夢だと思って冒険者ギルドの受付嬢とセックスしたんだが、気づいたら下僕になって、他の受付嬢に屈服セックスする事になった件

優人和成

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28.ケーナ捕縛作戦

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「明日の夕方にはケーナがこっちに着くってさ」

 ダンジョンでレベル上げを終えて外に出ると、ヘルミナから報告があった。

 女冒険者達と協力して、ケーナの動向を探ってくれていたのだ。

「わかりました。ケーナが連れてきた冒険者はどうですか?」

「予想通りの数だよ。Sランクが一組、Aランクが二組だね。だけど、厄介なことにSランクのパーティーは漆黒の羽だよ」

「漆黒の羽ですか。街の外で襲うのは諦めた方がよさそうですね」

「その漆黒の羽はやばい奴らなのか?」

「いえ、戦闘能力はそれ程高くないです。ただ、索敵能力が高いのです。街の外で大人数で待ち伏せを行うのは得策ではありません」

「じゃあ、ギルド内で取り押さえる方向でいくのね?」

「そうですね。ギルドに来ればギルド内で、来なければケーナの家に襲撃します」

 その後、各パーティーの人員とその特徴の報告を受けて、対処方が話し合われた。

 俺が戦う予定のSランクパーティー漆黒の羽は、リーダーのアッシュ、インダス、ウージー、エーファの四人らしい。

 アッシュが剣豪のギフトを持っている攻撃役。インダスが剛健のギフトを持った盾役。ウージーが僧侶と弓手と索敵のギフトを持った遊撃役。エーファが大魔道士と索敵のギフトを持った遠距離火力役だそうだ。

「おそらく、楽勝でしょう。想定していたSランクパーティーの中でも最弱の部類です」

 楽勝だと言っているミローネだが、なぜか表情は明るくない。

「何か気がかりなことがあるのか?」

「……弱すぎるんです。漆黒の羽は索敵能力に特化していて、それだけでSランクに登りつめたのです。戦闘能力はSランク最弱です。私を捕らえるのに適しているとは思えません」

「でも、Aランクのパーティーも二組いるし、スーネリアやヘルミナ達も敵のはずだったんだろう? 十分じゃないか?」

「いえ、仮にその状況だったとしても、10回に1回くらいは返り討ちにすることが可能でしょう。私を捕らえる人選にしては少々甘いと思います」

「ケーナもミローネの実力を完璧に把握している訳じゃないだろう? それにスーネリアも言ってたけど、ケーナが自由に選べるような権限はないんだろう?」

「……そうですね。すみません、私の考えすぎかもしれません。明日はケーナを懲らしめてやりましょう」

 ミローネが少しの懸念を持った以外は、特に何事もなく話し合いは進み、作戦会議は終わった。

 いよいよ明日か。また人と戦うと思うと緊張するな。

「さて、それじゃあ明日への緊張をほぐすために運動でもしましょうか」

「いや、明日戦うんだから、今日は止めておくものじゃないのか?」

「大丈夫ですよ。アキトさんの体力はすぐに回復しますから。それに変に興奮して寝られない方が問題でしょう」

「そうか。ミローネがそう言うなら」

「私もしますからね」

 いつも通り飯を食って、風呂に入り、ミローネの家でセックスをして眠った。

 
 翌日の夕方、冒険者ギルドにいる俺たちはケーナが予定通りに帰ってきたことを聞いた。だけど、

「ケーナはギルドには来ないみたいだね。直接自宅に帰ったそうだよ」

 女冒険者達と連絡を取るヘルミナが険しい顔をしている。

 どうやら、こちらの都合の良いようにはいかないらしい。

 来ない可能性はそれなりにあったけど、いざ来ないとなると嫌な感じだな。

「そうですか。もう日も沈みますから、今日ギルドに来る可能性は低そうですね。ケーナの家に捕らえに行きましょう」

 ミローネが決定を下すと、職員や冒険者達が動き出す。

 俺もイーシャやミローネと一緒に作戦と突入経路を確認していく。

 作戦を確認すると、なんだか余計に不安になってきた。

「やっぱり、ミローネは家で待機していた方がいいんじゃないか? それならイーシャも行かなくて大丈夫だしさ」

「いえ、私の体が無防備に晒されるデメリットはありますけど、憑依の効果時間を考えると私自身が動けた方がいいでしょう。その分イーシャも危険に晒してしまいますけど」

「私なら大丈夫です。私はアキトさんの役に立ちたいんです」

 ミローネの言うことはもっともだ。

 だけど、もし失敗したら……

『ふふっ、大丈夫ですよ。奥の手がありますから』

 なんだよ。そんなのがあるなら最初に言ってくれよ。で、どんな奥の手なんだ?

『それは、いざという時のお楽しみです。奥の手なんて使わない方がいいんですから』

 そうか、そんな気はしてたよ。

 まあ、奥の手があるのなら、大丈夫だろう。

 
 日が完全に沈む前に俺たちはケーナの家の前に集合した。

 俺とミローネとイーシャ、ヘルミナと女冒険者達、スーネリアと男冒険者達、計13人でケーナを捕縛しに行く。

「おそらく、ケーナ達には気づかれているでしょう。ですが、この短時間であちらもそれ程準備が出来ているとは思えません。打ち合わせ通りに行きましょう」

 ミローネの言葉に全員が頷き、強化用のポーションを飲む。

「いきますよ」

 ミローネの合図で、塀を乗り越えて、敷地内に入る。

 ケーナの家の庭はかなり広い。サッカーは無理だけど、フットサルなら余裕で出来そうだ。

 みんな素早く、家へと向かう。

 だが、その途中で、ミローネが声をあげた。

「敵です!」

 ミローネの声に身体が反応し、戦闘態勢へと移行する。

 次の瞬間、俺達は急に光りに照らされた。

 庭全体が明るくなり、その明るさに目が慣れると、家の前に十人以上の人間が立っているのがわかった。

 ミローネの言うとおり、気づかれていたようだ。

「結界を張られましたね」

「どう言うことだ?」

「上を見てください」

 ミローネに言われた通り上を見ると、黄色の薄い膜のようなものが上空を覆っていた。その薄い膜は屋敷の塀の方まで伸びている。

「私たちを逃がさないつもりのようですね。結界を破壊する事は可能だと思いますが、少し時間がかかりそうです。私達が結界を破壊するのを悠長に待ってはくれないでしょう」

「あら、こんな時間に、私の家に何か用かしら?」

 銀髪セミロングの女が一歩前に出て、俺たちに向かって話しかけてきた。

『彼女がケーナです』

 ミローネにそう言われて、ケーナをじっくりと見る。

 残念ながら、受付嬢の制服を着ていない。目つきが鋭くて生足が綺麗な美女だ。受付嬢の制服を着ていたら、素敵なお姉さんだっただろう。

「やることは変わりありません。相手の冒険者を倒して、ケーナを捕縛。アキトさんの力でケーナの根源を打ち砕きます」

 ミローネは力強い声で皆に言って、ケーナの方を向いた。確かに、ミローネの言う通り、今ここでケーナを捕らえるしかないのだろう。逃げ切れる保証もないし、目の前にケーナがいるのだから、捕らえる絶好のチャンスとも言える。

「ケーナ、私は貴方を許しません」

 ミローネは一歩前に出て、ケーナの言葉に応える。

「何を許さないのか分からないけれど、貴方達のしている事は立派な不法侵入よ。捕まえて、衛兵に突き出させて貰うわね」

 冒険者達が、ケーナの前に出て、武器を構えた。

「イーシャ」

「はい」

 イーシャが聖結界を発動する。

『アキトさん、先手必勝です。いきなり行きますよ』

『憑依』

 ミローネがガクリとその場に倒れ、俺にミローネが憑依する。

 俺は身体の制御を失い、ミローネが俺の身体を操って、冒険者達に向かって突撃する。

 漆黒の羽のインダスとアッシュがいの一番に前へ出てきていたが、俺(ミローネ)はそれを無視して、後方にいるウージーに電光石火の攻撃を放つ。

「なっ!」

 俺(ミローネ)の拳がウージーにクリーンヒットし、ウージーは勢いよく吹っ飛び、家の壁に激突した。

 続けざまにウージーの隣にいたエーファに回し蹴りを叩き込む。

「きゃあ!」

 エーファも為す術無く蹴りがあたり、吹っ飛んで家の壁に激突した。

「貴様、よくもエーファを!」

 前に出ていたアッシュが戻って来て、剣を振り下ろす。俺(ミローネ)はそれを軽く躱して、カウンターで相手の顔面に拳をお見舞いする。

「ぐうっ! ……っ」

 放たれた拳は、アッシュの顎を綺麗に捕らえ、アッシュはその場で気を失って崩れ堕ちた。

「むう」

 こちらに突っ込んでこようとしていたインダスは、俺(ミローネ)を警戒して、距離をとる。

「遅いです」

 俺(ミローネ)は一気にインダスとの距離を詰めて、闘気を纏った拳をインダスの腹に打ち込む。

「がはっ! ……っ」

 インダスの身体はくの字に折れ曲がり、そのままガクリと脱力して動かなくなる。

 Sランクの漆黒の羽はあっという間にミローネによって制圧されてしまった。

 ミローネの事前の情報通り、漆黒の羽はとても弱かった。

「力を発揮される前に倒しましたからね。私の力がこれ程まで高いとは相手も思っていなかったはずですから。もっとも、相手が十全に準備をしていても結果は変わりません」

「ぐあっ!」「ぎゃっ!」「うげっ!」

 声のした方を見ると、ヘルミナと女冒険者達が紅の血塊のメンバーをのしている所だった。

「あはは! その程度の腕でAランク? 笑っちゃうね」

 ヘルミナは以前俺と戦った時のように口調がおかしい感じになっている。どうやら、戦闘になると口調が変わるのは元からだったようだ。

「ちょっと、そっちが終わったのなら手伝って頂戴」

 スーネリアとその一味は、ケーナを守っている白炎の後継者達に苦戦しているようだ。

「あはは、わかってるよ」

 ヘルミナ達が加勢し、白炎の後継者達をぼこぼこにしていった。

 数分もたたずに、ケーナが連れてきた冒険者は、ケーナを守っている一人を残して倒れた。

「ケーナ、勝負あったみたいね」

「貴方は?」

 ミローネ、今は俺の身体だぞ。

『おっと、そうでした』

「俺の名前はアキト。ミローネの婚約者だ」

 人の身体使って何口走ってるんですかね。

「婚約者? ふーん、なるほどね。ミローネが強気で攻めて来たのは、貴方がいたからなのね」

「そうだ。大人しく降参しな」

「貴方とっても強いのね。どう? 私の部下にならないかしら? ミローネと結婚するより、遙かに美味しい思いをさせてあげるわよ」

「断る!」

「そう、残念ね。貴方がどれだけ強くても、人類最強ってわけじゃないでしょ?」

「何?」

 ミローネが疑問の声をあげた次の瞬間、ばりんっとガラスが割れたような音が響く。

 何の音だ?

「これは、結界が破壊されたようです。……後ろ!」

 俺(ミローネ)が後ろを振り向くと、目の前に赤髪長髪の女騎士、ウィルダ・アドヴィンクルが目の前に迫っていた。

「くっ!」

 俺(ミローネ)は咄嗟に闘神障壁を展開し、ウィルダの攻撃を防ぐ。

 ウィルダの振るった剣が、身体の目の前で止まり、僅かな間剣と障壁がぶつかり合う。

「きゃあっ」

 だが、障壁が途切れた瞬間、俺の声で野太い悲鳴をあげながら、数メートル程後ろに弾きとばされた。

 何とか体勢を立て直して前を向くと、ウィルダが笑顔を浮かべてこちらを見ている。

「やるな。今の一撃で終わらせるつもりだったんだがな」

「何故? 貴方は、何故ここにいるんですか?」

 単純な疑問。ウィルダ・アドヴィンクルがここにいて、ケーナに加勢しているこの状況をミローネは受け止め切れなかったようで、思わず質問の言葉が飛び出したようだ。

 俺も何故、ウィルダがここにいるのか疑問でしょうがなかった。

「何故? 不法侵入者を捕らえるのはおかしな事ではないだろう?」

「確かに私達は不法侵入を行いました。ですが、騎士団の団長である貴方が、たかが不法侵入ごときで出てくるはずがないでしょう」

「ああ、それはケーナ上官の指示があったからだな。上官の指示に従うのは軍属の者ならおかしな事はないだろう」

「上官?」

「うふ、ミローネ達にはまだ言ってなかったのだけれど、私、今日付でこの町の臨時の代官に任命されたのよ。前任者がちょっと悪さをしちゃったみたいでね」

「そんなっ、まさか!」

 ミローネは驚愕していたが、俺は何に驚いているのかぴんとこなかった。

 代官とウィルダと何の関係があるんだ?

『この町の騎士団は代官に指揮権あるんです。つまり、役職支配の効果が騎士団全体に及んでいる事になります』

 つまり、あれか? この町で働いている役人とか軍人は全てケーナの支配下に置かれたってことか?

『ケーナに何らかの後ろ盾があるとは思っていましたが、まさか代官に押し込める程の力を持っていたなんて……いえ、そういうことですか』

「狙いはウィルダ・アドヴィンクルということですね?」

「あら、少しは頭が切れるのね。ミローネから私の能力を聞いていたのかしら。そうね、折角だから教えてあげる。この町に私がやって来たのはウィルダ・アドヴィンクルを手に入れる為、ミローネはオマケみたいなものよ。ミローネに支配の効果が効かなかったのは予定外だったけれどね。おかげで、オマケを本命を使って仕留める事になっちゃったわ」

 ケーナとミローネの間では何やら分かった感が出ているが、俺は今ひとつ分からない。ウィルダは最強だから、手に入れるに値する人間だとして、唯の受付嬢のミローネをオマケといえど、手に入れる理由はなんだ?

 俺は問いただしたかったが、生憎と口が動かせない。

「話はそれ位でいいだろう? 尋問は捕獲してからすればいいじゃないか」

「あら、そうね。ごめんなさい、貴方の楽しみを邪魔しちゃったわね」

「さあ、続きをやろう!」

 ウィルダは俺(ミローネ)に向かって斬りかかってくる。

 速い!

 ウィルダの一撃をガードしようと、左手をあげた俺(ミローネ)だったが、次の瞬間には、ウィルダの剣が右の脇腹に当たっていた。

 こちらも闘気を纏ってガードしているので、切られはしないが、衝撃は身体に伝わる。そして、右の脇腹に衝撃を受けた次の瞬間には右足、右肩、頭、左肩、左脇腹、左足と連続で攻撃を受ける。

 そして、腹を思いっきり突かれて、イーシャが聖結界を張っている近くまで吹っ飛んだ。

「アキトさん!」

「がはっ!」

 俺(ミローネ)は地面を転がり、身体中に走る激痛に、息をするのも困難だった。

「何だ、さっきのはまぐれだったのか。つまらんな」

 強すぎる。ミローネと合体して、レベルが85あるのに、全く動きが捕らえられなかった。一体ウィルダのレベルはいくつなんだ?

『彼女のレベルは180です。私達がどんなにあがこうが勝てる相手ではありません』

 180。そんな化け物が現れた時点でゲームオーバじゃないか。

『もう、勝てる方法はありませんね』

『憑依解除』

 ミローネは俺への憑依を解除して、自身の身体へと戻る。

「やばいね、囲まれてるよ」

 ヘルミナの声がして、後ろを見ると、騎士団らしき連中が大勢ケーナの家の敷地内に入ってきていた。

「ミローネ、どうするんだ?」

「はい、逃げます」

 こんな状況でどうやって、逃げるんだ。

「あら、逃げられると思っているのかしら?」

 ケーナは余裕の笑みを浮かべて、こちらを見ている。

 周りを騎士団に囲まれていて、相手には最強のウィルダがいる。状況は絶望的だ。

 何故、ここまでして、ミローネを狙う? オマケとはいえ、最強の人間を連れ出してまで、唯の受付嬢のミローネを狙う理由が何処にあるんだ?

 さっきも思った疑問を、今度は口に出して叫んだ。

「何で、ミローネを狙う! ミローネは唯の受付嬢だろ!」

「あら、婚約者なのに、その事はまだ話して貰ってないのね。いいわ、可哀想だから教えてあげる。ミローネの本当の名前は、ミローネ・レセプショニスト。この国の王の娘よ」

 ミローネが王の娘?

「平民の妾の子だけれど、それなりに利用価値のある存在なのよ。まあ、それでもミローネはオマケなのだけれどね」

 ミローネ、本当なのか?

『……はい、本当の事です。今まで黙っていてごめんなさい。ただ、私は王の血こそ引いていますが、平民として育ちました。私に継承権はありませんし、ケーナが何に利用しようとしているのかはわかりません。ケーナの言う通り、ウィルダを手に入れる次いでに私の事を手に入れようとしただけでしょう』

「大人しく私に支配されていれば、こんなに大変な目にあわずにすんだのにね。ミローネ、貴方には支配が効かないみたいだから、たっぷりと調教してあげるわ」

 ケーナはドSな目つきでミローネを見て、舌舐めずりをする。

 おい、ミローネ。アイツはやばいぞ。脱出する方法があるなら、はやく頼む。

『はい、奥の手を使います』

「トリル! いるんでしょう!」

 ミローネが叫んだ。

「くふふ、お呼びですかねぇ」

 その叫びに応えるように声がして、トリルは気づいたら、俺の近くに立っていた。

「アキトさんとイーシャを連れてここから逃げてください。スーネリアとヘルミナ達ははごめんなさい。貴方達を逃がす方法はないわ」

「まあ、しょうがないよね」

「ええ、覚悟していたわ」

「くふふ、お任せください」

 スーネリアとヘルミナは諦めた口調で返事をし、トリルは笑顔で答える。

「おい、俺だけ逃げろっていうのか!」

『命令:イーシャを連れて、トリルと一緒に全力でこの町から出てください』

「ミローネ!」

 ミローネは間髪入れずに俺に命令を下す。

 俺の身体の制御が効かなくなり、イーシャの所へ移動して、イーシャを抱えあげる。

 イーシャは抵抗を試みるが、俺の身体はイーシャをガッシリと抱え上げて、固定する。

「アキトさん、ミローネさん達を置いていくんですか!」

「身体が言う事を効かないんだ!」

「さあ、行きますよ」

 トリルは俺をイーシャ毎抱えあげ、走り出す。

 すごいスピードで騎士団の連中を飛び越えて、逃げていく。

「逃がしはしない」

 だが、ウィルダがもの凄い速さで後ろから迫ってきていた。

「さすがの私もウィルダ・アドヴィンクルには敵いませんねぇ」

 ウィルダとトリルの距離はどんどん縮まっていく。

「まともに戦えばの話ですけどねぇ。『韋駄天』」

 トリルが急に加速し、後ちょっとまで迫っていたウィルダをどんどん引き離す。

 ケーナの家の敷地から脱出し、町の出口へ向かって走り続ける。

「むっ、ここまでか」

 ウィルダはケーナの屋敷からある程度距離が離れた所でこちらの追跡を止めた。

「待ってくれ、ミローネ達をおいて行きたくない。そこまで速いのなら、ミローネ達を助ける事が出来るだろう」

「ウィルダが追跡を諦めたのは、あの場にミローネ先輩が残っているからでしょう。ミローネ先輩を助ければ、ウィルダは何処まででも追いかけてくるでしょうねぇ。私の韋駄天はそんなに長い間持ちませんから、その内ウィルダに追いつかれます。それに重量制限もあります。ミローネ先輩はそれがわかっていたから、アキトさんとイーシャだけを連れて行けといったのですよ」

「でも、今助けに行かないと、ミローネがどんな目にあうかわからない。お願いだ、トリル! ミローネを助けに行ってくれ」

「くふふ、出来ませんねぇ。私はアキトさんにどんなに恨まれようと、アキトさんの命を優先します」

 トリルは走る。

 俺とイーシャを抱えて、俺の言葉を無視して、すごい速さで町の外まで駆け抜けた。
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