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本編
29.敵襲かと思いきや。
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瑞姫の当初の予定は、動きやすいように書物庫で時間を潰そうかと思っていた。その方が騎士団も近い。しかし、先ほどの件は早めにリカルドの耳に入れといた方がいいと思い、話せる時間を空けてもらおうと、瑞姫も一旦部屋に戻ったのだ。聖女の件で話したいことがあるから時間は空くか、と手紙を出せば、直ぐ返事が返ってきた。
「なにかあったか」
――――本人と共に。
魔法陣がいきなり現れるものだから、白昼から、すわ敵襲か!と全員身構えたが、拍子抜けである。お前かよ!と突っ込みがどこからか聞こえてきた。ような気がした。
手紙を読んで直ぐに、こちらに転移してきたらしい。先ほどゆりあに、先触れは出さなきゃだめだよ!と言う注意をしたばかりなのに。
「殿下、女性の部屋に無断で現れるとは何事です」
「!え、あ、す、すまない。その、緊急かと思って、だな」
「先に手紙だけを転移させるとかあるでしょう!お着替え中だったらどうするのです!」
「う……、はい、その、ごめんなさい」
冷静沈着だと思われた侍女のエルだが、リカルドに対して子供を叱るように声を上げるので、瑞姫はそっちの方に驚いた。フォリアも少し驚いているのか、目を丸くしている。リカルドの様子からして、エルには頭が上がらないようだ。格好よく現れたのに残念である。
「仲いいねえ」
「は!申し訳ありません。殿下とは、乳兄弟でして……」
幼少期からこんな感じの仲らしい。ギッ、とエルはリカルドを一睨みし、すぐさま紅茶の準備をする。変わり身の早さはさすが侍女。テキパキと三人分の紅茶を用意し、エルは下がった。瑞姫がリカルドに座るよう促せば、再度謝罪し席に着く。フォリアは瑞姫がぽふぽふと隣を叩くので、そこに座った。
「ゴホン。……それで、聖女の件とは?」
瑞姫は、先ほど起こった出来事を話す。最初は普通に聞いていたリカルドだが、後半につれて眉間にしわが寄り、最後は目元を覆って沈黙した。
「……、――――。まずは……、奇行を止めてくださって感謝する。護衛は、確かに、俺が選んだな。ただ、メラル・バーリンは兄上が途中でねじ込んできた」
「あぁ、そうだろうねー」
「何か知っているのか?」
「メラル・バーリンさんは、元々私の護衛候補の内の一人だったから。聖女の護衛につくのが途中だったのは、そういう経緯があったからかな」
「なるほど、ミズキ様の……」
リカルドは、瑞姫の護衛候補を知らないらしい。本当に、瑞姫とシリウスの間だけでされた話だった。護衛がフォリアに決まった途端、他の護衛候補の話はおじゃんになったので、すぐさまシリウスはねじ込んだのだろう。おそらくは、第二の見張りかなんかだ。
「シリウスは、毒だと気づいたのかも知れないね」
「……兄上は、そういうところがあるからな」
「聖女を利用して王妃様の状態を探ろうとしてたみたいだし……、あれは危険だね」
「だが、クビにするには弱い。せいぜい団員に戻すくらいだ。まあ、その方が団長の監視下に置かれていいかもしれんな」
その意見には、瑞姫もフォリアも賛成する。あれは逆恨みするタイプだ。下手にクビにし野放しにすれば、何をやらかすかわかったものじゃない。
「他の護衛は会ってないから、ちょっとわからないけど……。一度、侍女も調べた方がいいんじゃない?仕事はしてるかも知れないけど……、きちんとした侍女なら、止めてたはずだしねえ」
「あぁ……侍女もか。……確かにそれは、調べないといけないな」
険しい表情をするリカルドの心情は、わかるつもりだ。このくそ忙しいときにくそ面倒なことを、というところだろう。瑞姫がリカルドの立場なら、そう思う。
「一応、大勢の前で釘を刺したけど……、さて、それがどこまで影響があるか、ってところだねぇ」
「あの第二の護衛ですか?」
「あと周りね。せめて、女神が聖女を蔑ろにしてない、って伝わってくれればいいんだけど……」
何故か、女神と聖女の不仲説が流れているのだ。何故かは知らないが。女神が嫌っているとか、聖女が嫌っているとか、そういう噂が流れているのは知っていた。所詮噂だし、王宮内にいる人たちくらいは違うと知っていると思っていたが。瑞姫が王宮内に留まらず、飛び回っていることが拍車をかけ、噂が真実ではないかと思っている人たちがいるらしい。諜報員からの情報だ。勘違いも甚だしいものである。直接聞かれなかったので、否定もできずじまい。まあ、そんな噂に翻弄されると思わず、軽く考え、自分から違うと否定しに行くこともしなかったのもいけなかったのか。あえて場所を移動しなかったのはそのためだ。少しだけ、幼子に言い聞かせるようゆっくりとした口調で諭したことも、効果があってくれればいいが。
「私に相談してね、っていってもよかったんだけど……、私ほぼここにいないしね」
「ミズキ様は動きすぎです」
「全くだ」
別に、瑞姫はゆりあのことは嫌いじゃない。というか、話もほとんどしてないので、嫌いも何もない。初対面があれだったので、少し苦手意識があっただけである。先ほども、護衛にはきつく言ったが、ゆりあに対しては柔らかくを心がけて声にしたつもりではあるが。
相談してね、と言わなかったのは、瑞姫がほぼ王宮に不在だからだ。さすがに夜は帰ってきているが。なので、信用できそうなメラル・バーリンに相談しろと言ったのだ。
「その、――――色々と、感謝はしているが」
色々、の部分に含まれる諸々に対し、瑞姫は微笑むだけにとどめる。
そんな中、コンコンコン、と扉をノックされた。フォリアが立ち上がり外を確認すれば、リカルドの護衛、シゼルが来ているとのことで、中に通す。申し訳なさそうに謝罪しながら瑞姫を見たシゼルは、すぐさま表情を変えてリカルドをひたりと見据えた。
「殿下?護衛を置いていくとはどういうことですか?」
「す、すまん。き、緊急かと思って、だな、その……」
シゼルの口調は、いつもと同じ柔らかなそれだが、若干圧を感じるのは気のせいか。それに関しては、瑞姫が何か言うことはない。というか、何も言えない。瑞姫もフォリアを置いていったからだ。
転移魔法は、どうやらリカルドが発動できるらしく、シゼルはできないようだ。リカルドからかなり遅れてきたのはそのせいである。
「はあ。全く。……それで、話は進んでおりますか?」
とりあえず、大分端折り気味だが、シゼルにも軽く説明すると、頭が痛いと言う風に額を押さえる。
「緊急ではなさそうでしたが……、緊急ですね。まさか護衛が……」
「品行方正だったんだ、あれは。上辺だと見抜けなかった俺の失態だな……」
「いえ、私もです」
リカルドたちによれば、あの第二の護衛……、名前はアルトス・クラインといい、クライン子爵家の長男のようだ。クライン家は、家自体はきな臭いものの、本人はいたって好青年、だったらしい。第二の中では、話が通じる方だそうだ。思わずフォリアと顔を見合わせてしまった。
「そんな面影全然なかったよね」
「ですね。……、功を焦ってぼろが出た、と言うところでしょうか」
「あー……、なんか、あほそうだったもんね」
「ふっ、まあ、そうですね」
瑞姫がアルトスの顔を見て気づかなかったのは、お披露目の日、彼は警備についており、両親とは挨拶に来なかったためである。フォリアが知らないのは、他人に興味なかったというのと、単に、第二と関わりたくなかったからだ。第二(一部)と関わると、フォリア曰く面倒くさいらしい。故に、避けていたそうだ。まあ、あれを見たあとでは、わからなくもない。
と、また瑞姫の部屋がノックされる。今日は来客が多い。またフォリアが確認しに行けば、今度は第三騎士団のメイズ・ライナー。
「っす、女神様ー、シリウス殿下からなんっすけ、ど……、え、で、殿下!?」
「あぁ、いい。気にするな」
リカルドに驚いたのか、ぴんっ、と尻尾と耳が立った。
「メイズ君、昨日ぶり~。どうしたの?」
「え、あ、はい。えっと、スキアーヴォ子爵邸より、呪いの品が出てきたんっすけど、第四騎士団もお手上げで……」
「本来なら、神殿に預ける手はずだが」
「ものすっごい多いんっす、数が。子爵が呪われていたのかはまだわかんないんっすけど、呼んだ神官も顔引きつらせるくらいで……。シリウス殿下にも相談したんっすけど、女神様にも一度見てもらえと。殿下は別件で手が離せないっつーことなんで、俺がそのままきたんっす」
第四騎士団にも解呪できる人間はいるが、圧倒的に少ない。というのも、解呪は光魔法の使い手と呪術師しか会得できないスキルである。呪いが強すぎる品物は、神殿に預けて浄化させるそうだ。ただ、直ぐとはいかず、ゆっくりと浄化させるので、呪いの強さによるが、大抵は一日二、三個が限度らしい。
シリウスが瑞姫にと言うのは、シリウスが第三期師団宛に一筆した
“スキアーヴォ子爵が呪術師に呪いを依頼していた件で、女神様が騎士団に協力してくれることになった”
というものと、あとから変更した
“子爵の件で、女神様が呪いの件で気づいたことがあり、調査に協力してくれることになった。秘密裏に動いていたのは、女神様たっての希望”
という口裏合わせの件が合体し、
“子爵が呪術師に呪いを依頼した件で気づいたことがあり、女神様が自主的に騎士団に協力している”
となったからで(秘密裏に、は王妃の件がそうなればいいだけなので、子爵の件ではいらないということになったのだ)。瑞姫自身も何かあったら協力する、と言ったから、シリウスは瑞姫のもとにメイズを寄越したのだ。
「ていうか、よく子爵って無事だったね……?そんな数の呪いの品が側にあったら、子爵も無事じゃすまないと思うんだけど」
「それは、現在調査中っすね。子爵を尋問中っすけど、吐かねぇんっすよね~」
「そっか」
それはもしかしたら、呪いの品を見ればわかるかも知れない。リカルドを見れば、一つ頷いて立ち上がった。
「ミズキ様、知らせてくれて感謝する。早急に手は打とう」
「うん、よろしくね」
「シゼル、戻るぞ」
「では、ミズキ様、御前失礼いたします」
リカルドの転移魔法で、二人は戻っていった。
瑞姫たちは、すぐさま出かける準備をし、子爵邸まで急いだ。
「なにかあったか」
――――本人と共に。
魔法陣がいきなり現れるものだから、白昼から、すわ敵襲か!と全員身構えたが、拍子抜けである。お前かよ!と突っ込みがどこからか聞こえてきた。ような気がした。
手紙を読んで直ぐに、こちらに転移してきたらしい。先ほどゆりあに、先触れは出さなきゃだめだよ!と言う注意をしたばかりなのに。
「殿下、女性の部屋に無断で現れるとは何事です」
「!え、あ、す、すまない。その、緊急かと思って、だな」
「先に手紙だけを転移させるとかあるでしょう!お着替え中だったらどうするのです!」
「う……、はい、その、ごめんなさい」
冷静沈着だと思われた侍女のエルだが、リカルドに対して子供を叱るように声を上げるので、瑞姫はそっちの方に驚いた。フォリアも少し驚いているのか、目を丸くしている。リカルドの様子からして、エルには頭が上がらないようだ。格好よく現れたのに残念である。
「仲いいねえ」
「は!申し訳ありません。殿下とは、乳兄弟でして……」
幼少期からこんな感じの仲らしい。ギッ、とエルはリカルドを一睨みし、すぐさま紅茶の準備をする。変わり身の早さはさすが侍女。テキパキと三人分の紅茶を用意し、エルは下がった。瑞姫がリカルドに座るよう促せば、再度謝罪し席に着く。フォリアは瑞姫がぽふぽふと隣を叩くので、そこに座った。
「ゴホン。……それで、聖女の件とは?」
瑞姫は、先ほど起こった出来事を話す。最初は普通に聞いていたリカルドだが、後半につれて眉間にしわが寄り、最後は目元を覆って沈黙した。
「……、――――。まずは……、奇行を止めてくださって感謝する。護衛は、確かに、俺が選んだな。ただ、メラル・バーリンは兄上が途中でねじ込んできた」
「あぁ、そうだろうねー」
「何か知っているのか?」
「メラル・バーリンさんは、元々私の護衛候補の内の一人だったから。聖女の護衛につくのが途中だったのは、そういう経緯があったからかな」
「なるほど、ミズキ様の……」
リカルドは、瑞姫の護衛候補を知らないらしい。本当に、瑞姫とシリウスの間だけでされた話だった。護衛がフォリアに決まった途端、他の護衛候補の話はおじゃんになったので、すぐさまシリウスはねじ込んだのだろう。おそらくは、第二の見張りかなんかだ。
「シリウスは、毒だと気づいたのかも知れないね」
「……兄上は、そういうところがあるからな」
「聖女を利用して王妃様の状態を探ろうとしてたみたいだし……、あれは危険だね」
「だが、クビにするには弱い。せいぜい団員に戻すくらいだ。まあ、その方が団長の監視下に置かれていいかもしれんな」
その意見には、瑞姫もフォリアも賛成する。あれは逆恨みするタイプだ。下手にクビにし野放しにすれば、何をやらかすかわかったものじゃない。
「他の護衛は会ってないから、ちょっとわからないけど……。一度、侍女も調べた方がいいんじゃない?仕事はしてるかも知れないけど……、きちんとした侍女なら、止めてたはずだしねえ」
「あぁ……侍女もか。……確かにそれは、調べないといけないな」
険しい表情をするリカルドの心情は、わかるつもりだ。このくそ忙しいときにくそ面倒なことを、というところだろう。瑞姫がリカルドの立場なら、そう思う。
「一応、大勢の前で釘を刺したけど……、さて、それがどこまで影響があるか、ってところだねぇ」
「あの第二の護衛ですか?」
「あと周りね。せめて、女神が聖女を蔑ろにしてない、って伝わってくれればいいんだけど……」
何故か、女神と聖女の不仲説が流れているのだ。何故かは知らないが。女神が嫌っているとか、聖女が嫌っているとか、そういう噂が流れているのは知っていた。所詮噂だし、王宮内にいる人たちくらいは違うと知っていると思っていたが。瑞姫が王宮内に留まらず、飛び回っていることが拍車をかけ、噂が真実ではないかと思っている人たちがいるらしい。諜報員からの情報だ。勘違いも甚だしいものである。直接聞かれなかったので、否定もできずじまい。まあ、そんな噂に翻弄されると思わず、軽く考え、自分から違うと否定しに行くこともしなかったのもいけなかったのか。あえて場所を移動しなかったのはそのためだ。少しだけ、幼子に言い聞かせるようゆっくりとした口調で諭したことも、効果があってくれればいいが。
「私に相談してね、っていってもよかったんだけど……、私ほぼここにいないしね」
「ミズキ様は動きすぎです」
「全くだ」
別に、瑞姫はゆりあのことは嫌いじゃない。というか、話もほとんどしてないので、嫌いも何もない。初対面があれだったので、少し苦手意識があっただけである。先ほども、護衛にはきつく言ったが、ゆりあに対しては柔らかくを心がけて声にしたつもりではあるが。
相談してね、と言わなかったのは、瑞姫がほぼ王宮に不在だからだ。さすがに夜は帰ってきているが。なので、信用できそうなメラル・バーリンに相談しろと言ったのだ。
「その、――――色々と、感謝はしているが」
色々、の部分に含まれる諸々に対し、瑞姫は微笑むだけにとどめる。
そんな中、コンコンコン、と扉をノックされた。フォリアが立ち上がり外を確認すれば、リカルドの護衛、シゼルが来ているとのことで、中に通す。申し訳なさそうに謝罪しながら瑞姫を見たシゼルは、すぐさま表情を変えてリカルドをひたりと見据えた。
「殿下?護衛を置いていくとはどういうことですか?」
「す、すまん。き、緊急かと思って、だな、その……」
シゼルの口調は、いつもと同じ柔らかなそれだが、若干圧を感じるのは気のせいか。それに関しては、瑞姫が何か言うことはない。というか、何も言えない。瑞姫もフォリアを置いていったからだ。
転移魔法は、どうやらリカルドが発動できるらしく、シゼルはできないようだ。リカルドからかなり遅れてきたのはそのせいである。
「はあ。全く。……それで、話は進んでおりますか?」
とりあえず、大分端折り気味だが、シゼルにも軽く説明すると、頭が痛いと言う風に額を押さえる。
「緊急ではなさそうでしたが……、緊急ですね。まさか護衛が……」
「品行方正だったんだ、あれは。上辺だと見抜けなかった俺の失態だな……」
「いえ、私もです」
リカルドたちによれば、あの第二の護衛……、名前はアルトス・クラインといい、クライン子爵家の長男のようだ。クライン家は、家自体はきな臭いものの、本人はいたって好青年、だったらしい。第二の中では、話が通じる方だそうだ。思わずフォリアと顔を見合わせてしまった。
「そんな面影全然なかったよね」
「ですね。……、功を焦ってぼろが出た、と言うところでしょうか」
「あー……、なんか、あほそうだったもんね」
「ふっ、まあ、そうですね」
瑞姫がアルトスの顔を見て気づかなかったのは、お披露目の日、彼は警備についており、両親とは挨拶に来なかったためである。フォリアが知らないのは、他人に興味なかったというのと、単に、第二と関わりたくなかったからだ。第二(一部)と関わると、フォリア曰く面倒くさいらしい。故に、避けていたそうだ。まあ、あれを見たあとでは、わからなくもない。
と、また瑞姫の部屋がノックされる。今日は来客が多い。またフォリアが確認しに行けば、今度は第三騎士団のメイズ・ライナー。
「っす、女神様ー、シリウス殿下からなんっすけ、ど……、え、で、殿下!?」
「あぁ、いい。気にするな」
リカルドに驚いたのか、ぴんっ、と尻尾と耳が立った。
「メイズ君、昨日ぶり~。どうしたの?」
「え、あ、はい。えっと、スキアーヴォ子爵邸より、呪いの品が出てきたんっすけど、第四騎士団もお手上げで……」
「本来なら、神殿に預ける手はずだが」
「ものすっごい多いんっす、数が。子爵が呪われていたのかはまだわかんないんっすけど、呼んだ神官も顔引きつらせるくらいで……。シリウス殿下にも相談したんっすけど、女神様にも一度見てもらえと。殿下は別件で手が離せないっつーことなんで、俺がそのままきたんっす」
第四騎士団にも解呪できる人間はいるが、圧倒的に少ない。というのも、解呪は光魔法の使い手と呪術師しか会得できないスキルである。呪いが強すぎる品物は、神殿に預けて浄化させるそうだ。ただ、直ぐとはいかず、ゆっくりと浄化させるので、呪いの強さによるが、大抵は一日二、三個が限度らしい。
シリウスが瑞姫にと言うのは、シリウスが第三期師団宛に一筆した
“スキアーヴォ子爵が呪術師に呪いを依頼していた件で、女神様が騎士団に協力してくれることになった”
というものと、あとから変更した
“子爵の件で、女神様が呪いの件で気づいたことがあり、調査に協力してくれることになった。秘密裏に動いていたのは、女神様たっての希望”
という口裏合わせの件が合体し、
“子爵が呪術師に呪いを依頼した件で気づいたことがあり、女神様が自主的に騎士団に協力している”
となったからで(秘密裏に、は王妃の件がそうなればいいだけなので、子爵の件ではいらないということになったのだ)。瑞姫自身も何かあったら協力する、と言ったから、シリウスは瑞姫のもとにメイズを寄越したのだ。
「ていうか、よく子爵って無事だったね……?そんな数の呪いの品が側にあったら、子爵も無事じゃすまないと思うんだけど」
「それは、現在調査中っすね。子爵を尋問中っすけど、吐かねぇんっすよね~」
「そっか」
それはもしかしたら、呪いの品を見ればわかるかも知れない。リカルドを見れば、一つ頷いて立ち上がった。
「ミズキ様、知らせてくれて感謝する。早急に手は打とう」
「うん、よろしくね」
「シゼル、戻るぞ」
「では、ミズキ様、御前失礼いたします」
リカルドの転移魔法で、二人は戻っていった。
瑞姫たちは、すぐさま出かける準備をし、子爵邸まで急いだ。
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