もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
507 / 661
11章 夏の海ではしゃいじゃお

465.僕の周りは愛があふれてる

 転移で海精霊シーフェアリーの里に来たよ~。

 転移ピンを設定してある海輝石シーロキスの傍に着いた途端、海精霊シーフェアリーの女王メーアの険しい顔を目撃することになって、ビビッたけど。
 え、メーア、お顔怖ぁ……。

『今年こそ、私が勝利するわ!』
『……まあ、なんというか……うん、そうだな……』

 メーアにビシッと指を向けられた男の海精霊シーフェアリーが、遠い目をしながら乾いた笑いをこぼしていた。

 周りの海精霊シーフェアリーたちが『女王様、もっと言ってやってください!』とか、『王様、お気を確かに……!』とか騒いでる。

 ということは、メーアに睨まれてるのが、海精霊シーフェアリーの王様ってことかぁ。
 漫画だったら、背景に大量の線か黒いモヤが描かれそうなくらい生気がない表情だけど。

「え、あれ、ホントに王様? 王様ならもっとキラキラした雰囲気をしてるもんじゃないの……?」

 勝手なイメージの押しつけになるかもしれないけど、王様らしくしていてほしいな。

 ほら、イノカン国の王様はめちゃくちゃキラキラしてたよ。威厳はなかったけど、あれはあれで、見るからにいい人そうで好感を持てる感じだったし。

「ほぼほぼお前のせいだろ……」

 ルトが目を眇めて言った。
 僕のせいって、どういうこと?

 きょとんとしている僕を見て、リリが「モモは台風の目だからねぇ。ふふ、そういうところ、好きよ」と微笑む。

「はわわ、告白されちゃったー!」
「アホ、そういう意味じゃねぇよ」

 ほっぺたを押さえて照れた仕草をしてみたら、間髪入れずにルトに頭を叩かれて、「イテッ」と声が出る。

 ちょっとふざけただけじゃんかぁ。なぁに? 嫉妬しちゃった? ルトってば、嫉妬深いんだからぁ!

 ルトの足をペシペシと叩きながら笑うと、ジトッと見下ろされて、今度はデコピンされた。
 イテテ……ルトは手が出るのが早すぎると思うよ! そこは直してほしいな!

「あらあら、まあまあ……相変わらず仲がいいわね」

 ナルージャさんが現れて、メーアと海精霊シーフェアリーの王様の仲裁を始めた。
 僕たちより早く移動してたはずなのに、到着は遅れたみたいだ。
 ルトが「やっぱ、高速移動は転移には速度っつう点では敵わねぇな……」と冷静に分析してる。

『な、仲良くなんてないわっ! ナルージャ、目玉が取れてるんじゃないの!?』
「目玉が取れて普通に歩いていたら、怖いわねぇ」

 明らかに動揺した感じでナルージャさんに言い返しているメーアを見て、僕は「なるほど」と頷く。

 僕、男女の仲の機微なんてよくわからないけど、これはなんとなくわかるよ。
 メーアは王様に対していろいろ言いながらも、結構好きなんだね!

 ニヨニヨと笑いながら、ルトに「ねぇねぇ、あれ絶対、照れてるだけだよね。ルト、わかる?」と教えてあげた。
 すると、「この場にいる全員がそんなことわかってるだろ。得意気に言うことじゃねぇよ」と言われてしまった。

「……え、そんなわかりやすいの、あれ!?」
「そこで驚く意味がわからねぇな……」

 本心から驚いてメーアを指して言ったら、ルトが呆れた顔をする。
 リリも「うーん、あれはもう、一切隠せてないからねぇ……」と苦笑した。

 そ、そうなの……?
 せっかく隠し設定に気づけたと思ったのにぃ。

 しょんぼりと項垂れていたら、周囲の人口密度が増してきたことに気づいた。
 みんなキラキラとした目を僕に向けてくる。さては、もふもふ教の人だね?
 ルトが掲示板に情報を載せたのはさっきのことなのに、行動が早いなー。

 なぜかルトを睨んでる人も結構いるんだけど。
 ルトは頑なにそういう人たちと目を合わせないようにしてる。気まずそうな顔だ。

「ルトくんや~い。もしかして、なんかしでかした?」

 ちょっぴり殺意が混じってそうな目をルトに向けてる人たちを、ちょいちょいと指しながらルトに聞く。
 なんかトラブルが起きてるなら、助け舟を出してあげないこともないよ? 僕とルトは親友だからね!

「あー……さっきの海園遊会、もふもふ教のやつらいなかったじゃん?」

 僕の隣で腰を落として視線を合わせてきたルトが、コソコソと話してくる。
 うんうん、確かにさっきのパーティーに、もふもふ教っぽいプレイヤーはいなかったね。確実に、もふもふ教に入ってそうな魚人さんはいたけどね。

「──実は、お前が今日、王都北の方で遊ぶって情報を流してたんだよな」
「なんで!?」

 偽情報を流す理由がわからなくて、ギョッとしてルトを見ると、半眼で見つめ返された。

「そりゃ、お前の周りが騒がしすぎるからに決まってんだろ! 俺は、ダチとは静かに遊びたいんだ! 監視されながらなんて、疲れるだろ!」

 小声で怒鳴るって器用だね、ルト──なんてことを考えながら、拗ねた顔をしているルトを観察する。
 ルトの隣にしゃがんだリリが、フフッと笑って「ルトに悪気はないの。ただ、時々ホントに鬱陶しいって思うことがあるだけ」と、なかなかシビアなコメントをくれた。

 なるほどねぇ。
 ルトに『ダチ』って言われて、一緒に遊ぶのを楽しみにしてるって匂わされて、僕だって結構嬉しい。
 僕の周囲が騒がしくなることがあるのは事実だし、それはちょっと申し訳ないなぁ、と思うこともある。
 だから──

「……わかった! あとでみんなにフォローを入れとくね。それと、ルトたちと遊ぶ時は、あまり追ってこないでって言っとく!」

 グッとサムズアップして僕が答えたら、ルトがパチパチと瞬きをして、ちょっと躊躇った感じで口を開く。

「……でも、お前、あいつらにキャアキャア言われんの好きじゃん?」
「好きだよ? 誰かに好かれるって凄いことだもん。好きでいてくれる分だけ、僕もみんなを幸せにできたらなーって思うし。でもね──」

 しゃがんでるルトの膝をポンポンと叩いて微笑む。

「僕だって、ルトたちと遊ぶのが好きなんだよ。だから、たまにはルトたちの気持ちを優先してもよくない?」
「……そうかよ」

 照れた感じで目を逸らすルトを指しながら、僕はリリにニコッと笑いかける。

「ルトってこういうところ可愛いよね!」
「でしょ!」

 リリに全力で同意されたー。
 ルトが「可愛くなんてねーよっ」と照れ隠しに怒ってる。
 ふふふ、可愛いねぇ。

 でも、ちょっと笑っていただけで、頭を拳でグリグリされた。

「痛ぁい! ルトのそういうところはきーらーいー!」
「はいはい、それはよかったよ」

 ペシペシと叩き返しても全然効果がない。
 グリグリするの、やーめーてー!

感想 3,053

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?

シエル
恋愛
「彼を解放してください!」 友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。 「どなたかしら?」 なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう? まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ? どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。 「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが? ※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界 ※ ご都合主義です。 ※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

死にたくないので、今世は「悪女」の看板を下ろして「聖女」の利権を奪い尽くします

あめとおと
恋愛
「死に様なら、もう八通りも見てきたわ」 公爵令嬢レオノーラは、義妹ミアを「聖女」として引き立てるための「悪役」として、九回の人生をループしてきた。 どれほど善人に振る舞おうと、どれほど婚約者の王太子に縋ろうと、最後は常に処刑台か追放。 すべては、周囲の好感度を強制的に書き換えるミアの「偽りの奇跡」のせいだった。 十度目の十六歳。 累計八十年の人生を経験し、精神年齢も魔導知識も「枯れた」域に達したレオノーラは、ついに決意する。 「いい子を演じるのは、もう飽きたわ。今世は悪役令嬢らしく、あなたの『幸運』をすべて奪い尽くしてあげる」 ミアが手に入れるはずだった【癒やしの聖杯】を先回りして献上し、 ミアの信奉者になるはずだった【最強の騎士団長】を魔導の力で救済して味方につけ、 王太子との「思い出の場所」を物理的に整地してバラ園に変える。 「あら、殿下。ゴミ(思い出)を片付けて何が悪いのかしら?」 冷徹に、そして優雅に「ざまぁ」を完遂していくレオノーラ。 そんな彼女の前に、前世では「死神」と恐れられた隣国の皇帝ギルバートが現れる。 彼は、聖女の補正が効かない唯一の男。そして、誰よりも重すぎる独占欲を抱えた男だった――。 「君は世界を奪え。私は、そんな君を奪うとしよう」 これは、九回殺された悪役令嬢が、十回目で「真の幸福」と「最強の地位」を力ずくでもぎ取る、逆転無双の物語。 【全10話+後日談 完結まで投稿済 最終投稿は3/27】