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RENYA Side

真唯以外の女はどうでも良いとか思ってる

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 待て。待て待て待て。どうして真唯がこんなに怒ってるんだ?

 俺は動揺で真唯を包む腕に力が入る。きっと、感情の揺れに彼女も気づいただろう。

 今、真唯に言ったように、ナンパされた女性を練習台に、真唯が気持ち良くなるよう練習台にしたのは事実だ。だが、断言する。それはセックス含まずだ!


「真唯? 何か勘違いしてるようだけど、他の女と真唯は違うからね。十把一絡じっぱひとからげなのは練習台の女達。真唯は俺にとって三年前から特別な女の子なんだからね」
「……」
「あと、ひとつ言わせて貰えるなら、真唯と出会ってから今日までセックスはしてないから、俺」

 焦って言い訳めいた説明をしても、真唯のまとう空気は冷えていく一方だ。だから、言わなくてもいい台詞が時分の口から飛び出した途端「……へ?」と真唯の空気が緩んだ気がした。

 ああ、良かった。このまま真唯がホテルから出て行ったら泣く。もう号泣レベルになるから。

 こんな顔を見られたくなくて、真唯の髪に頬を寄せて続きを話す。

「まあ……真唯が信じるかどうかは分からないけど、あのセミナーで真唯に一目惚れしてから、女を抱かないって決めたんだよね。……願掛けって言うのかな。自分でもどうして真唯に固執してるのか理解できてない部分もあるけど、ただひとつ言えるのは、真唯が本当に好きで、真唯以外の女はどうでも良いとか思ってる」

 固執してる理由が分からないっていうのは嘘。
 あのセミナーで怪我を負った真唯の苦悶に満ちた顔を見た時、騒然とした状況にも拘らず勃起してしまったのだ。
 別に嗜虐趣味がある訳ではないにも拘らず、だ。

 眉根を苦しげにひそめ、痛みで売るんだ瞳が扇情的で、呻く声が漏れる唇はコーラルピンクが艶かしくて、これがベッドの上だったらと妄想まで繰り広げた位、真唯だけしか目に映ってなかった。

「……最低だよね」

 ホント、怪我した女性に欲情するとかさ。

 でも、真唯以外の女がどうでもいい存在になったのは本当。だからこそ、真唯と出会ってから清廉潔白を貫けた訳だし。あ、でも、真唯の写真で抜いたのは許して欲しいな。
 もう真唯が手に入ったから必要ないかもしれないけど。

「……信じても……いいですか?」

 トロリとした湯がチャプンと水音がする中、真唯の体は半転して俺に視線を合わせたままゆっくりと唇を開く。ああ、素の真唯の唇は桜色で可愛いね。

「千賀専務の事……本当に信じてもいいんですよね?」

 まっすぐに向けられた双眸は潤んでいて、温まった頬は薔薇色に染まってて綺麗。俺の胸に添えられた白魚のような手と、当たる双つの柔らかさに、真唯が発した言葉が夢ではなく現実だと教えてくれた。

 嬉しい。
 こんな感情に満たされた事は一度もなかった。真唯が、真唯だけが俺に与えてくれた感情だ。

「うん。一生裏切らないから、ずっと信じていて、真唯」

 安心して、真唯。俺が真唯を裏切るなんて死んでもありえないから、ね。
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