もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
467 / 588
11章 夏の海ではしゃいじゃお

431.好奇心ウズウズ

しおりを挟む
 ヒスイの活躍に最大限の賛辞を贈るのは当然として──そもそもあの攻撃はなんだったの? いつの間に敵が現れたの? ボス戦開始のアナウンスはないの?

「ロボットは壊れてて動いてないし……?」
「っ……ボスのくせに、姿を隠してる感じか?」

 僕がきょろきょろと周囲を見回していたら、ルトが地面を蹴って飛び退いた。その直後に、地面から氷の槍のようなものが飛び出してくる。

 ……よく見たら、氷とはちょっと違うような?
 んん? と首を傾げながら観察していると、それは地面にスッと引っ込んだ。地面に大きな穴が残ってる。僕くらいのサイズなら入れそう。

「穴ごと消えるんじゃないんだ……」
「消えるタイプの方がよかったよな。これ、攻撃され続けたら地面なくなるぜ?」

 ルトが苦い表情で呟きながら泳ぐ。迂闊に地面におりられないもんね。

「まぁ、水中だから、地面がなくてもなんとかなるような気がする」
「ずっと泳いでんのは地味にしんどいけどな」

 僕の言葉にすぐさま言い返してくるルトの思いもわからないではない。
 とはいえ、敵の姿さえ見えないから、今のところ対策のしようがないよ。

「きゃっ」
「リリ! ──ふーっ、危なかったな……」

 ルトの近くまで泳いできていたリリが、透明な槍のようなものに襲われた。
 でも、咄嗟にルトが手を伸ばして引き寄せたから、ギリギリで回避できたみたいだ。

「泳いでても攻撃してくるの!?」

 僕は悲鳴を上げちゃった。
 逃げ場がないじゃん! 水中で素早さが落ちている中、不可視の敵に攻撃されるのはつらいよ。

 一応、人魚薬マーメイディスンとかのアイテムを使って、できる限り素早さが下がるのを抑えてるんだよ?
 それでも、一方的に攻撃され続けるのはなかなか厳しい気がする。

「ルト、ありがとう」
「おう──でも、このままじゃやられるばっかりだよな。せめて敵がどこにいるかわかりゃいいんだけど……」

 リリの肩を抱きながらルトが周囲を見渡す。
 どうでもいいけど、ここでイチャイチャするのはどうかと思うよ?

 ジトッと見つめる僕の視線に気づいたのか、ルトがそっとリリから手を離した。
 ちょっと気まずそうだから、完全に無意識でしてた行動だったんだねー。リリが全然気にしてない感じなのは、いいことなのかな……?

「地面から攻撃されてるってことは、本体はこの下、とかありえる?」

 リリが地面を指しながら首を傾げた。
 ルトが「げっ、それめんどくせーパターン」と嫌そうに顔を歪めて呟く。

 地面の下にいるモンスターかぁ……攻撃されてできた穴から行けってこと? いつ攻撃されるかわからないのに?

「とりあえず、モモ、風の玉ウィンドボールを投げ込んでみてくれ」
「僕が!? ……うぅ、いいけど」

 ルトに頼まれて、僕は驚きながらも渋々と頷く。
 僕が一番たくさん遠距離攻撃のスキルを持ってるもんね。何かあっても、リリより防御力が高いからなんとかなりそうだし。

「くるる(ボクが攻撃しようか?)」
「にゃ(ヒスイがするにゃ!)」

 穴に近づこうとした僕に、ペタとヒスイが声をかけてくれた。特にヒスイはやる気満々だ。

「そう? じゃあ、ヒスイに頼もうかな。攻撃されそうだったらすぐに回避してね」
「にゃ(素早さ上げとくにゃー。【疾風】!)」

 ヒスイが水中を駆けてスキルを使い、パーティ全体の素早さを上げてくれた。そして、すぐさま一番近い穴に向かう。
 ハラハラしながら見守る僕たちの前で、ヒスイは「にゃ(【鎌鼬】!)」と穴の奥に向かって攻撃スキルを叩き込んだ。

「……にゃっ!?」

 不意にヒスイが身を翻して駆ける。
 その直後、数多の槍のようなものが地面から突き出された。
 攻撃したら、槍の数が増えるってひどくない!?

「ふぎゃっ!?」

 僕の傍にも出てきたから慌てて回避する──けど避けきれない!
 咄嗟に「【嵐蹴り】!」と蹴り技を放って槍を攻撃した。攻撃は最大の防御なり!

 荒れ狂う風を纏った蹴りが槍に直撃し──

「ギュルルルルゥ!」
「え、誰かお腹壊した?」
「おい、モモ、なんかきたねぇからやめろ」

 僕までお腹が痛くなりそうな音がして、反射的に呟いたら、ルトに冷たい声でツッコミを入れられた。
 ちょっとしたジョークだよぉ。それくらいで怒らないで。

「モモが槍を攻撃したら、敵にダメージを与えられたみたいだね」
「出てきた槍を攻撃するのが正解か?」

 リリとルトが話し合ってる。
 モグラ叩きみたいに、ひたすら出てきたものを叩くの? それ結構楽しそう!

 でも、敵の体力バーが見えないから、いつまで攻撃すればいいかわからないのは疲れるだろうなぁ。さっきの僕の蹴り技は、大ダメージを与えたような手応えもなかったし。
 嵐蹴りは結構強いスキルのはずなんだけど。ちょっと悔しい。

「別の攻略法もありそうなんだけどなぁ……」

 ルトたちが穴の奥に攻撃スキルを叩き込み、その後に飛び出してくる槍(?)を攻撃し始めるのに合わせて、僕も蹴りや魔法を放つ。

 うーん、スキルレベルを高める訓練としてはいいかも? 槍(?)を回避できなかったら大ダメージを負っちゃいそうだけど。

 そんなことを考えながら、次の槍(?)はどこかなー、と視線を巡らせていると、壊れた防衛兵ガーディアン・ソルジャーが視界に入りちょっと気になった。

「……これって、モンスターじゃなくて人工物だよね? つまり、人か海エルフがわざわざここに用意した? もしくはダンジョンが……?」

 意味のないものが置かれているなんて不自然だ。これこそが攻略法の一つの可能性が高い。

「ルトー、このロボット、直せない?」
「無理! 材料がわかんねぇし、直し方も知らねぇ。俺だって、それを直すのが一番の攻略法なんだってのは察してるぜ? けど、たぶん、事前の情報集めが足りなかった」

 僕が気づいたことは、ゲーマーのルトにとっては察していて当然のことだったみたいだ。その上で無理と言われて、僕は「むぅ……」と黙るしかない。

 確かに、ダンジョン内の情報収集を怠ったのはダメだったねぇ。リオさんに聞いたら、何か資料を出してくれたかもしれないのに。

 でも、すんなりと諦めるのはもったいない気がして、攻撃を中断し防衛兵ガーディアンソルジャーの周囲を泳いで観察してみる。
 何か攻略のヒントがないかなー?

「……およ?」

 防衛兵ガーディアンソルジャーの背後──人間だったらうなじの辺りに来たところで、小さな隙間を見つけた。
 元々蓋がされてたけど、壊れて開いたままになっちゃってる感じ。結構奥まで穴が続いてるみたいだ。

 僕だったらギリギリ中に入れそう。……好奇心がウズウズしちゃうぞ。

 槍(?)と戦っているルトたちをチラリと見てから、再び隙間に視線を落とす。
 行っちゃう? 何かいい発見があるかもしれないし、楽しそう!

「♪うさちゃん、ころころ、もっふもふ~、隙間にはまって、さあたいへ~ん」

 童謡どんぐりころころを替え歌しながら、好奇心に任せていざ突入だー!

「モモ、何してんだ!?」

 なんかルトの叫び声が聞こえた気がするけど、聞こえなかったフリをして、いってきまーす♪

しおりを挟む
感想 2,678

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

お子ちゃま勇者に「美味しくないから追放!」された薬師、田舎でバフ飯屋を開く

ファンタジー
現代日本から転生した味覚オタクの薬師ユージンは、幼い勇者パーティの“保護者枠”として命を守るため口うるさくしていたが、「薬が苦い」「うるさい」と追放される。 田舎ミズナ村で薬膳小料理屋「くすり香」を開いた彼の“バフ飯”は冒険者を覚醒させ、村を救い、王都の薬利権すら揺らす。 一方、追放した子どもたちはユージンの真意を知って大泣きするが、彼は戻らない──自分の人生を取り戻すために。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。