愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの

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64 愛する家族 オリバー視点

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ローザとの喧嘩から一週間後。


「おい、ローザは何をしている?」
「部屋でお休みになられています」
「そうか」


私は執務室で仕事をしながら使用人にローザの様子を尋ねていた。


(最近は大人しくしてくれているようだな……)


あの一件以来、彼女がヒステリックに泣き叫んだり我儘を言ってくることは少なくなった。
ようやく事の重大さを分かってくれたようだ。


「ローザとリオに夕食を共にしようと伝えてくれ」
「はい、旦那様」


使用人は一礼すると、部屋を出て行った。
それを確認した私はペンを置いて、執務室の窓から外を見た。


(花が綺麗に咲いているな……)


公爵邸にある庭園に美しい花々が咲き誇っているのが真っ先に見えた。
使用人たちから聞いた話だが、あれは全て前妻がしていたことらしい。
花が好きで、庭園の管理をしていたのだと。


「……」


初めにそれを聞いた私は、何とも言えない気持ちになった。


(彼女にとって気軽に行ける場所があそこしか無かったからなんだろうな……)


後になって分かったことだったが、使用人たちは前妻にかなり横柄な態度を取っていたようだ。
本邸にほとんど帰らなかった私はまるで気付かなかったのだ。


(ハハ……何て情けない夫なんだ……)


結果的に十年間も彼女にとって居心地の悪いであろうこの公爵邸に閉じ込めることとなってしまった。
離婚を切り出したのは最低最悪な夫を見限ったんだろう。
ある意味賢明な判断だ。


「……私は、またあの女のことを」


離婚してから前妻のことを時々思い出した。
彼女との離婚、ローザを正妻にすることはあれほど望んでいたことだったはずだ。


(何でこうも思い通りにいかないんだ……)


愛する人を正式な妻にすることが出来て幸せになれると思ったのに、今はそれとは程遠い状況だ。
ローザとの関係は悪化しているし、とてもじゃないが幸せとは言えなかった。


(いや、そんなことを考えていてはダメだ)


私はそこまで考えて元いた位置に戻った。
そして再びペンを手に取って執務に励む。


(とりあえず溜まっている仕事を終わらせなければ……愛するローザとリオが待っているんだ……)


私は元々あまり優秀な人間ではない。
執務面においては元妻のエミリアの方がよく出来るだろう。
自分より才能のある彼女のことを聞いて、くだらない嫉妬心を抱いたりもした。
前妻が血の滲むような努力をしていることなど、まるで知らずに。


私は一旦考えるのをやめて机の上に置かれている書類に目を通した。


(よし、やるぞ!)


これを終えればローザとリオに会える。
そのことを考えるだけで自然とやる気が出てくる。


愛する妻と息子のために、夫は仕事を頑張るのだ。




―――――――――――――――――


ここから少しオリバー視点が続きます!


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