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27.キルド内ダンジョンでレベル上げと職員の解放
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俺とミローネとイーシャは、冒険者ギルド内にあるダンジョンに向かっている。
正確には、冒険者ギルドの地下にあるダンジョンだ。
「何でギルドの下にダンジョンがあるんだ?」
「かなり古いダンジョンのようで、入り口が地中に埋まっていたのです。その上にこのギルドが建てられたのですが、あるとき地面が崩れて、たまたまダンジョンの入り口が見つかったみたいですね」
「最初からそこにあったってことか。そもそもダンジョンって何なんだ?」
「実はダンジョンが何かというのは、よくわかっていません。ある日突然地面に入り口が現れ、中を魔物が徘徊しているのです。一度現れた入り口は固定されるため、地面の形状が変わったりすると、埋もれてしまう事もあるみたいですね」
「へえ、不思議なもんだな」
ダンジョンのことを理解するのは諦めよう。そもそも、スキルや魔法なんてよくわからないものが存在している世界だからな。
「ここです」
ある部屋の前でミローネが立ち止まり、扉を開けた。
その扉の先は地下への階段になっていて、下には大きな扉が見える。
「あの扉がダンジョンの入り口です」
階段を降りて扉の目の前にやって来た。
「準備はいいですか?」
「確認しておくが、今日も一日中赤い箱を使ってレベルを上げるって事でいいのか?」
「いえ、その必要はありません。このダンジョンは、赤い箱を使うまでもなく、常時魔物が大量に押し寄せてきますから」
「な、何だと」
つまり、常時赤い箱を使いっぱなしの状態ってことか。
「えっと、それじゃあ何時休めばいいんですか?」
「そのために私がいるじゃないですか。赤い箱の効果時間である一時間を目安に五分の休憩を挟みます。その間は私が一人で魔物を相手しますので、お二人は休んでくださいね」
「は、はい。わかりました」
「一時間戦って、五分休む。このサイクルを今日は8回行います。アキトさんは今日中にレベル43が目標ですね」
「……わかった」
今日中にレベルを8も上げるとか、一体どんな格上の敵と、どれだけの量戦わないといけないのだろうか。考えるだけで憂鬱な気分になるぞ。
まあ、戦いが始まってしまえば、目の前の襲いかかって来る敵をひたすら斬るだけで、余計な事を考えてる暇なんてないのだけれど。
「それでは、行きますよ」
ミローネはダンジョンの扉を開けた。
………………
「ホーリーアロー! ……駄目です、魔物のHPが多くて、一撃では削りきれません」
「おいおい、どれだけ魔物がいるんだよ。赤い箱よりも多いんじゃないのか?」
「いえ、単純にアキトさんとイーシャの殲滅速度がいつもより遅いだけですね」
「アキトさん、右から5体新たに魔物が来ました」
「ええい、次から次へと」
………………
「はっ、せいっ、はあっ」
「はぁはぁ、ミローネさん凄いです。あれだけの魔物を一人で」
「確かに、全部一撃だな」
ミローネってこんなに強かったのか。受付嬢の制服で戦うミローネ。素敵だ。
「……私も、今度から受付嬢の制服で戦おうかな」
「い、いや。それは、どうだろう」
俺は嬉しいが、イーシャの戦闘スタイルからすると、どうだろう。だが、魔法を使って戦う受付嬢か……いいな。
「はあ、今度ミローネさんに制服がどこで売ってるのか教えて貰わないと」
………………
「くっ、せいっ、はあっ、イーシャ、そっちの様子はどうだ?」
「ごめんなさい、もう魔力が切れそうです」
「わかった。少し休め。俺が引き受ける」
「……すみません、お願いします」
………………
「きゃあああっ」
「イーシャ! 今行く」
「ううぅ、すみません」
「落ち込んでる暇は無いぞ。倒さなくても良いから、相手の攻撃を避ける事に専念するんだ」
「はい、わかりました」
「行くぞ。うおおおおお!」
………………
疲れた。その一言に尽きる。
「ううぅ、すみません。私、足手まといで」
イーシャは最後の方は魔力が無くなり、肉弾戦を強いられていた。
その状態になっても、基本ミローネは助けてくれないので、イーシャは剣で戦った。
だが、このダンジョンの魔物はかなり格上だ。イーシャの近接攻撃が通じるはずもなく、俺がイーシャを守りながら一人で戦う事になった。
一度もミローネに助けに入らせなかったのは自分でも自分を褒めてやりたい所だ。
だが、俺に守られていたイーシャは責任を感じているようである。
「イーシャの得意な部分は近接戦闘じゃないんだし、パーティーなんだから、助け合っていくのは当然だろ」
「そうですね……」
俺の言葉にイーシャは歯切れが悪い返事をする。
あれ? なんかまずいこと言ったかな?
「アキトさん、イーシャを甘やかしてはいけませんよ」
俺の中では気の利いたセリフのつもりだったのだが、ミローネにダメ出しをされた。
「イーシャ、落ち込んでいてもしょうがありませんよ。アキトさんの隣にずっと居たいのでしょう? イーシャにはその資格はあると思いますけど、少しでも立ち止まるとついて行けなくなりますよ」
「……はい、わかりました」
ミローネの言葉にイーシャは力強く答えた。甘やかしてるつもりはなかったのだが、言葉って難しいな。それに、俺も俺がイーシャを守ればそれでいいと思っていたかもしれない。いやあ、難しいな。
ダンジョンでのレベル上げが終わったら、職員の解放を行う。
スーネリアが一人ずつ空き部屋に連れてきて、ヘルミナとミローネがボコボコにして、俺が最後に気絶させる。
「止めて! 何でこんな酷いことするのよ!」
目の前でヘルミナとミローネに拘束されている職員は、俺を睨んでいる。
俺はスキル『失心拳』を使って、目の前の職員の腹を殴った。
「ぐうっ! ……絶対に……ゆるさ……」
腹を殴られた職員は、憎しみのこもった言葉を言い残して気絶する。
やっぱり、気分は悪いな。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫……いや、やっぱりちょっと気分が悪い」
「……やっぱり止めておきますか?」
「いや、やるよ。でもその前に抱きしめて欲しい」
「ふふっ、わかりました」
ミローネは俺を優しく抱きしめてくれる。
良い匂いがして、制服越しでも柔らかいミローネの体に埋もれ、精神力が一瞬で回復した。
「いやあ、アツいねお二人さん」
「……ヘルミナを今度抱く時は、徹底的に喉に出してあげてくださいね」
「ああ、わかった」
「ええっ、ちょっと待ってよ」
少しして、目を覚ました職員にお礼を言われた。やっぱり、殴ってよかったと思う。
その後、皆でご飯を食べて、家に帰ってセックスをして、ぐっすりと寝た。
こんな生活を三日ほど繰り返した翌日。
遂にケーナが帰って来たのだった。
正確には、冒険者ギルドの地下にあるダンジョンだ。
「何でギルドの下にダンジョンがあるんだ?」
「かなり古いダンジョンのようで、入り口が地中に埋まっていたのです。その上にこのギルドが建てられたのですが、あるとき地面が崩れて、たまたまダンジョンの入り口が見つかったみたいですね」
「最初からそこにあったってことか。そもそもダンジョンって何なんだ?」
「実はダンジョンが何かというのは、よくわかっていません。ある日突然地面に入り口が現れ、中を魔物が徘徊しているのです。一度現れた入り口は固定されるため、地面の形状が変わったりすると、埋もれてしまう事もあるみたいですね」
「へえ、不思議なもんだな」
ダンジョンのことを理解するのは諦めよう。そもそも、スキルや魔法なんてよくわからないものが存在している世界だからな。
「ここです」
ある部屋の前でミローネが立ち止まり、扉を開けた。
その扉の先は地下への階段になっていて、下には大きな扉が見える。
「あの扉がダンジョンの入り口です」
階段を降りて扉の目の前にやって来た。
「準備はいいですか?」
「確認しておくが、今日も一日中赤い箱を使ってレベルを上げるって事でいいのか?」
「いえ、その必要はありません。このダンジョンは、赤い箱を使うまでもなく、常時魔物が大量に押し寄せてきますから」
「な、何だと」
つまり、常時赤い箱を使いっぱなしの状態ってことか。
「えっと、それじゃあ何時休めばいいんですか?」
「そのために私がいるじゃないですか。赤い箱の効果時間である一時間を目安に五分の休憩を挟みます。その間は私が一人で魔物を相手しますので、お二人は休んでくださいね」
「は、はい。わかりました」
「一時間戦って、五分休む。このサイクルを今日は8回行います。アキトさんは今日中にレベル43が目標ですね」
「……わかった」
今日中にレベルを8も上げるとか、一体どんな格上の敵と、どれだけの量戦わないといけないのだろうか。考えるだけで憂鬱な気分になるぞ。
まあ、戦いが始まってしまえば、目の前の襲いかかって来る敵をひたすら斬るだけで、余計な事を考えてる暇なんてないのだけれど。
「それでは、行きますよ」
ミローネはダンジョンの扉を開けた。
………………
「ホーリーアロー! ……駄目です、魔物のHPが多くて、一撃では削りきれません」
「おいおい、どれだけ魔物がいるんだよ。赤い箱よりも多いんじゃないのか?」
「いえ、単純にアキトさんとイーシャの殲滅速度がいつもより遅いだけですね」
「アキトさん、右から5体新たに魔物が来ました」
「ええい、次から次へと」
………………
「はっ、せいっ、はあっ」
「はぁはぁ、ミローネさん凄いです。あれだけの魔物を一人で」
「確かに、全部一撃だな」
ミローネってこんなに強かったのか。受付嬢の制服で戦うミローネ。素敵だ。
「……私も、今度から受付嬢の制服で戦おうかな」
「い、いや。それは、どうだろう」
俺は嬉しいが、イーシャの戦闘スタイルからすると、どうだろう。だが、魔法を使って戦う受付嬢か……いいな。
「はあ、今度ミローネさんに制服がどこで売ってるのか教えて貰わないと」
………………
「くっ、せいっ、はあっ、イーシャ、そっちの様子はどうだ?」
「ごめんなさい、もう魔力が切れそうです」
「わかった。少し休め。俺が引き受ける」
「……すみません、お願いします」
………………
「きゃあああっ」
「イーシャ! 今行く」
「ううぅ、すみません」
「落ち込んでる暇は無いぞ。倒さなくても良いから、相手の攻撃を避ける事に専念するんだ」
「はい、わかりました」
「行くぞ。うおおおおお!」
………………
疲れた。その一言に尽きる。
「ううぅ、すみません。私、足手まといで」
イーシャは最後の方は魔力が無くなり、肉弾戦を強いられていた。
その状態になっても、基本ミローネは助けてくれないので、イーシャは剣で戦った。
だが、このダンジョンの魔物はかなり格上だ。イーシャの近接攻撃が通じるはずもなく、俺がイーシャを守りながら一人で戦う事になった。
一度もミローネに助けに入らせなかったのは自分でも自分を褒めてやりたい所だ。
だが、俺に守られていたイーシャは責任を感じているようである。
「イーシャの得意な部分は近接戦闘じゃないんだし、パーティーなんだから、助け合っていくのは当然だろ」
「そうですね……」
俺の言葉にイーシャは歯切れが悪い返事をする。
あれ? なんかまずいこと言ったかな?
「アキトさん、イーシャを甘やかしてはいけませんよ」
俺の中では気の利いたセリフのつもりだったのだが、ミローネにダメ出しをされた。
「イーシャ、落ち込んでいてもしょうがありませんよ。アキトさんの隣にずっと居たいのでしょう? イーシャにはその資格はあると思いますけど、少しでも立ち止まるとついて行けなくなりますよ」
「……はい、わかりました」
ミローネの言葉にイーシャは力強く答えた。甘やかしてるつもりはなかったのだが、言葉って難しいな。それに、俺も俺がイーシャを守ればそれでいいと思っていたかもしれない。いやあ、難しいな。
ダンジョンでのレベル上げが終わったら、職員の解放を行う。
スーネリアが一人ずつ空き部屋に連れてきて、ヘルミナとミローネがボコボコにして、俺が最後に気絶させる。
「止めて! 何でこんな酷いことするのよ!」
目の前でヘルミナとミローネに拘束されている職員は、俺を睨んでいる。
俺はスキル『失心拳』を使って、目の前の職員の腹を殴った。
「ぐうっ! ……絶対に……ゆるさ……」
腹を殴られた職員は、憎しみのこもった言葉を言い残して気絶する。
やっぱり、気分は悪いな。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫……いや、やっぱりちょっと気分が悪い」
「……やっぱり止めておきますか?」
「いや、やるよ。でもその前に抱きしめて欲しい」
「ふふっ、わかりました」
ミローネは俺を優しく抱きしめてくれる。
良い匂いがして、制服越しでも柔らかいミローネの体に埋もれ、精神力が一瞬で回復した。
「いやあ、アツいねお二人さん」
「……ヘルミナを今度抱く時は、徹底的に喉に出してあげてくださいね」
「ああ、わかった」
「ええっ、ちょっと待ってよ」
少しして、目を覚ました職員にお礼を言われた。やっぱり、殴ってよかったと思う。
その後、皆でご飯を食べて、家に帰ってセックスをして、ぐっすりと寝た。
こんな生活を三日ほど繰り返した翌日。
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