

「だったら……今度、ふたりでどこか行かない?」

「……え?」

「お礼がしたいんだ。律くんが、ずっと僕を見てくれてることに」

ノアはまるで秘密を共有するような笑みを浮かべて、すっと手を差し出した。

律は戸惑いながらも、その手を取る。

ぴたりと重なった掌。思ったよりも体温が高くて、心まで熱を帯びていく。

「……うん、行きたい。ノアと、どこでも」

答えながら、心がふわりと浮き上がる。

自分の言葉に驚いてるのは、他でもない律自身だった。

(これって、恋だよな……)

まだまだ戸惑いもあるけど、確かに――ここから何かが始まる。

甘く、確かな何かが。
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