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16.ミローネの家で会議(修羅場?)
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スーネリアの家を出て冒険者ギルドに行くと、外でイーシャが待っていた。
「あっ、アキトさん、おはようございます」
「おはよう」
「あの、その、上手くいったんですか?」
「イーシャのおかげで上手くいったよ」
「私のおかげ、……えへへ、何か恥ずかしいですね」
そう言われると、イーシャとのセックスのおかげで上手くいったと伝えていた事に気づき、無性に恥ずかしくなった。
「ああ、まあ、そうだな、すまん。……えっと、あれだ。今夜スーネリアと三人でミローネの家に行くことになった」
「三人で、ですか。……なるほど、わかりました」
イーシャは何やら分かったようで、両手の拳をグッと胸の前で握り込んだ。一体、何がわかったんだろうな。
「くふふ、三人で、ですかぁ」
いきなり声をかけられビクリと身体が反応する。声のする方を向くと、オレンジ髪童顔巨乳の受付嬢、トリルが立っていた。全く気配がなかったぞ。
「そういうお話をギルドの前でするのはお勧めしませんよ。誰が聞いてるか分かりませんからねぇ」
トリルはギルドの中を見る。確かにヘルミナに聞かれたら不味い話だった。
「ああ、そうだな。気をつけるよ」
「くふふ、スーネリア先輩も堕としちゃうなんて、アキトさんやりますねぇ。今度、私とも一戦お願い出来ませんか?」
何と、受付嬢からのお誘い、これは断るわけには。
「痛っ」
「アキトさん」
痛みのする腕の方を見ると、イーシャが爽やかな笑顔で俺を見ていた。
「せ、折角のお誘いだが、遠慮しておくよ」
「くふふ、そうですか。残念ですねぇ。それではまた時を見てお誘いさせて頂きます」
俺が泣く泣く誘いを断ると、トリルはギルドの中へと入って行く。
「もう、アキトさんは受付嬢なら誰でもいいんですね」
すまないイーシャ、それは俺の性なんだ。
夜、スーネリアと合流し、イーシャと俺の三人でミローネの家へと向かった。
「スーネリアさん。これから宜しくお願いします。アキトさんの事で分からない事があれば、先輩の私が教えますから何でも聞いて下さいね」
「イーシャちゃん。安心して頂戴。私はアキト様を取ったりしないわ。私はアキト様がイーシャちゃんに与える愛の一滴でも注いで貰えればそれで満足なのよ。ただ、私も大人の女として、それなりに経験はあるから、色々とアドバイスは出来ると思うわ。イーシャちゃんが聞きたい事があったら何でも聞いて頂戴ね」
「ふふふ」
「うふふ」
道中、二人は早速の舌戦を繰り広げている。二人は俺の腕に抱きついているので、自然と俺を挟んでという形になる。
背中が汗でべとべとになるから止めて欲しい。
「いらっしゃい、お待ちしていました」
ミローネの家に着いた俺達は、受付嬢姿のミローネに迎えられ、テーブルの席に着く。
女三人に男一人。
何だろうか、これから始まるの話し合いであって、決して痴情のもつれではないはずなのだが、俺の背中からはじわじわと汗が出続けている。
「さて、今日はこうしてスーネリアに家まで来て貰ったのわけですが、何故呼んだのかはわかっていますね?」
「ええ、わかっているわ。最初にこれだけは言わせて頂戴。謝って許してもらえるものじゃないでしょうけれど、ミローネ、今まで御免なさい」
スーネリアはミローネに頭を下げた。
「スーネリア、頭を上げてください。私はスーネリアがケーナに支配されていると分かっていました。支配されていたのですから、スーネリアが謝る事ではありません」
「でも、私、とても酷い事を貴方にしてしまったわ」
「ふふっ、大丈夫です。私の鬱憤はアキトさんに解消して貰いましたから」
ミローネは俺の方を見た。
スーネリアが俺にイかされまくるのを見物していた奴ですね。ミローネの中ではあれでスーネリアの事は手打ちなのだろう。ミローネがどんな仕打ちを受けていたかは、ミローネからの簡単な説明でしか知らない。ただ、ミローネの雰囲気が昨日よりも軽くなっているよな気はしている。
「うふふ、やっぱり貴方達そういう関係だったのね。でも、私の気がおさまらないわ。何か私に償いをさせて頂戴」
どうやら、スーネリアは少し勘違いしたみたいだったが。そんなスーネリアの勘違いを正さずにミローネは話を続けた。
「それなら、ヘルミナの支配を解くのに協力してください」
「ええ、協力させて。私は何をすればいいかしら」
「ヘルミナの支配を解く布石はもう打ってあります。ですので、スーネリアは支配が解けていることを悟らせないようにして、アキトさんを寝取るのに失敗したと告げてください。そうすれば、ヘルミナは実力行使にでるでしょう」
「わかったわ。でも、ヘルミナは強いわよ? 何か策はあるのかしら」
「大丈夫です。策はあります。そのためにはスーネリアの協力が必要なのです」
「そう、わかったわ。私はヘルミナがアキト様とイーシャちゃんを襲うように誘導すればいいのね」
「はい、お願いします」
どうやら、対ヘルミナの作戦会議は二人の中では終わったらしかった。だけど、俺とイーシャにも分かるように説明して欲しい。イーシャは可愛らしく首を傾げているぞ。
「いや、俺とイーシャが襲われるなんて初耳なのだが」
こくこくとイーシャも首を振って頷いている。
「はい、だってお伝えしてませんから」
「いや、襲われるって、かなり危険な事だと思うのだけれどな」
「それはわかっています。ただ、ヘルミナが実力行使に出るのにも順序と言うものがあるんです」
「順序?」
「はい、スーネリアが私に近づいた男冒険者を寝取る役割なのに対して、ヘルミナは女冒険者担当です。ここまではいいですね」
「ああ」
「ヘルミナは百合と言うギフトの持ち主なのですが、この百合というギフトは同性の女性に対して誘惑するスキルを持っています。そして、既にヘルミナはイーシャに対してスキルを行使しているはずです」
「えっ、そうなの」
「うふふ、そうね。私がアキト様にアプローチをした時、既にヘルミナはイーシャちゃんにアプローチしていたはずよ」
「イーシャ、何かされたのか?」
「えっと、何も変化はありません。ヘルミナさんの事は何とも思ってないです。あっ、でもヘルミナさんとお話をしていた時に天の声が聞こえました。何かの間違いかと思ったんですけど、あれがそうだったんでしょうか?」
「そうですね。その時にヘルミナは同性好感度上昇のスキルを使ったはずです。ですが、アキトさんが先に屈服をイーシャに刻んでいたので、ヘルミナのスキルを無効化したのです」
「屈服ですか?」
イーシャは首をかしげて、ミローネは俺を見る。俺はこくりと頷いた。
「それは俺から説明するよ。俺のスキルには屈服と言うスキルがあるんだけど、このスキルを使うと屈服の呪淫を相手に刻む事が出来るんだ。そして、このスキルは先に精神支配系のスキルが行使されていた場合に、それを無効化する事ができる。その効果で、スーネリアの支配を解いたんだ。イーシャの場合は、屈服は精神支配系のスキルだから、ヘルミナのスキルも防ぐことができたんだ」
「へえ、そうだったんですか」
「屈服の効果は何なのかしら?」
イーシャはそれで納得したようだったが、スーネリアは屈服の効果について聞いてきた。そうだな、イーシャには今更になるけど、説明しない訳にはいかない。
「……屈服の効果は、屈服を刻んだ相手の性的要求を断れなくなることだ」
「何だそんなことなの。アキト様、私はどんな要求でも受け入れますから、決して遠慮しないでくださいね」
俺がためらいがちに屈服の効果を話すと、スーネリアはすぐに自分の考えを話した。
「あのっ、私もどんなエッチな事でもやります。遠慮される方が嫌です」
イーシャもすぐに対抗して手を上げる。
「……ありがとう」
二人が本心から言っている気がして、俺は嬉しくなった。
「ふふっ、よかったですね。モテモテで」
ミローネは俺をニッコリと見つめながら言う。すいません、ちょっと怖いです。
「と言うわけですから、ヘルミナはイーシャをスキルで懐柔する事は出来ません。そして、明日スーネリアからヘルミナに失敗の報告が入ります。この状況になれば、ヘルミナは力尽くでアキトさんを排除して、イーシャを力尽くで手に入れようとするでしょう。お二人に伝えなかったのは下手に演技をさせて、ヘルミナに警戒させない為です」
確かに、先に教えられていたらぎこちない感じでヘルミナと接触していたかもしれない。いや、それよりも排除って。
「排除って物騒だな。まさか殺しに来るとかないよな」
「殺されはしないと思いますが、死んだ方がマシというくらいの拷問は受けるかもしれません」
「えっ、そんなやばい奴なのかヘルミナって」
「いえ、元々のヘルミナはそんな危険な感じではなかったです。ただ、ケーナの支配の影響で、精神のタガが外れていると言えばいいんでしょうか。今まで理性で抑えていたものが表面に出て来てしまっているみたいなのです」
「いや、それって、元からやばい奴だったって事じゃないのか?」
「そうとは限らないでしょう。アキトさんも心の中では受付嬢を無茶苦茶にしたいと思っているでしょう?」
「何を馬鹿な事を言ってるんだ。俺は受付嬢を愛でたい、愛し合いたいと思っているだけだぞ」
「どちらにせよ、受付嬢に対する偏愛を持っているのには変わりありませんよね。アキトさんの理屈だと、アキトさんもやばい奴と言う事になりませんか? ……いえ、アキトさんの場合は理性で押さえ付けられてないので、十分にやばい奴かもしれません」
何故か俺がやばい奴みたいな感じになっているのは心外だが、ミローネの言いたい事はわかった。ヘルミナはケーナの支配の影響で、なんかやばい状態になっているって事だな。
「なるほど、ヘルミナがやばい状態で襲ってくる可能性が高い事はわかったが、それにはどうやって対処するんだ?」
「私がこっそりと着いて行って、アキトさんに加勢します。私の方がヘルミナよりも強いので、私がヘルミナを取り押さえれば、それで私達の勝ちです」
とても単純な作戦だった。いや、別に凝った作戦の方が良いという訳じゃないけども。
「この作戦の一番のネックは、私が冒険者ギルドを離れる所でしたが、スーネリアがこちらの味方になったので、実行可能になりました」
確かに、スーネリアが敵のままだったら、足止めされそうだもんな。あれ? でも――
「それなら、冒険者ギルドでヘルミナを取り押さえるのはダメなのか? スーネリアが味方なら出来るんじゃないか?」
「ギルド内で取り押さえる事は出来ます。ただ、他の職員がいるので、その場合、衛兵などに通報されるでしょう。そうなれば、ヘルミナの支配を解くどころではなくなります。ギルド内でなくても、町中でヘルミナを取り押さえるのはリスクが高いのです。ですから、ヘルミナ自身が町の外へ出て、アキトさん達を襲ってくれると、こちらとしても都合がいいのですよ」
「なるほど、じゃあ俺達はミローネが来るまで持ちこたえればいいんだな」
「そうですね。イーシャの聖結界なら、数分くらい持ちこたえる事は出来るでしょう。ただ、不測の事態は起こりえます。アキトさんも出来るだけレベルをあげておきましょう」
出来るだけレベルをあげるか。とても嫌な予感がするな。
「出来るだけレベルを上げるって、何処まであげるんだ?」
「はい、丁度いいダンジョンがありますから、そこで明日中にレベルを35まで上げてください。早ければ明日にはヘルミナは襲ってくるので、イーシャは魔法を使わずにレベル上げをしてくださいね」
「「ええ……」」
俺とイーシャの声がハモった。
「あの、その、私、魔法が使えないと、何にも出来ないんですけど」
「良い機会です。イーシャも近接戦闘を学びましょう。魔法を主体に戦うと言っても、近接戦闘が出来なくても良いという訳ではありませんからね。回復はアキトさんも使えますから、心配しなくても大丈夫ですよ」
確かに、ミローネの言い分には一理ある。だが、下手すれば、ヘルミナとの戦闘の前にダンジョンで死んでしまうぞ。
「いや、ミローネ。ヘルミナが襲ってくる前にヘトヘトになるのは不味いと思うんだが」
「うーん、そうかもしれませんね。じゃあ、明日はアキトさん一人でダンジョンに潜って貰いましょう。そうすれば、イーシャは消耗する事はないですもんね」
「いや、俺の体力の方は?」
「アキトさんはすぐに体力が回復するじゃないですか」
確かに、体力自体は精力回復の効果で回復するが、精神的な所は回復しないんだぞ。
「あの、私、頑張ります」
俺がミローネに再び反論しようとしたところで、イーシャが頑張ると言う。
イーシャがそう言ってしまえば、俺もそれに続かざる終えない。
「ふふっ、それじゃあアキトさんも頑張ってくださいね」
ミローネが締めて、対ヘルミナの作戦会議は終わりとなった。
ただ、イーシャが別の話を始めた。
「ヘルミナさんの事はわかりました。私も一つ確認したいのですけどいいですか?」
「はい、なんでしょうか」
「スーネリアさんは、アキトさんの女になったと言う事でいいんですか?」
イーシャはスーネリアの方を見て、質問した。
「うふふ、私がアキト様の女なんて恐れ多いわ。私はアキト様の下僕、アキト様がしたいときに身体を捧げる肉便器と言ってもいいわね」
いや、本当にどうしたんですか、スーネリアさん。
『アキトさん、さすがの私も引きますよ』
いや、違うんです。スーネリアが勝手に言ってるんです。
「わかりました。私、負けませんから」
本当にイーシャは何が分かったんだろうか。それと、肉便器と宣言する女に負けないって言うのはどういう事なんだ、イーシャ。
「うふふ」
「ふふふ」
「ふふっ、これで無事解決ですね」
俺の背中に汗が出ている中、ミローネが無理矢理まとめて、話し合いは終わった。
話し合いは終わったが、まだ今日のイベントは終わらなかった。
「さて、それでは、ストレス解消の運動でも始めましょうか」
「うふふ、そうこなくっちゃね」
「はい、私着替えてきます」
三人の女は立ち上がり、俺は一人ポツンと座ったままだ。
「アキトさん、何をぼうっと座ってるんですか。やりますよ」
「あっ、はい、わかりました」
何というか、三人ともいきなり四人でやるって抵抗ないんですか。いや、俺は嬉しいから全然大丈夫なんだけれども。
ミローネとスーネリアに引っ張られ、ベッドのある部屋へと移動する。
イーシャは先に移動していて、受付嬢の制服に着替えている。
これから人生初の四人プレイが始まるようだ。
「あっ、アキトさん、おはようございます」
「おはよう」
「あの、その、上手くいったんですか?」
「イーシャのおかげで上手くいったよ」
「私のおかげ、……えへへ、何か恥ずかしいですね」
そう言われると、イーシャとのセックスのおかげで上手くいったと伝えていた事に気づき、無性に恥ずかしくなった。
「ああ、まあ、そうだな、すまん。……えっと、あれだ。今夜スーネリアと三人でミローネの家に行くことになった」
「三人で、ですか。……なるほど、わかりました」
イーシャは何やら分かったようで、両手の拳をグッと胸の前で握り込んだ。一体、何がわかったんだろうな。
「くふふ、三人で、ですかぁ」
いきなり声をかけられビクリと身体が反応する。声のする方を向くと、オレンジ髪童顔巨乳の受付嬢、トリルが立っていた。全く気配がなかったぞ。
「そういうお話をギルドの前でするのはお勧めしませんよ。誰が聞いてるか分かりませんからねぇ」
トリルはギルドの中を見る。確かにヘルミナに聞かれたら不味い話だった。
「ああ、そうだな。気をつけるよ」
「くふふ、スーネリア先輩も堕としちゃうなんて、アキトさんやりますねぇ。今度、私とも一戦お願い出来ませんか?」
何と、受付嬢からのお誘い、これは断るわけには。
「痛っ」
「アキトさん」
痛みのする腕の方を見ると、イーシャが爽やかな笑顔で俺を見ていた。
「せ、折角のお誘いだが、遠慮しておくよ」
「くふふ、そうですか。残念ですねぇ。それではまた時を見てお誘いさせて頂きます」
俺が泣く泣く誘いを断ると、トリルはギルドの中へと入って行く。
「もう、アキトさんは受付嬢なら誰でもいいんですね」
すまないイーシャ、それは俺の性なんだ。
夜、スーネリアと合流し、イーシャと俺の三人でミローネの家へと向かった。
「スーネリアさん。これから宜しくお願いします。アキトさんの事で分からない事があれば、先輩の私が教えますから何でも聞いて下さいね」
「イーシャちゃん。安心して頂戴。私はアキト様を取ったりしないわ。私はアキト様がイーシャちゃんに与える愛の一滴でも注いで貰えればそれで満足なのよ。ただ、私も大人の女として、それなりに経験はあるから、色々とアドバイスは出来ると思うわ。イーシャちゃんが聞きたい事があったら何でも聞いて頂戴ね」
「ふふふ」
「うふふ」
道中、二人は早速の舌戦を繰り広げている。二人は俺の腕に抱きついているので、自然と俺を挟んでという形になる。
背中が汗でべとべとになるから止めて欲しい。
「いらっしゃい、お待ちしていました」
ミローネの家に着いた俺達は、受付嬢姿のミローネに迎えられ、テーブルの席に着く。
女三人に男一人。
何だろうか、これから始まるの話し合いであって、決して痴情のもつれではないはずなのだが、俺の背中からはじわじわと汗が出続けている。
「さて、今日はこうしてスーネリアに家まで来て貰ったのわけですが、何故呼んだのかはわかっていますね?」
「ええ、わかっているわ。最初にこれだけは言わせて頂戴。謝って許してもらえるものじゃないでしょうけれど、ミローネ、今まで御免なさい」
スーネリアはミローネに頭を下げた。
「スーネリア、頭を上げてください。私はスーネリアがケーナに支配されていると分かっていました。支配されていたのですから、スーネリアが謝る事ではありません」
「でも、私、とても酷い事を貴方にしてしまったわ」
「ふふっ、大丈夫です。私の鬱憤はアキトさんに解消して貰いましたから」
ミローネは俺の方を見た。
スーネリアが俺にイかされまくるのを見物していた奴ですね。ミローネの中ではあれでスーネリアの事は手打ちなのだろう。ミローネがどんな仕打ちを受けていたかは、ミローネからの簡単な説明でしか知らない。ただ、ミローネの雰囲気が昨日よりも軽くなっているよな気はしている。
「うふふ、やっぱり貴方達そういう関係だったのね。でも、私の気がおさまらないわ。何か私に償いをさせて頂戴」
どうやら、スーネリアは少し勘違いしたみたいだったが。そんなスーネリアの勘違いを正さずにミローネは話を続けた。
「それなら、ヘルミナの支配を解くのに協力してください」
「ええ、協力させて。私は何をすればいいかしら」
「ヘルミナの支配を解く布石はもう打ってあります。ですので、スーネリアは支配が解けていることを悟らせないようにして、アキトさんを寝取るのに失敗したと告げてください。そうすれば、ヘルミナは実力行使にでるでしょう」
「わかったわ。でも、ヘルミナは強いわよ? 何か策はあるのかしら」
「大丈夫です。策はあります。そのためにはスーネリアの協力が必要なのです」
「そう、わかったわ。私はヘルミナがアキト様とイーシャちゃんを襲うように誘導すればいいのね」
「はい、お願いします」
どうやら、対ヘルミナの作戦会議は二人の中では終わったらしかった。だけど、俺とイーシャにも分かるように説明して欲しい。イーシャは可愛らしく首を傾げているぞ。
「いや、俺とイーシャが襲われるなんて初耳なのだが」
こくこくとイーシャも首を振って頷いている。
「はい、だってお伝えしてませんから」
「いや、襲われるって、かなり危険な事だと思うのだけれどな」
「それはわかっています。ただ、ヘルミナが実力行使に出るのにも順序と言うものがあるんです」
「順序?」
「はい、スーネリアが私に近づいた男冒険者を寝取る役割なのに対して、ヘルミナは女冒険者担当です。ここまではいいですね」
「ああ」
「ヘルミナは百合と言うギフトの持ち主なのですが、この百合というギフトは同性の女性に対して誘惑するスキルを持っています。そして、既にヘルミナはイーシャに対してスキルを行使しているはずです」
「えっ、そうなの」
「うふふ、そうね。私がアキト様にアプローチをした時、既にヘルミナはイーシャちゃんにアプローチしていたはずよ」
「イーシャ、何かされたのか?」
「えっと、何も変化はありません。ヘルミナさんの事は何とも思ってないです。あっ、でもヘルミナさんとお話をしていた時に天の声が聞こえました。何かの間違いかと思ったんですけど、あれがそうだったんでしょうか?」
「そうですね。その時にヘルミナは同性好感度上昇のスキルを使ったはずです。ですが、アキトさんが先に屈服をイーシャに刻んでいたので、ヘルミナのスキルを無効化したのです」
「屈服ですか?」
イーシャは首をかしげて、ミローネは俺を見る。俺はこくりと頷いた。
「それは俺から説明するよ。俺のスキルには屈服と言うスキルがあるんだけど、このスキルを使うと屈服の呪淫を相手に刻む事が出来るんだ。そして、このスキルは先に精神支配系のスキルが行使されていた場合に、それを無効化する事ができる。その効果で、スーネリアの支配を解いたんだ。イーシャの場合は、屈服は精神支配系のスキルだから、ヘルミナのスキルも防ぐことができたんだ」
「へえ、そうだったんですか」
「屈服の効果は何なのかしら?」
イーシャはそれで納得したようだったが、スーネリアは屈服の効果について聞いてきた。そうだな、イーシャには今更になるけど、説明しない訳にはいかない。
「……屈服の効果は、屈服を刻んだ相手の性的要求を断れなくなることだ」
「何だそんなことなの。アキト様、私はどんな要求でも受け入れますから、決して遠慮しないでくださいね」
俺がためらいがちに屈服の効果を話すと、スーネリアはすぐに自分の考えを話した。
「あのっ、私もどんなエッチな事でもやります。遠慮される方が嫌です」
イーシャもすぐに対抗して手を上げる。
「……ありがとう」
二人が本心から言っている気がして、俺は嬉しくなった。
「ふふっ、よかったですね。モテモテで」
ミローネは俺をニッコリと見つめながら言う。すいません、ちょっと怖いです。
「と言うわけですから、ヘルミナはイーシャをスキルで懐柔する事は出来ません。そして、明日スーネリアからヘルミナに失敗の報告が入ります。この状況になれば、ヘルミナは力尽くでアキトさんを排除して、イーシャを力尽くで手に入れようとするでしょう。お二人に伝えなかったのは下手に演技をさせて、ヘルミナに警戒させない為です」
確かに、先に教えられていたらぎこちない感じでヘルミナと接触していたかもしれない。いや、それよりも排除って。
「排除って物騒だな。まさか殺しに来るとかないよな」
「殺されはしないと思いますが、死んだ方がマシというくらいの拷問は受けるかもしれません」
「えっ、そんなやばい奴なのかヘルミナって」
「いえ、元々のヘルミナはそんな危険な感じではなかったです。ただ、ケーナの支配の影響で、精神のタガが外れていると言えばいいんでしょうか。今まで理性で抑えていたものが表面に出て来てしまっているみたいなのです」
「いや、それって、元からやばい奴だったって事じゃないのか?」
「そうとは限らないでしょう。アキトさんも心の中では受付嬢を無茶苦茶にしたいと思っているでしょう?」
「何を馬鹿な事を言ってるんだ。俺は受付嬢を愛でたい、愛し合いたいと思っているだけだぞ」
「どちらにせよ、受付嬢に対する偏愛を持っているのには変わりありませんよね。アキトさんの理屈だと、アキトさんもやばい奴と言う事になりませんか? ……いえ、アキトさんの場合は理性で押さえ付けられてないので、十分にやばい奴かもしれません」
何故か俺がやばい奴みたいな感じになっているのは心外だが、ミローネの言いたい事はわかった。ヘルミナはケーナの支配の影響で、なんかやばい状態になっているって事だな。
「なるほど、ヘルミナがやばい状態で襲ってくる可能性が高い事はわかったが、それにはどうやって対処するんだ?」
「私がこっそりと着いて行って、アキトさんに加勢します。私の方がヘルミナよりも強いので、私がヘルミナを取り押さえれば、それで私達の勝ちです」
とても単純な作戦だった。いや、別に凝った作戦の方が良いという訳じゃないけども。
「この作戦の一番のネックは、私が冒険者ギルドを離れる所でしたが、スーネリアがこちらの味方になったので、実行可能になりました」
確かに、スーネリアが敵のままだったら、足止めされそうだもんな。あれ? でも――
「それなら、冒険者ギルドでヘルミナを取り押さえるのはダメなのか? スーネリアが味方なら出来るんじゃないか?」
「ギルド内で取り押さえる事は出来ます。ただ、他の職員がいるので、その場合、衛兵などに通報されるでしょう。そうなれば、ヘルミナの支配を解くどころではなくなります。ギルド内でなくても、町中でヘルミナを取り押さえるのはリスクが高いのです。ですから、ヘルミナ自身が町の外へ出て、アキトさん達を襲ってくれると、こちらとしても都合がいいのですよ」
「なるほど、じゃあ俺達はミローネが来るまで持ちこたえればいいんだな」
「そうですね。イーシャの聖結界なら、数分くらい持ちこたえる事は出来るでしょう。ただ、不測の事態は起こりえます。アキトさんも出来るだけレベルをあげておきましょう」
出来るだけレベルをあげるか。とても嫌な予感がするな。
「出来るだけレベルを上げるって、何処まであげるんだ?」
「はい、丁度いいダンジョンがありますから、そこで明日中にレベルを35まで上げてください。早ければ明日にはヘルミナは襲ってくるので、イーシャは魔法を使わずにレベル上げをしてくださいね」
「「ええ……」」
俺とイーシャの声がハモった。
「あの、その、私、魔法が使えないと、何にも出来ないんですけど」
「良い機会です。イーシャも近接戦闘を学びましょう。魔法を主体に戦うと言っても、近接戦闘が出来なくても良いという訳ではありませんからね。回復はアキトさんも使えますから、心配しなくても大丈夫ですよ」
確かに、ミローネの言い分には一理ある。だが、下手すれば、ヘルミナとの戦闘の前にダンジョンで死んでしまうぞ。
「いや、ミローネ。ヘルミナが襲ってくる前にヘトヘトになるのは不味いと思うんだが」
「うーん、そうかもしれませんね。じゃあ、明日はアキトさん一人でダンジョンに潜って貰いましょう。そうすれば、イーシャは消耗する事はないですもんね」
「いや、俺の体力の方は?」
「アキトさんはすぐに体力が回復するじゃないですか」
確かに、体力自体は精力回復の効果で回復するが、精神的な所は回復しないんだぞ。
「あの、私、頑張ります」
俺がミローネに再び反論しようとしたところで、イーシャが頑張ると言う。
イーシャがそう言ってしまえば、俺もそれに続かざる終えない。
「ふふっ、それじゃあアキトさんも頑張ってくださいね」
ミローネが締めて、対ヘルミナの作戦会議は終わりとなった。
ただ、イーシャが別の話を始めた。
「ヘルミナさんの事はわかりました。私も一つ確認したいのですけどいいですか?」
「はい、なんでしょうか」
「スーネリアさんは、アキトさんの女になったと言う事でいいんですか?」
イーシャはスーネリアの方を見て、質問した。
「うふふ、私がアキト様の女なんて恐れ多いわ。私はアキト様の下僕、アキト様がしたいときに身体を捧げる肉便器と言ってもいいわね」
いや、本当にどうしたんですか、スーネリアさん。
『アキトさん、さすがの私も引きますよ』
いや、違うんです。スーネリアが勝手に言ってるんです。
「わかりました。私、負けませんから」
本当にイーシャは何が分かったんだろうか。それと、肉便器と宣言する女に負けないって言うのはどういう事なんだ、イーシャ。
「うふふ」
「ふふふ」
「ふふっ、これで無事解決ですね」
俺の背中に汗が出ている中、ミローネが無理矢理まとめて、話し合いは終わった。
話し合いは終わったが、まだ今日のイベントは終わらなかった。
「さて、それでは、ストレス解消の運動でも始めましょうか」
「うふふ、そうこなくっちゃね」
「はい、私着替えてきます」
三人の女は立ち上がり、俺は一人ポツンと座ったままだ。
「アキトさん、何をぼうっと座ってるんですか。やりますよ」
「あっ、はい、わかりました」
何というか、三人ともいきなり四人でやるって抵抗ないんですか。いや、俺は嬉しいから全然大丈夫なんだけれども。
ミローネとスーネリアに引っ張られ、ベッドのある部屋へと移動する。
イーシャは先に移動していて、受付嬢の制服に着替えている。
これから人生初の四人プレイが始まるようだ。
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ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
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何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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