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婚約破棄
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「リリーシャ・オブライト!私は貴様との婚約を破棄する!!!」
学園の中庭でそう宣言するのは私の婚約者であるフレッド王太子殿下だ。
マリーン王国の第一王子であり、王太子殿下であらせられる。
「理由をお聞かせ願えますか?」
私は表情を崩さず、冷静に殿下に尋ねた。
「しらばっくれるな!貴様がララにした悪事、見過ごすわけにはいかない!」
ララ・・・とは隣にいる男爵令嬢のことだろう。
ピンク髪で水色の瞳。愛くるしい容姿にあっという間に王太子殿下は虜になった。
しかも王太子殿下だけではなく、私の実兄であるルパート・オブライト公爵令息と、宰相子息であるオーガスト・コール侯爵令息、騎士団長子息であるアレクサンドル・フレイル伯爵令息もララ様に篭絡されたのである。
ちなみにその4人も男爵令嬢の周りにいて私を憎々しげに見つめている。
(高位貴族で、将来有望な貴族子息を全員篭絡するなんて・・・とんでもないわね。)
「悪事、とは一体何のことでしょうか?」
「ララに嫌がらせを繰り返したそうじゃないか!階段から突き落としたり、教科書を破ったり、制服を汚したり!」
隣にいるララ様は目をうるうるさせて殿下たちにしがみついている。
(・・・仮にそれが事実だとしても浮気した殿下にも責任があるのではないのかしら?)
「・・・私はそんなことをしていません。第一、証拠はあるのですか?」
「ララがそう言っている!」
(・・・呆れた。それだけで私を公衆の面前で断罪したのか。)
今の殿下に何を言っても通じなさそうだ。
「・・・婚約破棄は承ります。」
「最初からそうすればいいんだ!!」
そう言って私は足早に去った。
(何故、こうなったの?)
私は何もしていない。
それなのに―
私が王太子殿下と出会ったのは10歳の頃だった。
婚約者としての顔合わせだ。
王太子殿下の美しい姿に私は一目で恋に落ちてしまった。
それからは寝る間も惜しんで王太子妃教育をこなした。
少しでも殿下にふさわしい人間になるために。
それでも、殿下が私を見てくれることはなかった。
彼は私に冷たい視線を時折向けるだけだった。
それでも私は彼のことが好きだった。
きっと頑張っていればいつか振り向いてくれる日が来る。
ララ様とのことも将来国王になるのだから側妃を持つこともあるだろうと割り切っていた。
彼のそばにいられるのなら、それでもよかった。
私はあの後すぐに公爵邸へ帰った。
お父様に婚約破棄されたと言われたら勘当されるだろうか。
だけどもう私は貴族社会に疲れてしまったから、それもいいのかもしれない。
そう思い、私はお父様の書斎へと向かった―
学園の中庭でそう宣言するのは私の婚約者であるフレッド王太子殿下だ。
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「理由をお聞かせ願えますか?」
私は表情を崩さず、冷静に殿下に尋ねた。
「しらばっくれるな!貴様がララにした悪事、見過ごすわけにはいかない!」
ララ・・・とは隣にいる男爵令嬢のことだろう。
ピンク髪で水色の瞳。愛くるしい容姿にあっという間に王太子殿下は虜になった。
しかも王太子殿下だけではなく、私の実兄であるルパート・オブライト公爵令息と、宰相子息であるオーガスト・コール侯爵令息、騎士団長子息であるアレクサンドル・フレイル伯爵令息もララ様に篭絡されたのである。
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「悪事、とは一体何のことでしょうか?」
「ララに嫌がらせを繰り返したそうじゃないか!階段から突き落としたり、教科書を破ったり、制服を汚したり!」
隣にいるララ様は目をうるうるさせて殿下たちにしがみついている。
(・・・仮にそれが事実だとしても浮気した殿下にも責任があるのではないのかしら?)
「・・・私はそんなことをしていません。第一、証拠はあるのですか?」
「ララがそう言っている!」
(・・・呆れた。それだけで私を公衆の面前で断罪したのか。)
今の殿下に何を言っても通じなさそうだ。
「・・・婚約破棄は承ります。」
「最初からそうすればいいんだ!!」
そう言って私は足早に去った。
(何故、こうなったの?)
私は何もしていない。
それなのに―
私が王太子殿下と出会ったのは10歳の頃だった。
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それからは寝る間も惜しんで王太子妃教育をこなした。
少しでも殿下にふさわしい人間になるために。
それでも、殿下が私を見てくれることはなかった。
彼は私に冷たい視線を時折向けるだけだった。
それでも私は彼のことが好きだった。
きっと頑張っていればいつか振り向いてくれる日が来る。
ララ様とのことも将来国王になるのだから側妃を持つこともあるだろうと割り切っていた。
彼のそばにいられるのなら、それでもよかった。
私はあの後すぐに公爵邸へ帰った。
お父様に婚約破棄されたと言われたら勘当されるだろうか。
だけどもう私は貴族社会に疲れてしまったから、それもいいのかもしれない。
そう思い、私はお父様の書斎へと向かった―
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