貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

断罪①

側妃とアズリール侯爵は突然のローラン公爵の登場に驚愕した。


しかもその後ろには兵を引き連れているではないか。


側妃マリアベルは焦っていた。


（まさか今の会話を聞かれて・・・！？）


「捕らえろ。」


ローラン公爵の声で後ろにいた騎士たちが側妃とアズリール侯爵を捕らえた。


「っ！何するの！私を誰だと思って・・・っ！」


「放せっ！いくら公爵とはいえこんなことをして許されると思っているのか！？」


捕らえられた二人にローラン公爵が近づいた。


「アズリール侯爵。これに見覚えはありますか？」


ローラン公爵はアズリール侯爵の前に一枚の紙を出した。


「なんだこの紙・・・・・・っ！？」


それを見たアズリール侯爵の顔色が真っ青になった。


「何よそれ！お兄様と私が何故捕らえられなければいけないのよっ！」


「・・・。」


アズリール侯爵は俯いてそのまま黙り込んだ。


「お兄様も黙ってないで何とか言ってよ！私たちが何をしたって言うのよ！！！」


黙り込んだアズリール侯爵とは対照的にマリアベルは相変わらずローラン公爵に対して声を荒げている。


「側妃様。アズリール侯爵は裏で不正を行っていたのですよ。」


「・・・えっ・・・なんですって・・・！？」


マリアベルは驚愕の表情を浮かべた。


「お兄様、それは事実なの！？」


今度はアズリール侯爵に対して声を荒げた。


アズリール侯爵は変わらず黙り込んだままだ。


「っ・・・・。」


それが事実だと悟ったマリアベルはアズリール侯爵を罵倒した。


「そんなことをしていただなんて！！！最低だわっ！！ローラン公爵ッ！私は知らなかったの！お兄様が勝手にやったことよ！！！それなのになんで私まで捕らえられなければいけないのっ！？」


これは事実だ。


マリアベルがアズリール侯爵の不正に一切関わっていないことは既に調べがついていた。


そんなマリアベルにローラン公爵は蔑むような眼差しを向けた。


「側妃様、あなたには別の容疑がかかっています。」


「別の容疑！？一体何のことよっ！」


（本当に心当たりがないのか？この女は。）


「あなたは長年に渡って第一王子エイドリアン殿下を暗殺しようとした。そうですね？」


「っ・・・！」


その言葉にマリアベルはかなり動揺した。


（さっきの会話、聞かれてないわよね？もし聞かれてたら・・・いや大丈夫よ。ローラン公爵は愛娘がエイドリアンに捨てられて恨みを持っているはずだわ。だからきっと私に対してもそうひどくは当たらないはず・・・。）


マリアベルはどうにかしてその場を切り抜けようと考えていた。