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06.新米冒険者を説得せよ 2
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「なあ、イーシャ」
「は、はい。何でしょうか?」
「何でイーシャは冒険者になったんだ?」
「えっ、な、何で、ですか。あの、やっぱり私が冒険者っておかしいでしょうか?」
「いや、別におかしくは無いと思うぞ。単純な興味で聞いてみただけだ、答えたくないのなら、答えなくてもいいさ」
俺の返答に、イーシャは真面目な表情になり、話を始めた。
「……その、さっき、お父さんに魔物の狩りに連れて行ってもらってたってお話しましたよね」
「ああ」
「私の家は12人家族なんですけど、お父さんが魔物を狩った稼ぎで暮らしていたんです。でも、ある日お父さんが大きな怪我をしてしまって……。命に別状はなかったんですけど、魔物を狩る事は出来なくなってしまったんです。それと、お父さんの怪我を治すのに借金ができて、お母さんの稼ぎだけじゃ、借金を返す事は出来なくて。長女の私がお金を稼がないといけないんです」
イーシャは決意の籠もった声で言い切り、杖をギュッと握りしめた。
「なるほどな、でも別に冒険者じゃなくてもよかったんじゃないのか? お金を稼ぐ仕事なら他にもあるだろう?」
「はい、私も最初は体を売ろうと考えていました」
「いや、そう言うつもりで言ったんじゃないんだがな」
「はい、わかっています。ですが、田舎の村で育った私には母の内職を手伝う位しか取り柄がありません。大きく稼ごうと思えば、体を売る位しかないんです。幸いにも身体付きは大人っぽいと言われていたので、この体で家族を養って行くしか無いと思っていました」
確かに胸の成長は凄いと思う、年齢を考えるとミローネを追い越すのではないだろうか。
「でも、冒険者を選んだんだよな?」
「はい、私が15歳になったとき、私に聖者のギフトが宿りました」
「へえ、それはすごいな」
聖者? それってすごいの?
『聖者のギフトは賢者と同格の貴重なギフトです。御伽噺にも出てくるギフトなので、知らない人は殆どいません。純真無垢な者にのみ宿ると言われていますね』
ミローネさん、解説ありがとうございます。
「お父さんに魔物狩りに連れて行って貰っていたので、レベルが上がっていて、スキルポイントも余っていました。私は冒険者になることを決意したんです」
「なるほどな。だけど、スキルを覚えてから近くの魔物で魔法を試さなかったのか?」
「私の村の近くには弱い魔物は殆どいないんです。少し離れた狩場にいる魔物は、私一人で相手をするには厳しい魔物ばかりなんです。村からこの町にも馬車に乗って来たので魔物とは戦いませんでした。ですから、魔物とは戦った経験がなかったんです。足手まといかもしれませんけど、頑張りますのでよろしくお願いします」
イーシャは再び頭を大きく下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
「はい。ところでアキトさんはどうして冒険者になったんですか」
「俺か? 俺は冒険者ギルドの受付嬢が大好きだからだな」
「ええっ、そんな理由なんですか」
「ははっ、本当だぞ」
その部分に関しては絶対に嘘はつきたくないからな。
俺とイーシャは談笑しつつ、魔物の狩りを続けた。
狩りをしながら、さっきのイーシャの話を思い返す。
事情はわかった。だけど、ミローネの話ではイーシャのレベルは……。
『はい、イーシャはどんなに頑張っても、もうレベルが上がらないのです』
イーシャは自分のレベル上限の事を知らないのか?
『レベル上限は私の鑑定のような特殊な方法を使わないと分かりません。それと、イーシャ程レベル上限が低い者は見たことがありません』
そうか。
つまり、イーシャはこのままだとレベルが上がらず、一生低ランクの冒険者を続ける事になると。
『いえ、低ランクの冒険者ではイーシャが希望するほどの額は稼げません。すぐに身売りする事になるでしょう。その前にヘルミナの毒牙にかかることになるでしょうけど』
そうか、だから俺がイーシャを抱くしかないってことなんだよな。
ところで、その、ミローネはいいのか? その、俺がイーシャを抱いても。
『私から提案しておいて、イーシャがアキトさんに抱かれる事に嫉妬すると?』
えっ、あ、はい、そうです。
『ふふっ、嫉妬しますよ』
え、そうなのか。
『はい、私もアキトさんという素晴らしいストレス発散道具を独占したいですからね』
まさかのディルド扱い!
『ふふっ、冗談です。アキトさんは私にとって初めての男ですから、それを独占したいと思うのは当然じゃないですか。でも、私はアキトさんに抱かれると決めた時から、受付嬢の三人を抱いて貰うと決めていました。今更、抱く女が一人増えた所で構いませんよ』
……そうか。俺の方が覚悟が足りていなかったようだな。受付嬢以外も抱くという覚悟が。
『ふふっ、それでこそアキトさんです。後、アキトさんの世界では珍しいのかもしれませんけど、この世界では一人の男が沢山の女を娶るのは普通です。特にアキトさんのギフトが他人に知れ渡ると、種だけ提供しないといけなくなる恐れがあるので気をつけてくださいね』
種馬生活か、それは勘弁願いたいな。
『それともう一つだけ理由があります』
まだあるのか?
ミローネはもったいぶって一拍おき、何やら意味不明な事を話した。
『沢山の女を抱きしもの、偽りの愛の鎖を捨てた時、無限の力が手に入るだろう』
なんだそれは?
『英雄アランの英雄譚に書いてある、アランの強さの秘密に関する一説です。英雄アランと同じ性者のギフトを持つアキトさんは、沢山の女性を抱いておいた方が良いという事です。そう考えると種だけ提供するのも悪くないかもしれませんね』
なるほど、だけど、偽りの愛の鎖を捨てた時って言うのはよくわからないな。それに、種だけ提供するのは勘弁願いたい。受付嬢に種を提供するのなら、喜んでするけど。
『私もアキトさんとする時間が減るのは嫌なので、ある程度厳選はして行こうと思っています』
やっぱり、俺はミローネにとってディルド扱いなんですね。
『ふふっ、イーシャのこと頼みましたよ』
ああ、わかった。
とは言っても、これからイーシャを本格的に説得すると考えると緊張する。なんせ、俺は今から、『君の問題を解決するには俺とセックスして、中出しされればいいんだよ』と言う、説得を行わなければならないわけである。そんな事を普通に話せば、俺はただのやりたいおじさんに過ぎないのだから。
魔物の狩りは日が暮れそうな所で切り上げて、町へと帰った。
ギルドに行って討伐報酬を貰ってから、イーシャと飯に行く。
「今日はありがとうございました。アキトさんのおかげで無事に魔物を倒す事ができました」
イーシャは飯の席で俺に頭を下げた。
「お礼を言うのは俺の方だよ。イーシャが殆ど魔物を倒したんだしな」
そんなイーシャに、これからイーシャがおかれている残酷な現状を伝えないといけないと思うと、結構腹が痛い。
「そんな、アキトさんが魔物を引きつけてくれてたからで、私は魔法を撃ってただけですし」
「それがパーティーってものなんじゃないのかな。俺もパーティー組んだの初めてだからよくわからんが、初日としてはいいんじゃないか。明日はもう少し強い魔物と戦ってみた方がいいかもしれないけど」
「えっと、明日もパーティーを組んで頂けるんですか?」
「ああ、イーシャさえよければだけど」
「は、はい。よろしくお願いします」
再び、イーシャは嬉しそうに頭を下げた。だけど、イーシャが嬉しそうにすればするだけ、俺の腹の痛みが強まっていった。
運ばれてきたご飯を食べ終えて、俺はいよいよ本題を切り出すことにする。
ここで上手く説得出来るかどうかだ。曲がりなりにもイーシャには自分の意思で自分の未来を選択して欲しい。例え、選択肢が一つしかなかったとしても。
「聞きたい事があるんだが」
「何でしょうか?」
「最後にレベルが上がったのはいつか分かるか?」
「最後にレベルが上がったのですか? えっと、お父さんが怪我をする少し前なので、一年ほど前でしょうか」
なるほど、レベル上限に達した後で経験値を殆ど取得できなくなったから、自分の状態に気づかなかったのか。
「そうか、それじゃあ、レベル上限と言うのは知っているか?」
「はい、知っています。生まれつきレベル上限は決まっていて、それ以上はレベルがあがらなくなります」
「そうだな、じゃあ、イーシャは自分のレベル上限を知っているか?」
「私の、ですか? 私自身のレベル上限は知りません。特殊な方法を使わないとレベル上限は分からないと聞いています」
「そうだ、そして、俺はその特殊な方法を持っていて、イーシャのレベル上限がわかるんだ」
ミローネのスキルのおかげだけど、特殊な方法なら嘘じゃないだろう。
「は、はい。……えっ、それって」
俺の言葉を聞いて、イーシャは不安そうな表情になった。カンがいいのか、俺の言いたい事に気づいたのだろうか。
「イーシャ、君のレベル上限は11だ。これ以上はレベルがあがらない」
「……そ、そんなっ、嘘ですよね? 私をからかっているんですよね?」
イーシャの声は震えていて、俺の腹は今日一番に痛くなった。
「嘘じゃない。現にイーシャのレベルは1年近く上がっていないのだろう?」
「そ、それは、魔物と戦ってなかっただけで……」
「イーシャのお父さんが怪我をするまで、レベルが最後に上がってから魔物狩りに連れて貰っていたんだろう? それに、今日も魔物を沢山倒しただろ。俺は今日レベルが上がったぞ。レベル20の俺が。イーシャはレベルが上がったか?」
「……上がってません」
「そう言うことだ」
俺の言った事は少し乱暴な内容だったが、イーシャにも思い当たる節があったのか、今にも泣きそうな顔になって震えている。
「そ、それじゃあ、わ、わたしが、冒険者を続けるのは、難しいってことですか?」
「そうだな。今よりレベルが上がらないんじゃ大きく稼ぐ事は難しい。イーシャの家の借金を返して行くことは難しいだろう」
「そ、そんな……」
俺の言葉を信じたのか、イーシャは血の気のない顔になって震えている。
どうやら、ここまではイーシャを信じさせる事が出来たようだ。だけど、ここからが本番だ。
「一つだけ方法がある」
「な、なんですか、どんな方法ですか?」
イーシャは顔を上げて、すがるような目で俺を見る。
そんな目で見つめられると、これからの話がしづらいのだがな。
「俺に抱かれる事だ」
「……」
イーシャが固まった。
「……えっと、抱かれる、アキトさんに、……ええっ!」
今日一番とも言える大きな声を出して、イーシャが真っ赤な顔になる。
「イーシャ、ここからの話は他言無用だ。それが守れないなら、この話は終わりだ」
こちらは大真面目で話しているのだ。俺のレベル上限上昇のスキルが世間に知られると、不味い事になるとミローネは言っていた。俺としても、気軽に出来る話ではない。
それに今からする話は、考えようによっては、俺がイーシャとやりたいだけの創作話に聞こえるかもしれない。イーシャには真剣に受け止めて貰わないと困るのである。
「は、はい。ごめんなさい」
俺の真剣さが伝わったのか、イーシャも真剣な顔つきになる。
「イーシャは性者というギフトを知っているか? 神聖じゃなくて、性別の方な」
「性者ですか? はい、知っています。御伽噺に出てくる英雄アランが持っていたと言われるギフトです」
「俺はその性者のギフトを持っているんだ。そして、性者のギフトにはレベル上限上昇と言うスキルがある。簡単に言うと、抱くことで相手のレベル上限を上昇させるスキルなんだ」
「……性者、レベル上限上昇。だから、アキトさんに抱かれれば私は冒険者を続けられる。そう言うことなんですか?」
「そうだ」
「そう、ですか」
俺の言葉にイーシャは俯いた。俯いたまま、何やら考え事をしているのか、黙ったままだ。
駄目か……やはり、俺の言葉ではイーシャに信じて貰う事は出来ないのか。
俺がただのやりたいだけの奴だと、イーシャの目には映っているのかもしれない。
ここはやはり、好感度上昇の力に頼るしかないのだろうか。出来れば使いたくないこの力だが、ミローネとの約束がある。
真剣に説得して駄目だった以上は、好感度上昇を使うしかないか。……いや、だが、まてよ。
俺は本当に真剣にイーシャを説得したか? ただ事実を伝えただけじゃないのか?
それに、もし、イーシャが受付嬢だったら、こんな説得をしただろうか? いや、そんなはずはない。もし、イーシャが受付嬢だったら――
「あ、あの、わか――え? アキトさん?」
俺は椅子から降りて、テーブルの横に出て、そのまましゃがみ込み、床に頭をつけて、土下座の体勢を取る。
「イーシャ。お願いだ。俺にイーシャの事を抱かせて欲しい」
「えっ、あの」
何やらイーシャの慌てた声が聞こえるが、俺は更に床に額を擦りつけた。
「イーシャの事を一生面倒見る。だから、俺にイーシャのレベル上限を上げるチャンスが欲しい。お願いだ」
「わかりました。わかりましたから。恥ずかしいから止めてください」
どうやら、俺の渾身の土下座は通じたようだ。
顔を上げると、顔を真っ赤にしたイーシャが見えた。
「もう、そんな事しなくても抱いて貰うつもりだったんですよ」
「へ?」
呆けた返事をした俺に、イーシャは少し呼吸を整えてから言った。
「私、アキトさんに抱かれます。いえ、私の事を抱いてください。お願いします」
イーシャが俺に何度目かわからない頭をさげた。
えっ? 最初から抱いて貰うつもりだったの? それじゃ土下座損ってことか?
「あ、ああ、よろしくお願いします」
俺がぎこちなく返事をして、イーシャの説得は無事?に成功したのだった。
それにしても、もう少し疑ったりすると思ったのだが、イーシャはあっさりと俺の言葉を信じたようだった。
すがるものが一つしかない状況だったからだろうか?
『よくよく考えて見れば、イーシャは聖者のギフトを持ってますからね。聖者のギフトを得る条件は純真無垢であること。イーシャは人を疑うと言うことを知らないのかもしれません』
俺の独り言に突然ミローネが言葉を返す。けっこう慣れてきたな。
なるほど。だけど、それって危険だよな。すぐに人に騙されるって事だろう?
『その辺りは、アキトさんが気をつけてあげてください。一生面倒をみるんでしょう?』
……そうだな。
俺はミローネに言われた通り、イーシャの面倒を一生みるつもりで抱く。それぐらいしか、イーシャの決意に答える方法はないんじゃないかと思う。
食事の後、俺とイーシャは少し高級な宿へと向かった。
「は、はい。何でしょうか?」
「何でイーシャは冒険者になったんだ?」
「えっ、な、何で、ですか。あの、やっぱり私が冒険者っておかしいでしょうか?」
「いや、別におかしくは無いと思うぞ。単純な興味で聞いてみただけだ、答えたくないのなら、答えなくてもいいさ」
俺の返答に、イーシャは真面目な表情になり、話を始めた。
「……その、さっき、お父さんに魔物の狩りに連れて行ってもらってたってお話しましたよね」
「ああ」
「私の家は12人家族なんですけど、お父さんが魔物を狩った稼ぎで暮らしていたんです。でも、ある日お父さんが大きな怪我をしてしまって……。命に別状はなかったんですけど、魔物を狩る事は出来なくなってしまったんです。それと、お父さんの怪我を治すのに借金ができて、お母さんの稼ぎだけじゃ、借金を返す事は出来なくて。長女の私がお金を稼がないといけないんです」
イーシャは決意の籠もった声で言い切り、杖をギュッと握りしめた。
「なるほどな、でも別に冒険者じゃなくてもよかったんじゃないのか? お金を稼ぐ仕事なら他にもあるだろう?」
「はい、私も最初は体を売ろうと考えていました」
「いや、そう言うつもりで言ったんじゃないんだがな」
「はい、わかっています。ですが、田舎の村で育った私には母の内職を手伝う位しか取り柄がありません。大きく稼ごうと思えば、体を売る位しかないんです。幸いにも身体付きは大人っぽいと言われていたので、この体で家族を養って行くしか無いと思っていました」
確かに胸の成長は凄いと思う、年齢を考えるとミローネを追い越すのではないだろうか。
「でも、冒険者を選んだんだよな?」
「はい、私が15歳になったとき、私に聖者のギフトが宿りました」
「へえ、それはすごいな」
聖者? それってすごいの?
『聖者のギフトは賢者と同格の貴重なギフトです。御伽噺にも出てくるギフトなので、知らない人は殆どいません。純真無垢な者にのみ宿ると言われていますね』
ミローネさん、解説ありがとうございます。
「お父さんに魔物狩りに連れて行って貰っていたので、レベルが上がっていて、スキルポイントも余っていました。私は冒険者になることを決意したんです」
「なるほどな。だけど、スキルを覚えてから近くの魔物で魔法を試さなかったのか?」
「私の村の近くには弱い魔物は殆どいないんです。少し離れた狩場にいる魔物は、私一人で相手をするには厳しい魔物ばかりなんです。村からこの町にも馬車に乗って来たので魔物とは戦いませんでした。ですから、魔物とは戦った経験がなかったんです。足手まといかもしれませんけど、頑張りますのでよろしくお願いします」
イーシャは再び頭を大きく下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
「はい。ところでアキトさんはどうして冒険者になったんですか」
「俺か? 俺は冒険者ギルドの受付嬢が大好きだからだな」
「ええっ、そんな理由なんですか」
「ははっ、本当だぞ」
その部分に関しては絶対に嘘はつきたくないからな。
俺とイーシャは談笑しつつ、魔物の狩りを続けた。
狩りをしながら、さっきのイーシャの話を思い返す。
事情はわかった。だけど、ミローネの話ではイーシャのレベルは……。
『はい、イーシャはどんなに頑張っても、もうレベルが上がらないのです』
イーシャは自分のレベル上限の事を知らないのか?
『レベル上限は私の鑑定のような特殊な方法を使わないと分かりません。それと、イーシャ程レベル上限が低い者は見たことがありません』
そうか。
つまり、イーシャはこのままだとレベルが上がらず、一生低ランクの冒険者を続ける事になると。
『いえ、低ランクの冒険者ではイーシャが希望するほどの額は稼げません。すぐに身売りする事になるでしょう。その前にヘルミナの毒牙にかかることになるでしょうけど』
そうか、だから俺がイーシャを抱くしかないってことなんだよな。
ところで、その、ミローネはいいのか? その、俺がイーシャを抱いても。
『私から提案しておいて、イーシャがアキトさんに抱かれる事に嫉妬すると?』
えっ、あ、はい、そうです。
『ふふっ、嫉妬しますよ』
え、そうなのか。
『はい、私もアキトさんという素晴らしいストレス発散道具を独占したいですからね』
まさかのディルド扱い!
『ふふっ、冗談です。アキトさんは私にとって初めての男ですから、それを独占したいと思うのは当然じゃないですか。でも、私はアキトさんに抱かれると決めた時から、受付嬢の三人を抱いて貰うと決めていました。今更、抱く女が一人増えた所で構いませんよ』
……そうか。俺の方が覚悟が足りていなかったようだな。受付嬢以外も抱くという覚悟が。
『ふふっ、それでこそアキトさんです。後、アキトさんの世界では珍しいのかもしれませんけど、この世界では一人の男が沢山の女を娶るのは普通です。特にアキトさんのギフトが他人に知れ渡ると、種だけ提供しないといけなくなる恐れがあるので気をつけてくださいね』
種馬生活か、それは勘弁願いたいな。
『それともう一つだけ理由があります』
まだあるのか?
ミローネはもったいぶって一拍おき、何やら意味不明な事を話した。
『沢山の女を抱きしもの、偽りの愛の鎖を捨てた時、無限の力が手に入るだろう』
なんだそれは?
『英雄アランの英雄譚に書いてある、アランの強さの秘密に関する一説です。英雄アランと同じ性者のギフトを持つアキトさんは、沢山の女性を抱いておいた方が良いという事です。そう考えると種だけ提供するのも悪くないかもしれませんね』
なるほど、だけど、偽りの愛の鎖を捨てた時って言うのはよくわからないな。それに、種だけ提供するのは勘弁願いたい。受付嬢に種を提供するのなら、喜んでするけど。
『私もアキトさんとする時間が減るのは嫌なので、ある程度厳選はして行こうと思っています』
やっぱり、俺はミローネにとってディルド扱いなんですね。
『ふふっ、イーシャのこと頼みましたよ』
ああ、わかった。
とは言っても、これからイーシャを本格的に説得すると考えると緊張する。なんせ、俺は今から、『君の問題を解決するには俺とセックスして、中出しされればいいんだよ』と言う、説得を行わなければならないわけである。そんな事を普通に話せば、俺はただのやりたいおじさんに過ぎないのだから。
魔物の狩りは日が暮れそうな所で切り上げて、町へと帰った。
ギルドに行って討伐報酬を貰ってから、イーシャと飯に行く。
「今日はありがとうございました。アキトさんのおかげで無事に魔物を倒す事ができました」
イーシャは飯の席で俺に頭を下げた。
「お礼を言うのは俺の方だよ。イーシャが殆ど魔物を倒したんだしな」
そんなイーシャに、これからイーシャがおかれている残酷な現状を伝えないといけないと思うと、結構腹が痛い。
「そんな、アキトさんが魔物を引きつけてくれてたからで、私は魔法を撃ってただけですし」
「それがパーティーってものなんじゃないのかな。俺もパーティー組んだの初めてだからよくわからんが、初日としてはいいんじゃないか。明日はもう少し強い魔物と戦ってみた方がいいかもしれないけど」
「えっと、明日もパーティーを組んで頂けるんですか?」
「ああ、イーシャさえよければだけど」
「は、はい。よろしくお願いします」
再び、イーシャは嬉しそうに頭を下げた。だけど、イーシャが嬉しそうにすればするだけ、俺の腹の痛みが強まっていった。
運ばれてきたご飯を食べ終えて、俺はいよいよ本題を切り出すことにする。
ここで上手く説得出来るかどうかだ。曲がりなりにもイーシャには自分の意思で自分の未来を選択して欲しい。例え、選択肢が一つしかなかったとしても。
「聞きたい事があるんだが」
「何でしょうか?」
「最後にレベルが上がったのはいつか分かるか?」
「最後にレベルが上がったのですか? えっと、お父さんが怪我をする少し前なので、一年ほど前でしょうか」
なるほど、レベル上限に達した後で経験値を殆ど取得できなくなったから、自分の状態に気づかなかったのか。
「そうか、それじゃあ、レベル上限と言うのは知っているか?」
「はい、知っています。生まれつきレベル上限は決まっていて、それ以上はレベルがあがらなくなります」
「そうだな、じゃあ、イーシャは自分のレベル上限を知っているか?」
「私の、ですか? 私自身のレベル上限は知りません。特殊な方法を使わないとレベル上限は分からないと聞いています」
「そうだ、そして、俺はその特殊な方法を持っていて、イーシャのレベル上限がわかるんだ」
ミローネのスキルのおかげだけど、特殊な方法なら嘘じゃないだろう。
「は、はい。……えっ、それって」
俺の言葉を聞いて、イーシャは不安そうな表情になった。カンがいいのか、俺の言いたい事に気づいたのだろうか。
「イーシャ、君のレベル上限は11だ。これ以上はレベルがあがらない」
「……そ、そんなっ、嘘ですよね? 私をからかっているんですよね?」
イーシャの声は震えていて、俺の腹は今日一番に痛くなった。
「嘘じゃない。現にイーシャのレベルは1年近く上がっていないのだろう?」
「そ、それは、魔物と戦ってなかっただけで……」
「イーシャのお父さんが怪我をするまで、レベルが最後に上がってから魔物狩りに連れて貰っていたんだろう? それに、今日も魔物を沢山倒しただろ。俺は今日レベルが上がったぞ。レベル20の俺が。イーシャはレベルが上がったか?」
「……上がってません」
「そう言うことだ」
俺の言った事は少し乱暴な内容だったが、イーシャにも思い当たる節があったのか、今にも泣きそうな顔になって震えている。
「そ、それじゃあ、わ、わたしが、冒険者を続けるのは、難しいってことですか?」
「そうだな。今よりレベルが上がらないんじゃ大きく稼ぐ事は難しい。イーシャの家の借金を返して行くことは難しいだろう」
「そ、そんな……」
俺の言葉を信じたのか、イーシャは血の気のない顔になって震えている。
どうやら、ここまではイーシャを信じさせる事が出来たようだ。だけど、ここからが本番だ。
「一つだけ方法がある」
「な、なんですか、どんな方法ですか?」
イーシャは顔を上げて、すがるような目で俺を見る。
そんな目で見つめられると、これからの話がしづらいのだがな。
「俺に抱かれる事だ」
「……」
イーシャが固まった。
「……えっと、抱かれる、アキトさんに、……ええっ!」
今日一番とも言える大きな声を出して、イーシャが真っ赤な顔になる。
「イーシャ、ここからの話は他言無用だ。それが守れないなら、この話は終わりだ」
こちらは大真面目で話しているのだ。俺のレベル上限上昇のスキルが世間に知られると、不味い事になるとミローネは言っていた。俺としても、気軽に出来る話ではない。
それに今からする話は、考えようによっては、俺がイーシャとやりたいだけの創作話に聞こえるかもしれない。イーシャには真剣に受け止めて貰わないと困るのである。
「は、はい。ごめんなさい」
俺の真剣さが伝わったのか、イーシャも真剣な顔つきになる。
「イーシャは性者というギフトを知っているか? 神聖じゃなくて、性別の方な」
「性者ですか? はい、知っています。御伽噺に出てくる英雄アランが持っていたと言われるギフトです」
「俺はその性者のギフトを持っているんだ。そして、性者のギフトにはレベル上限上昇と言うスキルがある。簡単に言うと、抱くことで相手のレベル上限を上昇させるスキルなんだ」
「……性者、レベル上限上昇。だから、アキトさんに抱かれれば私は冒険者を続けられる。そう言うことなんですか?」
「そうだ」
「そう、ですか」
俺の言葉にイーシャは俯いた。俯いたまま、何やら考え事をしているのか、黙ったままだ。
駄目か……やはり、俺の言葉ではイーシャに信じて貰う事は出来ないのか。
俺がただのやりたいだけの奴だと、イーシャの目には映っているのかもしれない。
ここはやはり、好感度上昇の力に頼るしかないのだろうか。出来れば使いたくないこの力だが、ミローネとの約束がある。
真剣に説得して駄目だった以上は、好感度上昇を使うしかないか。……いや、だが、まてよ。
俺は本当に真剣にイーシャを説得したか? ただ事実を伝えただけじゃないのか?
それに、もし、イーシャが受付嬢だったら、こんな説得をしただろうか? いや、そんなはずはない。もし、イーシャが受付嬢だったら――
「あ、あの、わか――え? アキトさん?」
俺は椅子から降りて、テーブルの横に出て、そのまましゃがみ込み、床に頭をつけて、土下座の体勢を取る。
「イーシャ。お願いだ。俺にイーシャの事を抱かせて欲しい」
「えっ、あの」
何やらイーシャの慌てた声が聞こえるが、俺は更に床に額を擦りつけた。
「イーシャの事を一生面倒見る。だから、俺にイーシャのレベル上限を上げるチャンスが欲しい。お願いだ」
「わかりました。わかりましたから。恥ずかしいから止めてください」
どうやら、俺の渾身の土下座は通じたようだ。
顔を上げると、顔を真っ赤にしたイーシャが見えた。
「もう、そんな事しなくても抱いて貰うつもりだったんですよ」
「へ?」
呆けた返事をした俺に、イーシャは少し呼吸を整えてから言った。
「私、アキトさんに抱かれます。いえ、私の事を抱いてください。お願いします」
イーシャが俺に何度目かわからない頭をさげた。
えっ? 最初から抱いて貰うつもりだったの? それじゃ土下座損ってことか?
「あ、ああ、よろしくお願いします」
俺がぎこちなく返事をして、イーシャの説得は無事?に成功したのだった。
それにしても、もう少し疑ったりすると思ったのだが、イーシャはあっさりと俺の言葉を信じたようだった。
すがるものが一つしかない状況だったからだろうか?
『よくよく考えて見れば、イーシャは聖者のギフトを持ってますからね。聖者のギフトを得る条件は純真無垢であること。イーシャは人を疑うと言うことを知らないのかもしれません』
俺の独り言に突然ミローネが言葉を返す。けっこう慣れてきたな。
なるほど。だけど、それって危険だよな。すぐに人に騙されるって事だろう?
『その辺りは、アキトさんが気をつけてあげてください。一生面倒をみるんでしょう?』
……そうだな。
俺はミローネに言われた通り、イーシャの面倒を一生みるつもりで抱く。それぐらいしか、イーシャの決意に答える方法はないんじゃないかと思う。
食事の後、俺とイーシャは少し高級な宿へと向かった。
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エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
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シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
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アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
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その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
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