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第十一章 簒奪
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十一月の知らせと共に、朝夕の冷え込みが厳しくなってきた。
王都は山岳の村から、丁度、一月遅れで季節が廻ってくる。
この季節は、収穫期で、家畜も肥える季節。カノイが治める領地も、ワインが解禁となり、出荷で領民が忙しく働いていた。
毎年この季節は、出稼ぎが多い。 その労働者はかつて、貴族の領地で働いていた工場の労働者や、職人、商人などの庶民である。
接収により、閉鎖された工場の職人たちは、領地で小さな町工場を開いて、作業を運営し、農機具、馬車、工業機械、武器や宝飾、日用品などを作って生活を運営していた。
彼らは農作業の手伝いをする事で、農機具や日用品を修理したり、新しく注文を受け負ったりが出来る。商人は、収穫の手伝いで、穀物。野菜。肉類。ワインなど、質の良いものを仕入れる事が出来た。
騎士が治める領地は農業。水産業。畜産と食料の生産が中心である。
領地が接収を免れた事で、今の経済が保たれている。それでも、国民全員が救われているとは限らなかった。
カノイとノアーサは、王都のウィル卿の内閣府官邸で護衛騎士を勤め、休暇で領地に来ている。
ノアーサは屋敷の使用人たちと一緒に、収穫の手伝いにきていた人たち全員に、昼食を提供していた。
騎士の所有する領地は、警備が厳しく、領民以外の人が領地に入る場合は、入門許可証が必要となる。また、不法侵入による窃盗や領地で犯罪を犯した者の刑が、他の領地よりも厳しい事で、安心と信頼を得ていた。
貴族ほど広い領地ではないが、領民は職には困らない。子供たちも農繁期でない時期には、学舎に通わせる余裕もあった。
「収穫が終わると、村に芸人や音楽家を呼んで、踊りやお芝居を観賞し、収穫をお祭りしていた頃も、あったのですけどね」
侍従のメアリが、労働者に昼食を配り終えてから、ノアーサにそう話した。
自分たちが住んでいた村も、収穫期が終わると、村人たちが酒や料理を持ち寄り、楽器を演奏して歌い、踊って、収穫を祝っていた。
今の国王は、著名な音楽家や芸術家。その芸術家を支援する貴族やギルドの粛清も行った。音楽。芝居。芸能は、『国民を堕落させる魔物』だと、広場に断頭台を設置し、そこで公開処刑を行った事もある。
前王、 十七代国王のエルベルトは、芝居や音楽、芸能、芸術を愛し、庶民にも普及させた王様であった。
エルベルト国王の時代は、広場に市が並び、そこで演奏や寸劇を行う芸術家たちで町は活気に溢れ、それを楽しむ観光客で王都は賑わっていた。
ノアーサは、子供の頃に広場で見た人形劇を覚えている。神話や昔話。この国で活躍した英雄たちの物語。
そういった子供たちの楽しみさえもヘンリー国王は奪った。彼は、国民を支配する政策しか行っていない。そんな王様もここ数年、国民の前に姿を見せてはいない。
今の王様は、これまでの民主国家から独裁国家へと、国民を支配する国家に国を変えようとした。
「自由に音楽やお芝居を楽しめる時代が来たら、それも考えておくわ」
ノアーサはそう答えた。今、こうして収穫を終え、領民や商人。職人に食事がもてなせるだけでも、この領地は恵まれている。本来求める国民の細やかな楽しみが今、この場所にあった。
※
収穫も無事に終わり、カノイは寝所で、領地の報告書に目を通していた。
「経理は、今後も、執事のローウェンにお願いするとしょう」
収穫量や、労働者に支払った賃金。商人が買い取った野菜や穀物。酒類の買い取り額を見比べながらカノイが呟く。
「私たち、内閣府の護衛でたまにしか領地に帰って来られないものね」
彼と同じベッドで横になっているノアーサが答えた。
「ノアーサ。領地の皆が関心していたよ。領主の奥様はとても気の効く人だって」
手にしていた 資料をベッド脇の棚に置くと、横になっていた彼女を抱きしめ話しかけてきた。
「貴方が、荷運びを手伝う姿を見て、私も何かできないかと。それにお義母さんも、労働者を労って炊き出しを行っていたと聞いたから」
「母さんが生きていたら、君は良い親子関係を築けただろうな。僕や『主君』にも、良く尽くしてくれている。最高の妻だ」
そう話しながら、カノイはノアーサの体を愛撫してゆく。彼女を求め、自分だけが知る彼女の恥部に触れ、気持ちよく反応する声や体が、愛しくてたまらなかった。
肌を重ね、交わった後にカノイはいつものように、胸に抱いて優しく話しかける。
「ノアーサ。年内に今の国王の時代が終わる。主君は簒奪後の国の経済を考えて、動き始めたようだ」
二人はウィル卿の元に送られて来る情報を常に確認している。
二人の結婚式の裏で、領地を返還する事を条件に、町や、閉鎖された工場、道路や建物などの整備をするように話をつけていた。また、それにかかる費用や人件費も援助すると言えば、復旧も早くなるだろう。
「私たちは主君をお守りして、彼を玉座まで導くのが役目よね」
「そうだね。でも、今夜は僕の奥様の役目を忘れないで」
カノイはそう言って、彼女と額を合わせて、唇を重ねる。
二人で簒奪に成功し、ヘンリー国王の時代を終わらせたい。今の二人にとってそれが唯一の願いであった。
※
数日後、二人は王都の内閣府の書庫で書類整理をしている。ウィル卿が今、行っている政策は、公には出来ない事も多く、また、役所でなければ探せない資料も多くあり、二人は警備傍らに、その仕事を請け負っていた。
「我が子らよ。仕事は順調かね」
相変わらず、垢抜けた口調でウィル卿が書庫を訪れる。
「過去に、接収された領地の証文書と、領主の名簿が揃いました」
ノアーサが過去、王様によって接収した領地と領主の証書を提出した。
ウィル卿は、次に接収され放置されている領地や建物の、修繕について調べているカノイに状況を訪ねる。
「町や工場、道路の復旧に置いてですが、十年近く放置されたり、内戦の傷痕で建物を多く解体したとの報告がありました。作業は領民が中心になって、行っているようです。作業員の数も、各領地で報告が来てます」
「流石、我が子ら。教養を積ませただけの評価はある」
ウィル卿は二人を労うように答えた。
「これら工事や、復旧に伴う予算、人件費を見積もれば、多額になりますが、国の税金から支払われる訳ですよね」
カノイがウィル卿に訪ねる。
「無論、そうなる。だが、毎年一割ずつ増税してきた資金。こういう時にこそ、活用せねば」
ウィル卿は、内閣府で国家予算さえも動かせる立場にあるようだ。彼の立場を疑問に思って、カノイが聞いてみる。
「私は内閣府では首相代理みたいなものだ」
ウィル卿の冗談とも思えぬ曖昧な地位に、二人は言葉も出ない。
「我が子らよ。正直言うと、国王は、最早、人形に過ぎない。阿片に体を蝕まれ、王宮から出られないのだ」
ヘンリー国王は、多くの国民を粛清し、圧政や公開処刑を行って、自らの独裁政権を強調したが、それは側近や官僚を失う事にもなった。
そして、三年前から、阿片に溺れ、宮中の庭園で芥子を栽培させ、今は中毒を起こしているという。
「この国が、これまで保てたのは、経済を支える食料、つまり騎士の所有する領地を、剥奪できないようにして、それに関連する鍛冶屋。造船。加工業。商業を運営させる事ができたからだ」
それに関しては、自分たちが、国の人質になることで粛清を免れたと、以前、聞かされている。
「芸術家たちも、工芸品や肖像画家。結婚式の歌や音楽、余興などで活躍できるようにと、手を回したよ。他にも、各職業の専門学舎では給費制度を設け、卒業後に返納していく形で、職人を増やした」
「つまり、主君が王様によって悪化して行く経済を支え、国民を守る最低限の努力を行ってきた訳ですね」
カノイがそう訪ねた。
「それでも救えず、各地で内戦や暴動が起きた。君らの親も、内戦で命を落とす事に。辛い思いをさせた」
そう言うと、ウィル卿は二人に頭を下げる。カノイの父は、自分の領地で枢機卿や宮廷農園の学者などを、匿ってくれていた。その事に、感謝しているとも述べた。
「頭をあげて下さい主君。僕たち二人は、貴方にお仕えできる事に感謝しています」
カノイがウィル卿にそう伝えた。
「我が子らよ。感謝する」
ウィル卿はそう言うと早速、彼らに次の仕事を要求した。
「君たち、各騎士団の総長に、この資料を二人で届けて来て欲しい」
ウィル卿は二人の前に、各騎士団宛の封書を出した。一番近い所では王国騎士団。新たに名乗りを挙げた『聖教会騎士団』の名前もあった。
封書の中身が国王を討伐し、国を簒奪する日時を記すものだと二人は理解した。
※
二人は各、騎士団を周り、今は聖教会騎士団にいる。以前、領地の教会で枢機卿の護衛として仕えていたエルビスを訪ねて来ていた。
「いよいよか。長かった。お前たち、立派になったな」
聖教会騎士団長となったエルビスが二人を迎えてくれた。
「各地に散っていた同胞が、司祭や司教と供に、戻って来たよ。前の教会騎士団は、国王が集めた暗殺者集団だったが、今の俺たちは正当な聖騎士団だ」
エルビスは、そう話しながら、騎士が鍛練に励む広場に二人を案内する。彼が自慢するだけあって、強者揃いである。
「素晴らしい」
カノイはエルビス団長の指揮のもと、集う聖教会騎士団に感激して、その思いを伝えた。
「俺の理想は、お前の父カエサル団長だ。お前も父の名に恥じないように女房と二人で頑張れよ」
聖教会騎士団を後に、二人は最後の王国騎士団を訪れる。ここは二人にとっては実家のような場所。今日はウィル卿の遣いで訪れたのだと改まって門を潜った。
「ノアーサちゃん。元気」
王国騎士団の建物に入るなり、女性騎士団長で、助産婦を勤めるリランに声をかけられる。彼女はノアーサの脈を計って、お腹に触れた。
「まだ、赤ちゃんはいないようね」
やられるとは思っていたけど、彼女は、直ぐに行動する人だ。
「よぉ。新婚生活はどうだ」
アルフレッドが声をかける。その兄のアバロンは二人をノアーサの父がいる執務室に案内してくれた。
「ノルマンの話は聞いたよ」
アバロンは案内しながら、二人に話しかける。
「身近だった友人夫婦が、王族になるなんて、僕は複雑で少し寂しい気分だね」
彼は、兄ノルマンと共に、ソマリアの内戦に出陣した。ノルマンとアンの結婚を祝福してくれた同胞でもあり、カノイの両親や、ノアーサの母の死を目撃した一人でもあった。
「君たちが、この王国騎士団を訪れたという事は、来るべき時が来たんだね。君たちの武運を祈っているよ」
総長の執務室の前まで案内すると、アバロンはそう告げた。
二人は改まって、執務室の扉を叩く。中に迎えられ、ウィル卿の護衛騎士として、二人は父である総長と対面した。
「本日。ウィルフォンス卿の遣いで参りました。護衛騎士を勤めるカノイ・フォンミラージュとノアーサ・フォンミラージュです」
カノイがそう答えて義父のノルディックの前にノアーサと二人で並んだ。
義父といえど、職場では王国騎士団の総長。彼も遣いの騎士として二人を見ているに違いない。
「ウィル卿より、王国騎士団への要請です。ご協力を願いたいとのことでした」
カノイはウィル卿から預かった書類を義父の前に提出した。
「ご苦労。確かに受け取った」
ノルディックはそう言うと、カノイの肩を軽く叩く。
「倅よ。そう緊張するな」
『倅』という一声に、カノイは実父と義父が重なって、懐かしさが込み上げてくる。
「カエサルがいたなら、今のお前にそう、言葉をかけたことだろう」
二人の姿に、同じ執務室で秘書を勤めるヘンリエッタが笑みを浮かべる。
彼女は、子供の成長を見守る母のように二人に話しかけた。
「二人とも立派よ。ウィル卿が貴方たちを遣わせたのは、自分の部下をお披露目する意味もあるのよ。」
「ウィル卿に伝えて欲しい。我々、王国騎士団は貴方を支持し、玉座へ導くと」
ノアーサの父が二人にそう告げる。今、王国騎士団はヘンリー国王に賄賂を贈り、密輸や人身売買を行っている貴族を摘発しているという。簒奪の要請が出た事で、王様の側近を逮捕できると話してくれた。
その瞬間、執務室の扉を叩く音がして、アベルが現れる。恐らく、自分の息子たちから二人の事を聞いて駆けつけて来たのだろう。
「新婚夫婦のご訪問に、俺だけ除け者は酷くないか」
冗談めいた事を言いながらも、二人が訪れた事を理解している。
「いよいよだな」
「まず我々は、国王に加担した貴族や重臣、聖職者の逮捕だ」
ノアーサの父が、アベルにそう伝えた。
「用意はできてる。いつでも出動できるようにしておいた」
「長かったわね。この子たちが戻って、今まで止まっていた時が一気に動き出した。この子たちに、あの話をしても良いかしら」
ヘンリエッタはノルディックとアベルを見てそう聞いた。二人は頷く。
「私たち六人は、ウィル卿の母親と、一時期ご縁があった」
六人と言えば、カノイの両親やノアーサの母も含めての事である。
「彼が、エスメラルダ王女の息子だと知ったのは、貴方たちを預けて三年目。彼女に交渉して、子供たちを返して貰うよう私は訴えた。でも、ローズやミランダはそれを拒否したわ。『我が子が戻ったら、領地を没収され、領民を苦しめると』二人は強かった。私なら、領民よりも、自分の子供を優先してしまうのに」
ヘンリエッタが涙交りに語る姿に、夫のアベルが軽く彼女の背中を叩く。
「もう、昔の話だ。二人は無事に戻って来た。あいつらもお前がいてくれて助かったと思うぞ。」
「私、お二人には感謝してます。ですから、自分を責めないで下さい」
ノアーサがクロスフォード夫妻に言葉をかける。
「ありがとうノアーサちゃん」
ウィル卿を国王へと導くために国が動き出した。最早、ヘンリー国王の王位簒奪を反対する者はいなかった。
※
「ノアーサ。そこにいたの」
彼女は、カノイの両親の肖像画を前に立っていた。
「お義父さんとお義母さんに、私たちの無事をお願いしていたの。今日は、簒奪の日。国王は退位を拒んで、宮中に刺客を忍ばせていると聞いたわ。」
カノイも、両親の肖像画を見上げながら、今日の二人の無事を願う。
「きっと、父さんと母さんが僕たちを守ってくれるよ。僕らは、護衛としてウィル卿を玉座まで導く事が、役目だからね」
二人が話していると、執事のロバートが、出勤の時刻だと知らせに来る。
「ノアーサ。行こうか」
カノイに言われ、ノアーサは彼と腕を組んで、部屋を出て行く。
今日、新たな歴史が刻まれる日になる。二人はそう確信した。
※
「我が子らよ。敵とあらば迷わず、斬り捨ててもかまわぬからな」
ウィルフォンス卿の髪の色が、赤毛ではなく、本来の髪色とされる銀髪に戻っていた。
二人を左右に従えて王宮を目指す。
宮廷騎士団が既に、後宮にいる王様の妻子を拘束したとの知らせが入ってきていた。
宮廷騎士団や近衛兵も、ウィル側を指示しているため、近衛兵の一人が玉座まで三人を案内する。
宮中の騎士や使用人の中に、刺客が紛れ混んでいる恐れもある。二人はウィル卿の警護をしながら、ヘンリー国王の玉座へと辿り着いた。
玉座の近辺で、二人は殺意を感じ、王宮の柱や垂れ幕へと音をたてずに走り込む。隠れていた暗殺者たちを一気に、抹殺していった。
二人はウィル卿を庇いながら、左右を見渡して、他にも刺客が隠れていないかを探っている。
「主君。刺客はすべて打ち消しました」
カノイがウィル卿に伝えた。
「ヘンリー息災か」
ウィル卿が、国王へと近づき声をかけた。
この日、二人が対面したヘンリー国王は、阿片に蝕まれ、虚ろな目でウィル卿を見ている。これが三千万もの民の命を奪った国王の姿かと思う程に、頬は痩け、目元は窪み、病人のように窶れていた。
「私が誰だか解るか。甥のウィルフォンスだ」
その言葉に焦点が定まり、ウィル卿を見つめた。
「ウィル。私の事を思って駆け付けて来てくれたのか。お前が来てくれたなら心強い。供に王国を再建しょう」
「残念だが、もう手遅れだ。お前は、国王を剥奪された」
ウィル卿はそう言うと、彼の胸座を掴み、感情を露にして怒鳴り付けた。
「何故、叔父を殺した。お前の父エドワードとは、生前、兄弟仲も良かったと聞いている。弟の忘れ形見として祖父の国王は、甥であるお前を養子に迎え、王子として育てた。それの何が不満だった」
「父の頭文字で、名前が付けられなかったという事は、『父親が認知してくれなかった。』という事だろう。実の兄妹でない事は、名前で解る」
この国の貴族や騎士は、子供に父親の頭文字を付ける風習があった。カノイやノアーサも、父親の頭文字で名付けられている。
「私は従兄弟のエルベルトが、両親や家臣に慕われ、彼の才能が羨ましく、憎くもあった。私が国王の実の子ではないと知ったのは、名前だけでない。使用人たちの影口だ。母は『病弱な父を誑かす情婦』であったと」
「大叔父のエドワードは侍従のヘレンが、自分の子を身籠っていると知らずに他界した。私が、母から聞いた話では、君の両親はとても仲が良く、『余命宣告を受け無ければ、夫婦になっていただろう』と私に話してくれたよ」
アスケニア国、十六代国王エルスリーデには王妃との間に、一男三女、四人の子供がいた。その第三王女、エスメラルダはウィルフォンス卿の母で、隣国タルタハに嫁いでいた。
「ヘンリー。お前は個人の感情で、従兄弟とその親族を殺害。三千万の民を粛清した挙げ句に、今は薬物中毒だ。そんな奴を誰が王と認める」
ウィル卿は、掴んでいたヘンリーを突き放した。彼は力無く床に倒れる。立ち向かう気力も無いのかと思う瞬間に、胸元に隠し持っていた短剣を手にして、ウィル卿を目掛けて襲いかかってきた。
護衛の二人が、ウィル卿を瞬時に庇い、ヘンリーを抑え込む。
彼の短剣を持つ腕を、カノイが捻ると、短剣は床へと落ちた。
「終わったなヘンリー」
ウィル卿はそう言うと、彼を縛り付けるように命令した。
ノアーサが、彼の両腕を後ろ手に縛っている。
「ヘンリー。国王として最後の役目を与える。断頭台で全国民に謝罪しろ。多くの国民を処刑し、親族をも粛清した。その罪を自らの命で償うのだ」
「妃や皇子も殺すのか」
ヘンリーは自分の妻や子を王族から除外しても良いから、命だけは救って欲しいと訴えた。
「叔父一家を殺害して、自分の家族は救えだと。因果応報とは思わないのかね」
縛り付けられて、両膝をつくヘンリーにウィル卿は同情する余地もないと語った。
ノアーサが玉座の扉を開き、数名の宮廷騎士が駆け込んで、ヘンリーを捕らえる。薬がきれたのか、彼は大暴れして捕縛されるのを拒んだ。そんな彼の隙を狙い、カノイが気絶させる。
気絶した状態で、彼は外へと運び出された。やがて、来るべき時を迎えるまで、投獄される事であろう。
アスケニア王国歴五四四年十一月。
こうして国民を苦しめたヘンリー国王は簒奪され、ひとつの時代が幕を降りた。
※
アスケニア王国、十八代国王ヘンリーが簒奪され、投獄されたという知らせは翌朝、新聞の見出しに大きく記載されていた。
簒奪から一夜明けて、カノイは内閣府で新聞を広げて読んでいる。
ヘンリー前国王を投獄した後、ウィル卿は内閣府に新聞記者を呼び、簒奪後の記者会見を行った。その場で、自身が十六代国王エルスリーデの孫である事を公表し、アスケニア国の次王に即位すると宣告した。
「今朝の朝刊、見出しは派手ね」
新聞を読んでいるカノイの横に座って、ノアーサがカップに入ったお茶を差し出す。
「派手なのは、見出しだけじゃないよ。求人や店の広告。広場での催しや、演奏会の日時なども記載されている」
昨日、ウィル卿の警護をしながら二人は、記者会見に同席していた。
ウィル卿は、記者の質問に冗談を交えながら答え、今後の国家運営においては真剣に答えていた。
『新王は、奇策な方で、取材する側を緊張させないように、冗談を多くいっては会見を和やかにしてくれた』と取材人の受けた感想も、新聞には記載されている。
これまで、記載される事を許されなかった上流階級の取材や工場。店の広報に、記事を読んだ国民の反応が、気になるところだ。
「お陰で会見後も、待ち伏せする報道陣で、昨夜は帰れなかったわね」
カノイは、ノアーサが差し出したお茶を、内閣府の執務室で飲みながら一息ついている。
昨夜は、帰宅の出来なかったウィル卿に付き添い、内閣府で二人は一夜を過ごしていた。
「おはよう。待合所の長椅子は腰が痛くて眠れなかった」
気さくにウィル卿が二人の元に朝の挨拶に来る。
「今日は休暇をとる。君らも、簒奪や記者会見の護衛で疲れたろう。今日は帰省して構わんよ」
「おはようございます。今、熱いお茶を用意しますね」
そういってノアーサが主君にお茶を出した。
「私の予想通り。朝刊は、協賛も入って、見出しも賑やかだ。なるほど、記者が私の印象も語っている。実に興味深い」
ノアーサが持って来たお茶を飲みながら、ウィル卿が新聞を手にする。
「国民には、粛清や圧政に怯えて暮らす必要は無いと、会見で伝えたのでね。朝刊を読んだ国民の反応を、是非とも聞きたい」
昨夜は、報道陣が会見後も内閣府の入口で張り込んでいたために、ウィル卿は帰宅を諦めた。そして、翌朝を迎えたのである。
「即位すれば、内閣府で一夜などできぬからなぁ。高等学生にいた頃、仲間とふざけ合って学校で野宿したのを思い出すよ」
ウィル卿は、帰宅出来ず、内閣府で一晩過ごした事を、子供のようにはしゃいで喜んでいる。
「さて、報道陣も帰ったかな」
そういって、彼は窓の外を除き込む。人の姿は無さそうだ。
「屋敷までお送り致します」
カノイがウィル卿に、そう伝えた。簒奪したのは昨日の事。暫くは警護が必要だと判断して、二人は彼の側を離れないようにしていた。
「君らには、迷惑をかける。落ち着いたら、『子作り休暇』を贈ろう。その際は、充分子作りに励んでくれたまえ」
こういう時にでも、冗談をいって、今の状況を楽しんでいるようだ。二人は側に遣えて行くなかで、彼の性格を少しずつ理解して来た。
彼は、王公貴族にしては、威張った所がなく、周りの人たちに対しても腰が低い。そんな彼だからこそ、遣えて行けるのだと二人は思っている。
その後、彼を屋敷へと無事に送り届け、二人も帰路につく。
その数日後、ウィル卿は家族を連れて王宮に移り住んだ。
内閣府を辞職し、アスケニア国十九代国王への即位が、正式に認められ、年明けの五月に戴冠式が行われると教会が発表した。
※
アスケニア国王国歴、五四四年十二月九日ーーー
十年近くに及び、圧政で国民を苦しめ、三千万人もの粛清を行った十八代国王のヘンリーは、この日、広場に設けられた断頭台に立っていた。
投獄先から、断頭台までの距離に多くの国民が集まって来る。周りを兵士によって、護衛されている為に、物を投げる者はいなかったが、多くの罵声は飛んでいた。
そんな国民の声が聞こえているのか、彼は俯き後ろ手に縛られ、牢の馬車で運ばれて断頭台まで来た。
断頭台のある広場を取り囲むように、各騎士団が護衛として立ち、見物人が暴動を起こさないように見張っている。
断頭台の前で、ウィルフォンス卿はカノイとノアーサを従えて彼を迎えた。
「言い残す事は無いか。叔父上」
最後の情けで、ウィル卿は訪ねた。
数日前に、自分の妻子を毒殺したとの知らせを受けた。自分に手をかけてくれた貴族たちも、罪人として処罰されたと聞く。今こうして生き恥を晒すくらいなら、両親や家族の元に直ぐにでも旅立ちたい。
彼は、首を横にふった。
「叔父上、これを」
そう言うと、ノアーサが彼の前に肖像画を出した。
それが自分の両親だと本能で解る。肖像画からは、仲睦まじい両親の姿が伺えた。
「宮中の、収蔵倉に保管されていた。叔父一家の肖像画を探していて、見つけたのだよ。収蔵倉を管理する学芸員に訪ねたら、エドワードと彼専属の侍従、ヘレンに間違いないそうだ。」
「卑怯だ。何故、今まで誰も両親の肖像画があることを教えてくれなかった。死の間際に両親に逢えるとは」
そう言うと、ウィル卿に歯向かってきた。そんな彼を、カノイとノアーサがウィル卿から遠ざけ、掴んで座らせた。座り込んだヘンリーを二人の兵士が槍で押さえ込む。押さえ込まれながら、彼は一人でウィル卿に罵声を浴びせ、暴れて大声で叫び続けた。
「奴を断頭台に」
ウィル卿が、側で押さえ込んでいた兵士に命令するが、ノアーサがそれを止めた。
「間もなく、彼は死にます」
カノイが答える。
ウィル卿の左右に立って、カノイとノアーサは喚き叫ぶヘンリー元国王を冷静に見守っていた。
数分後、ヘンリーは血を吹き倒れる。彼の首に深い斬り傷があった。
カノイとノアーサが、彼をウィル卿から引き離す際に、留目を刺していたようである。彼は自身も斬られた事が解らないまま逝ったようだ。
ヘンリーが前に倒れると、処刑を見届けようと、見物に来ていた民衆から喜びの歓声がわき上がった。
ヘンリー国王の死は、圧政から解放され、国民が自由を得たという喜びに満ちているようであった。
「死んで喜ばれるような王には、なりたくないものだな」
ヘンリーの死体を前にウィル卿が呟く。
「せめてもの情けだ叔父上。墓は両親や家族と共に埋葬させよう」
この国の民を、十二年間苦しませ、三千万人もの民の命を奪ったアスケニア国十八代国王はこうして処刑された。
後に、彼は『廃王』と呼ばれ、歴史に暴君としてその名を刻まれる事となる。
✮ エルスリーデ(十六代アスケニア国王。ウィルフォンスの祖父)
✮エルベルト(エルスリーデ国王の長男。十七代アスケニア国王。ウィルフォンスの叔父)
✮エドワード(エルスリーデ国王の弟。病弱で国の政に関与する事は無く、侍女ヘレンとの間に今の国王、ヘンリーを授かるも、それを知る事の無いまま、他界。)
✮ヘレン(エドワード側近の侍女。エドワードとは相思相愛の仲で、子供も授かったが、出産後に病死。ヘンリー国王の母。)
✮エスメラルダ(愛称はエメルダ。エルスリーデ国王の三女で、エルベルトの妹。ウィルフォンスの母。十六歳で隣国タルタハの王族と政略結婚。嫁いでからも、故郷を思い、兄、エルベルトと連絡を取り合っていた。兄、エルベルトの死後、息子のウィルフォンスを、アスケニアの官僚として送り込む。)
✮ヘンリー(現在、十八代アスケニア国王。ウィルフォンスの叔父。従兄弟にあたるエルベルト国王一家を暗殺。簒奪して国王を名乗り、多くの民を粛清し、貴族の領地。財産等を剥奪し、国民を苦しめる。暴君。)
王都は山岳の村から、丁度、一月遅れで季節が廻ってくる。
この季節は、収穫期で、家畜も肥える季節。カノイが治める領地も、ワインが解禁となり、出荷で領民が忙しく働いていた。
毎年この季節は、出稼ぎが多い。 その労働者はかつて、貴族の領地で働いていた工場の労働者や、職人、商人などの庶民である。
接収により、閉鎖された工場の職人たちは、領地で小さな町工場を開いて、作業を運営し、農機具、馬車、工業機械、武器や宝飾、日用品などを作って生活を運営していた。
彼らは農作業の手伝いをする事で、農機具や日用品を修理したり、新しく注文を受け負ったりが出来る。商人は、収穫の手伝いで、穀物。野菜。肉類。ワインなど、質の良いものを仕入れる事が出来た。
騎士が治める領地は農業。水産業。畜産と食料の生産が中心である。
領地が接収を免れた事で、今の経済が保たれている。それでも、国民全員が救われているとは限らなかった。
カノイとノアーサは、王都のウィル卿の内閣府官邸で護衛騎士を勤め、休暇で領地に来ている。
ノアーサは屋敷の使用人たちと一緒に、収穫の手伝いにきていた人たち全員に、昼食を提供していた。
騎士の所有する領地は、警備が厳しく、領民以外の人が領地に入る場合は、入門許可証が必要となる。また、不法侵入による窃盗や領地で犯罪を犯した者の刑が、他の領地よりも厳しい事で、安心と信頼を得ていた。
貴族ほど広い領地ではないが、領民は職には困らない。子供たちも農繁期でない時期には、学舎に通わせる余裕もあった。
「収穫が終わると、村に芸人や音楽家を呼んで、踊りやお芝居を観賞し、収穫をお祭りしていた頃も、あったのですけどね」
侍従のメアリが、労働者に昼食を配り終えてから、ノアーサにそう話した。
自分たちが住んでいた村も、収穫期が終わると、村人たちが酒や料理を持ち寄り、楽器を演奏して歌い、踊って、収穫を祝っていた。
今の国王は、著名な音楽家や芸術家。その芸術家を支援する貴族やギルドの粛清も行った。音楽。芝居。芸能は、『国民を堕落させる魔物』だと、広場に断頭台を設置し、そこで公開処刑を行った事もある。
前王、 十七代国王のエルベルトは、芝居や音楽、芸能、芸術を愛し、庶民にも普及させた王様であった。
エルベルト国王の時代は、広場に市が並び、そこで演奏や寸劇を行う芸術家たちで町は活気に溢れ、それを楽しむ観光客で王都は賑わっていた。
ノアーサは、子供の頃に広場で見た人形劇を覚えている。神話や昔話。この国で活躍した英雄たちの物語。
そういった子供たちの楽しみさえもヘンリー国王は奪った。彼は、国民を支配する政策しか行っていない。そんな王様もここ数年、国民の前に姿を見せてはいない。
今の王様は、これまでの民主国家から独裁国家へと、国民を支配する国家に国を変えようとした。
「自由に音楽やお芝居を楽しめる時代が来たら、それも考えておくわ」
ノアーサはそう答えた。今、こうして収穫を終え、領民や商人。職人に食事がもてなせるだけでも、この領地は恵まれている。本来求める国民の細やかな楽しみが今、この場所にあった。
※
収穫も無事に終わり、カノイは寝所で、領地の報告書に目を通していた。
「経理は、今後も、執事のローウェンにお願いするとしょう」
収穫量や、労働者に支払った賃金。商人が買い取った野菜や穀物。酒類の買い取り額を見比べながらカノイが呟く。
「私たち、内閣府の護衛でたまにしか領地に帰って来られないものね」
彼と同じベッドで横になっているノアーサが答えた。
「ノアーサ。領地の皆が関心していたよ。領主の奥様はとても気の効く人だって」
手にしていた 資料をベッド脇の棚に置くと、横になっていた彼女を抱きしめ話しかけてきた。
「貴方が、荷運びを手伝う姿を見て、私も何かできないかと。それにお義母さんも、労働者を労って炊き出しを行っていたと聞いたから」
「母さんが生きていたら、君は良い親子関係を築けただろうな。僕や『主君』にも、良く尽くしてくれている。最高の妻だ」
そう話しながら、カノイはノアーサの体を愛撫してゆく。彼女を求め、自分だけが知る彼女の恥部に触れ、気持ちよく反応する声や体が、愛しくてたまらなかった。
肌を重ね、交わった後にカノイはいつものように、胸に抱いて優しく話しかける。
「ノアーサ。年内に今の国王の時代が終わる。主君は簒奪後の国の経済を考えて、動き始めたようだ」
二人はウィル卿の元に送られて来る情報を常に確認している。
二人の結婚式の裏で、領地を返還する事を条件に、町や、閉鎖された工場、道路や建物などの整備をするように話をつけていた。また、それにかかる費用や人件費も援助すると言えば、復旧も早くなるだろう。
「私たちは主君をお守りして、彼を玉座まで導くのが役目よね」
「そうだね。でも、今夜は僕の奥様の役目を忘れないで」
カノイはそう言って、彼女と額を合わせて、唇を重ねる。
二人で簒奪に成功し、ヘンリー国王の時代を終わらせたい。今の二人にとってそれが唯一の願いであった。
※
数日後、二人は王都の内閣府の書庫で書類整理をしている。ウィル卿が今、行っている政策は、公には出来ない事も多く、また、役所でなければ探せない資料も多くあり、二人は警備傍らに、その仕事を請け負っていた。
「我が子らよ。仕事は順調かね」
相変わらず、垢抜けた口調でウィル卿が書庫を訪れる。
「過去に、接収された領地の証文書と、領主の名簿が揃いました」
ノアーサが過去、王様によって接収した領地と領主の証書を提出した。
ウィル卿は、次に接収され放置されている領地や建物の、修繕について調べているカノイに状況を訪ねる。
「町や工場、道路の復旧に置いてですが、十年近く放置されたり、内戦の傷痕で建物を多く解体したとの報告がありました。作業は領民が中心になって、行っているようです。作業員の数も、各領地で報告が来てます」
「流石、我が子ら。教養を積ませただけの評価はある」
ウィル卿は二人を労うように答えた。
「これら工事や、復旧に伴う予算、人件費を見積もれば、多額になりますが、国の税金から支払われる訳ですよね」
カノイがウィル卿に訪ねる。
「無論、そうなる。だが、毎年一割ずつ増税してきた資金。こういう時にこそ、活用せねば」
ウィル卿は、内閣府で国家予算さえも動かせる立場にあるようだ。彼の立場を疑問に思って、カノイが聞いてみる。
「私は内閣府では首相代理みたいなものだ」
ウィル卿の冗談とも思えぬ曖昧な地位に、二人は言葉も出ない。
「我が子らよ。正直言うと、国王は、最早、人形に過ぎない。阿片に体を蝕まれ、王宮から出られないのだ」
ヘンリー国王は、多くの国民を粛清し、圧政や公開処刑を行って、自らの独裁政権を強調したが、それは側近や官僚を失う事にもなった。
そして、三年前から、阿片に溺れ、宮中の庭園で芥子を栽培させ、今は中毒を起こしているという。
「この国が、これまで保てたのは、経済を支える食料、つまり騎士の所有する領地を、剥奪できないようにして、それに関連する鍛冶屋。造船。加工業。商業を運営させる事ができたからだ」
それに関しては、自分たちが、国の人質になることで粛清を免れたと、以前、聞かされている。
「芸術家たちも、工芸品や肖像画家。結婚式の歌や音楽、余興などで活躍できるようにと、手を回したよ。他にも、各職業の専門学舎では給費制度を設け、卒業後に返納していく形で、職人を増やした」
「つまり、主君が王様によって悪化して行く経済を支え、国民を守る最低限の努力を行ってきた訳ですね」
カノイがそう訪ねた。
「それでも救えず、各地で内戦や暴動が起きた。君らの親も、内戦で命を落とす事に。辛い思いをさせた」
そう言うと、ウィル卿は二人に頭を下げる。カノイの父は、自分の領地で枢機卿や宮廷農園の学者などを、匿ってくれていた。その事に、感謝しているとも述べた。
「頭をあげて下さい主君。僕たち二人は、貴方にお仕えできる事に感謝しています」
カノイがウィル卿にそう伝えた。
「我が子らよ。感謝する」
ウィル卿はそう言うと早速、彼らに次の仕事を要求した。
「君たち、各騎士団の総長に、この資料を二人で届けて来て欲しい」
ウィル卿は二人の前に、各騎士団宛の封書を出した。一番近い所では王国騎士団。新たに名乗りを挙げた『聖教会騎士団』の名前もあった。
封書の中身が国王を討伐し、国を簒奪する日時を記すものだと二人は理解した。
※
二人は各、騎士団を周り、今は聖教会騎士団にいる。以前、領地の教会で枢機卿の護衛として仕えていたエルビスを訪ねて来ていた。
「いよいよか。長かった。お前たち、立派になったな」
聖教会騎士団長となったエルビスが二人を迎えてくれた。
「各地に散っていた同胞が、司祭や司教と供に、戻って来たよ。前の教会騎士団は、国王が集めた暗殺者集団だったが、今の俺たちは正当な聖騎士団だ」
エルビスは、そう話しながら、騎士が鍛練に励む広場に二人を案内する。彼が自慢するだけあって、強者揃いである。
「素晴らしい」
カノイはエルビス団長の指揮のもと、集う聖教会騎士団に感激して、その思いを伝えた。
「俺の理想は、お前の父カエサル団長だ。お前も父の名に恥じないように女房と二人で頑張れよ」
聖教会騎士団を後に、二人は最後の王国騎士団を訪れる。ここは二人にとっては実家のような場所。今日はウィル卿の遣いで訪れたのだと改まって門を潜った。
「ノアーサちゃん。元気」
王国騎士団の建物に入るなり、女性騎士団長で、助産婦を勤めるリランに声をかけられる。彼女はノアーサの脈を計って、お腹に触れた。
「まだ、赤ちゃんはいないようね」
やられるとは思っていたけど、彼女は、直ぐに行動する人だ。
「よぉ。新婚生活はどうだ」
アルフレッドが声をかける。その兄のアバロンは二人をノアーサの父がいる執務室に案内してくれた。
「ノルマンの話は聞いたよ」
アバロンは案内しながら、二人に話しかける。
「身近だった友人夫婦が、王族になるなんて、僕は複雑で少し寂しい気分だね」
彼は、兄ノルマンと共に、ソマリアの内戦に出陣した。ノルマンとアンの結婚を祝福してくれた同胞でもあり、カノイの両親や、ノアーサの母の死を目撃した一人でもあった。
「君たちが、この王国騎士団を訪れたという事は、来るべき時が来たんだね。君たちの武運を祈っているよ」
総長の執務室の前まで案内すると、アバロンはそう告げた。
二人は改まって、執務室の扉を叩く。中に迎えられ、ウィル卿の護衛騎士として、二人は父である総長と対面した。
「本日。ウィルフォンス卿の遣いで参りました。護衛騎士を勤めるカノイ・フォンミラージュとノアーサ・フォンミラージュです」
カノイがそう答えて義父のノルディックの前にノアーサと二人で並んだ。
義父といえど、職場では王国騎士団の総長。彼も遣いの騎士として二人を見ているに違いない。
「ウィル卿より、王国騎士団への要請です。ご協力を願いたいとのことでした」
カノイはウィル卿から預かった書類を義父の前に提出した。
「ご苦労。確かに受け取った」
ノルディックはそう言うと、カノイの肩を軽く叩く。
「倅よ。そう緊張するな」
『倅』という一声に、カノイは実父と義父が重なって、懐かしさが込み上げてくる。
「カエサルがいたなら、今のお前にそう、言葉をかけたことだろう」
二人の姿に、同じ執務室で秘書を勤めるヘンリエッタが笑みを浮かべる。
彼女は、子供の成長を見守る母のように二人に話しかけた。
「二人とも立派よ。ウィル卿が貴方たちを遣わせたのは、自分の部下をお披露目する意味もあるのよ。」
「ウィル卿に伝えて欲しい。我々、王国騎士団は貴方を支持し、玉座へ導くと」
ノアーサの父が二人にそう告げる。今、王国騎士団はヘンリー国王に賄賂を贈り、密輸や人身売買を行っている貴族を摘発しているという。簒奪の要請が出た事で、王様の側近を逮捕できると話してくれた。
その瞬間、執務室の扉を叩く音がして、アベルが現れる。恐らく、自分の息子たちから二人の事を聞いて駆けつけて来たのだろう。
「新婚夫婦のご訪問に、俺だけ除け者は酷くないか」
冗談めいた事を言いながらも、二人が訪れた事を理解している。
「いよいよだな」
「まず我々は、国王に加担した貴族や重臣、聖職者の逮捕だ」
ノアーサの父が、アベルにそう伝えた。
「用意はできてる。いつでも出動できるようにしておいた」
「長かったわね。この子たちが戻って、今まで止まっていた時が一気に動き出した。この子たちに、あの話をしても良いかしら」
ヘンリエッタはノルディックとアベルを見てそう聞いた。二人は頷く。
「私たち六人は、ウィル卿の母親と、一時期ご縁があった」
六人と言えば、カノイの両親やノアーサの母も含めての事である。
「彼が、エスメラルダ王女の息子だと知ったのは、貴方たちを預けて三年目。彼女に交渉して、子供たちを返して貰うよう私は訴えた。でも、ローズやミランダはそれを拒否したわ。『我が子が戻ったら、領地を没収され、領民を苦しめると』二人は強かった。私なら、領民よりも、自分の子供を優先してしまうのに」
ヘンリエッタが涙交りに語る姿に、夫のアベルが軽く彼女の背中を叩く。
「もう、昔の話だ。二人は無事に戻って来た。あいつらもお前がいてくれて助かったと思うぞ。」
「私、お二人には感謝してます。ですから、自分を責めないで下さい」
ノアーサがクロスフォード夫妻に言葉をかける。
「ありがとうノアーサちゃん」
ウィル卿を国王へと導くために国が動き出した。最早、ヘンリー国王の王位簒奪を反対する者はいなかった。
※
「ノアーサ。そこにいたの」
彼女は、カノイの両親の肖像画を前に立っていた。
「お義父さんとお義母さんに、私たちの無事をお願いしていたの。今日は、簒奪の日。国王は退位を拒んで、宮中に刺客を忍ばせていると聞いたわ。」
カノイも、両親の肖像画を見上げながら、今日の二人の無事を願う。
「きっと、父さんと母さんが僕たちを守ってくれるよ。僕らは、護衛としてウィル卿を玉座まで導く事が、役目だからね」
二人が話していると、執事のロバートが、出勤の時刻だと知らせに来る。
「ノアーサ。行こうか」
カノイに言われ、ノアーサは彼と腕を組んで、部屋を出て行く。
今日、新たな歴史が刻まれる日になる。二人はそう確信した。
※
「我が子らよ。敵とあらば迷わず、斬り捨ててもかまわぬからな」
ウィルフォンス卿の髪の色が、赤毛ではなく、本来の髪色とされる銀髪に戻っていた。
二人を左右に従えて王宮を目指す。
宮廷騎士団が既に、後宮にいる王様の妻子を拘束したとの知らせが入ってきていた。
宮廷騎士団や近衛兵も、ウィル側を指示しているため、近衛兵の一人が玉座まで三人を案内する。
宮中の騎士や使用人の中に、刺客が紛れ混んでいる恐れもある。二人はウィル卿の警護をしながら、ヘンリー国王の玉座へと辿り着いた。
玉座の近辺で、二人は殺意を感じ、王宮の柱や垂れ幕へと音をたてずに走り込む。隠れていた暗殺者たちを一気に、抹殺していった。
二人はウィル卿を庇いながら、左右を見渡して、他にも刺客が隠れていないかを探っている。
「主君。刺客はすべて打ち消しました」
カノイがウィル卿に伝えた。
「ヘンリー息災か」
ウィル卿が、国王へと近づき声をかけた。
この日、二人が対面したヘンリー国王は、阿片に蝕まれ、虚ろな目でウィル卿を見ている。これが三千万もの民の命を奪った国王の姿かと思う程に、頬は痩け、目元は窪み、病人のように窶れていた。
「私が誰だか解るか。甥のウィルフォンスだ」
その言葉に焦点が定まり、ウィル卿を見つめた。
「ウィル。私の事を思って駆け付けて来てくれたのか。お前が来てくれたなら心強い。供に王国を再建しょう」
「残念だが、もう手遅れだ。お前は、国王を剥奪された」
ウィル卿はそう言うと、彼の胸座を掴み、感情を露にして怒鳴り付けた。
「何故、叔父を殺した。お前の父エドワードとは、生前、兄弟仲も良かったと聞いている。弟の忘れ形見として祖父の国王は、甥であるお前を養子に迎え、王子として育てた。それの何が不満だった」
「父の頭文字で、名前が付けられなかったという事は、『父親が認知してくれなかった。』という事だろう。実の兄妹でない事は、名前で解る」
この国の貴族や騎士は、子供に父親の頭文字を付ける風習があった。カノイやノアーサも、父親の頭文字で名付けられている。
「私は従兄弟のエルベルトが、両親や家臣に慕われ、彼の才能が羨ましく、憎くもあった。私が国王の実の子ではないと知ったのは、名前だけでない。使用人たちの影口だ。母は『病弱な父を誑かす情婦』であったと」
「大叔父のエドワードは侍従のヘレンが、自分の子を身籠っていると知らずに他界した。私が、母から聞いた話では、君の両親はとても仲が良く、『余命宣告を受け無ければ、夫婦になっていただろう』と私に話してくれたよ」
アスケニア国、十六代国王エルスリーデには王妃との間に、一男三女、四人の子供がいた。その第三王女、エスメラルダはウィルフォンス卿の母で、隣国タルタハに嫁いでいた。
「ヘンリー。お前は個人の感情で、従兄弟とその親族を殺害。三千万の民を粛清した挙げ句に、今は薬物中毒だ。そんな奴を誰が王と認める」
ウィル卿は、掴んでいたヘンリーを突き放した。彼は力無く床に倒れる。立ち向かう気力も無いのかと思う瞬間に、胸元に隠し持っていた短剣を手にして、ウィル卿を目掛けて襲いかかってきた。
護衛の二人が、ウィル卿を瞬時に庇い、ヘンリーを抑え込む。
彼の短剣を持つ腕を、カノイが捻ると、短剣は床へと落ちた。
「終わったなヘンリー」
ウィル卿はそう言うと、彼を縛り付けるように命令した。
ノアーサが、彼の両腕を後ろ手に縛っている。
「ヘンリー。国王として最後の役目を与える。断頭台で全国民に謝罪しろ。多くの国民を処刑し、親族をも粛清した。その罪を自らの命で償うのだ」
「妃や皇子も殺すのか」
ヘンリーは自分の妻や子を王族から除外しても良いから、命だけは救って欲しいと訴えた。
「叔父一家を殺害して、自分の家族は救えだと。因果応報とは思わないのかね」
縛り付けられて、両膝をつくヘンリーにウィル卿は同情する余地もないと語った。
ノアーサが玉座の扉を開き、数名の宮廷騎士が駆け込んで、ヘンリーを捕らえる。薬がきれたのか、彼は大暴れして捕縛されるのを拒んだ。そんな彼の隙を狙い、カノイが気絶させる。
気絶した状態で、彼は外へと運び出された。やがて、来るべき時を迎えるまで、投獄される事であろう。
アスケニア王国歴五四四年十一月。
こうして国民を苦しめたヘンリー国王は簒奪され、ひとつの時代が幕を降りた。
※
アスケニア王国、十八代国王ヘンリーが簒奪され、投獄されたという知らせは翌朝、新聞の見出しに大きく記載されていた。
簒奪から一夜明けて、カノイは内閣府で新聞を広げて読んでいる。
ヘンリー前国王を投獄した後、ウィル卿は内閣府に新聞記者を呼び、簒奪後の記者会見を行った。その場で、自身が十六代国王エルスリーデの孫である事を公表し、アスケニア国の次王に即位すると宣告した。
「今朝の朝刊、見出しは派手ね」
新聞を読んでいるカノイの横に座って、ノアーサがカップに入ったお茶を差し出す。
「派手なのは、見出しだけじゃないよ。求人や店の広告。広場での催しや、演奏会の日時なども記載されている」
昨日、ウィル卿の警護をしながら二人は、記者会見に同席していた。
ウィル卿は、記者の質問に冗談を交えながら答え、今後の国家運営においては真剣に答えていた。
『新王は、奇策な方で、取材する側を緊張させないように、冗談を多くいっては会見を和やかにしてくれた』と取材人の受けた感想も、新聞には記載されている。
これまで、記載される事を許されなかった上流階級の取材や工場。店の広報に、記事を読んだ国民の反応が、気になるところだ。
「お陰で会見後も、待ち伏せする報道陣で、昨夜は帰れなかったわね」
カノイは、ノアーサが差し出したお茶を、内閣府の執務室で飲みながら一息ついている。
昨夜は、帰宅の出来なかったウィル卿に付き添い、内閣府で二人は一夜を過ごしていた。
「おはよう。待合所の長椅子は腰が痛くて眠れなかった」
気さくにウィル卿が二人の元に朝の挨拶に来る。
「今日は休暇をとる。君らも、簒奪や記者会見の護衛で疲れたろう。今日は帰省して構わんよ」
「おはようございます。今、熱いお茶を用意しますね」
そういってノアーサが主君にお茶を出した。
「私の予想通り。朝刊は、協賛も入って、見出しも賑やかだ。なるほど、記者が私の印象も語っている。実に興味深い」
ノアーサが持って来たお茶を飲みながら、ウィル卿が新聞を手にする。
「国民には、粛清や圧政に怯えて暮らす必要は無いと、会見で伝えたのでね。朝刊を読んだ国民の反応を、是非とも聞きたい」
昨夜は、報道陣が会見後も内閣府の入口で張り込んでいたために、ウィル卿は帰宅を諦めた。そして、翌朝を迎えたのである。
「即位すれば、内閣府で一夜などできぬからなぁ。高等学生にいた頃、仲間とふざけ合って学校で野宿したのを思い出すよ」
ウィル卿は、帰宅出来ず、内閣府で一晩過ごした事を、子供のようにはしゃいで喜んでいる。
「さて、報道陣も帰ったかな」
そういって、彼は窓の外を除き込む。人の姿は無さそうだ。
「屋敷までお送り致します」
カノイがウィル卿に、そう伝えた。簒奪したのは昨日の事。暫くは警護が必要だと判断して、二人は彼の側を離れないようにしていた。
「君らには、迷惑をかける。落ち着いたら、『子作り休暇』を贈ろう。その際は、充分子作りに励んでくれたまえ」
こういう時にでも、冗談をいって、今の状況を楽しんでいるようだ。二人は側に遣えて行くなかで、彼の性格を少しずつ理解して来た。
彼は、王公貴族にしては、威張った所がなく、周りの人たちに対しても腰が低い。そんな彼だからこそ、遣えて行けるのだと二人は思っている。
その後、彼を屋敷へと無事に送り届け、二人も帰路につく。
その数日後、ウィル卿は家族を連れて王宮に移り住んだ。
内閣府を辞職し、アスケニア国十九代国王への即位が、正式に認められ、年明けの五月に戴冠式が行われると教会が発表した。
※
アスケニア国王国歴、五四四年十二月九日ーーー
十年近くに及び、圧政で国民を苦しめ、三千万人もの粛清を行った十八代国王のヘンリーは、この日、広場に設けられた断頭台に立っていた。
投獄先から、断頭台までの距離に多くの国民が集まって来る。周りを兵士によって、護衛されている為に、物を投げる者はいなかったが、多くの罵声は飛んでいた。
そんな国民の声が聞こえているのか、彼は俯き後ろ手に縛られ、牢の馬車で運ばれて断頭台まで来た。
断頭台のある広場を取り囲むように、各騎士団が護衛として立ち、見物人が暴動を起こさないように見張っている。
断頭台の前で、ウィルフォンス卿はカノイとノアーサを従えて彼を迎えた。
「言い残す事は無いか。叔父上」
最後の情けで、ウィル卿は訪ねた。
数日前に、自分の妻子を毒殺したとの知らせを受けた。自分に手をかけてくれた貴族たちも、罪人として処罰されたと聞く。今こうして生き恥を晒すくらいなら、両親や家族の元に直ぐにでも旅立ちたい。
彼は、首を横にふった。
「叔父上、これを」
そう言うと、ノアーサが彼の前に肖像画を出した。
それが自分の両親だと本能で解る。肖像画からは、仲睦まじい両親の姿が伺えた。
「宮中の、収蔵倉に保管されていた。叔父一家の肖像画を探していて、見つけたのだよ。収蔵倉を管理する学芸員に訪ねたら、エドワードと彼専属の侍従、ヘレンに間違いないそうだ。」
「卑怯だ。何故、今まで誰も両親の肖像画があることを教えてくれなかった。死の間際に両親に逢えるとは」
そう言うと、ウィル卿に歯向かってきた。そんな彼を、カノイとノアーサがウィル卿から遠ざけ、掴んで座らせた。座り込んだヘンリーを二人の兵士が槍で押さえ込む。押さえ込まれながら、彼は一人でウィル卿に罵声を浴びせ、暴れて大声で叫び続けた。
「奴を断頭台に」
ウィル卿が、側で押さえ込んでいた兵士に命令するが、ノアーサがそれを止めた。
「間もなく、彼は死にます」
カノイが答える。
ウィル卿の左右に立って、カノイとノアーサは喚き叫ぶヘンリー元国王を冷静に見守っていた。
数分後、ヘンリーは血を吹き倒れる。彼の首に深い斬り傷があった。
カノイとノアーサが、彼をウィル卿から引き離す際に、留目を刺していたようである。彼は自身も斬られた事が解らないまま逝ったようだ。
ヘンリーが前に倒れると、処刑を見届けようと、見物に来ていた民衆から喜びの歓声がわき上がった。
ヘンリー国王の死は、圧政から解放され、国民が自由を得たという喜びに満ちているようであった。
「死んで喜ばれるような王には、なりたくないものだな」
ヘンリーの死体を前にウィル卿が呟く。
「せめてもの情けだ叔父上。墓は両親や家族と共に埋葬させよう」
この国の民を、十二年間苦しませ、三千万人もの民の命を奪ったアスケニア国十八代国王はこうして処刑された。
後に、彼は『廃王』と呼ばれ、歴史に暴君としてその名を刻まれる事となる。
✮ エルスリーデ(十六代アスケニア国王。ウィルフォンスの祖父)
✮エルベルト(エルスリーデ国王の長男。十七代アスケニア国王。ウィルフォンスの叔父)
✮エドワード(エルスリーデ国王の弟。病弱で国の政に関与する事は無く、侍女ヘレンとの間に今の国王、ヘンリーを授かるも、それを知る事の無いまま、他界。)
✮ヘレン(エドワード側近の侍女。エドワードとは相思相愛の仲で、子供も授かったが、出産後に病死。ヘンリー国王の母。)
✮エスメラルダ(愛称はエメルダ。エルスリーデ国王の三女で、エルベルトの妹。ウィルフォンスの母。十六歳で隣国タルタハの王族と政略結婚。嫁いでからも、故郷を思い、兄、エルベルトと連絡を取り合っていた。兄、エルベルトの死後、息子のウィルフォンスを、アスケニアの官僚として送り込む。)
✮ヘンリー(現在、十八代アスケニア国王。ウィルフォンスの叔父。従兄弟にあたるエルベルト国王一家を暗殺。簒奪して国王を名乗り、多くの民を粛清し、貴族の領地。財産等を剥奪し、国民を苦しめる。暴君。)
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夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
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