黒羽の約束

猫目オテテ

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第2話「初めてに、触れる」

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待ち合わせ場所は、人気の少ない川辺の公園。
春の陽射しに草木が揺れて、風がやわらかく頬を撫でる。

「……お待たせ、律くん」

ノアが現れた瞬間、その姿に律は一瞬言葉を失った。

いつも制服姿しか見ていなかった彼が、今日は柔らかな白シャツに黒のパンツ。
髪は少しセットされ、耳元には小さな銀のピアスが光っていた。

「……ヤバ……なにその、かっこよすぎじゃん……」

律が思わず呟いた言葉に、ノアは首を傾げて微笑む。

「ありがとう。律くんの私服も、すごく似合ってる」

「う、うそだろ。こんな普通のシャツだぜ? てかそれより……ああもう、オレ、なんでこんな緊張してんだ」

「……初デート、だもんね」

さらりと囁かれ、律の心臓が跳ねた。

(やっぱ、ズルい……!)

しばらく川沿いを並んで歩いた後、小さなベンチにふたりで座る。

会話は自然に弾んで、不思議と時間が早く過ぎた。
けれど――

「……律くん」

ノアの声が少し低く、真剣な響きを帯びる。

「どうした?」

「……君といると、僕は……嬉しくなるんだ。あたたかくて、安心する」

「オレもだよ」

「でも、それだけじゃない。君の声、君の笑顔……君の、全部に……触れたくなる」

ふっと律の顎に指を添え、ノアが顔を近づけた。

「ノア……」

その声ごと、そっと唇を重ねた。

柔らかく、慎重で、けれど想いの詰まった口づけ。

最初は驚いて動けなかった律も、次第に瞼を閉じ、身を預けていく。

「ん、……」

離れた唇の間に、微かな吐息が溶けた。

「……これが、オレのファーストキスってやつか」

律は照れ隠しに視線を逸らしたが、耳まで真っ赤なのが隠せない。

「嬉しい。律くんの初めてを、僕がもらえたこと」

「くぅ~~~! やっぱズルいよノア!!」

そう叫びながらも、心は跳ねるように軽かった。

――恋だ。もう誤魔化せないくらい、確かに恋してる。


これが俺たちの恋の始まりだ
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