はぴまり~薄幸オメガは溺愛アルファのお嫁さん

藍沢真啓/庚あき

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聖夜の宝石箱

聖夜の宝石箱 後編

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 途中コンビニで火傷しそうに熱くなった缶コーヒーを二本購入し、二人でちびちび飲みつつ玲司が桔梗を連れてきたのは、二人が住む街の県の隣にある山の中腹だった。
 街灯もないせいで真っ暗だったが、玲司は何度か来たことがあるのか、スムーズに開けた場所に車を停めると「着きましたよ」と、そう声をかけてきた。

 こちらに向けてくる声はいつもの通りだ。
 しかし、すぐ近くに居るはずの玲司の姿さえまともに見えない場所に連れられて来た桔梗は、ないとは思いつつも不安に胸が埋め尽くされていく。

 桔梗を降ろして、そのまま立ち去ってはしないだろうか、とか。
 やっぱり結婚を後悔したから、桔梗を始末する為にこのような場所に連れてきたのではないのか、とか。

 玲司がそんな事をしないと、この数ヶ月で理解していた筈なのに、頭を占めるのは悪い想像ばかり。

 アルファの父も、桔梗がオメガと判定されるまでは、とても優しく頼もしい人だった。
 アルファの元上司も、仕事はまともにやってくれなかったけども、桔梗に親切にしてくれた。

 だけど二人共、桔梗がオメガというだけで、拒絶して家を追い出して管理したり、謂れもない恋愛感情を押し付けられたり、身の危機を感じた事も一度や二度ではない。

 玲司は違う。彼は自分を優しく包むように愛してくれるし、いざとなったら自分を守ってくれると知っている。しかし、そう思いながらも、アルファはオメガを見下し、卑下しているのを、桔梗は自覚していたのだ。

 鼻を抓まれても分からない闇の中、桔梗は何度も首を横に振り続ける。
 こんなにも不安にさいなまれるのは、真っ暗な場所にいるからだ。
 玲司は桔梗を守ってくれると誓ってくれた。桔梗も彼の想いに応えた。だから籍を入れて夫夫になったのだ。

(大丈夫。玲司さんは俺に酷い事なんてしない。この人は俺には優しい人だと知っている)

 玲司は父親でも元上司でもない。自分の夫なのだ。

「玲司さん、真っ暗で何も見えないんです。だから、手を握ってくれますか?」

 自分から希望を告げるのは、桔梗がオメガになって初めてのような気がする。
 高校に入ってから家を出され、かろうじて兄の朔音と同じ学園で一緒に過ごす事は出来たもののクラスは離され、唯一顔を合わせる場所が生徒会室という寂しいもので。
 卒業してからは更に寂しいもので、大学でも香月の恥にならないようにと行動まで制限され、家と大学の往復をするばかり。故に友人関係を築く機会もほとんどなく、静かすぎるマンションでひとり寂しく過ごすだけだった。
 前の会社に入社してからは、多少なりとも人とコミュニケーションを取るようになったものの、それも会社のみの付き合いで、プライベートまで踏み込ませるのが怖かった。
 だから、こうして玲司に願いを口にするのも、心臓はドクドク高鳴るし、口の中もカラカラになる。

「いいですよ」

 わずかな沈黙のあと、玲司の柔らかい声が聞こえ、そして桔梗の手がグッと引っ張られ、上半身が温かいものに包まれる。微かに香る清涼なフェロモンは常に嗅ぎなれたもので。

「れ、玲司さ」
「何か思い悩んでいるようですけど、僕には話せない事ですか?」

 ドクンと心臓が胸を打つ。

「昨日位から少し様子がおかしいな、って気づいてたんですけど、お店を開いた事が不満でしたか?」
「いいえ、それはないですっ」

 食い気味に反論すると、ぎゅっと体を強く抱き締められる。

「それじゃあどうして……あ」
「?」
「すみません、桔梗君。話は外でしてもいいですか? 暗いので僕がちゃんと手を繋いでますから」
「は、い?」

 ここで問い詰められるかと思ったら、なぜか外へと誘導される。街よりも寒さが滲みる外で何を話すというのだろうか。
 先に外に出た玲司に続き桔梗も外へと出る。車内は暖房をガンガンに効かせていたせいで、外の身を切るような冷たさに思わず首を竦めてしまう。
 温まっていた体もさらうように奪われ、手袋をしているのに指先がジンと痛くなるも、すぐに玲司の大きな手が包み込むように握ってきて、じんわりと伝わる熱にホッと吐息が漏れた。

「桔梗君」
「……はい」

 手をつなぎながら玲司の先導で真っ暗な地面を歩く。ジャリジャリと小石を踏む音が聞こえ、整備されていない場所だと理解できるものの、あたりはどこも闇ばかりで、不安から桔梗は玲司の手をギュッと握りこんだ。

「無理させてすみません」
「え?」

 突然、玲司は何を言い出すのだろう。桔梗は戸惑いながらも耳を傾ける。

「まだ体調が万全ではない桔梗君に手伝いさせてしまって。ですが、二人でメニューを決めたり、昨日今日とお店を切り盛りしたり、夫夫ふうふらしい事ができたのが嬉しくて、あなたの体の事にまで気を回す事ができてなかったようです」

 本当にすみません、と声音からして消沈しているのが伝わる玲司の謝罪に、桔梗は激しく首を振って「違うんです」と泣きそうな声で返した。

「違うんです。……確かに玲司さんと二人きりでクリスマスできなかったのは寂しいですけど、朔音も総一朗さんも花楓さんたちも顔を見せてくれて嬉しかったし、お客様が玲司さんの御飯でニコニコしてるのを見てるの嬉しかったし」
「……」
「俺が不安だったのは、いきなり真っ暗な場所に来たのに玲司さんが何も言ってくれないから、昔の事とか色々思い出してしまって……」

 玲司を咎めるように言いたくなかったのに、どうしてもアルファに対する残滓がトゲを出してしまう。こんな風に責めたいわけではないのに、どうして言葉は非難してしまうのだろう。上手く言葉にできないもどかしさで涙が目尻に滲む。

「ごめんなさい、玲司さん。俺、今頭の中ぐちゃぐちゃで」
「いいんですよ、悪いのは僕ですから。だから、順序なんて気にせず言葉にしてもいいですから、溜め込まないで?」

 ただの八つ当たりをちゃんと言葉にできないのは自分なのに、彼はどうして当たり前のように謝るのだろう。
 傲慢なアルファばかりを近くで見てきた桔梗は、素直に態度にあらわす番に対して罪悪感ばかりが湧いてくる。

「玲司さんは悪くないんです。俺の運が悪くて、最低なアルファばっかりだったから、知らない場所に連れてこられると、不安ばっかりば増していって、俺、玲司さんに酷い言葉言って……っ」

 もう耐え切れない。
 アルファは怖い。自分を理不尽な立場に追い込んだから。
 玲司は好きだ。桔梗の意思を尊重してくれ、温かく生きやすい場所を与えてくれた。
 でも、と桔梗は思う。玲司も父や元上司と同じ『アルファ』であると。
 今は番となり婚姻をしたばかりで熱に浮かれてるかもしれないが、いつかアルファの高慢さが出てくるのではないか。
 そうなったら自分はまた昔のようにアルファに虐げられるのだろうか。

 ボロボロと涙がとめどなく流れていく。
 どうしてクリスマスに自分は番に喧嘩をふっかけるような事を。
 もっと大人な番に甘えたいのに、長年培われたアルファへの思いが堰を切ったように溢れてくる。

 好きで愛してる人なのに、アルファというバース性が心をズタズタにしていくのが辛い。

「ごめ……っ、やっぱり帰ろう、玲司さん。俺っ、これ以上、ひどいこと言いたくない」
「いいんですよ、桔梗君」

 ふわりと顔が柔らかく受け止められる。頬に感じるのはサラリとしたダウンジャケットの生地。だけど、ハーブの匂いがさっきよりも強くなり、呼吸をするだけで辛かった筈の心がじんわり癒されていく。

「もうあなたの心は癒えてきてるって思ってました。それは僕の大きな誤解だったようですね。番の心情に気づかないなんて、愚かなアルファですみません」

 玲司は桔梗の頭を優しく梳きながら謝罪を呟く。桔梗は「違う」「そうじゃない」と言いたかったのに声が喉で詰まり、首を何度も振り続けた。

「ねえ、桔梗君。確かに僕たちはアルファとオメガというバース性で結ばれたのは否定できないし、事実です。これはどう転じても変える事はないでしょう。でも、婚姻は僕たちという人間がお互いを認めて結ばれたのではありませんか?」
「……」

 何度も諭すように桔梗のサラリとした髪に指を通しながら玲司が囁く言葉に、桔梗は瞠目する。

(そうだ、番契約はバース性だけども、婚姻は俺の意思もなければできないんだ。人によってはオメガを囲い込む為の契約の延長として婚姻をする人たちもいたけど、俺と玲司さんとはお互いの意思でもって二人で婚姻届に押印し、文字を刻んだのではないか。……どうしてこんな大事な事を忘れていたんだろう)

 頭をガツンと殴られたような気がした。
 玲司の傍は心地よくて、一緒にいれば幸せなのに、自らバース性やクリスマスを二人で過ごせない事に拗ねていたなんて。これじゃあただの駄々っ子ではないか。

 恥ずかしい、穴があったら入ってしまいたい!
 桔梗は赤面し、玲司の胸に顔を押し付けた。今が真っ暗で見えないのが幸いするとは。あれだけ嫌悪していたのに都合が良すぎる、と更に消沈したのだった。

「ごめん……なさい、玲司さん。俺、バースに囚われたくないて言いながら、自分が一番囚われてたみたいだ。本当、最低すぎる」
「いいんですよ。どうしても僕たちにはバース性が付きまといますからね。こればかりはどうしようもありません。それに、桔梗君はそのバースのせいで色々ご苦労されてますし」
「でも、今は玲司さんが傍に居てくれるから……」
「ふふ、嬉しいことを言ってくれますね。僕の最愛の人は」

 ちゅ、と頭頂を温かい吐息が触れる。甘い言葉と相まって恥ずかしさは最高潮だ。
 本当に真っ暗で顔を見られなくて良かった。この時ばかりは暗闇も悪くないと思う桔梗だった。



「……わぁ」

 涙も乾き、顔の熱も引いた頃に、玲司が桔梗の手を再び引いて連れてきたのは、広場の端だった。腰よりも少し高い柵が緩やかなカーブを作って左右に列をなし、そして、眼前には紫紺の空と地上が混じり合い、どちらにもキラキラと小さな光が輝いて綺麗だ。
 まるで天鵞絨に小さな輝石を散りばめたかのような、ささやかながらも息を飲む程の綺麗すぎる光景がそこにあった。

 空と地上の狭間が分からない夜の空は新月が近いせいか、星の瞬きがはっきりとし、その分地上の煌きが鮮やかだ。遠くから汽笛の音が微かに聞こえ、あの空の向こうに海があるのだと教えてくれる。

「きれい……」

 桔梗はほう、と吐息混じりに感嘆を述べた。頭を通さない言葉は直情的のなにものでもないが、それ以外の言葉は思い浮かばなかったのだ。

「良かったです。お気に召していただけたようで」

 背後から体温が包み、玲司のホッとした声が聞こえる。

「本当は、今日の営業もさっさと終わらせたかったんですけどね。酔っぱらっちゃった彼が常連でなかったら、それこそ定時で追い出していたかも」
「まさか彼があそこまでアルコールの弱いとは思ってませんでした」

 耳朶が玲司の吐息に触れ、ドキドキしながらも、桔梗は最後に見送ったオメガの青年を思い出す。
 前に住んでいたマンションの上階に住む知人は、引越しの時に偶然顔を合わせたので、『La maison』の場所を教えたら、早速とばかり翌日に姿を見せてくれた。以来、すっかり顔なじみとなったけども、言われてみればバータイムの時も食事をするのは何度も見ていたが、酒を嗜む姿は見たことなかったなと思い出した。

「今度からはアルコールの残らないものを提供しましょうね、玲司さん」
「そうですね。思わぬ誤算でした」

 くだらない会話をしながらも、二人の視線はまっすぐに街と空に向けられる。キラキラという音すらも聞こえそうな静寂の中、桔梗と玲司の耳には互いの呼吸する音だけが存在を示す。

「……ですが、誤算のおかげで、桔梗君の本音がやっと聞けたような気がします」
「え?」
「もっと我侭に……とは言いませんが、胸に溜め込むのはやめませんか?」

 玲司の言い分はわかる。番で夫夫となった相手が胸の内を吐露しないのは、信用されてないようであまり気分も良くないだろうと。
 だが、長年抑圧された感情は、一朝一夕で出来るわけではない。きっと玲司もそれを求めているのではないだろう。桔梗が心を開きやすいようにしてくれているのだ。

 桔梗が「精進します」と言うと、玲司も「僕もなるべく言葉にしますね」と抱きしめながら言ってくれた。

 胸の中にキラキラと星が降り積もる。ひとつひとつは小さくても暖かくて、また番の優しさに恋をするのだが、恥ずかしくて言葉にできない。
 代わりに玲司のうなじに鼻を寄せ、そっとキスを送ったのだった。



 翌朝、いつもより遅起きをして玲司の用意したブランチを取りながら、二日後に訪ねる寒川の別荘の話を聞いたり、準備をしたりと慌ただしい時間を過ごしつつも、桔梗の心は昨夜見た宝石よりも輝く光が満ちていた。


end
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