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ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

463.教えてください♪

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 プレア殿下が「気楽に話してくれて構わないよ」と言ってくれたから、ルトが僕のほっぺたを解放してくれた。

 僕のほっぺたがモフモフぷよぷよだからって、容赦なく引っ張るのはひどーい。伸びて戻らなくなったらどうしてくれるんだー。
 ──なんて抗議をしながらルトの脚を叩いても、スルーされちゃったよ。

「このウサギが、ほんとすみません」
「気にしないでくれ──あ、ちなみに、私のオススメ料理は『海鮮あんかけ焼きそば』だよ」

 ちゃんと答えてくれるプレア殿下、優しい! 給仕さんに頼んでオススメ料理を取り分けてくれてるし。

 海鮮あんかけ焼きそばは、硬めの麺の上に海鮮たっぷりの餡がかかった料理だ。
 現実でも食べたことがあるけど、ここで食べると一味違う気がする。

「調味料が違うのかな? 海鮮の新鮮さ? どちらにしても、美味しいよー!」
「口に合ってよかった」

 パクパクと食べ進める僕とニコニコ微笑みながら見守るプレア殿下。
 そんな僕たちを眺めるリリは楽しそうな表情で、ルトは頭が痛そうに額を押さえてる。

「モモ、ほっぺたがパンパンになってるね」
「うん、おいひいからいっぱいたべたいんだもん」

 もぐもぐもぐもぐ……頬を膨らませながら食べる。
 スライムほどじゃないけど、こんなに口いっぱいに頬張って食べられるのは天兎アンジュラパアバターならではだよね。たぶん。人間種族じゃ、ちょっと無理そう。

「あー……このウサギは放っておいて。プレア殿下、水精術を教えてくださる方をご紹介願えませんか?」

 ルトが僕を視界から追い出して、プレア殿下に尋ねた。

 そういえば、それが海園遊会に参加した目的だったもんねー。
 ルト、ちゃんと真面目に話を進めてて偉い!
 僕は話より美味しいものに夢中です。もぐもぐ。

 給仕さんが面白がったのか、次々に料理を勧めてくれる。
 それを遠慮なく食べていたら、会話に口を挟む隙がなくて、無言で展開を見守ることになった。
 ルト、頼んだよー。もぐもぐ。もぐもぐ。

「水精術? あれは海エルフの秘術で、素質がなければ使えないから、人間やモンスター種が扱えるものではないんだけれど……ああ、君たちは不思議と使えそうな気がするね」

 プレア殿下がパチパチと目を瞬かせながら僕たちを観察して、小さく首を傾げた。言葉通り、すごく不思議そうにしてる。

 まあ、僕たちが水精術を習得できる素質をゲットしたのは、シークレットミッションをクリアしたからだもんね。異世界の住人NPCの人間とかじゃ、きっと無理なんだろうな。

「ええ、色々とあって……素質はあるはずです」

 ミッションのことを濁しながらルトが言うと、プレア殿下は少し考えるように間を置き、しばらくしてから「そうか」と頷いた。

「素質があるのなら、教えるのは構わないよ。私が、と言いたいところだけれど、少々忙しくてね。教師役を紹介しよう」

 微笑んだプレア殿下が会場内に視線を巡らせ、目的の人物を見つけたのか手を上げた。
 でも、視線の先には誰もいない気がする。どういうこと?

「──ナルージャ、こっちに来てくれないか」

 プレア殿下が声を掛けた途端、パッと誰かが現れた。
 水色の長い髪を持つ女性の海エルフだ。ちょっとプレア殿下に似てる気がする。

 でも、それより気になるのは、その女性の登場の仕方だ。

 水術の『水遁』を使って隠れてたのかな? 水術鍛錬場のスイちゃんも、最初は水遁で隠れてたんだよねぇ。
 同じように水遁を使っていたとしても、この人がなんで隠れてたのかっていうのが疑問なんだけど。

「もぐもぐ、ごっくん──お姉さん、かくれんぼ中だった?」

 口に入っていたものを飲み込んで僕が尋ねたら、すぐさまルトが「んなわけないだろ」とツッコミを入れる。
 まあ、それはそうだよね。僕も本気でかくれんぼしてたとは思ってないよ。

「ふふ、かくれんぼなんて、可愛らしいことはしてないわ」

 プレア殿下に呼ばれて近づいてきた女性──ナルージャさんが妖艶な笑みを浮かべて楽しそうに答える。僕を見下ろす目は興味津々な感じで輝いていた。

「──怪しいことをする者がいないか、監視していただけよ♡」
「ひえっ……」

 軽い感じで言われたけど、それって暗殺者を警戒してたってこと? ほんとにそんなことが起きる可能性があるの? こわっ。

 ドン引きしてる僕やルト、リリの様子をスルーして、プレア殿下がナルージャさんを手で示す。

「彼女はナルージャ。私の従妹だよ。王族の一員だけれど、水精術を使ってリュウグウ内を警備する役目を担ってるんだ。守り手の一人だね。教師としても優秀だと思うよ」

 リュウグウを守る人全般を守り手と呼ぶんだって、スイちゃんが前に教えてくれたな。
 ナルージャさんも守り手なのかぁ。それなら、隠れて見張っていたのも不思議ではない、のかも?

「僕はモモだよ。よろしくー」
「よろしく。あなたの話は守り手たちからよく聞いていたわ。スイナも可愛い弟子ができたと楽しそうに話していたし」

 フフッと色っぽく笑ったナルージャさんが、スイちゃんの名前を出した。
 スイちゃんの鍛錬場は守り手さんを鍛える場所らしいし、ナルージャさんと親しいんだろうな。

「そっかー。まあ、僕は可愛いから話題になるのは当然だよね!」

 冗談っぽく僕が軽く胸を張って言ったら、ナルージャさんとプレア殿下が「そうね」「そうだな」と頷いた。
 ……もふもふは魚人族だけじゃなくてエルフさんにも好まれるのかも。
 こうもあっさりと肯定されたら、ちょっと照れちゃうー。

「──こっちのカッコいいボーイはルトだよ」
「おい、その紹介の仕方、ダセェからやめろ。照れ隠しに俺を巻き込むな」

 ルトに半眼で睨まれた。てへぺろ。
 でも、ナルージャさんたちが笑ってるから撤回しません!

「こっちの超プリティ・ガールはリリだよ! 僕の洋服はリリが作ってくれたんだー」

 リリを示してから、クルッと回って衣装をアピールする。
 ナルージャさんたちはルト・リリと挨拶を交わしながら、僕の衣装を「とても素敵よ」「似合ってるね」と褒めてくれた。

「三人とも水精術を習得したいのよね? それなら、わたくしに任せてちょうだい」

 笑顔で請け負ってくれたナルージャさんに、僕は「わーい♪」と両手を上げて喜んだ。
 ルトは疲れた顔してるけど、無事に水精術を学べそうだし、新しい友だちができたし、よかったね!

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