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RENYA Side

俺も男なんで、性欲はあった訳で

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 ある意味真唯を騙してホテルに入った。
 そして、悪友の所の人間にこのホテル──ルナティック・ラブというらしい──にここへ入るよう指示したのは、また別の悪友が経営しているホテルのひとつで、融通が利くと踏んだからだ。

 真唯を残し、鍵を受け取る為の小窓から顔を覗かせる中年寄りの男性へと囁く。

「君、悪いけど、オーナーのどちらかに連絡を取ってくれないか?」
「はい?」

 男性は俺の言葉にはっきりと怪訝な顔を浮かべる。

「あ、すまない。俺はこういう者で、あの二人とは友人なんだ。ちょっと頼みたい事があって、連絡を取って欲しいんだけど」

 そう言って、懐から名刺を取り出し、男性へと差し出す。彼は過去にビジネスマンでもしていたのだろうか、両手で名刺を受け取ると「千賀様ですね」と小さな紙に視線を向けたまま呟いていた。

 なんとか怪しいヤツではないとアピールしたおかげで、友人と連絡が取れた。その上で、こちらからの要望を伝えると、「プライバシーというのがあるのですが」と渋面を作りつつも、オーナーと懇意にしているから完全な拒否もできないのか、真唯の元彼(真唯も別れるメッセージを送ったそうだ)の隣の部屋を取り、尚且つ彼らが出る前に俺に連絡するよう頼んだら、更に眉間の皺を深く刻みながらも承諾してくれた。

 ついでに、後からタオルの追加とコンドームの追加をお願いし、俺は真唯の元へと戻る事にしたのだった。

 部屋はクラシカルな内装で、女性が好むような落ち着きの中にも華やかさがある。適当に決めてしまったけど、真唯は雨宿りが目的だと信じているようで、特に否やはなかった。

 ぼんやりと部屋の中を見回してる真唯を横目に、俺は浴室へと向かう。体を冷やした真唯を放置したくなかったからだ。

(適当とはいえ、あからさまな部屋を選ばなくて良かった……)

 ほっと安堵していると、キンコンとチャイムの音が部屋に響く。

「月宮君、済まないけど対応してくれるかな。今、お風呂の準備をしてて手が離せないんだ」

 室内へと向かって声をあげると、「は、はいっ」とびっくりした声が返ってくる。
 明日は無理にしても、そう遠くない未来の俺たちの姿を思い浮かべ、綻んだ唇から「ふふ」と笑みが零れる。
 多分、真唯と二人で入る頃にはたっぷり湯も溜まっているだろう。俺はそう確信し終えると、真唯の待つ部屋へと足を向けた。

「ああ、済まないね月宮君。対応に出させてしまって」
「いいえ。こちら預かったタオルです。それから、従業員の方から伝言です。『先程の件、了承しました』との事です」
「そっか」

 さすが悪友の経営するホテル。従業員の教育も一般のシティホテル並に迅速だ。
 多分、俺が頼んだ隣の退出の申告について、オーナーに尋ねたのだろう。先程は承諾したものの、プライバシーが売りのラブホテルで、易々と退出を知らせるのは問題あるからね。
 こちらの要望に従うように言ってくれた悪友には感謝しかない。


 それから少し予定外の出来事はあったものの、俺は真唯に三年前から思い募らせていた事、溢れる思いが暴走して、貪るように真唯の唇や口腔を溶ける程舐めしゃぶったけど、彼女を浴室に誘導する事はできたといえよう。

 ずっと触りたかった髪を丁寧に洗い、三年前の傷が残ってないかと調べる為に手を這わせた白く、柔らかな肢体も堪能し、真唯を前で抱くようにして浴槽に沈めば、彼女の口からほうと吐息が零れる。
 やっぱり、雨で体が冷えてたようだ。うーん、すっぴんの真唯の頬は桃のように柔らかくて、噛み付いたら美味しそうだ。

「千賀専務」
「んー?」

 真唯の頬を唇でハムハムしていると、どこかトロリとした眠そうな声が聞こえてくる。

「専務って、苦手な事とかあるんですか?」
「え? どうして?」
「なんというか、女性の服を剥くのにも手馴れた様子ですし、髪の洗い方プロ並だし、もう超越したテクニックが凄くて、専務って実は人間じゃないのかなぁ、って」
「ふふっ、人間じゃないって。……んー、そうだな。たまたま俺に声掛けてきた子達に練習台になってもらったからかな」

 そう、これまで何人かは後腐れのない遊びなら、何度かやった事はある。とはいえ、全て真唯と出会う前の事の出来事だったし、俺も男なんで、性欲はあった訳で。
 真唯は「れんしゅうだい」と拙い言葉を小さく落とした後、爆弾を落としてきたのだ。

「つまりは、専務には何か目的があって、これまで色んな娘さん達を練習台という名のエッチを繰り返し、で、私もその一連の練習なんですね」

 ──はぁ?
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