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二章
花選び
「わぁ!久しぶりに来たけれど相変わらず綺麗な場所ね」
「ふふふ、お嬢様にそう言ってもらえて庭師の方も喜ばしい限りでしょうね」
私は久しぶりにお母様が好きだったという離れの庭園へと足を踏み入れた。
以前見たときと同じで相変わらずの美しさである。
私は今回この中から殿下と王妃陛下にプレゼントする花を贈るのだ。
しかし、こんなにもたくさんあると迷ってしまう。
(分かってはいたけれど本当に色んな花があるんだなぁ……)
今私が視界に入れている場所だけでも十数種類はあるだろう。
花に詳しくない私はどれが何という名前の花なのかなどが全く分からない。
(あ、あの花綺麗だわ!でもあっちも良いわね!何だか私の瞳の色に似てる気がするわ)
数十分もの間悩み続けたが、結局決めることが出来なかった。
「うーん……」
「お嬢様、お悩みのようですね」
後ろで私の様子を見ていたミリアがクスクスと笑った。
「ええ……こんなにもたくさんあるとね……」
「どれも美しいですからね」
ミリアは近くにあった花にそっと手を触れた。
そして慈しむような目でその花を見ながらこう言った。
「お嬢様、この花は母君であるリーナ様が最も好んでいた花です」
「お母様が……?」
ミリアが触れたのは赤い花だった。
「はい……フリージアという花です。地面から真っ直ぐに生えているでしょう?そこが旦那様に似ていて好きだとよくおっしゃっておりました」
「お父様に……?」
たしかにお父様の瞳の色と同じだけれど。
真っ直ぐに生えているがお父様に似ているとはどういう意味だろうか。
そんな私の疑問を読んだのか、ミリアがゆっくりと話し始めた。
「真っ直ぐなところがあの人によく似ている、と」
「……」
「実際に、奥様は旦那様のお誕生日に毎年この花をプレゼントされていました。この庭園を奥様に与えたのはほかでもない旦那様ですが」
「お父様が……お母様に……?」
お父様がお母様を深く愛していたということは使用人たちから聞いたから知っていた。
何故突然変わってしまったのかまでは分からないが。
(庭園をプレゼントするなんて……)
何だか素敵な話だ。
あのお父様にそんなロマンチックな一面があったとは。
「お嬢様は、王太子殿下や王妃陛下にどのような印象を抱いていらっしゃいますか?」
「殿下や、陛下に……?」
突然そんなことを尋ねられた私はじっと考え込んだ。
すぐに思い付くことでは無かったからだ。
(殿下は……)
強くて、優しくて、とっても素敵な方。
そして誰よりも格好いい。
舞踏会で見るときの彼はいつだって他のどの男性よりも輝いていた。
「だから……やっぱり……」
私は庭園の中にあったある花に目を留めた。
――赤い薔薇。
恋人に贈る花としては定番中の定番だけれど、やっぱり彼にはそれが一番合っているような気がする。
華やかで、存在感のある赤い薔薇。
(……殿下にはこれにしよう。王妃陛下は……)
私は次に王妃陛下の姿を思い浮かべた。
殿下とは違って、王妃陛下とはそれほど関わった記憶が無い。
(でも……いつも……)
気高くて、尊くて、例えるなら雲の上の人。
美しい容姿に高い身分。
それが私の王妃陛下に対する印象だろう。
(なら、やっぱりあれかな)
そして私は殿下に続いて王妃陛下へ贈る花も決めた。
口元に笑みを浮かべる私を見て、ミリアが嬉しそうに声をかけてきた。
「どうやら良いのが見つかったようですね」
「ええ、助かったわミリア」
二人に……特に王妃陛下に喜んでもらえるだろうか。
何だか渡す日が待ち遠しくなってきた。
「ふふふ、お嬢様にそう言ってもらえて庭師の方も喜ばしい限りでしょうね」
私は久しぶりにお母様が好きだったという離れの庭園へと足を踏み入れた。
以前見たときと同じで相変わらずの美しさである。
私は今回この中から殿下と王妃陛下にプレゼントする花を贈るのだ。
しかし、こんなにもたくさんあると迷ってしまう。
(分かってはいたけれど本当に色んな花があるんだなぁ……)
今私が視界に入れている場所だけでも十数種類はあるだろう。
花に詳しくない私はどれが何という名前の花なのかなどが全く分からない。
(あ、あの花綺麗だわ!でもあっちも良いわね!何だか私の瞳の色に似てる気がするわ)
数十分もの間悩み続けたが、結局決めることが出来なかった。
「うーん……」
「お嬢様、お悩みのようですね」
後ろで私の様子を見ていたミリアがクスクスと笑った。
「ええ……こんなにもたくさんあるとね……」
「どれも美しいですからね」
ミリアは近くにあった花にそっと手を触れた。
そして慈しむような目でその花を見ながらこう言った。
「お嬢様、この花は母君であるリーナ様が最も好んでいた花です」
「お母様が……?」
ミリアが触れたのは赤い花だった。
「はい……フリージアという花です。地面から真っ直ぐに生えているでしょう?そこが旦那様に似ていて好きだとよくおっしゃっておりました」
「お父様に……?」
たしかにお父様の瞳の色と同じだけれど。
真っ直ぐに生えているがお父様に似ているとはどういう意味だろうか。
そんな私の疑問を読んだのか、ミリアがゆっくりと話し始めた。
「真っ直ぐなところがあの人によく似ている、と」
「……」
「実際に、奥様は旦那様のお誕生日に毎年この花をプレゼントされていました。この庭園を奥様に与えたのはほかでもない旦那様ですが」
「お父様が……お母様に……?」
お父様がお母様を深く愛していたということは使用人たちから聞いたから知っていた。
何故突然変わってしまったのかまでは分からないが。
(庭園をプレゼントするなんて……)
何だか素敵な話だ。
あのお父様にそんなロマンチックな一面があったとは。
「お嬢様は、王太子殿下や王妃陛下にどのような印象を抱いていらっしゃいますか?」
「殿下や、陛下に……?」
突然そんなことを尋ねられた私はじっと考え込んだ。
すぐに思い付くことでは無かったからだ。
(殿下は……)
強くて、優しくて、とっても素敵な方。
そして誰よりも格好いい。
舞踏会で見るときの彼はいつだって他のどの男性よりも輝いていた。
「だから……やっぱり……」
私は庭園の中にあったある花に目を留めた。
――赤い薔薇。
恋人に贈る花としては定番中の定番だけれど、やっぱり彼にはそれが一番合っているような気がする。
華やかで、存在感のある赤い薔薇。
(……殿下にはこれにしよう。王妃陛下は……)
私は次に王妃陛下の姿を思い浮かべた。
殿下とは違って、王妃陛下とはそれほど関わった記憶が無い。
(でも……いつも……)
気高くて、尊くて、例えるなら雲の上の人。
美しい容姿に高い身分。
それが私の王妃陛下に対する印象だろう。
(なら、やっぱりあれかな)
そして私は殿下に続いて王妃陛下へ贈る花も決めた。
口元に笑みを浮かべる私を見て、ミリアが嬉しそうに声をかけてきた。
「どうやら良いのが見つかったようですね」
「ええ、助かったわミリア」
二人に……特に王妃陛下に喜んでもらえるだろうか。
何だか渡す日が待ち遠しくなってきた。
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