巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき

文字の大きさ
22 / 23
外伝

6 ※

しおりを挟む
 元々の計画でアベルが代理人を誘って湖に来るのを、ランドルフと護衛騎士は森の影に隠れて様子を窺っていた。
 いつアベルたちが来るか不明だったのもあり、時折交代して休憩を取っていたところ、明け方にアベルが湖に現れたことに気づいたそうだ。
 なるべく屋敷側の森に身をひそめていたが、あまり近すぎても代理人がランドルフたちに気付くおそれもある。そのため、アベルが代理人に湖に突き落とされても、すぐに助けることができなかったという。
「それで代理人は」
「護衛騎士が捕らえて、今は屋敷の地下にいる。使用人たちはセバスティアンが来るまで、広間にて待機させて、護衛騎士が監視している最中だ」
 きっとセバスティアンが来たら、使用人たちの取り調べが開始されるだろう。
「そっか。……で、ここはどこなんだ?」
 アベルは初めて見る場所を見回しながら質問を変えた。
 石畳と石煉瓦で作られた広々とした室内に、大きなバスタブがあり、もうもうとした湯気に視界が白い。部屋の片隅に小さな囲いがあって、そこに積まれた石から湯気が立っているようだ。
「ここは、私の部屋にある浴室だ」
「浴室……。もしかして、あれ、ザオナ?」
「知っているのか?」
 冬は積雪もあるキルシュブリューテ領では、湯船よりも焼いた石に水を掛けて蒸気で部屋を暖めるザオナという風習がある。アベルはかつて王城の図書館にある本で読み、ずっとどんなものか気になっていたのだ。
「書物で読んで存在は知ってた。だけど体験したのは初めて。寒い地方での知恵だね」
「初めて……。そ、そうか。気に入ってくれたのなら良かった」
「でも、ザオラって、服着たまま入る物なのだろうか」
 アベルは下を見て、自分もランドルフも着衣のまま、湯船に漬かっている。もしかして、こちらの方では、服を着たまま入浴するのが通常なのだろうか。
 疑問が顔に出ていたのだろう。ランドルフは「緊急事態の措置だ」と否定で返してきた。
「湖から助けたものの、アベルの体が氷のように冷たくて。急ぎ屋敷に戻り、王都から連れてきた使用人たちに湯の準備をさせつつ、常時稼働させているザオナで温めようと思って……」
「後先考えずに着衣のまま浴槽に入った……と」
「都合が良かったのもある。服を脱がせるにも布が張り付いて大変だったし、それに」
 ふと、言葉を切ったランドルフを、下から掬うように見上げる。ランドルフはアベルが見上げるのに怯えた様子で、うっと声を詰まらせて、顔を横に背ける。その耳は浴室の暑さからか、酷く真っ赤に染まっている。
「あ、焦っていたんです! アベルの体が氷のように冷たくて、もう二度と目覚めないんじゃないかと思って。だから温めなくちゃって、それしか考えられなくて」
「うん……ありがとう、ランドルフ」
 感情的なランドルフは、自分より年下だって分かる。そんなところが愛おしい。
 怜悧なランドルフの両頬に手を添え、アベルは自ら唇を重ねた。まるで子どものお遊びのような、触れるだけのキス。
「ランドルフ、あなたが好き。異性が好きなあなたを愛してしまった」
 初めて知った恋が叶うことはないのは定石だ。だけどこの思いだけはランドルフに伝えたかった。
 そう、覚悟していたのに。
「私も、あなたを愛しています、アベル。あなたが男でも惹かれてしまった」
 ランドルフが見たことがないほど甘く微笑み、アベルに優しい口づけを返してくれた。

 最初は触れるだけの軽いキスは、溢れる思いを確かめ合うように、深くなっていく。
 いつしか着ていたシャツは脱がされ、互いの肌を撫でるようにまさぐっていく。
「ん、あ……ラン……好き」
「あぁ……アベル……愛してる」
 ランドルフの膝を跨ぎ、太い首に腕を絡ませて口づけに興じていると、下半身の異物に気づいてしまった。
(ランドルフ……勃っている。男の俺に発情してくれてる? それに俺も……)
 隆起した下半身をゴリゴリと押し付けてしまう。下半身が溶けるように気持ちよくて、同時にこれまで何も感じなかった後孔も、甘く疼く。
「おねがい……ランドルフ。れて、あそこが疼いて、つらい……」
「アベル……。あなた、挿入された経験は」
「ない……ランドルフが、初めて……」
 これまでは、アベルは誰かを抱く側だった。アナルが疼くこともなく、腰を振って陰茎を刺激して、種のない精液を放つ。それがアベルの知る性交だった。
 それがどうだろう。今のアベルは、ランドルフに抱かれたいと願っている。男であるアベルは決して子どもを作ることはできないのに、ランドルフの精をこの身に受けたいと思っている。
 ランドルフは苦しそうに低い唸り声をあげると、アベルを逞しい腕で抱き上げる。ザバッと湯が流れていく中、ふー、ふー、とランドルフが唇を噛み締めて何かに耐えていた。

 ランドルフは横抱きにしたアベルを連れて、大きなベッドにアベルを横たえさせ、自身も覆いかぶさるようにして乗り上げる。
 ポタポタと乱れた焦げ茶の髪から雫が垂れ、アベルの顔に降り注ぐ。濡れ髪の合間から見える紫の瞳には、ありありと情欲の炎が揺らめいていた。
「さっき」
「……え?」
「抱かれる側は初めてと言ってましたが、本当ですか」
「ほんと、本当だ。ランドルフに抱かれたい。非生産だって分かっても、ランドルフの子種を俺のはらで受け止めたい」
 言い切ったと同時にランドルフから息が止まるほどの口づけを贈られた。
 あまりの苦しさに、アベルは広いランドルフの胸を押したけどもビクともしない。それどころかランドルフの大きな掌がアベルの後頭部を包み、離れることは許さないとばかり押さえてくる。
 荒々しくアベルの口の中でランドルフの舌が暴れ、呼吸をすることすらできずに、ただ嵐のようなキスに従う。普段落ち着いた印象の男の変貌ぶりに混乱するばかりだ。だけど嫌悪はひとつもなかった。
 ランドルフの掌がアベルの肌を這い、指先がツンと尖った胸の先を掠めた途端、「んっ」と甘い声が鼻から抜けていった。
 男でも乳首で感じることがあるのは、アベルでも知っていたし、見てもきた。まさか自分も同じように感じるとは思わなかったが。
 性感帯だと気づいたランドルフは、勃ち上がった粒を指の腹で撫でたり、押したり扱ったり、様々な方法でアベルを翻弄してくる。
「だ、ダメ……イク……イクからぁ」
 濡れたスラックスの下では勃起した陰茎が、今にも爆発しそうに震えている。睾丸から何かがせり上がってくる感覚に、アベルが弱々しく訴えるにも拘わらず、ランドルフは執拗に胸の愛撫を続けた。
 必死の攻防を続けていたが、絶え間なく与えられる快感に負け、アベルはビュルビュルとスラックスの中で射精してしまう。
 じんわりと温かい体液が股間の中心から広がり、恥ずかしすぎて涙がこぼれた。
「泣かないで、アベル。あなたが私を受け入れてくれることが嬉しくて、少し暴走してしまった。ね、気持ち悪いでしょ。服を脱ごうか」
 唇から離れたランドルフは、涙を吸い上げ、顔中にキスをしながら提案してくる。アベルは朦朧とした頭で、意味を理解せず頷く。
 丁寧にアベルのスラックスを脱がせていたランドルフは、朱色に染まる全身の中心で鴇色に色づく陰茎が震えるのを見て、興奮でゴクリと唾を飲み込んだ。
「……子種がないというのは本当だったんだね。アベルの精液は透明で、甘い香りがする」
「や……見ないで」
「どうして? 全部舐めとってしまいたいと言うのに」
 ランドルフはうっとりと言い、腹にそっと顔を寄せ、吐き出したばかりの体液を舐めるではないか。羞恥で暴れたくなるが、いまだ湖に落ちた倦怠感が抜けておらず、抵抗も無意味になる。更にはランドルフの濡れた髪が、達して敏感になってるペニスをくすぐり、陰嚢から残滓がトクトクとあふれるばかりだ。
「まだ出し切ってない? まだ体がつらいだろうから、私が手伝ってあげる」
「ちょ……待っ……、」
 スルリと半勃ちのペニスにランドルフの指が絡み、ゆっくりと上下に扱いてくる。
「あっ、やっ……、イ、イクから……やめてっ、あんっ」
 頭を左右に振り、停止を懇願するのに、ランドルフの手は再度の射精を引きずり出す。一度達したせいで、アベルはあっという間に絶頂を迎え、先ほどよりも多くの蜜を先端から噴出した。
「いっぱい出ちゃったね。……ん、想像以上に甘くて美味しい」
 ランドルフは体を起こし、手を伝う透明な精液を、見せつけるように舌を出して舐めている。ねっとりとした視線はじっとアベルを捉え、これ以上の羞恥を煽っている。
 気を失ったほうが楽だと考えるアベルは、ランドルフの次の行動に目を見張った。
 まだアベルの蜜で濡れた手が、アベルの下半身……臀部の中心へと移る。
「ランドルフっ、汚いから!」
「お風呂に入ったから大丈夫。アベルは初めてなんだから、慣らさないと……ね」
 ランドルフと繋がりたいと言ったのはアベルだが、今日の今日で実行するとは思わず、アベルは必死で無理だと訴える。
 だがランドルフはアベルの訴えを無視し、硬く閉じる蕾の中心を割った。
「んんっ!」
 ツプリ、と侵入した指一本。しかし誰も受け入れたことのない場所には、とんでもない質量で、異物と認識した体は押し出そうと蠢く。ランドルフの指はそんな抵抗さえも気にせず、少しずつ奥へと滑り込ませていた。
「アベルのナカは熱いね。それにとても硬い。ここ、私のを飲み込むまでほぐさないと」
 うっとりと言い、宥めるように指を出し入れする。
 それ以上にキスをしたり、ぷっくりと腫れた胸の尖りをいじられたり、アベルはすっかりランドルフの手腕に溺れていった。

 時々回すような動作を入れながら、アベルの未経験の隘路を時間をかけてほぐす。「大丈夫かな」とランドルフが呟いた時には、アベルはぐったりとなっていた。
 弛緩したアベルの脚を開いてランドルフが中心に身を置く。そして湿ったスラックスの中心を開いた途端、ブルンと音を立てて飛び出した肉塊に、アベルは驚きで息を止めた。
(な……なに、あれ。ランドルフのペニス……凄く長くて、太い)
 まるで大砲みたいだ、とランドルフの凶悪なペニスを見て思った。
(無理……あんなの挿ったら、俺の体引き裂かれてしまう)
 後孔が裂かれ、阿鼻叫喚の光景を想像し、紅潮していた顔が一気に蒼白になる。
 でも受け入れると決めたのは自分だ。アベルは引き攣りそうになる喉に唾を飲み込み、年上の余裕で両手をランドルフに向けた。
「来て、ランドルフ。俺をあなたの……あなただけの物にして」
「アベル」
 頬を赤く染めたランドルフは自身のペニスに手を添え、先走りで濡れた先端をアベルの蕾に触れ、ゆっくりと慎重に開いていった。
 解したとはいえ、初めて受け入れる異常な質量に、息をするのも忘れてしまう。体に力が入るのを避けようと、アベルはランドルフの顔を見上げる。眉間を寄せて苦しそうな顔で、荒くなる呼吸を必死に整えようとしている姿が、青紫の瞳に映る。
 彼はすぐに最奥へ突き入れたい欲望と戦っている。男同士の性交が初めてだからこそ、本能のままに挿入して、アベルが傷つかないようにしてくれている。
「挿った……」
 永遠とも思える長い時間を経て、安堵するランドルフの呟きに、アベルも安心をしたが。
「まだ半分だけど」
 続けられた言葉に、いろんな意味で絶望を感じた。
 アベルの肉洞はランドルフのペニスを目一杯に頬張っている。こんな状況で動かれて大丈夫なのかと青ざめていると。
「馴染むまで動かないから、心配しないで」
 ランドルフの手がアベルの髪を優しく撫でた。

 「あっ! あんっ、ランドルフっ……あぁ!」
 時間を掛けて、ランドルフのペニスをアベルの柔肉が包み込めるようになると、それまでの穏やかな時が嘘のように猛攻を受ける。引き攣る感じはするものの、ランドルフの形を覚えたアベルの肉筒は、ペニスを愛撫するように蠢いた。
「おかしく……なるっ」
「もっと、私に狂え、アベル!」
 得も言われぬ快感の波に飲まれないよう、アベルはランドルフの背中にしがみつく。
「やだ、やだ、またイク、イク……イクッ」
 ガツガツと互いの腰骨がぶつかる音と、色んな体液が混じって卑猥な音が寝室に響き、アベルの体はランドルフによって塗り替えられていく。
 いや、本来の形に収まった。
 母に洗脳されていたアベルは、自分はずっと抱く側だと信じて疑わなかった。だからどれだけの男を抱いても虚しさだけが募っていたのだ。
 本当は抱かれる側だったのに。ランドルフに愛される側だったのに。
 ランドルフの荒淫ですら、こんなにも体は喜び、満たされている。
(だからランドルフの大きなモノを根元まで受け入れている)
 抽挿の度に、快感の塊を刺激され、何度も射精を繰り返す。こんなにこれまでの人生を塗り替えるようなセックスでは、アベルはランドルフ以外と交わることはできないだろう。
「アベル……アベルっ、愛……してる!」
「俺も、俺も、ランベルトを愛してる! ……っ、イクッ!」
「私も、もう……イクッ」
 ドン、とランドルフの大砲の先端が最奥のまた奥を突き破ると、アベルはプシッと透明な体液を撒き散らした。
 達して肉筒がギュウと収縮する刺激で、ランドルフが「うっ!」と呻き、アベルの腸壁を熱くて濃い精液で濡らしていった。

 それは、とても幸せな温もりで、アベルを包み込んだ。


しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する

SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する ☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。