冷甘メイドの怪奇図書

要 九十九

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第一章「最初の一冊」

第8話「工事現場と対峙」

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「ねぇ、佐藤さん、鈴木さん、あの噂聞きましたぁ?」
「噂?」
「どんな噂ですか?」

「知らない? 近くの工事現場……あそこに出るって話……」
「出る?」
「動物か何かですか?」

「いやーねぇ、違うわよぉ! 幽霊よ、ゆ・う・れ・い!」
「幽霊!」
「あっ、そういう話。私、怖い話、苦手で……」

「噂によるとね。その工事現場の関係者が、次々に怪我したり、病気になったり、とにかく良くない事が沢山起きてるんですってぇ」
「気の毒……」
「それは怖いですね」

「でねぇ、そんな事が続いたもんだから、とうとう工事がストップしちゃって」
「納得」
「まぁ、仕方ないですよね」

「ここからが面白い所なの! その噂を聞いてねぇ、その工事現場に肝試しに行った学生が、見ちゃったらしいの……」
「何を!?」
「あれ? もしかして、それって?」

「驚かないで聞いてねぇ…………なんと! 学生たちはそこで!」
「そこで!?」
「…………」

「なんと、幽霊を見ちゃったらしいのよぉ! で、工事現場の関係者の怪我や病気はその幽霊が……」
「ネタバレ!!」
「高橋さん、幽霊が出るって話、最初にしちゃってましたよ!」

「あらやだ! 先にオチ喋っちゃったわ! ごめんなさいねぇ。あっ、そう言えば、今朝のスーパーのタイムセールのチラシ見ましたぁ?」
「卵!」
「見ましたよ! 1パック98円は見逃せ…………」









 鷹見警部が帰って直ぐの事……。
「カミラさん、聞きたい事が……」
「……申し訳ありません。屋敷の掃除があるので失礼します」

 それから数分後……。
「カミラさん? さっきの……」
「……すみません。庭の手入れがありますので」

 1時間後……。 
「カミラさ……」
「……ごめんなさい。用事があるので失礼します」

 数時間後……。
「……お詫び申し上げます!!!!」
「カミラさん!? まだ俺、声すら掛けてないですよ! 待って!」
 疾風の如く、俺から逃げ出すカミラさんの後ろ姿を見ながら、どうしたものかと考える。
 隠されていた怪奇図書や、名刺の話をしようとする俺を、カミラさんはあからさまに避けていた。
 本人も、内心もうどうしようもないと分かってるからなのか、段々と返しも雑になって来てるし。
 それでも、少しでも何とか抵抗しようとする姿は、不器用というか何というか……。
(鷹見警部は、カミラさんを疑っているみたいだったけど、俺にはそんな風には見えないんだよなぁ……)
 まだ知り合って間もない筈なのに、何故だか、昔から知っている様な感覚というか。
 まぁ、悪意あっての行動や、ただの思い付き何かじゃなく、彼女なりに、思うことがあっての行動なのは間違いないだろう。
「でも、これじゃあ埒が明かない」
 どういった意図があるにしろ、このままじゃ、ずっと知りたいことは聞けないだろう。対話してくれる気がないのなら、その気になる何かを、自分で掴むしかない!

 ――――そう思っていたのだが……。

「どうして、こうなった!?」
 辺りを見回しながら、小声で呟く。
 逃げ惑うカミラさんに話をして貰うきっかけ……悪く言えば弱みを見つける為に、屋敷内を動き回る彼女を、ストーキン…………観察していたのだが。
 何かを忘れるように、熱心に屋敷内の掃除で動き回っていたカミラさんは、突然立ち止まって、ある方向をじっと見つめ始めた。
 そこには、ただの壁しかなかったのだが、少しの間、そちらを見た後、彼女は急いだ様子で屋敷から出ていったのだ。
 そんなカミラさんを追いかけると、彼女は屋敷から出て、山を下り、駅の方に向かう形で歩いていたが、途中で1人、工事現場の中に入っていったのだった。
 駅の方に向かう彼女を見て、最初は、日用品の買い出しかな? なんて、のんびり見ていた俺も、慌ててカミラさんが消えた、工事現場の中に入ったが、気付けば完全に彼女を見失い…………俺は今、独りで工事現場に立っている。
 改めて辺りを見渡す。建設中のビルの工事現場。入る前に見た感じ、5階建てぐらいだった。
「勢いで入って来ちゃったけど、大丈夫かな?」
 背後を振り返る。そこには、人が勝手に入らないように、白の長方形が幾つも繋がった折り畳み式の柵がある。本来なら、安全面的な意味でも、関係者以外は入ることすら駄目だろう。
(本当にすみません……)
 心の中で謝りながら、スマホを確認すると、時間は既に7時をまわっていた。
 外からは街灯や、住宅街の明かりが微かに入ってきてはいるが、ビルの中は真っ暗だった。
 スマホのライト機能で辺りを照らす。一部、鉄骨などの資材や、機材が置かれていたり、ブルーシートが敷かれているが、素人目にビルはほぼ完成して見える。
(カミラさんはこんな所に何をしに来たんだ?)
 元々、尾行なんてした事ないが、よくここまでバレなかった物だ。まぁ、そもそも、人を付け回す事も良くない事だから、カミラさんを見付けたらまず謝ろう。
 ライトで足元を確認しながら、前に進む。明かりがなくても、目を凝らせばギリギリ何とかなりそうではあるが、人気のない工事現場という場所に多少の恐怖がある。手元の頼りない明かりでも、あるとないとでは安心感が違った。
 辺りにはペンキだろうか? 独特の鼻をつくような臭いがうっすら漂っている。
 というか、カミラさんはまだここにいるのか? もしかして近道の為に、ここ突っ切っただけとか?  流石にそんな理由ではないと思いたいが、まだ彼女については知らない事だらけで、何とも言えないんだよなぁ……。
 周りに響くのは、コンクリートの床で、ペタペタと音を鳴らす俺が履いているサンダルだけで、他に何も聞こえない。周りに住宅街があるとは思えない静けさに、異世界にでも迷い込んだ気分になる。

 ――――コツン。

「うん?」
 上の方で音がする。2階か? 耳を澄ますとコツン、コツンとリズム良く音がする。硬い床を靴底で蹴るような響きだ。その規則正しい音色に、カミラさんの綺麗な姿勢と歩き方を思い出す。どうやら、上にいるみたいだ。
(さっさと合流して、こんな所から早く出よ…………)
 
 ――一瞬の事だった。慌てて、スマホのライトを消す。

 2階への階段を探そうと、手元のスマホを動かした時に、が目に入った。鉄骨や、ビニールシートなども片付けられた、何もない空間。

 その中央に、

 柱の影に飛び込む。悲鳴を上げそうになる自分の口を手で押さえ、すんでのところで我慢する。
 ゆっくりと、柱の影から、そちらを覗く。あれは何だ? どうしてこんな所にいるんだ?
 顔を隠すように、腰の辺りまで伸びた長い長い黒髪、暗闇の中でやたら目立って見える白のワンピース、その服の上からでも分かるガリガリに痩せた体、何より恐ろしいのはその姿勢だ。猫背と呼ぶには不自然すぎる程に、女の体勢は不気味に曲がっていた。
 流石にこの状況で、たまたまここに迷い込んだのかな? と思える訳がない。
 俺は知っている。怪奇図書を何冊か読んで、理解した。今まで運良く出会わなかっただけで、この世界に、そういった存在は
 あそこにいるのも、間違いなくそれだ。柱を背に、静かに深呼吸しながら、気持ちを落ち着ける。
 どうすればいい? とりあえずカミラさんと早く合流して、ここから逃げ出すしかない。
 あれがどういった物かは分からない。少なくとも、俺が読んだ何冊かの怪奇図書には、似たような物は書いていなかった。
 気付かれてない今なら、まだ何とか……。

「……えっ?」

 もう一度、柱の影から覗き込んだそこには、ただ何もない空間が広がっていた。……!

 慌てて辺りを見回す。いない。もう、気付かれても仕方ない! スマホのライトを付け、震える手で、上も下も、前も後ろも、左も右も照らすが、そこにあるのは、ライトの微かな明かりを呑み込む暗闇だけで、女の姿は何処にもなかった。

「……気のせいだった……のか……?」

 怪奇図書の読みすぎか? 恐怖心が生んだ幻覚? それとも夢でも見てたのか? それなら、今す…………。






「ドう死て……?」






「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 背後から突然聞こえた声に、叫び声を上げる。前のめりになりながらも何とか立ち上がり、震える足で走る。

「ナンで……」

「何でなんでナンでなんで何でなん出ナんでなんでナんで何でナんで難でなんでなンでなんデ何でなんで?」

 後ろから、女の不気味な言葉の羅列が聞こえてくる。俺を追い掛けて来る女は、両手足を使って凄い速さで、まるで地面を這うように、こちらに向かって来ていた。
 俺が間違っていた。例え、読んでいた怪奇図書の中に、これと似た何かが書かれていたとしても、こいつらは超常の存在だ。普通の人間の俺が、どうにか出来る相手では決してなかった。
 未だに震える足で、よたよたと走りながら考える。カミラさんを巻き込まない為にも、上には逃げない。
 目の前に、階段らしき物が見えたが、それを無視して左に曲がる。だが、前に進む勢いを殺せず、傾いた体勢のまま足がもつれて、盛大に地面を転がる。身体中に広がる痛みに顔をしかめるが、今はそんな場合じゃない。
 寝転がった体勢から起き上がろうとするが、痛みで体が動かない。何とか顔だけでも向きを変えると、女が目の前、数メートルの距離まで迫ってきていた。もう俺に出来る事は殆ど残っていない。今すぐにでもやれる――――肺いっぱいに空気を吸い込んで、叫ぶ……。

「カミラさん! 早く、この工事現場から逃げて!!!」

 短い時間では、これぐらいの事しか思い付かなかった。それでも、何とかこの声が届いてくれれば、彼女だけでも、危ない目に遭う事はなくなるだろう。

「何でなんでドうし手ナンでなんでどウ死て何でなん出ナんでなんでどうしてナんで何でナんで難でなんでなンでなんデ何でなんでどう死て?」

 女が奇声を上げながら、近付いて来る。長い髪の隙間からこちらを覗く瞳は、ぽっかり空いた空洞のようになっていた。奇声を発する口は、刃物のような歯が歪に並んでいて、まるで、こちらを飲み込もうとしてるかのように大きく開いている。
 そんな女の顔が、目と鼻の先まで迫って来……。

 ――――その時だった。
 
 視界の真横から、閃光のような何かが、女の顔を蹴り飛ばした!

「えっ……?」

 女と入れ代わるように目の前に現れたのは、綺麗な金髪の、黒を基調としたメイド服を身に纏った…………カミラさんだった。
 彼女は直ぐにこちらに気付き、ゆっくりと拳を上げ、俺の顔面目掛けて、その拳を振り下ろ……。
「カミラさん!?」
「……南……様?」
 睫毛に当たるくらいまで近付いた拳が、ピタリと止まった。こえぇ!
「……大変失礼しました。良くない物と間違えました」
「どんな間違い!? 俺もしかしてカミラさんにめちゃくちゃ嫌われてる?」
「……それは絶対に有り得ません!! 本当に間違えただけです」
 カミラさんはそう言いながら、地面に転がる俺に手を差し伸べてくれる。その手を取って、何とか立ち上がるが、暫くはまともに動けそうになかった。ただ転んだだけなのに、凄くみっともない。
「……どうしてこちらへ?」
「すみません。カミラさんを付けてました」
「……はぁ……」
 俺の答えを聞いて、彼女は小さく溜め息を吐く。
「……私のせいですね。私が逃げ回ったりしたせいで、こんな事に。誠に、申し訳ございません」
 心底悲しそうな顔で謝る彼女を見て、心が痛む。
「いや、勝手にここまで付いてきたのは俺ですし、これはカミラさんのせいではないですよ!」
「……ですが、こんな無茶をする原因を作ってしまったのは私です」
「これは、自業自得であって、カミラさんは何も悪くなっ……!?」
「ドう死て?」
 慌てて、声の聞こえた方を向く。蹴り飛ばされ、遠くの壁に、もたれ掛かるように倒れていた女が、またもぞもぞと動き始めていた。
「……話は後です。私の後ろに!」
「は、はい!」
 言われた通りに、カミラさんの背後に回る。その間に、女は完全に立ち上がっていた。
「なンデ?」
 身を屈め、両手足を使って、一気にこちらに向かってくる。何とか目で追えるが、それでも速い。
 カミラさんが前に飛び出して、足で女を蹴り上げた……ように見えたが、女は咄嗟に近くの柱に飛び付き、まるで虫の様に柱を上っていく。そのまま、上までたどり着いた女は、地面を歩くかのように天井を這いながら、こちらの様子を窺っている。
「……面倒ですね」
 カミラさんは俺をチラリと見た後、何かを考え始めた。
「……いや、今大事なのはそんな事じゃないですね」
 そう呟いた彼女は、俺の手を掴み、柱から距離を取る。
「……直ぐに終わらせます。お待ちください」
 手を離したカミラさんは、柱に向けて雷の如く、走り始めた。女は天井からそれをじっと見ている。
 どんどんと、柱との距離を詰め、ぶつかりそうになる直前――――彼女は走りながら、柱を垂直に登り始めた。
「なっ……!」
 驚いたのもつかの間、カミラさんは柱の半分程まで走った後、勢い良く柱を蹴り、女に飛び掛かる。
 綺麗に上下に回転しながら迫る。それを見ていた女が、天井から襲おうとするも、それすら予想通りという動きで、カミラさんは身を右に捩って女をかわし、すれ違い様に女の頭を右手で掴んだ。
 飛び掛かった回転の勢いそのままに、女を地面に凄まじい威力で叩き付け、着地する。
「……ふぅ」
 そうやって軽く息を吐く彼女を見て、一番最初に感じたのは恐怖というより、安心感だった……。
 動きだけを見ればカミラさんも、女も、どちらも本来なら有り得ない動きだ。
 だが、カミラさんには不思議と恐れを感じなかった。それが俺を守る為だと、ハッキリと伝わって来たからだ。
 地面に叩き付けられた後も、女はじたばたとその場で暴れていたが、やがて動かなくなり、女の体全体が黒いモヤの様になって、霧散した。
 人のような見た目をしていたが、やはりあれは人間ではなかったのだ。
「……お待たせしました」
 メイド服の汚れを叩いて、身なりを整えながら、カミラさんが近付いて来る。
「カミラさん」
「……私もやっと決心が付きました。答えられる範囲であれば、何でも答えます」
「それなら、今日はもう遅いですし、とりあえず帰りましょうか」
「……はい」
 先程の事も含めて、聞きたいことは沢山あったが、正直、今日は色々ありすぎて限界が来ていた。話してくれるなら、明日だって問題ないだろう。カミラさんも、俺も、ゆっくり休ん……。

 ――――カチャリ……。

 鉄と鉄が微かにぶつかるような、聞き覚えがあるが、耳慣れない音が聞こえた。
「……何だ?」
 突然目の前が強い光で照らされ、目蓋を閉じる。ゆっくりと目を開けるとそこには……。

 、鷹見警部が立っていた。
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