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調査の結果
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それから数日後、グレンお兄様が私の元へやってきた。
「カテリーナ、待たせてすまない」
お兄様はそう言いながら客間へと入って来た。
心なしか、少しだけ顔色が悪くかなり疲れているように見えた。きっと睡眠時間を削って調べてくれていたのだろう。公爵の仕事もかなり忙しいというのに、本当にすごい人だ。
「お気になさらないでください、お兄様。調べてくださっていたんでしょう?」
「あぁ、カテリーナ。分かったんだ、あの愛妾の正体が」
「それは本当ですか、お兄様!?」
私はお兄様がそこまで辿り着いたということに驚きを隠せなかった。
(こんな短期間であの愛妾の正体まで突き止めていたなんて・・・!)
私はそのことに驚愕しながらもお兄様に言った。
「お兄様、さっそく調査結果をお聞かせください」
「あぁ、分かった」
私のその言葉で即座に防音結界を張ったお兄様は神妙な面持ちで話し始める。
「結論から言うとあの愛妾はー
ファルベ王国のスパイだ」
「!?」
(ファルベ王国・・・・・)
お兄様の言葉にさらに驚くと同時に、どこか納得している自分がいた。
ファルベ王国とはニール王国の東に位置する国だ。
ニール王国とは少し前から仲が悪い。
仲が悪くなったのは先代の国王陛下―ウィルフレッド陛下の父君が正妃としてファルベ王国から第一王女を迎えたにも関わらず愛妾に現を抜かし、正妃を蔑ろにしたせいだという。
ファルベ王国の現国王は先代王妃陛下の弟だ。
先代王妃陛下の家族の仲は良好だったらしいから、関係が悪くなるのも無理はない。大切な人が傷つけられたら怒るのは当然の話である。
先王陛下が正妃を蔑ろにしたのには理由があった。
先王陛下には元々恋人がいてその恋人は身分が低かったから正妃にはできなかったのだ。だからこそ、愛妾にしたのだという。つまり、先王陛下にとって王妃陛下は愛する二人を引き裂く邪魔者でしかなかったのだ。ちなみにウィルフレッド陛下はその愛妾の子である。
夫となった国王陛下を愛してしまった王妃陛下は愛妾とその子供の存在に心を病んでそのまま儚くなってしまった。
ちなみにその愛妾は王妃陛下が亡くなってから半年後に死亡している。
死因は明かされていない。亡き王妃陛下の呪いだと言う者もいるが、真相は分からない。
一方、先王陛下は未だ存命だが離宮で若い女性たちを侍らせているという。
先王陛下は無類の女好きだった。
(なんだか、誰かさんにそっくりね)
そう思いながらも私はお兄様の話を聞く。
「あぁ、どうやら陛下を篭絡し、ニール王国の情報を得ることが目的のようだ」
「なるほど、陛下はまんまとその罠に嵌ったわけですね」
「悲しいことにな・・・」
お兄様は顔を手で覆いながらそう言った。
私はというと、夫の愚かさに呆れ果てた。
(陛下がこんなにも愚かだったなんて・・・。愛妾を作るのは勝手だけれど相手はしっかりと選ばなければいけないわ。まぁ陛下は私から見ても女の趣味が悪いし・・・)
「お兄様、これからどうなさるおつもりですか?証拠と共に国王陛下に直訴したところで愛妾に溺れている陛下は信じないでしょう」
「・・・」
お兄様は難しい顔で考え込んだ後、こう言った。
「・・・これは俺だけで判断できる問題ではない。王弟殿下に相談してみようと思う」
「それは良い提案ですわ!王弟殿下ならきっと良い判断を下してくださるでしょう」
「カテリーナ、待たせてすまない」
お兄様はそう言いながら客間へと入って来た。
心なしか、少しだけ顔色が悪くかなり疲れているように見えた。きっと睡眠時間を削って調べてくれていたのだろう。公爵の仕事もかなり忙しいというのに、本当にすごい人だ。
「お気になさらないでください、お兄様。調べてくださっていたんでしょう?」
「あぁ、カテリーナ。分かったんだ、あの愛妾の正体が」
「それは本当ですか、お兄様!?」
私はお兄様がそこまで辿り着いたということに驚きを隠せなかった。
(こんな短期間であの愛妾の正体まで突き止めていたなんて・・・!)
私はそのことに驚愕しながらもお兄様に言った。
「お兄様、さっそく調査結果をお聞かせください」
「あぁ、分かった」
私のその言葉で即座に防音結界を張ったお兄様は神妙な面持ちで話し始める。
「結論から言うとあの愛妾はー
ファルベ王国のスパイだ」
「!?」
(ファルベ王国・・・・・)
お兄様の言葉にさらに驚くと同時に、どこか納得している自分がいた。
ファルベ王国とはニール王国の東に位置する国だ。
ニール王国とは少し前から仲が悪い。
仲が悪くなったのは先代の国王陛下―ウィルフレッド陛下の父君が正妃としてファルベ王国から第一王女を迎えたにも関わらず愛妾に現を抜かし、正妃を蔑ろにしたせいだという。
ファルベ王国の現国王は先代王妃陛下の弟だ。
先代王妃陛下の家族の仲は良好だったらしいから、関係が悪くなるのも無理はない。大切な人が傷つけられたら怒るのは当然の話である。
先王陛下が正妃を蔑ろにしたのには理由があった。
先王陛下には元々恋人がいてその恋人は身分が低かったから正妃にはできなかったのだ。だからこそ、愛妾にしたのだという。つまり、先王陛下にとって王妃陛下は愛する二人を引き裂く邪魔者でしかなかったのだ。ちなみにウィルフレッド陛下はその愛妾の子である。
夫となった国王陛下を愛してしまった王妃陛下は愛妾とその子供の存在に心を病んでそのまま儚くなってしまった。
ちなみにその愛妾は王妃陛下が亡くなってから半年後に死亡している。
死因は明かされていない。亡き王妃陛下の呪いだと言う者もいるが、真相は分からない。
一方、先王陛下は未だ存命だが離宮で若い女性たちを侍らせているという。
先王陛下は無類の女好きだった。
(なんだか、誰かさんにそっくりね)
そう思いながらも私はお兄様の話を聞く。
「あぁ、どうやら陛下を篭絡し、ニール王国の情報を得ることが目的のようだ」
「なるほど、陛下はまんまとその罠に嵌ったわけですね」
「悲しいことにな・・・」
お兄様は顔を手で覆いながらそう言った。
私はというと、夫の愚かさに呆れ果てた。
(陛下がこんなにも愚かだったなんて・・・。愛妾を作るのは勝手だけれど相手はしっかりと選ばなければいけないわ。まぁ陛下は私から見ても女の趣味が悪いし・・・)
「お兄様、これからどうなさるおつもりですか?証拠と共に国王陛下に直訴したところで愛妾に溺れている陛下は信じないでしょう」
「・・・」
お兄様は難しい顔で考え込んだ後、こう言った。
「・・・これは俺だけで判断できる問題ではない。王弟殿下に相談してみようと思う」
「それは良い提案ですわ!王弟殿下ならきっと良い判断を下してくださるでしょう」
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