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第365章 直属軍団、牙を剥く――血で道をこじ開けろ
ミノタウロスは一撃を受けても、ほとんどが重傷止まりだ。
だがジャッカルマンなら即死する。
それが現実だ。
敵軍団には、この大型弩が数百架。
こちらのミノタウロス戦士にとって、極めて不利な状況だった。
――装備差は、依然として重い。
それでも前進は止めない。
千名近いミノタウロス戦士が次々と倒れながらも、大軍はついに敵との距離を十数メートルまで詰めた。
ここまで来れば、矢は無力。
ブルースは隣の伝令兵に向かって怒号を放つ。
「全軍突撃だ! このクソ犬ども、今日という今日は一匹も逃がさん!」
号令一下。
伝令兵が走り、叫びが連鎖し、五万の軍勢が一斉に加速する。
地面が震える。
ここまで接近すれば、ドワーフも弓弩を収めるしかない。
長柄武器へ持ち替え、近接戦の構え。
最前列のミノタウロスたちが盾を押し付け、敵ミノタウロスと激突した。
純粋な膂力勝負。
力は互角。
装備はドワーフ側がやや優位。
だがこちらは数で圧倒する。
同族同士が刃を交える。
ブルースはその表情を見て、胸の奥で小さく息を吐いた。
……本来なら同じ種族。
かつて戦場を蹂躙した強大な戦闘種族が、今は二つの旗の下で殺し合う。
頭の回るミノタウロスほど、この現実を理解しているはずだ。
だが。
戦場に感傷は不要。
勝たねば意味がない。
一方、ジャッカルマンたちにはそんな感慨は微塵もない。
彼らにとって直属軍団への加入は、地獄からの脱出だった。
底辺からの引き上げ。
待遇は激変。
今や彼らは誇りを持ち、この「仕事」に心から満足している。
そして。
恩を返す機会を、待っていた。
接敵と同時に、彼らは獰猛に飛びかかった。
迷いも躊躇もない。
最も苛烈な角度で、敵へ突き刺さる。
瞬く間に両軍は完全な混戦へ。
ドワーフは小柄だが、腕の筋肉は岩のように隆起している。
力も強い。
組んだ陣形は実に堅固。
一時は、完全な互角。
だが。
両翼の犬頭族陣列は明らかに脆い。
ジャッカルマンが接近すると、わずか数分で崩壊。
その数分間も、ただ圧倒され、斬られ、踏み潰されるだけ。
千に満たぬ損害で、犬頭族は精神的に完全崩壊。
四散し、逃走を始めた。
その動きを、マイクは即座に捉える。
彼は笑いながら伝令兵に言った。
「また犬どもが先に折れたか。」
一拍置き、声を低くする。
「伝令を回せ。できるだけ多く捕らえろ。
後で食糧を運ばせるのは、この“優秀な社畜”どもだ。
槍は長棍に持ち替えろ。殺すな。
叩いて追い立て、一箇所に集めろ。
逆らう奴はぶん殴れ。命までは取るな。」
命令は即座に実行された。
騎兵が槍を収め、木の枝を拾い、逃げる犬頭族を叩き回す。
ギャンギャン鳴きながら、羊の群れのように追い立てられる。
あっという間に一箇所へ収容。
犬頭族たちは震えながら固まった。
自分たちの末路を、理解している。
崩壊は一瞬ではなかった。
ドミノのように波及。
それがマイクたちの収容速度を鈍らせる。
その間、ドワーフたちは自軍の数が急速に減っていくのを目の当たりにする。
逃げたのは主に犬頭族労働者。
だが、人数減少は心理に影響する。
特に外周にいたドワーフほど、その圧を強く感じた。
それでも。
ドワーフの戦闘力は高い。
最大の要因は装備。
鎧も武器も優秀。
だが――
今回が初陣となるフィルード直属獣人軍団は、異様なまでの猛さを見せた。
彼らは底辺から引き上げられた者たち。
その恩は計り知れない。
フィルードに報いる。
その一念が、全身を燃やしている。
装備は粗い。
だが意志は鋼。
後続が絶えず突撃し、死傷を出しながらも、ついに敵陣に一本の裂け目をこじ開けた。
小さな裂け目。
だが。
そこへ雪崩れ込む直属軍団兵。
裂け目は瞬く間に拡大。
ドワーフ防線が揺らぐ。
時間経過とともに、三つ目、四つ目の破断。
万を超えるドワーフ軍陣が四分五裂。
三十分後。
戦闘終結。
地面には無数の死傷者。
残ったドワーフの半数が頭を抱えてしゃがみ込む。
他は戦死か負傷。
ブルースは荒れ果てた戦場を見渡し、眉をひそめた。
……想定以上だ。
敵軍約四千を殲滅。
即死千以上。
こちらの損害も約三千。
即死数百。
人数で優位だったにもかかわらず、この損耗率。
理想とは言えない。
装備差。
そしてドワーフの戦意。
侮れない。
だが――
勝ちは勝ちだ。
ガロは即座に戦場清掃を命じる。
犬頭族を再編し、食糧運搬へ。
迅速に移動。
マイクには騎兵を再展開させ、敵の痕跡を追わせる。
捕虜ドワーフは縛り上げられ、ガロ堡へ護送。
装備は全て剥ぎ取られ、直属軍団へ分配。
近万着の鎧。
使えるものは七~八千。
戦うたびに、こちらは強くなる。
――実に分かりやすい構図だ。
大規模包囲でもされない限り、こちらを止めるのは困難。
だが包囲も容易ではない。
マイクの騎兵が広域を封鎖している。
さらに一日探索。
また大規模運糧隊を発見。
迷いなく突撃。
再び撃破。
戦法はほぼ同じ。
だが損害は明らかに減少。
装備が向上。
実戦経験が蓄積。
彼らは元より基礎訓練は十分。
足りなかったのは経験のみ。
ブルースとガロは配置を細かく調整し、権限を下級士官へ委譲。
部下に指揮を任せ、連携精度を引き上げる。
軍は、生き物のように進化していく。
運糧隊を次々と壊滅させるうち、その情報は南のドワーフ王の耳へ届いた。
報告時点で、三つの大規模運糧隊が全滅。
さらに大山の向こうから迂回してきた地上歩兵部隊の存在も発覚。
ドワーフ王は激怒。
しばし沈黙。
そして怒りを抑えた低い声で言う。
「卑劣な雑種王国め……。
歩兵を背後に回し、我らの計画を乱すつもりか。」
幕舎内を見回す。
「今後の方針について、意見を聞こう。」
――さて。
ここからが本当の読み合いだ。
盤面は動いた。
次の一手で、戦局は決まる。
だがジャッカルマンなら即死する。
それが現実だ。
敵軍団には、この大型弩が数百架。
こちらのミノタウロス戦士にとって、極めて不利な状況だった。
――装備差は、依然として重い。
それでも前進は止めない。
千名近いミノタウロス戦士が次々と倒れながらも、大軍はついに敵との距離を十数メートルまで詰めた。
ここまで来れば、矢は無力。
ブルースは隣の伝令兵に向かって怒号を放つ。
「全軍突撃だ! このクソ犬ども、今日という今日は一匹も逃がさん!」
号令一下。
伝令兵が走り、叫びが連鎖し、五万の軍勢が一斉に加速する。
地面が震える。
ここまで接近すれば、ドワーフも弓弩を収めるしかない。
長柄武器へ持ち替え、近接戦の構え。
最前列のミノタウロスたちが盾を押し付け、敵ミノタウロスと激突した。
純粋な膂力勝負。
力は互角。
装備はドワーフ側がやや優位。
だがこちらは数で圧倒する。
同族同士が刃を交える。
ブルースはその表情を見て、胸の奥で小さく息を吐いた。
……本来なら同じ種族。
かつて戦場を蹂躙した強大な戦闘種族が、今は二つの旗の下で殺し合う。
頭の回るミノタウロスほど、この現実を理解しているはずだ。
だが。
戦場に感傷は不要。
勝たねば意味がない。
一方、ジャッカルマンたちにはそんな感慨は微塵もない。
彼らにとって直属軍団への加入は、地獄からの脱出だった。
底辺からの引き上げ。
待遇は激変。
今や彼らは誇りを持ち、この「仕事」に心から満足している。
そして。
恩を返す機会を、待っていた。
接敵と同時に、彼らは獰猛に飛びかかった。
迷いも躊躇もない。
最も苛烈な角度で、敵へ突き刺さる。
瞬く間に両軍は完全な混戦へ。
ドワーフは小柄だが、腕の筋肉は岩のように隆起している。
力も強い。
組んだ陣形は実に堅固。
一時は、完全な互角。
だが。
両翼の犬頭族陣列は明らかに脆い。
ジャッカルマンが接近すると、わずか数分で崩壊。
その数分間も、ただ圧倒され、斬られ、踏み潰されるだけ。
千に満たぬ損害で、犬頭族は精神的に完全崩壊。
四散し、逃走を始めた。
その動きを、マイクは即座に捉える。
彼は笑いながら伝令兵に言った。
「また犬どもが先に折れたか。」
一拍置き、声を低くする。
「伝令を回せ。できるだけ多く捕らえろ。
後で食糧を運ばせるのは、この“優秀な社畜”どもだ。
槍は長棍に持ち替えろ。殺すな。
叩いて追い立て、一箇所に集めろ。
逆らう奴はぶん殴れ。命までは取るな。」
命令は即座に実行された。
騎兵が槍を収め、木の枝を拾い、逃げる犬頭族を叩き回す。
ギャンギャン鳴きながら、羊の群れのように追い立てられる。
あっという間に一箇所へ収容。
犬頭族たちは震えながら固まった。
自分たちの末路を、理解している。
崩壊は一瞬ではなかった。
ドミノのように波及。
それがマイクたちの収容速度を鈍らせる。
その間、ドワーフたちは自軍の数が急速に減っていくのを目の当たりにする。
逃げたのは主に犬頭族労働者。
だが、人数減少は心理に影響する。
特に外周にいたドワーフほど、その圧を強く感じた。
それでも。
ドワーフの戦闘力は高い。
最大の要因は装備。
鎧も武器も優秀。
だが――
今回が初陣となるフィルード直属獣人軍団は、異様なまでの猛さを見せた。
彼らは底辺から引き上げられた者たち。
その恩は計り知れない。
フィルードに報いる。
その一念が、全身を燃やしている。
装備は粗い。
だが意志は鋼。
後続が絶えず突撃し、死傷を出しながらも、ついに敵陣に一本の裂け目をこじ開けた。
小さな裂け目。
だが。
そこへ雪崩れ込む直属軍団兵。
裂け目は瞬く間に拡大。
ドワーフ防線が揺らぐ。
時間経過とともに、三つ目、四つ目の破断。
万を超えるドワーフ軍陣が四分五裂。
三十分後。
戦闘終結。
地面には無数の死傷者。
残ったドワーフの半数が頭を抱えてしゃがみ込む。
他は戦死か負傷。
ブルースは荒れ果てた戦場を見渡し、眉をひそめた。
……想定以上だ。
敵軍約四千を殲滅。
即死千以上。
こちらの損害も約三千。
即死数百。
人数で優位だったにもかかわらず、この損耗率。
理想とは言えない。
装備差。
そしてドワーフの戦意。
侮れない。
だが――
勝ちは勝ちだ。
ガロは即座に戦場清掃を命じる。
犬頭族を再編し、食糧運搬へ。
迅速に移動。
マイクには騎兵を再展開させ、敵の痕跡を追わせる。
捕虜ドワーフは縛り上げられ、ガロ堡へ護送。
装備は全て剥ぎ取られ、直属軍団へ分配。
近万着の鎧。
使えるものは七~八千。
戦うたびに、こちらは強くなる。
――実に分かりやすい構図だ。
大規模包囲でもされない限り、こちらを止めるのは困難。
だが包囲も容易ではない。
マイクの騎兵が広域を封鎖している。
さらに一日探索。
また大規模運糧隊を発見。
迷いなく突撃。
再び撃破。
戦法はほぼ同じ。
だが損害は明らかに減少。
装備が向上。
実戦経験が蓄積。
彼らは元より基礎訓練は十分。
足りなかったのは経験のみ。
ブルースとガロは配置を細かく調整し、権限を下級士官へ委譲。
部下に指揮を任せ、連携精度を引き上げる。
軍は、生き物のように進化していく。
運糧隊を次々と壊滅させるうち、その情報は南のドワーフ王の耳へ届いた。
報告時点で、三つの大規模運糧隊が全滅。
さらに大山の向こうから迂回してきた地上歩兵部隊の存在も発覚。
ドワーフ王は激怒。
しばし沈黙。
そして怒りを抑えた低い声で言う。
「卑劣な雑種王国め……。
歩兵を背後に回し、我らの計画を乱すつもりか。」
幕舎内を見回す。
「今後の方針について、意見を聞こう。」
――さて。
ここからが本当の読み合いだ。
盤面は動いた。
次の一手で、戦局は決まる。
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