もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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4章 錬金術士だよ?

123.もぐもぐ夕ご飯

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 僕より大きい闇烏賊ヤミノデビルを錬金術スキルで下ごしらえして、料理スキルで調理する。スラリンが獲ってきてくれた魚介類も一緒に料理にしたよ。

「いかそうめんと握り寿司、ゲソ唐揚げ、桜浅蜊サクノアサリのお吸い物の完成!」
「お、美味そうだな。けど、このイカ、墨まみれじゃねぇか?」

 覗き込んできたルトが、イカを見て微妙に眉を顰めた。闇烏賊ヤミノデビルは調理しても黒色だから、びっくりするよね。

「ううん、元々こういう身みたいだよ。鑑定したけど、ちゃんと食べられるって」
「……そうか」

 毒見させる気か、と疑うような眼差しを向けられたけど、僕はそんなつもり一切ない。食べたくなかったら、食べなくてもいいんだよ?

「色が普通じゃない生き物なんて、この世界じゃよくいるでしょ。そんなこと気にせず、早く食べよう!」

 リリは全く気にしてないみたいで、ワクワクとした表情でお寿司を見てる。リリの好物だもんね。たくさん食べて。

「うん。それじゃあ、いただきまーす」

 三人揃って席について、手を合わせる。まずはいかそうめんから食べよう。
 ちょっとお醤油につけてぱくり。もぐもぐ――。

「うま……」

 僕が言うより先に、ルトの声が聞こえた。驚いた顔で、次々にいかそうめんを口に放り込んで噛み締めてる。
 躊躇ってたくせに、受け入れるの早くない? 気に入ったならいいけど……僕の分まで食べるのはダメだよ。

「美味しいねぇ」
「あ……」

 いかそうめんをがっつりとすくい取って確保。残り少なくなったのを見て、ルトが残念がってても、分け与えません。僕が獲ってきたんだもん。

「イカもいいけど、私はお魚が好きかなー」

 リリは握り寿司を堪能してた。僕とルトの密かな攻防はどうでもいいらしい。

「……まぁ、このゲソ唐揚げも美味いから、別にいいけどな」

 いかそうめんを食べきっちゃったルトは、負け惜しみのような言葉を放ちながらも、僕の取り皿にあるいかそうめんを凝視してる。よっぽと気に入ったんだね。また今度闇烏賊ヤミノデビルが釣れたらご馳走しよう。

 そんなこんなで、今日遊んでた話をしながら食事をしてたら、リリがふと顔を上げた。

「そういえば、モモ、もふもふ集団withスケルトンと遊んでたんでしょ?」
「もふもふ集団withスケルトン」

 思わず反復して言っちゃった。
 もふもふ集団はムギたちのことだよね。スケルトンはヤナ。でも、なんでヤナがおまけみたいな扱いになってるんだろう?

「あー、掲示板で話題になってたらしいな」
「そうそう。スケルトンはともかく、もふもふ集団には早速ファンが生まれたみたいだよ。モモとあわせて推してるみたいだけど」

 改めて思うけど、もふもふ好きの人たちの機動早すぎる。どんだけもふもふに飢えてたんだ。

「モモはファンを独占したいタイプか?」

 ルトがからかう感じに聞いてくるけど、僕がそんなタイプに見える?

「好きなものを、好きなだけ推せばいいと思うよ? なんなら、僕もソウタを推してる!」
「ソウタ?」
絹銀鼠シルクチンチラの子だよ。僕より小さいんだー」
「……なるほど、お前が可愛がってるんなら、そいつもファンが増えそうだな」

 どういう納得の仕方かな?
 頷いてるルトを見て首を傾げちゃったけど、説明はしてもらえなかった。

「チンチラっていうと、見た目はうさぎとかネズミっぽいんだよね?」
「うん。銀色の毛並みでツヤツヤしてるんだよ」

 種族名にシルクって付くのが納得できるくらい、触り心地が良かったんだよね。お互いを撫であって、ソウタには「モモさんはふわふわですね」と褒められた。

「あと、猫っぽいのと狼っぽいのもいるんだよな?」
「よく知ってるね? 二人とも大きいけど可愛いんだよー。でも、カッコいい感じでもあるね」

 ムギとツッキーは、その巨大さを考えなければ見た目は可愛い。毛も程よい弾力があって、撫でて楽しかったし。

「毛繕いしてあげたの? 新たなぬいぐるみできちゃう?」

 リリが期待に満ちた目を向けてくる。
 そこで初めて、僕はその可能性に気づいちゃった。

「……はっ、忘れてた! あの魅惑の毛をゲットしなかったなんて……」

 ショック。僕が項垂れてたら、ルトが「お前が魅惑の毛とか言うのかよ」と呆れた感じで呟く。
 つまり、ルトは僕の毛が魅惑的だと思ってると解釈していい? もっと普段から褒めてくれていいのに~。

「モモって機嫌がわかりやすいよね」

 リリがふふっと笑った。僕がルトの言葉で一気に上機嫌になったのがバレたらしい。ちょっと恥ずかしい。

「えへへ、それが僕の長所だよ」
「ものは言いようだな」
「え、長所でしかなくない?」

 ルトの言葉の意味がわからない。首を傾げてたら、リリに頬をつんつんとつつかれた。

「モモのそういうポジティブなとこ、私は好きだよー」
「うん?」

 これはどう解釈したらいいのかな?
 ちょっと悩んじゃったけど、リリたちはあっさりと会話を進めちゃったから、尋ねる隙がなくてどうでもよくなった。

「でも、毛はゲットできてないのかー。絶対ぬいぐるみも可愛いと思ったんだけどなぁ」
「お前、そんな欲しかったのか」
「うん、特に猫ちゃん!」
「あー……猫好きだったな、そういえば」

 リリのキラキラした表情に、ルトがちょっと遠い目をしてる。
 なんだか聞き捨てならないことを言われた気がするんだけど!?

「ウサギじゃご不満!?」

 ぷんぷん、と僕が頬を膨らませると、リリが「かわいー」と言いながらプスッと潰してきた。容赦ないな。ひどいー。

「ウサギも好きだよ? モモ可愛いし。でも猫ちゃんは別枠なの!」
「……まぁ、僕も好きだって言うなら、別にいいけど」
「モモ、やっぱファンを独占したいタイプじゃね?」
「違うよ!」

 疑うような目を向けてくるルトの言葉を全力で否定する。
 好きなものを好きって言っていいと思ってるけど、それはそれとして、僕のことも可愛いって思い続けてほしいだけなんだ。

 むむ、そのためには、もっと可愛さに磨きをかけるべき? 毛繕いの上位スキルってあるのかな。

「ねー、モモ。猫ちゃんの毛でぬいぐるみ作ってくれない? フレンド登録したんでしょ?」

 お願い、と手を合わせたリリに頼まれて、どうして断れるだろうか。友だちのお願いなら、いくらでも叶えてあげたくなっちゃうもん。それがたとえ浮気――いや、別の愛玩対象をみつけることだとしても! ……あれ? 良い言い換えになってない?

「リリがそんなに頼むならしかたないなー」

 早速ムギに連絡。ついでに、ツッキーとソウタにもお願いしておこう、っと。

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