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第四章 回想録
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アスケニア国十七代国王崩御ー
アスケニア王国歴五三二年。今から、十二年前の出来事に遡る。即位して三年目。王の突然死は国民にとって不幸の幕開けでもあった。
十六代国王が六十年在籍した王国は安泰し、海外との交易も盛んで、治安も守られ、疫病も蔓延することの無い安定した時代であったという。
その十六代国王が崩御後、引き継ぐ形で即位した皇太子の十七代目は、かつてこの国の首相だったこともあり、国民の誰もが、今後も平和な国家が続くと信じていた。
その即位後、三年目にして十七代国王の突然の崩御は国民や他国にも衝撃を受けた。
十七代国王は当時、三十代半ば。健康的で誠実な王様が何故、こんなにも早く崩御なさるのかと。当時、国民や海外にも暗殺説が広まり、様々な死亡説が浮上したが、数日のうちにあらゆる死亡説は揉み消され、『病死』と宣言された。
その後、十七代国王の実弟で甥のヘンリーが、十八代目の国王として即位した。
十八代国王ヘンリーは、即位前から評判が悪く、即位後は国民にとって苦痛を強いられる国家へと変貌してゆくのである。
彼が即位して最初に行った事は、親族、貴族、政治家、教会等の何百人もの粛清であった。
十七代国王の妃や皇子。妃の親や兄弟を殺害。国王の行いに反発する貴族の爵位を剥奪し、領地を接収。意義を唱える教会。学者等を処刑。商業。農業。工業。貿易などのギルドの長たちの中には無実の罪を着せられ処刑された者もいた。
国王の独裁制に国民は反発。各地で暴動が起こり、内戦も勃発した。
王国騎士団もその度に、現地へ駆り出され、罪のない庶民を討伐したり監獄することに限界も来ていた。
王国ではなく、庶民の側に協力すべきではとの意見も出た矢先の出来事である。
※
アスケニア国王国歴、五三四年ーー
王国騎士団の本部、執務室で六人の重役が集まっていた。
重役というより、三組の夫婦といった方が良いだろう。
アスケニアの王国騎士団は世襲で、男女関係なく在籍している。
女性でも剣や槍。弓などの武器が扱えるように騎士養成学舎で教わるし、医師。看護士。助産師。薬学の道に進んで、戦地で、怪我人や病人の看護にあたる人も多い。
結婚後も、秘書や戦士。薬師。医者。看護士で騎士団を続ける女性も多かった。
「こいつは、早い話が人質という意味だろう」
騎士の制服の上着を肩に羽織り、悪びれた風に着こなすのは在りし日のカノイの父。当時、王国騎士団第一団長のカエサル=フォンミラージュである。
黒い髪に切れ長の灰色の瞳。髭面で長めの前髪を左右に分け、冷ややかな貫録を秘めている。
「恐らく、王国騎士団が国でなく庶民の側に就くのを恐れての策だろう。それを見越しているのなら、国民や今、置かれている国の現状を変えるのが、一番と思うのだが」
騎士団に届いた王国からの命令に、ため息混じりに答えたのは、ノルマンとノアーサの父、王国騎士団総長のノルディック=カイレオールである。
黒い髪に茶色い瞳。普段は感情を表に出さない彼が今日は珍しく、迷いを生じている。騎士団の総長らしく制服もしっかりと着こなし、他の二人のように髭も生やしていない。責任感の強い人で部下からの信頼も熱かった。
「要は、俺たちの子供を国が面倒見てやるから、二名ほど寄越せって事だよな。そうやって、騎士団に枷を着けて、勝手な振る舞いをしないように国に服従しろと」
茶髪で髭面、翆眼の男が答える。彼は王国騎士団で指揮官を勤めるアベル=クロスフォード。彼の横に座る女性はその妻でヘンリエッタ。
彼女はノルディックの秘書として騎士団にいる。褐色の髪の色で、碧眼の瞳。清楚で真面目な女性で、三人の子供の母親でもあった。
「要件としては十歳に満たない男女。そして、この騎士団を親に持つ子供であること。この騎士団で、その年齢の我が子を持つのは私たち三組の夫婦。向こうはすべてお見通しという事ね」
ヘンリエッタがそう答えた。
大切な我が子を『国が預かり、最高の教育と護衛術。技術。社交性を身につけさせて、十年後にはお返しします』と条件の良い事をいってはいるが、人質と何らかわりない。
「ノル。お前の事だ。まさか、娘を差し出すなんて考えてないよな」
六人は今、騎士団の重役にあるとはいえ、子供の頃からの付き合い。プライベートな時は相性で呼ぶ事もある。
「ローズ。お前の意見はどうなんだ」
アベルは心配して二人に聞いた。
ノルディックの妻であり、ノルマンとノアーサの母、ローズは騎士団で医師を勤めている。ダークブラウンのクセのある髪に赤茶色の瞳。美人で優しく、落ち着いた口調は誰もが癒され、人気もある。
「何故、我が子なの。ノアーサは私がずっと欲しかった女の子なのよ。私から娘を取り上げようと。そんなのは嫌よ」
ローズは夫であるノルディックに訴える。
「拒否することは簡単だが、我々は騎士であり、土地の領主でもある。拒否すれば領地に影響が及び、領民の生活を苦しめる事にも繋がるのだ」
「方法はいくらかある。例えば、領地で我が子と同じくらいの年の子で末子を探し、その子を養子に迎えて、我が子といって送り出すとか」
アベルが苦し紛れにそう話した。彼の家には息子が二人。娘が一人いる。末の二人はまだ十歳に満たない。娘はカノイとノアーサと同い年であった。
「ノルが嘘をつけない性格なのは、お前も知っているよな」
カエサルが二人の間に口を挟む。
「なあ。ノル。お前、一人ですべてを抱え込もうとしてないか。これは一人で抱え込む問題ではなく、俺たちで考えなくてはならない問題なんだぞ。ミランダ。お前だって倅は手放したくないだろう」
側に座っている妻のミランダにカエサルは訪ねる。
カノイの母、ミランダは女戦士である。 革の鎧を着け、ボウガンが得意だ。赤毛の髪を一本に束ね、三つ編みにしている。女性騎士団の団長を勤めていた。
「カノイから後、私たちには子供ができないから、一人息子を手放すのは勇気のいる事よ。でも、もし、ノアーサちゃんを国に差し出すと言うなら、私はカノイを差し出してもいい」
「ミランダ。お前本気か」
想像もしかなった答えに全員が驚く。
「私、ローズを悲しませたくないの。ローズ。一人よりも二人、行かせる方が心強くないかしら?カノイはノアーサちゃんをきっと守ってくれる」
ミランダの発言にさらにその場にいる全員が驚愕する。
「いずれにせよ。ノルディック、あなたはローズが止めても、ノアーサちゃんを差し出すでしょう。それなら、私もローズと同じように母親として孤独と苦しみを背負うわ」
そこには我が子を手離す母親の決意が感じられた。
「私たちにはカノイしか子供がいないけど、子供はいつか親元を離れてゆく。それが少し早かったというだけ」
「ミランダ。お前、十年は逢えなくなるんだぞ。その覚悟はあるのか」
夫のカエサルが心配して聞いた。
「確かに十年は長いわね。十年経てば二人は十七歳。若者に成長してしまうわね。それまで成長する間が見れないのは悲しい。でも、二人いればきっと、心強いと思うの」
ミランダは我が子との別れを決心したようである。ローズが不安にならないように、前向きに話している。
「私、ノアーサちゃんならカノイと上手くやってゆけると思うの。だってローズとノルディックの娘ですもの」
「ミランダ。そんなに早く答えを出して良いのか。ローズ。お前は納得できんだろう?」
カエサルは妻の決断に戸惑っている。彼自身、息子を手放したくはなかった。
「カエサル。正直、私も娘は手放したくはない。だが、こういう時、一番に犠牲を払わなくてはならないのは総長の私だ。ローズ。覚悟してくれないだろうか。国も娘の生活環境や教育は保証してくれるといってる」
「病気や怪我をしても、我が子には逢えないのでしょう。こんな悲しい事なんてないわ」
ローズはすぐに答えは出せない。例え、拒んでも、それが無駄であることも承知している。
「でも、ミランダの息子と一緒というのなら、解ったわ。ノアーサを預けます」
ローズも総長の妻としての立場もある。娘を差し出す事で、騎士団と領民が救われる。
「ローズ。辛いのは一緒よ。我が子を引き渡す前に沢山の愛情をお互いかけてあげましょう」
ミランダが、ローズに語りかける。
これが、その後、カノイとノアーサの試練の始まりであり、カノイは両親とノアーサは母親との訣別となるのである。
※
カノイとノアーサは明け方近くになって、待ち合わせの滝のある森へと辿り着いた。
その滝の横には洞窟があり、洞窟の中に開き戸のある小さな部屋が作られていた。たまに夜営の途中、雨や雷にあった時は、そこに避難するように言われている。暫くはここで救助を待たなくてはならない。
目的地に着いたからといって、安心は出来なかった。いつ、どこで狙われているか解らない。二人は警戒しながら、洞窟の中に入った。
ゆっくりと短剣を手にして二人は洞窟に入ってゆく。開き戸を開けて人の居いない事を確かめる。
扉を開けたら少しばかりではあるが、外からの光が中に入って来て、部屋の中を見渡すことができた。
洞窟の中に作られた部屋の棚には、荷物が並んでいる。ここで待つことを想定して、兄夫婦が生活に必要な荷物や武器、保存食を置いてくれたらしい。二人の衣服も数枚、畳んで置いてある。
質素な木の作りの幅広い寝台が一台。その上には毛布が折り畳まれ備えてあった。
寝台の横には蝋燭の入ったカンテラが、壁から吊るされて備えてある。
外からの光を頼りに、棚に入った荷物を確認してゆく。棚の中に両手掌に乗るほどのドーム型の箱がひとつ置いてあり、手紙が備えてあった。
この箱を王都に着いたら、父に渡して欲しい。ノルマン
ノアーサはその箱を手にする。箱の蓋には鍵はかかってなく、留め具は空いた。
中には手紙が入っている。妹のノアーサ宛。カノイ。そして父親へと三通の手紙が入っていた。
「何か見つけた?」
カノイが後ろから声をかける。
「箱よ。兄さんの書き置きがある。中に手紙が入っていたの。貴方と私。父宛に。中身は読まなくても想像がつく。兄さんたちはここには来ない。恐らく、もういない」
彼女の言葉に否定は出来なかった。昨夜、自らの身を守る為に数十人もの刺客を殺めた。
人の命とは呆気ない。もし間違えば自分たちが殺され、今は骸となっていたかも知れない。そんな環境にあって、無事に兄夫婦と再会出来たとしたら、それは奇跡だ。
人を殺めたことの報いはいつか自分たちにも返ってくる。それを覚悟して暗殺者として生きろと教わった。
望んで暗殺者として生きているのではない。二人は歩まされたのだ。
「この箱は、『二の棺』じゃないかな?」
箱を見るとカノイはそう呟いた。
「以前、ノルマンから聞いたことがあるんだ。アスケニアの王国騎士団は戦地に赴く前に、もし、戻ってこられなかった時の事を考えて、この箱に遺品や手紙をいれておくそうだよ。名前の由来までは知らないけど」
『二の棺』の歴史は今から百数十年ほど昔に遡る。戦地に赴く騎士が婚約者に向けて、もし、自分が戻ってこられなかった時のためにと、箱に手紙と金貨をいれて遺品にしたのが始まりという。
その騎士は戦地から戻っては来なかったと語り継がれている。
それがいつしか騎士たちの間で伝統となり、今も引き継がれ、アスケニア王国騎士団の騎士や兵士たちが戦地に赴く前には、この箱が支給されるのだという。
「ノルマンが僕の父さんの話をしてくれた時に、この『二の棺』の事も話してくれたんだ。騎士団で両親が残した『二の棺』を預かってくれているだろうって」
「私のお母さんのもあるのかしら?」
「戦地や討伐に赴く、騎士団の人たちには全員支給されると聞いたけど」
ノアーサは手にしていた『二の棺』を抱き締めて何も話さなくなった。
母が亡くなってから三年も過ぎたというのに、それを受け入れられないまま、今度は兄夫婦の行方もわからない。
そんな彼女をカノイは背中から抱き締める。
「十年経ったら両親に逢えるって、それだけを信じて、僕たちは頑張って来たからね」
「その間に沢山の事を学んだけど、一番に逢いたいと思っていた家族との再会は希望が絶たれてしまった。」
「君にはまだ、父親がいるじゃないか」
「でも、親と暮らした月日より、貴方と過ごした時間の方が、長いのよ。再会しても何て声をかければ良いの?」
彼女の言葉に、カノイは十年前の父親との思い出が甦った。
この村に行くと決まってから、父はできるだけカノイと過ごす時間を作ってくれた。何よりの思い出は父親から教わった剣の稽古。あの時の思い出は今も昨日の事のように甦る。
家族と別れの日に、父親はカノイの頭を軽く叩いて送り出してくれた。
『倅よ。行って来い。成長して戻って来る日まで待っているからな』
あの時、自分が見た父親の最後の姿になるとは、想像出来なかった。
十年経って、王都に戻ったら、両親が迎えてくれるのだと、それだけを生き甲斐に頑張ってきた。待ちに待った十年目。でも、迎えてくれる筈だった両親は三年前に他界している。こんな運命は受け入れたくないけど、これが真実なのである。
カノイは背中から抱き締めたノアーサの体をさらに強く抱き締め、彼女の肩に顔を埋める。
「ノアーサ。君は居なくなったりしないでね。もう、誰も失いたくない」
「お互い、親と暮らせない環境で頑張って来たわね。寂しい思いも沢山して、厳しい訓練にも耐えた。それが暗殺者になるための十年だったとしても、私はあなたがいたからここまで来れたのよ」
「自分たちに、この人生を歩ませた『主君』が誰なのか、解らないけど、今の王国を変えてくれる人であって欲しいと僕は思っている」
そう言うと、カノイは彼女の頬に唇が触れる。
「ノアーサ。外に歓迎しない来客のようだ」
頬にキスするかのようにして、彼女に小声で囁く。彼女もそれに気づいて、手にしていた箱を置いて弓を手にする。
気づかれないように、洞窟の入り口まで近づいた。刺客と思われる男たちが数人。夜が明けたばかりなので、人数もはっきりしていた。
洞窟の入り口からノアーサが弓を放つ。三人は射止めた。弓を構えたまま、カノイとノアーサは外へとゆっくり出る。右側から、狙われそうになるのを、カノイが剣で仕留める。
逃げてゆこうとする二人の傭兵のうち一人をノアーサが矢を放って仕留め、もう一人をカノイがダガーを足元に投げつけて、動けないようにさせた。
「誰の指図で自分たちが狙われるのかその事情を聞こう」
そういってカノイは周りにまだ、刺客がいないかを確かめながら、ノアーサと二人で外へと出た。
カノイが事情を聞く間にノアーサは周りに人がいないかを確かめながら、矢のついた弓を手に視界を見渡す。
「誰に雇われた?」
傭兵らしき男は答えない。言葉が通じないのかと、隣国のタルタハ語で今度は聞いてみた。
「二人組の男女を襲えと、金を握らされた。子供かと甘く見ていたが、金で雇われた奴らは俺が最後だ」
人相からして、三十代後半の男と思われる。タルタハ語で返事した。
「誰から頼まれたの?」
ノアーサが弓を向けてタルタハ語で語りかける。
「お嬢さん。そいつは脅されたって言えないね」
そういうと、自ら舌を噛みきり生き絶えた。自らの命を絶ってまで素性を教えられない人物が村や自分たちを襲った。それを差し向けた相手は一体誰なのだろう。この男がいった事が本当なら、逃げ続けた長い夜が、終わった事になる。
「ノアーサ。彼の言葉が本当なら、とりあえずは終わったみたいだね」
そういうと、二人は一度、洞窟へと戻る。
この森は『神獣』の聖地伝説が、村では語り継がれていた。
かつてはこの国にも『魔獣』や『幻獣』の伝説があり、過去には『魔術』も存在していた。
それは、魔獣が存在していたとされる王国が誕生した当初の頃だ。歴史や昔話では語られ伝説にもなっている。
二人も魔術の基礎は一応、教わりはしたけれど、『化学や物理。数学。信仰と似ている。』という感覚でしかない。
二人は洞窟の小部屋に入ると、兄から言われた三日間をどう乗り切るかを相談した。
試練を乗り越えた約束の十年。
最後の十年目に、新たなる試練が始まろうとしていた。
アスケニア王国歴五三二年。今から、十二年前の出来事に遡る。即位して三年目。王の突然死は国民にとって不幸の幕開けでもあった。
十六代国王が六十年在籍した王国は安泰し、海外との交易も盛んで、治安も守られ、疫病も蔓延することの無い安定した時代であったという。
その十六代国王が崩御後、引き継ぐ形で即位した皇太子の十七代目は、かつてこの国の首相だったこともあり、国民の誰もが、今後も平和な国家が続くと信じていた。
その即位後、三年目にして十七代国王の突然の崩御は国民や他国にも衝撃を受けた。
十七代国王は当時、三十代半ば。健康的で誠実な王様が何故、こんなにも早く崩御なさるのかと。当時、国民や海外にも暗殺説が広まり、様々な死亡説が浮上したが、数日のうちにあらゆる死亡説は揉み消され、『病死』と宣言された。
その後、十七代国王の実弟で甥のヘンリーが、十八代目の国王として即位した。
十八代国王ヘンリーは、即位前から評判が悪く、即位後は国民にとって苦痛を強いられる国家へと変貌してゆくのである。
彼が即位して最初に行った事は、親族、貴族、政治家、教会等の何百人もの粛清であった。
十七代国王の妃や皇子。妃の親や兄弟を殺害。国王の行いに反発する貴族の爵位を剥奪し、領地を接収。意義を唱える教会。学者等を処刑。商業。農業。工業。貿易などのギルドの長たちの中には無実の罪を着せられ処刑された者もいた。
国王の独裁制に国民は反発。各地で暴動が起こり、内戦も勃発した。
王国騎士団もその度に、現地へ駆り出され、罪のない庶民を討伐したり監獄することに限界も来ていた。
王国ではなく、庶民の側に協力すべきではとの意見も出た矢先の出来事である。
※
アスケニア国王国歴、五三四年ーー
王国騎士団の本部、執務室で六人の重役が集まっていた。
重役というより、三組の夫婦といった方が良いだろう。
アスケニアの王国騎士団は世襲で、男女関係なく在籍している。
女性でも剣や槍。弓などの武器が扱えるように騎士養成学舎で教わるし、医師。看護士。助産師。薬学の道に進んで、戦地で、怪我人や病人の看護にあたる人も多い。
結婚後も、秘書や戦士。薬師。医者。看護士で騎士団を続ける女性も多かった。
「こいつは、早い話が人質という意味だろう」
騎士の制服の上着を肩に羽織り、悪びれた風に着こなすのは在りし日のカノイの父。当時、王国騎士団第一団長のカエサル=フォンミラージュである。
黒い髪に切れ長の灰色の瞳。髭面で長めの前髪を左右に分け、冷ややかな貫録を秘めている。
「恐らく、王国騎士団が国でなく庶民の側に就くのを恐れての策だろう。それを見越しているのなら、国民や今、置かれている国の現状を変えるのが、一番と思うのだが」
騎士団に届いた王国からの命令に、ため息混じりに答えたのは、ノルマンとノアーサの父、王国騎士団総長のノルディック=カイレオールである。
黒い髪に茶色い瞳。普段は感情を表に出さない彼が今日は珍しく、迷いを生じている。騎士団の総長らしく制服もしっかりと着こなし、他の二人のように髭も生やしていない。責任感の強い人で部下からの信頼も熱かった。
「要は、俺たちの子供を国が面倒見てやるから、二名ほど寄越せって事だよな。そうやって、騎士団に枷を着けて、勝手な振る舞いをしないように国に服従しろと」
茶髪で髭面、翆眼の男が答える。彼は王国騎士団で指揮官を勤めるアベル=クロスフォード。彼の横に座る女性はその妻でヘンリエッタ。
彼女はノルディックの秘書として騎士団にいる。褐色の髪の色で、碧眼の瞳。清楚で真面目な女性で、三人の子供の母親でもあった。
「要件としては十歳に満たない男女。そして、この騎士団を親に持つ子供であること。この騎士団で、その年齢の我が子を持つのは私たち三組の夫婦。向こうはすべてお見通しという事ね」
ヘンリエッタがそう答えた。
大切な我が子を『国が預かり、最高の教育と護衛術。技術。社交性を身につけさせて、十年後にはお返しします』と条件の良い事をいってはいるが、人質と何らかわりない。
「ノル。お前の事だ。まさか、娘を差し出すなんて考えてないよな」
六人は今、騎士団の重役にあるとはいえ、子供の頃からの付き合い。プライベートな時は相性で呼ぶ事もある。
「ローズ。お前の意見はどうなんだ」
アベルは心配して二人に聞いた。
ノルディックの妻であり、ノルマンとノアーサの母、ローズは騎士団で医師を勤めている。ダークブラウンのクセのある髪に赤茶色の瞳。美人で優しく、落ち着いた口調は誰もが癒され、人気もある。
「何故、我が子なの。ノアーサは私がずっと欲しかった女の子なのよ。私から娘を取り上げようと。そんなのは嫌よ」
ローズは夫であるノルディックに訴える。
「拒否することは簡単だが、我々は騎士であり、土地の領主でもある。拒否すれば領地に影響が及び、領民の生活を苦しめる事にも繋がるのだ」
「方法はいくらかある。例えば、領地で我が子と同じくらいの年の子で末子を探し、その子を養子に迎えて、我が子といって送り出すとか」
アベルが苦し紛れにそう話した。彼の家には息子が二人。娘が一人いる。末の二人はまだ十歳に満たない。娘はカノイとノアーサと同い年であった。
「ノルが嘘をつけない性格なのは、お前も知っているよな」
カエサルが二人の間に口を挟む。
「なあ。ノル。お前、一人ですべてを抱え込もうとしてないか。これは一人で抱え込む問題ではなく、俺たちで考えなくてはならない問題なんだぞ。ミランダ。お前だって倅は手放したくないだろう」
側に座っている妻のミランダにカエサルは訪ねる。
カノイの母、ミランダは女戦士である。 革の鎧を着け、ボウガンが得意だ。赤毛の髪を一本に束ね、三つ編みにしている。女性騎士団の団長を勤めていた。
「カノイから後、私たちには子供ができないから、一人息子を手放すのは勇気のいる事よ。でも、もし、ノアーサちゃんを国に差し出すと言うなら、私はカノイを差し出してもいい」
「ミランダ。お前本気か」
想像もしかなった答えに全員が驚く。
「私、ローズを悲しませたくないの。ローズ。一人よりも二人、行かせる方が心強くないかしら?カノイはノアーサちゃんをきっと守ってくれる」
ミランダの発言にさらにその場にいる全員が驚愕する。
「いずれにせよ。ノルディック、あなたはローズが止めても、ノアーサちゃんを差し出すでしょう。それなら、私もローズと同じように母親として孤独と苦しみを背負うわ」
そこには我が子を手離す母親の決意が感じられた。
「私たちにはカノイしか子供がいないけど、子供はいつか親元を離れてゆく。それが少し早かったというだけ」
「ミランダ。お前、十年は逢えなくなるんだぞ。その覚悟はあるのか」
夫のカエサルが心配して聞いた。
「確かに十年は長いわね。十年経てば二人は十七歳。若者に成長してしまうわね。それまで成長する間が見れないのは悲しい。でも、二人いればきっと、心強いと思うの」
ミランダは我が子との別れを決心したようである。ローズが不安にならないように、前向きに話している。
「私、ノアーサちゃんならカノイと上手くやってゆけると思うの。だってローズとノルディックの娘ですもの」
「ミランダ。そんなに早く答えを出して良いのか。ローズ。お前は納得できんだろう?」
カエサルは妻の決断に戸惑っている。彼自身、息子を手放したくはなかった。
「カエサル。正直、私も娘は手放したくはない。だが、こういう時、一番に犠牲を払わなくてはならないのは総長の私だ。ローズ。覚悟してくれないだろうか。国も娘の生活環境や教育は保証してくれるといってる」
「病気や怪我をしても、我が子には逢えないのでしょう。こんな悲しい事なんてないわ」
ローズはすぐに答えは出せない。例え、拒んでも、それが無駄であることも承知している。
「でも、ミランダの息子と一緒というのなら、解ったわ。ノアーサを預けます」
ローズも総長の妻としての立場もある。娘を差し出す事で、騎士団と領民が救われる。
「ローズ。辛いのは一緒よ。我が子を引き渡す前に沢山の愛情をお互いかけてあげましょう」
ミランダが、ローズに語りかける。
これが、その後、カノイとノアーサの試練の始まりであり、カノイは両親とノアーサは母親との訣別となるのである。
※
カノイとノアーサは明け方近くになって、待ち合わせの滝のある森へと辿り着いた。
その滝の横には洞窟があり、洞窟の中に開き戸のある小さな部屋が作られていた。たまに夜営の途中、雨や雷にあった時は、そこに避難するように言われている。暫くはここで救助を待たなくてはならない。
目的地に着いたからといって、安心は出来なかった。いつ、どこで狙われているか解らない。二人は警戒しながら、洞窟の中に入った。
ゆっくりと短剣を手にして二人は洞窟に入ってゆく。開き戸を開けて人の居いない事を確かめる。
扉を開けたら少しばかりではあるが、外からの光が中に入って来て、部屋の中を見渡すことができた。
洞窟の中に作られた部屋の棚には、荷物が並んでいる。ここで待つことを想定して、兄夫婦が生活に必要な荷物や武器、保存食を置いてくれたらしい。二人の衣服も数枚、畳んで置いてある。
質素な木の作りの幅広い寝台が一台。その上には毛布が折り畳まれ備えてあった。
寝台の横には蝋燭の入ったカンテラが、壁から吊るされて備えてある。
外からの光を頼りに、棚に入った荷物を確認してゆく。棚の中に両手掌に乗るほどのドーム型の箱がひとつ置いてあり、手紙が備えてあった。
この箱を王都に着いたら、父に渡して欲しい。ノルマン
ノアーサはその箱を手にする。箱の蓋には鍵はかかってなく、留め具は空いた。
中には手紙が入っている。妹のノアーサ宛。カノイ。そして父親へと三通の手紙が入っていた。
「何か見つけた?」
カノイが後ろから声をかける。
「箱よ。兄さんの書き置きがある。中に手紙が入っていたの。貴方と私。父宛に。中身は読まなくても想像がつく。兄さんたちはここには来ない。恐らく、もういない」
彼女の言葉に否定は出来なかった。昨夜、自らの身を守る為に数十人もの刺客を殺めた。
人の命とは呆気ない。もし間違えば自分たちが殺され、今は骸となっていたかも知れない。そんな環境にあって、無事に兄夫婦と再会出来たとしたら、それは奇跡だ。
人を殺めたことの報いはいつか自分たちにも返ってくる。それを覚悟して暗殺者として生きろと教わった。
望んで暗殺者として生きているのではない。二人は歩まされたのだ。
「この箱は、『二の棺』じゃないかな?」
箱を見るとカノイはそう呟いた。
「以前、ノルマンから聞いたことがあるんだ。アスケニアの王国騎士団は戦地に赴く前に、もし、戻ってこられなかった時の事を考えて、この箱に遺品や手紙をいれておくそうだよ。名前の由来までは知らないけど」
『二の棺』の歴史は今から百数十年ほど昔に遡る。戦地に赴く騎士が婚約者に向けて、もし、自分が戻ってこられなかった時のためにと、箱に手紙と金貨をいれて遺品にしたのが始まりという。
その騎士は戦地から戻っては来なかったと語り継がれている。
それがいつしか騎士たちの間で伝統となり、今も引き継がれ、アスケニア王国騎士団の騎士や兵士たちが戦地に赴く前には、この箱が支給されるのだという。
「ノルマンが僕の父さんの話をしてくれた時に、この『二の棺』の事も話してくれたんだ。騎士団で両親が残した『二の棺』を預かってくれているだろうって」
「私のお母さんのもあるのかしら?」
「戦地や討伐に赴く、騎士団の人たちには全員支給されると聞いたけど」
ノアーサは手にしていた『二の棺』を抱き締めて何も話さなくなった。
母が亡くなってから三年も過ぎたというのに、それを受け入れられないまま、今度は兄夫婦の行方もわからない。
そんな彼女をカノイは背中から抱き締める。
「十年経ったら両親に逢えるって、それだけを信じて、僕たちは頑張って来たからね」
「その間に沢山の事を学んだけど、一番に逢いたいと思っていた家族との再会は希望が絶たれてしまった。」
「君にはまだ、父親がいるじゃないか」
「でも、親と暮らした月日より、貴方と過ごした時間の方が、長いのよ。再会しても何て声をかければ良いの?」
彼女の言葉に、カノイは十年前の父親との思い出が甦った。
この村に行くと決まってから、父はできるだけカノイと過ごす時間を作ってくれた。何よりの思い出は父親から教わった剣の稽古。あの時の思い出は今も昨日の事のように甦る。
家族と別れの日に、父親はカノイの頭を軽く叩いて送り出してくれた。
『倅よ。行って来い。成長して戻って来る日まで待っているからな』
あの時、自分が見た父親の最後の姿になるとは、想像出来なかった。
十年経って、王都に戻ったら、両親が迎えてくれるのだと、それだけを生き甲斐に頑張ってきた。待ちに待った十年目。でも、迎えてくれる筈だった両親は三年前に他界している。こんな運命は受け入れたくないけど、これが真実なのである。
カノイは背中から抱き締めたノアーサの体をさらに強く抱き締め、彼女の肩に顔を埋める。
「ノアーサ。君は居なくなったりしないでね。もう、誰も失いたくない」
「お互い、親と暮らせない環境で頑張って来たわね。寂しい思いも沢山して、厳しい訓練にも耐えた。それが暗殺者になるための十年だったとしても、私はあなたがいたからここまで来れたのよ」
「自分たちに、この人生を歩ませた『主君』が誰なのか、解らないけど、今の王国を変えてくれる人であって欲しいと僕は思っている」
そう言うと、カノイは彼女の頬に唇が触れる。
「ノアーサ。外に歓迎しない来客のようだ」
頬にキスするかのようにして、彼女に小声で囁く。彼女もそれに気づいて、手にしていた箱を置いて弓を手にする。
気づかれないように、洞窟の入り口まで近づいた。刺客と思われる男たちが数人。夜が明けたばかりなので、人数もはっきりしていた。
洞窟の入り口からノアーサが弓を放つ。三人は射止めた。弓を構えたまま、カノイとノアーサは外へとゆっくり出る。右側から、狙われそうになるのを、カノイが剣で仕留める。
逃げてゆこうとする二人の傭兵のうち一人をノアーサが矢を放って仕留め、もう一人をカノイがダガーを足元に投げつけて、動けないようにさせた。
「誰の指図で自分たちが狙われるのかその事情を聞こう」
そういってカノイは周りにまだ、刺客がいないかを確かめながら、ノアーサと二人で外へと出た。
カノイが事情を聞く間にノアーサは周りに人がいないかを確かめながら、矢のついた弓を手に視界を見渡す。
「誰に雇われた?」
傭兵らしき男は答えない。言葉が通じないのかと、隣国のタルタハ語で今度は聞いてみた。
「二人組の男女を襲えと、金を握らされた。子供かと甘く見ていたが、金で雇われた奴らは俺が最後だ」
人相からして、三十代後半の男と思われる。タルタハ語で返事した。
「誰から頼まれたの?」
ノアーサが弓を向けてタルタハ語で語りかける。
「お嬢さん。そいつは脅されたって言えないね」
そういうと、自ら舌を噛みきり生き絶えた。自らの命を絶ってまで素性を教えられない人物が村や自分たちを襲った。それを差し向けた相手は一体誰なのだろう。この男がいった事が本当なら、逃げ続けた長い夜が、終わった事になる。
「ノアーサ。彼の言葉が本当なら、とりあえずは終わったみたいだね」
そういうと、二人は一度、洞窟へと戻る。
この森は『神獣』の聖地伝説が、村では語り継がれていた。
かつてはこの国にも『魔獣』や『幻獣』の伝説があり、過去には『魔術』も存在していた。
それは、魔獣が存在していたとされる王国が誕生した当初の頃だ。歴史や昔話では語られ伝説にもなっている。
二人も魔術の基礎は一応、教わりはしたけれど、『化学や物理。数学。信仰と似ている。』という感覚でしかない。
二人は洞窟の小部屋に入ると、兄から言われた三日間をどう乗り切るかを相談した。
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