愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの

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99 真犯人

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「な、何この血……!?」


廊下に飛び散った真っ赤な血を見て、私は驚愕した。
意識を失い、倒れているルークの口からは血が流れている。


(そんな……!嘘でしょう……?)


彼の体を抱えて必死で揺さぶったが、応答は無い。
少し前まではたしかに意識はあったのに。


(どうしてこんな……)


目の前が真っ暗になった。
ルークはもしかするとこのまま死んでしまうかもしれない。


(嫌よ……そんなの……私はあなたがいなくなったら……)


「――エミリア!!!」
「……レイラ?」


そのとき、後ろから慌ただしい様子で駆け付けたのはレイラだった。


「大変!!!何てことなの!!!すぐに医者を!」
「はい、陛下」


それからルークはすぐに運ばれていった。


(ああ……どうか彼が無事でありますように……)


ルークの姿が見えなくなると、私はようやく少しだけ落ち着きを取り戻した。
それでも彼が死んでしまうのではないかという不安は相変わらずだったが。


「レイラ、どうしてここに?」
「エミリアの様子がかなり変だったから後を追いかけてきたのよ」
「そっか……助かったよ、ありがとう」


あのまま私一人だけだったらパニックになって処置が遅れてしまっていただろう。


(ルーク……王子殿下の前だったから我慢していたのね……)


まだ幼い王子に吐血しているところを見せたくなかったのだろう。
本当に彼は優しい人だ。


「まさか料理に毒が盛られていただなんて……だから彼、様子がおかしかったのね」
「ええ、一体誰が……」
「陛下が今調査をしているはずよ。私たちは待ちましょう」
「……」


レイラはそう言ったが、私はじっとなどしていられなかった。


(ルークに毒を盛るだなんて……)


ルークは既に王族としての地位は捨てているし、そもそも貴族たちは彼が今王国にいることすら知らない。
それに彼は誰かの恨みを買うような人間ではない。


(料理を運んでくる使用人が毒を盛った可能性はあるけれど……一人で出来るはずがないのよね)


こういうケースは背後に誰か黒幕がいる可能性が高い。
それもかなり地位の高い人間なはずだ。


「うーん……」


しばらくじっと思考を巡らせていた私だったが、突然雷に打たれたかのようにあることに気が付いた。


(そうだわ、ルークの料理を持ってきたあの使用人……)


どこかで見たような気がしてならなかったが、結局あのときは思い出すことが出来なかった。
しかし、今なら分かる。


(あれは、レビンストン公爵家の使用人だわ……!)


髪と目の色を変えていたからすぐには気付けなかったのだ。
しかし、あの顔と声は間違いなく……


「レイラ、陛下に伝えてほしいことがあるのだけれど」
「エミリア?どうしたの?」


「――今すぐレビンストン公爵を捕縛するようにと」


ルークに毒を盛るなら、あの男しかありえない。


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