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23 気になるあの子 王太子side
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「殿下、カルメリア嬢に求婚したって本当ですか!?」
「ああ、本当だ」
平然とそう答えると、側近たちの顔が驚愕に染まっていった。
(……それほど驚くことか?)
たしかに私は第一王子として生を受けてからずっと恋愛とは無縁な人生を送ってきた。
自分でも誰かにプロポーズをする日が来るとは思っていなかったものだ。
そう考えれば当然の話か。
「やっぱり、王女殿下から庇ってくれたからですか!?」
「まぁ、それもあるが……」
アリス嬢の良さはそれだけではない。
聖女のような優しさに加え、自分より身分が高い人間にも果敢に立ち向かう心力の強さも持ち合わせている。
(貴族というのは誰かの顔色を窺っている者ばかりだからな……)
アリス嬢は他の貴族たちとは違う。
だからこそ、好感を抱いているのかもしれない。
「まぁでも、王女殿下よりかは随分と良い王妃様になるんじゃないですか」
「当たり前だ、あれと一緒にするな」
ムッとして侍従の方を見た。
アリス嬢とアメリア王女を一緒にしないでほしいものだ。
「アメリア王女殿下は何というか……王女様らしいと言えば王女様らしいですが……」
「性格が悪いとハッキリ言えばいいだろう、ここには私たち以外誰もいないのだから」
「で、殿下!」
側近たちが慌てたような顔をした。
「心配するな、あっちだって散々私のことを浮気男だの何だの言っていたではないか。お互い様だ」
「た、たしかに……」
アメリア王女とは、つい最近まで私が結婚していた女性のことだ。
彼女の性格はハッキリ言って最悪だった。
美しい見た目とは裏腹に思い通りにならないとすぐに癇癪を起こし、王宮では我儘放題。
王太子妃になったのを良いことに下の者を虐げてもいた。
成立したのはつい最近だが、彼女との離婚を望んでいたのは三年も前からだった。
王族がそう簡単に離婚など出来るはずが無いのは分かっていた。
しかも相手は隣国の王女である。
(特例として父上が認めてくださったのが幸いだったな……)
父も彼女に国を任せてはいけないと判断したのだろう。
最初はトラブルを起こしたくないのか渋っていたが、最後は離婚を認めてくれた。
あの女がこのまま我が国の王妃になったらどうなっていたか。
想像するだけでもゾッとする。
初めて親密になった女性は、見事に私にトラウマだけを残していった。
「ですが、カルメリア嬢が殿下の妃になってくれるのであれば我々としても嬉しいですね」
「そうか?」
「はい、王女殿下と別れてから殿下の女嫌いは以前よりも激しくなりましたから」
「……」
侍従の言う通りである。
私は昔から貴族令嬢というものがどうも苦手だった。
評判の良いアメリア王女なら良い関係を築いていけるかもしれないと思って父親が婚約を申し込んだものの、結局は彼女も表面だけの人間だった。
(だけど、アリス嬢なら……)
「まだ返事は受け取っていない。私の手を取るかどうかはアリス嬢次第だ」
「アリス嬢が受け入れてくれるといいですね、殿下!」
「ああ、本当だ」
平然とそう答えると、側近たちの顔が驚愕に染まっていった。
(……それほど驚くことか?)
たしかに私は第一王子として生を受けてからずっと恋愛とは無縁な人生を送ってきた。
自分でも誰かにプロポーズをする日が来るとは思っていなかったものだ。
そう考えれば当然の話か。
「やっぱり、王女殿下から庇ってくれたからですか!?」
「まぁ、それもあるが……」
アリス嬢の良さはそれだけではない。
聖女のような優しさに加え、自分より身分が高い人間にも果敢に立ち向かう心力の強さも持ち合わせている。
(貴族というのは誰かの顔色を窺っている者ばかりだからな……)
アリス嬢は他の貴族たちとは違う。
だからこそ、好感を抱いているのかもしれない。
「まぁでも、王女殿下よりかは随分と良い王妃様になるんじゃないですか」
「当たり前だ、あれと一緒にするな」
ムッとして侍従の方を見た。
アリス嬢とアメリア王女を一緒にしないでほしいものだ。
「アメリア王女殿下は何というか……王女様らしいと言えば王女様らしいですが……」
「性格が悪いとハッキリ言えばいいだろう、ここには私たち以外誰もいないのだから」
「で、殿下!」
側近たちが慌てたような顔をした。
「心配するな、あっちだって散々私のことを浮気男だの何だの言っていたではないか。お互い様だ」
「た、たしかに……」
アメリア王女とは、つい最近まで私が結婚していた女性のことだ。
彼女の性格はハッキリ言って最悪だった。
美しい見た目とは裏腹に思い通りにならないとすぐに癇癪を起こし、王宮では我儘放題。
王太子妃になったのを良いことに下の者を虐げてもいた。
成立したのはつい最近だが、彼女との離婚を望んでいたのは三年も前からだった。
王族がそう簡単に離婚など出来るはずが無いのは分かっていた。
しかも相手は隣国の王女である。
(特例として父上が認めてくださったのが幸いだったな……)
父も彼女に国を任せてはいけないと判断したのだろう。
最初はトラブルを起こしたくないのか渋っていたが、最後は離婚を認めてくれた。
あの女がこのまま我が国の王妃になったらどうなっていたか。
想像するだけでもゾッとする。
初めて親密になった女性は、見事に私にトラウマだけを残していった。
「ですが、カルメリア嬢が殿下の妃になってくれるのであれば我々としても嬉しいですね」
「そうか?」
「はい、王女殿下と別れてから殿下の女嫌いは以前よりも激しくなりましたから」
「……」
侍従の言う通りである。
私は昔から貴族令嬢というものがどうも苦手だった。
評判の良いアメリア王女なら良い関係を築いていけるかもしれないと思って父親が婚約を申し込んだものの、結局は彼女も表面だけの人間だった。
(だけど、アリス嬢なら……)
「まだ返事は受け取っていない。私の手を取るかどうかはアリス嬢次第だ」
「アリス嬢が受け入れてくれるといいですね、殿下!」
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