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側妃とアズリール侯爵
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「側妃様、アズリール侯爵がいらっしゃいました。」
「まぁ!お兄様が?」
侍女の言葉にそう嬉しそうに顔を輝かせたのは側妃のマリアベルである。
彼女はこの日、自室でくつろいでいた。
少し経って、アズリール侯爵が入ってくる。
「お兄様!」
マリアベルは一目散に駆け寄っていく。
「マリアベル、久しぶりだな。」
そう言ってアズリール侯爵は久しぶりに会った妹に対して優しく微笑んだ。
「お兄様、会いたかったわ。さぁ、座って。」
「あぁ。」
マリアベルが勧めた席にアズリール侯爵は腰を下ろす。
「お兄様、久々でしょう?だから話したいことがたくさんあるの。」
「何でも言うといい。聞いてやろう。」
「それでね、お兄様。エイドリアンの暗殺がなかなかうまくいかないのよ。せっかく邪魔なエレンが消えてくれたっていうのに。」
頬をふくらませながらマリアベルが言った。
「そうか。本当にあいつはしぶといな。さっさと死ねばいいものを。」
アズリール侯爵もそれに同調する。
「あの卑しい女の息子よ。見ているだけで虫唾が走るわ。それにシャルルが確実に王になるためにも邪魔な要素は消しておかないとね。」
マリアベルがお茶を飲みながら言う。
「そうだな、あいつは今や後ろ盾のない王子。消すのは容易だ。」
「ええ、本当にあれが王太子になったって聞いた時は絶望したわ。」
それを聞いたアズリール侯爵は悲し気に目を伏せた。
彼は知っているのだ。
妹が、今までどれだけ辛い目に遭ってきたかを。
アズリール侯爵はマリアベルが絶望した姿を何度も見てきた。
だからこそ、あのフィオナとかいう女も、その息子のエイドリアンも許すわけにはいかないのだ。
「でもやはり天は私の味方をしてくれたわ。エイドリアンが馬鹿で助かった。」
マリアベルはエイドリアンを嘲笑うような表情を見せた。
「あぁ、ローラン公爵家の令嬢を捨てて平民の女を選んだそうだな。聞けば、その平民の女にも捨てられたというじゃないか。」
「ほんと、滑稽よね!その平民の女、エイドリアンの王太子の地位が目当てだったらしいわ。まぁエレンも頭が良いだけで可愛げがないつまらない女だったから婚約者候補から外されるのも時間の問題だったのかもしれないわね。」
「違いないな。」
そう言って二人は笑い出す。
「―随分と面白そうな会話をしているな?」
どこからか聞こえた怒りの含んだ声に二人はハッとした。
「・・・えっ!?」
「何だ・・・っ!?」
二人が、声のする方を見るとそこには冷たい視線を送ってくるエレンの父親であるローラン公爵がいた。
「私もまぜてくれないか?」
「ロ、ローラン公爵!?」
「何故ここに!?」
「まぁ!お兄様が?」
侍女の言葉にそう嬉しそうに顔を輝かせたのは側妃のマリアベルである。
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少し経って、アズリール侯爵が入ってくる。
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マリアベルは一目散に駆け寄っていく。
「マリアベル、久しぶりだな。」
そう言ってアズリール侯爵は久しぶりに会った妹に対して優しく微笑んだ。
「お兄様、会いたかったわ。さぁ、座って。」
「あぁ。」
マリアベルが勧めた席にアズリール侯爵は腰を下ろす。
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「何でも言うといい。聞いてやろう。」
「それでね、お兄様。エイドリアンの暗殺がなかなかうまくいかないのよ。せっかく邪魔なエレンが消えてくれたっていうのに。」
頬をふくらませながらマリアベルが言った。
「そうか。本当にあいつはしぶといな。さっさと死ねばいいものを。」
アズリール侯爵もそれに同調する。
「あの卑しい女の息子よ。見ているだけで虫唾が走るわ。それにシャルルが確実に王になるためにも邪魔な要素は消しておかないとね。」
マリアベルがお茶を飲みながら言う。
「そうだな、あいつは今や後ろ盾のない王子。消すのは容易だ。」
「ええ、本当にあれが王太子になったって聞いた時は絶望したわ。」
それを聞いたアズリール侯爵は悲し気に目を伏せた。
彼は知っているのだ。
妹が、今までどれだけ辛い目に遭ってきたかを。
アズリール侯爵はマリアベルが絶望した姿を何度も見てきた。
だからこそ、あのフィオナとかいう女も、その息子のエイドリアンも許すわけにはいかないのだ。
「でもやはり天は私の味方をしてくれたわ。エイドリアンが馬鹿で助かった。」
マリアベルはエイドリアンを嘲笑うような表情を見せた。
「あぁ、ローラン公爵家の令嬢を捨てて平民の女を選んだそうだな。聞けば、その平民の女にも捨てられたというじゃないか。」
「ほんと、滑稽よね!その平民の女、エイドリアンの王太子の地位が目当てだったらしいわ。まぁエレンも頭が良いだけで可愛げがないつまらない女だったから婚約者候補から外されるのも時間の問題だったのかもしれないわね。」
「違いないな。」
そう言って二人は笑い出す。
「―随分と面白そうな会話をしているな?」
どこからか聞こえた怒りの含んだ声に二人はハッとした。
「・・・えっ!?」
「何だ・・・っ!?」
二人が、声のする方を見るとそこには冷たい視線を送ってくるエレンの父親であるローラン公爵がいた。
「私もまぜてくれないか?」
「ロ、ローラン公爵!?」
「何故ここに!?」
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