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12章 美味しいもの大好き!
506.トントン拍子♪
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唐突なミッションのアナウンスにポカーンとしていると、マリーが『じゃあ、よろしくねー』と言って飛び立ってしまった。
「えっ、待って──」
声をかけた時には、マリーの姿はもう空の上。僕の声は届かないだろう。
マリーってちょっと落ち着きがないね……。
「とりあえず、ミッション確認するかぁ」
素敵な旦那様ってどんな感じのオスだろう、と考えつつ、ミッション詳細を開く。
——————
シークレットミッション【素敵な旦那様探しを手伝う】
メスの龍馬から、素敵なオス探しを頼まれた!?
王都北・西エリアを彷徨っているオスの龍馬を見つけて教えてあげよう!
相性がいいオスを紹介できたら、素敵なプレゼントをもらえるかも♪
〈報酬〉
・【龍馬の鬣】✕5
・???(クリア評価により異なる)
——————
お、ハカセに頼まれてたアイテムを報酬としてゲットできそう。
追加報酬は、どれくらい相性がいいオスを紹介できるかで決まる感じかぁ。
「……そもそも、オスの龍馬に会えるのかな?」
普通に考えて、空を飛んで探してるマリーの方が先に発見しそうなものだけど。
首を傾げつつも、このミッションは一応頭の隅に置いておくことにした。
探すとしてもきっと後回しだけど、偶然出会うこともあるかもしれないからね。すぐマリーにお知らせできるようにしておかなくちゃ。
「……くるる(果物好きだけど肉食系?)」
「ブハッ! ふふっ、そ、そうだね、っ」
ペタの冷静な呟きに、思わず吹き出しちゃった。笑いを堪えて震えながら頷く。
マリーはとっても肉食系女子でした。
素敵な旦那様が見つかるといいね。
「きゅーきゅい(ねぇ、モモ)」
「なぁに?」
尻尾で背中をペシペシと叩かれて、ナッティの方を振り向く。
ナッティはさっきまでマリーがいたところを指して、首を傾げていた。
「きゅーきゅい(あれ、何かしら?)」
「あれって……うん?」
ゴツゴツとした丸い石のようなものが、三つ転がっていた。
マリーが来る前にはなかった気がする。
とりあえず鑑定だ~!
——————
【鞣富】レア度☆☆☆☆☆
幻の食材
削ると、とてもいい香りがする
木属性の竜が大地を踏みしめることで誕生すると言われているが、真偽は不明
——————
「まさか、トントン拍子に幻の食材ゲットしちゃった?」
僕が目を丸くして固まってたら、スラリンとユキマル、ナッティが鞣富を拾ってきてくれた。
「きゅぃ(どうぞー!)」
「ありがとー」
受け取って観察。
見た目はライチとか胡桃とかに近い? ゴツゴツと凹凸があって、硬い感触だ。
削るといい香りがするってことは、トリュフみたいなものの可能性もあるなぁ。
「ふむ……一個削ってみるか」
包丁を取り出して当てると、簡単にスライスできた。
鞣富は一部を使っても、残りをアイテムボックスに保存しておけるみたいだ。
香り付け用だと、ちょっとだけ使いたい場合もあるから便利!
スライスした鞣富を嗅いでみる。
「……うーん……花のような、アーモンドのような……甘い香りがありつつ、ちょっとスパイシーな感じ?」
そういえば、僕はトリュフを食べたことがないから、鞣富がトリュフに似てるかどうかは匂いを嗅いでも判断できないや。
でも、お菓子にも、料理にも合いそうな香りだと思う。いいアクセントになるんじゃないかな。
ナーグに渡して、どういう使い方をするものなのか聞いてみようっと。
「ぴぅ(竜由来のアイテムなら、たくさん手に入れるためには竜を探すのがいいのかな?)」
ユキマルがキョロキョロと周囲を見回しながら呟く。
「そうだねー。特に木属性の竜ってことは……オスの龍馬を探したら、鞣富も集められるかも?」
一石二鳥!
マリーの素敵な旦那様探しへの意欲が高まったぞ。
「くまま(そっかー。秘燕も竜関係かなー?)」
「えー……竜はもういいよ……」
ショコラの言葉に、思わず不満をこぼす。
竜って存在感が強いし、あまり頻繁に会いたくないんだよねー。敵意を持たれたら、すぐに負けちゃいそうだから気を使うし。
秘燕は竜と関係してない方が嬉しい。
「きゅーきゅい(秘燕ねぇ……せめて、どういう見た目かわかっていればいいんだけど)」
「ナーグに情報をもらうべきかな~? あんまり教えてくれる気がしないんだけど」
ナッティの尤もな意見に頷きつつも躊躇う。
情報をくれるなら、ミッションとして出てきた時に言ってくれると思うんだよね。改めて情報を求めて訪ねたところで無駄足になっちゃいそう。
鞣富をお届けするついでに聞くくらいならいいけどさ。
「きゅぃ(王城の料理人さんとか、珍しい食材の情報を持ってそうだし、聞いてみたら?)」
「っ、それだ!!!」
何気ない感じで提案してくれたスラリンをビシッと指す。
スラリンは驚いた感じで目を丸くして固まったけど、僕が「さすがスラリン、いい提案ありがとー」とお礼をしたら、嬉しそうに跳ねた。
ちょうど王城の料理人さんへの弟子入りミッションがあったし、ついでに幻の食材について聞いてみようっと。
「そうとなったら、探検はここで切り上げて、王城にレッツゴーだ♪」
「くまま(美味しいチョコレートあるかなー?)」
「……お菓子をもらいに行くわけじゃないよ?」
ショコラにそう言ってみたけど、みんなが『キュウリ料理欲しいなぁ』とか『ナッツのお菓子がいいわ』とか盛り上がってて止められそうにない。
うーむ……みんなを一度屋敷に帰すべきかな?
「えっ、待って──」
声をかけた時には、マリーの姿はもう空の上。僕の声は届かないだろう。
マリーってちょっと落ち着きがないね……。
「とりあえず、ミッション確認するかぁ」
素敵な旦那様ってどんな感じのオスだろう、と考えつつ、ミッション詳細を開く。
——————
シークレットミッション【素敵な旦那様探しを手伝う】
メスの龍馬から、素敵なオス探しを頼まれた!?
王都北・西エリアを彷徨っているオスの龍馬を見つけて教えてあげよう!
相性がいいオスを紹介できたら、素敵なプレゼントをもらえるかも♪
〈報酬〉
・【龍馬の鬣】✕5
・???(クリア評価により異なる)
——————
お、ハカセに頼まれてたアイテムを報酬としてゲットできそう。
追加報酬は、どれくらい相性がいいオスを紹介できるかで決まる感じかぁ。
「……そもそも、オスの龍馬に会えるのかな?」
普通に考えて、空を飛んで探してるマリーの方が先に発見しそうなものだけど。
首を傾げつつも、このミッションは一応頭の隅に置いておくことにした。
探すとしてもきっと後回しだけど、偶然出会うこともあるかもしれないからね。すぐマリーにお知らせできるようにしておかなくちゃ。
「……くるる(果物好きだけど肉食系?)」
「ブハッ! ふふっ、そ、そうだね、っ」
ペタの冷静な呟きに、思わず吹き出しちゃった。笑いを堪えて震えながら頷く。
マリーはとっても肉食系女子でした。
素敵な旦那様が見つかるといいね。
「きゅーきゅい(ねぇ、モモ)」
「なぁに?」
尻尾で背中をペシペシと叩かれて、ナッティの方を振り向く。
ナッティはさっきまでマリーがいたところを指して、首を傾げていた。
「きゅーきゅい(あれ、何かしら?)」
「あれって……うん?」
ゴツゴツとした丸い石のようなものが、三つ転がっていた。
マリーが来る前にはなかった気がする。
とりあえず鑑定だ~!
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【鞣富】レア度☆☆☆☆☆
幻の食材
削ると、とてもいい香りがする
木属性の竜が大地を踏みしめることで誕生すると言われているが、真偽は不明
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「まさか、トントン拍子に幻の食材ゲットしちゃった?」
僕が目を丸くして固まってたら、スラリンとユキマル、ナッティが鞣富を拾ってきてくれた。
「きゅぃ(どうぞー!)」
「ありがとー」
受け取って観察。
見た目はライチとか胡桃とかに近い? ゴツゴツと凹凸があって、硬い感触だ。
削るといい香りがするってことは、トリュフみたいなものの可能性もあるなぁ。
「ふむ……一個削ってみるか」
包丁を取り出して当てると、簡単にスライスできた。
鞣富は一部を使っても、残りをアイテムボックスに保存しておけるみたいだ。
香り付け用だと、ちょっとだけ使いたい場合もあるから便利!
スライスした鞣富を嗅いでみる。
「……うーん……花のような、アーモンドのような……甘い香りがありつつ、ちょっとスパイシーな感じ?」
そういえば、僕はトリュフを食べたことがないから、鞣富がトリュフに似てるかどうかは匂いを嗅いでも判断できないや。
でも、お菓子にも、料理にも合いそうな香りだと思う。いいアクセントになるんじゃないかな。
ナーグに渡して、どういう使い方をするものなのか聞いてみようっと。
「ぴぅ(竜由来のアイテムなら、たくさん手に入れるためには竜を探すのがいいのかな?)」
ユキマルがキョロキョロと周囲を見回しながら呟く。
「そうだねー。特に木属性の竜ってことは……オスの龍馬を探したら、鞣富も集められるかも?」
一石二鳥!
マリーの素敵な旦那様探しへの意欲が高まったぞ。
「くまま(そっかー。秘燕も竜関係かなー?)」
「えー……竜はもういいよ……」
ショコラの言葉に、思わず不満をこぼす。
竜って存在感が強いし、あまり頻繁に会いたくないんだよねー。敵意を持たれたら、すぐに負けちゃいそうだから気を使うし。
秘燕は竜と関係してない方が嬉しい。
「きゅーきゅい(秘燕ねぇ……せめて、どういう見た目かわかっていればいいんだけど)」
「ナーグに情報をもらうべきかな~? あんまり教えてくれる気がしないんだけど」
ナッティの尤もな意見に頷きつつも躊躇う。
情報をくれるなら、ミッションとして出てきた時に言ってくれると思うんだよね。改めて情報を求めて訪ねたところで無駄足になっちゃいそう。
鞣富をお届けするついでに聞くくらいならいいけどさ。
「きゅぃ(王城の料理人さんとか、珍しい食材の情報を持ってそうだし、聞いてみたら?)」
「っ、それだ!!!」
何気ない感じで提案してくれたスラリンをビシッと指す。
スラリンは驚いた感じで目を丸くして固まったけど、僕が「さすがスラリン、いい提案ありがとー」とお礼をしたら、嬉しそうに跳ねた。
ちょうど王城の料理人さんへの弟子入りミッションがあったし、ついでに幻の食材について聞いてみようっと。
「そうとなったら、探検はここで切り上げて、王城にレッツゴーだ♪」
「くまま(美味しいチョコレートあるかなー?)」
「……お菓子をもらいに行くわけじゃないよ?」
ショコラにそう言ってみたけど、みんなが『キュウリ料理欲しいなぁ』とか『ナッツのお菓子がいいわ』とか盛り上がってて止められそうにない。
うーむ……みんなを一度屋敷に帰すべきかな?
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