もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

424.総攻撃だー

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 ちょっぴり疲れた表情になったルトが、リリとビアンと共に攻撃を開始する。

 リリが風魔術を放ち、ルトは剣から斬撃を放って、ひとまずシャボリンの中から遠距離攻撃を続けるみたいだ。
 中から攻撃してもシャボリンが壊れないのは、ちょっと不思議な光景だ。ありがたいけど。

 ビアンは水流鉾を使ったり、尾を振って飛ばした水刃で攻撃したりと、なかなか凄い戦いっぷり。
 結構いいダメージを与えてるみたいなんだけど、もしかして僕よりレベルが高かったりする……?

 レベリングの重要性をヒシヒシと感じながら、僕も攻撃を始めようとしたところで、近づいてくる集団に気づいた。
 なぜかシャボリンに乗らずに、全力で泳いでる。

 先頭の熊耳男さんはキラキラした表情だけど、その後についてきてる人たちは死んだ目をしてるよ?

「遅れたようだが、俺たちも参加させてほしい!」

 見覚えのある熊耳男さん──ユウシャに、僕はやほーっと手を振った。

 ユウシャたちパーティは、前に第三の街西のキーリ湖エリアで狂水獣マッディアクアに襲われているところで出会ったんだ。
 僕がユウシャたちからのSOSを受け取って、助けに行ったんだよねぇ。

 その後、ユウシャがタマモとはじまりの街近くの廃工場探索に行って、ダンジョンを発見したことは知ってたけど、会うのは久しぶりだ。

「あ、輝かしき勇者と仲間たちだねー」
「そのパーティ名は呼ばないでほしい」

 僕がアナウンスで聞いたパーティ名を言ったら、エルフさんに死んだ目で頼まれた。
 なんかごめん。苦労してるみたいだね。

「勝手にパーティ名付けやがってコノヤロー……」
「リーダーしかパーティ名変更できない仕様、どうにかしてくれねぇかな……」
「運営には度々変更依頼を出しているんですけどね……」
「パーティ抜けていい?」
「リーダー除いたメンツでパーティ組もうぜ」

 ユウシャのパーティメンバーが口々に文句を呟くも、ユウシャは「あはは、いい名前だろ!」と全く気にしていない感じで笑う。
 こんな感じでもパーティを継続してくれてるんだから、ユウシャの友だちは優しいねぇ。

「バトル参加はもちろんいいけど、みんな、なんで泳いできたの?」
「鍛錬だ! 泳ぐといい感じで筋肉が育つぞ」
「え……ドン引きぃ」

 フンッと二の腕に力こぶを作って見せたユウシャに、思わず本心がこぼれちゃった。
 ユウシャって筋肉至上主義だったりする? 暑苦しい感じ? というか、ゲームのアバターなのに筋肉(見た目)って変わるものなの?

 エルフのお兄さん──『クレイ』と名前を教えてくれた──が、疲れた表情で「一応、水中戦に慣れるために泳いでたっていう理由もあるんだよ」と教えてくれた。

 なるほど、いきなり水中戦に挑むのは怖いもんね。意外と考えてるんだな。

「じゃあ、もうルトたちはバトルを始めてるから、邪魔にならない感じで参加してくれる?」

 シャボリンの中からひたすら攻撃を放っているルトたちを指しながらユウシャたちに頼むと、「もちろんだ!」と力強い頷きが返ってきた。

 ユウシャは剣を振って斬撃を放ち、すぐさま敵に接近する。
 クレイたちもそれぞれ魔術を放ったり、矢で攻撃したり、なかなか連携のとれたバトルを始めた。

 パーティ名はふざけた感じだし、ユウシャっていまいち強そうに見えないけど、彼らが与えてるダメージ量はルトの攻撃と同じくらい。結構強いみたいだ。

 ……もしかして、この中で僕が一番弱い?
 ちょっと悔しくなってきたぞ。やっぱりレベリングがんばらなきゃ。
 でも、今はこのバトルに集中!

「ヒスイ、スラリン、ユキマル、ペタ、戦闘開始だよー!」
「にゃっ(がんばるにゃ!)」

 ヒスイたちが気合いを入れた鳴き声で応える。
 その様子に僕もテンションを上げながら、それぞれに指示を飛ばした。

 ヒスイにはスキル【鎌鼬】と【旋風】を使ってもらう。風属性攻撃だから、宿借蛸パクルオクトには効果抜群だ。

 スラリンにはスキル【発射】で吸い込んだ水を噴射して攻撃してもらい、ユキマルにはスキル【光流ライト・フォールズ】を使わせる。

 ユキマルが使ったスキルは光属性の範囲攻撃で、結構威力が強いんだよー。
 その分、クールタイムが長いみたいで、その間はスキル【謎光線ミステリレイ】でデバフを与えたり、【範囲回復エリアヒール】でみんなのダメージを回復してもらったりする。

 ペタにはスキル【水噴射】や【渦】【水鞭】で攻撃してもらった。
 渦では宿借蛸パクルオクトを貝殻から引きずり出すことはできなかったけど、それなりにダメージを与えられたみたいだ。
 同属性だから、効果は良くも悪くもない感じだね。

「【風の槍ウィンドランス】! 【風の玉ウィンドボール】! 【風の刃ウィンドスラッシュ】! 【竜巻トルナード】!」

 僕はとりあえず風魔術を連発してみた。
 レベル4の風魔術・竜巻トルナードはさすがに大きなダメージを与えられた。やったね!
 つい最近の海賊との戦いで覚えたスキルだけど、早速活躍して嬉しいな~。

「──あ、バフ掛け忘れてたぁ」

 アナウンスされてた十分間が経ったようで、宿借蛸パクルオクトが触腕での攻撃を開始して、ルトたちのシャボリンを叩き割り、加えて体力まで削ってきたのを見て、バフの存在を思い出した。
 というか、宿借蛸パクルオクトの一撃の攻撃力強すぎない!? 早くバフかけなきゃ!

「【天からの祝福アンジュブレス】! 【天の祈りアンジュプレ】! 『ど~んど~ん、いって~み~よ~♪』『もふもーふ、プリッティ♪』」

 僕のパーティだけじゃなく、ルトたちにも効果がある体力と魔力の継続回復スキルと、歌唱スキルでの攻撃力アップ、回復効果アップを一気に使った。
 そして仕上げに……

「【天の断罪アンジュジャッジ】!」

 スキルを使うとすぐに、羽の形をした光が宿借蛸パクルオクトの方へ飛び、貝殻の隙間にある闇の中に『天罰』という字を浮かび上がらせる。

 ちゃんと効果があるみたいだね。
 これで五分間宿借蛸パクルオクトの防御力を下げて、かつ光属性耐性を半減できるはず。

「──というわけで、僕は光属性攻撃するぞー!」

 ガンガン攻撃しちゃうもんね。
 一番弱いなんて誰にも言わせないぞ!

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