63 / 113
63 特別な感情
しおりを挟む
「ルーク、よかったらウチでお昼食べない?」
「……お前、それ本気で言ってるのか?」
「私の友達だっていえば別に平気だと思うけれど……」
二人きりの部屋で、私はルークにそう声をかけた。
(レイラだって昔は時々伯爵邸に泊まったり一緒にご飯食べたりしてたし……)
幼い頃からの親友であるレイラはよく伯爵邸へ遊びに来ていた。
お兄様とも仲が良く、両親もレイラのことを本当に気に入っていた。
(ルークならお兄様もお義姉様も気に入ると思うんだけどな……)
挨拶だけでもどうかと提案したが、彼は無言で首を横に振った。
「これ以上迷惑をかけるわけにはいかないからな。俺はもう帰るよ」
「迷惑だなんてそんな……みんなにも紹介したかったんだけどな……」
何だか寂しいが、彼の立場を考えると仕方の無いことなのかもしれない。
ルークは必要以上に他人と関わりたいようには見えなかったから。
これ以上言っても迷惑になるだけだろう。
私はローブを羽織って帰りの準備をする彼を笑顔で送り出そうとした。
そのときだった――
突然、部屋の扉がノックされた。
「――お嬢様、失礼します。昼食のお時間でございま……………え」
ノックをしてすぐに扉が開き、レミアが扉から顔を覗かせた。
彼女はルークを見て固まっている。
「あ」
「あ」
私たちは二人して素っ頓狂な声を上げた。
(これは……まずいことになるかもしれないわね……)
私はこれから先の展開を想像して頭を抱えた。
***
「エミリア様、これは一体どういうことですか?」
「どういうことって……彼は私の友人よ。ルークっていうの。なかなかにイケメンでしょう!?」
「今はそういうことを言っているのではありません!」
女性なら誰もが見惚れてしまいそうなルークの容姿を盾にして追及から逃れようとしたが、レミアはそう簡単には騙されてくれなかった。
「あの方、とっても怪しいです。今だってほら!フードを深くかぶって顔を見せたがらないし……」
「あー、恥ずかしがり屋なのよ、彼」
「はぁ、恥ずかしがり屋、ですか?」
レミアはルークを訝し気に見つめた。
(庇いたいのはやまやまだけれど……私も彼の正体をそれほどよく知らないのよね)
ルークは自身と疑わしそうにじっと見つめているレミアから目を逸らしている。
「と、とりあえず!ルーク、この後すぐに行かなければならないところがあるんじゃなかったかしら?」
「……あぁ」
「じゃあひとまず解散しましょう!解散!」
「……」
一旦ルークを帰した私は、部屋にいるレミアと向き合った。
何とかして誤魔化さなければならなかった。
「お嬢様、あの方はもしかしてお嬢様の恋人ではないのですか?」
「こ、恋人!?」
とんでもない疑いをかけられ、慌てて否定する。
「無い無い!絶対無いから!」
「……本当ですか?」
「ほんとだってば!」
ルークが恋人だなんてそんなのありえない。
大体彼は私に特別な感情など抱いていないはずだ。
「ですが、あの方のお嬢様を見る目……」
「私を見る目がどうかしたの?」
「……あれはただの友達を見ている目ではなかったように思えますが」
「え?」
レミアがボソッと何かを呟いた。
「いえ、何でもありません」
よく聞き取れなかったため聞き返したが、彼女がそれ以上何かを言うことはなかった。
「とにかく、私とルークの間には本当に何もないからね」
「……そうですか」
数十分に及ぶ私の力説の末、レミアはようやく納得してくれたようだった。
「……お前、それ本気で言ってるのか?」
「私の友達だっていえば別に平気だと思うけれど……」
二人きりの部屋で、私はルークにそう声をかけた。
(レイラだって昔は時々伯爵邸に泊まったり一緒にご飯食べたりしてたし……)
幼い頃からの親友であるレイラはよく伯爵邸へ遊びに来ていた。
お兄様とも仲が良く、両親もレイラのことを本当に気に入っていた。
(ルークならお兄様もお義姉様も気に入ると思うんだけどな……)
挨拶だけでもどうかと提案したが、彼は無言で首を横に振った。
「これ以上迷惑をかけるわけにはいかないからな。俺はもう帰るよ」
「迷惑だなんてそんな……みんなにも紹介したかったんだけどな……」
何だか寂しいが、彼の立場を考えると仕方の無いことなのかもしれない。
ルークは必要以上に他人と関わりたいようには見えなかったから。
これ以上言っても迷惑になるだけだろう。
私はローブを羽織って帰りの準備をする彼を笑顔で送り出そうとした。
そのときだった――
突然、部屋の扉がノックされた。
「――お嬢様、失礼します。昼食のお時間でございま……………え」
ノックをしてすぐに扉が開き、レミアが扉から顔を覗かせた。
彼女はルークを見て固まっている。
「あ」
「あ」
私たちは二人して素っ頓狂な声を上げた。
(これは……まずいことになるかもしれないわね……)
私はこれから先の展開を想像して頭を抱えた。
***
「エミリア様、これは一体どういうことですか?」
「どういうことって……彼は私の友人よ。ルークっていうの。なかなかにイケメンでしょう!?」
「今はそういうことを言っているのではありません!」
女性なら誰もが見惚れてしまいそうなルークの容姿を盾にして追及から逃れようとしたが、レミアはそう簡単には騙されてくれなかった。
「あの方、とっても怪しいです。今だってほら!フードを深くかぶって顔を見せたがらないし……」
「あー、恥ずかしがり屋なのよ、彼」
「はぁ、恥ずかしがり屋、ですか?」
レミアはルークを訝し気に見つめた。
(庇いたいのはやまやまだけれど……私も彼の正体をそれほどよく知らないのよね)
ルークは自身と疑わしそうにじっと見つめているレミアから目を逸らしている。
「と、とりあえず!ルーク、この後すぐに行かなければならないところがあるんじゃなかったかしら?」
「……あぁ」
「じゃあひとまず解散しましょう!解散!」
「……」
一旦ルークを帰した私は、部屋にいるレミアと向き合った。
何とかして誤魔化さなければならなかった。
「お嬢様、あの方はもしかしてお嬢様の恋人ではないのですか?」
「こ、恋人!?」
とんでもない疑いをかけられ、慌てて否定する。
「無い無い!絶対無いから!」
「……本当ですか?」
「ほんとだってば!」
ルークが恋人だなんてそんなのありえない。
大体彼は私に特別な感情など抱いていないはずだ。
「ですが、あの方のお嬢様を見る目……」
「私を見る目がどうかしたの?」
「……あれはただの友達を見ている目ではなかったように思えますが」
「え?」
レミアがボソッと何かを呟いた。
「いえ、何でもありません」
よく聞き取れなかったため聞き返したが、彼女がそれ以上何かを言うことはなかった。
「とにかく、私とルークの間には本当に何もないからね」
「……そうですか」
数十分に及ぶ私の力説の末、レミアはようやく納得してくれたようだった。
368
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる