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6章 どたばた大騒動?
208.初めてのご利用です
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地下二階のボスもスラリンたちと協力して倒した。
さすがに水場じゃなかったし、敵がスラリンたちよりも大きかったから、ほぼ僕の攻撃で倒したようなものだ。敵は大きな長靴を履いた四足歩行の獣型ロボットだった。
また設計図をドロップしたけど、これをなにに使えるかはまだ謎。説明文が『???』なんだもん。
「狙い通りスラリンのレベリングができたからオッケーだね」
レベル19になったスラリンを見て頷く。このレベルなら、オギンたちと一緒に第三の街周辺でバトルしても、早々に倒れちゃうことはないはず。
というわけで、ダンジョン攻略は一旦終了。地上に帰還だー。
スラリンたちを戻してから、ボス部屋の端にある転移ポートを使って一階に移動して、そこからさらに第三の街まで転移で飛ぶ。転移先は僕の屋敷。
「ふあー、落ち着くー」
二階の座敷で寝転がる。畳の匂いって気分が安らぐよねー。
オギンが顔を覗き込んできた。
「キュオ(お疲れさま?)」
「うん、がんばったよー」
がんばったのは主にスラリンとユキマルだけど。
のんびりするために温泉にでも浸かろうかな? いろいろあって、まだ入ったことなかったんだよね。
「くるる(寝るー?)」
「んー、温泉行く。ペタも行く?」
「くるっ(行く!)」
「オギンは?」
「キュオ(暑いのは苦手よ)」
オギンは行かないらしい。ショコラはベッドでぐっすりだし、ペタとスラリン、ユキマルを連れて行こうかな。
一階まで下りて、庭の離れにある温泉に向かおうとしたところで連絡が来た。
――――――
ルト:
おっす。教えられてた屋敷の前まで来たけど、これ普通に入れんの?
モモ:
入れる設定にしてあるよー。玄関入って右手の廊下から庭まで出てきて。
ルト:
なんで庭?
――――――
疑問に返事を返す前に、ルトとリリが現れた。
二人に屋敷の場所を連絡するのと一緒に『遊びに来て!』と誘ってたんだけど、良いタイミングで来たね。
「屋敷がマジ屋敷でどういう顔したらいいのかわからん」
「さすが大儲けしてる商人だね~」
呆れたような、疲れたような、複雑な顔をしてるルトに対し、リリはニコニコと笑って楽しそうだ。
何事も楽しんだもの勝ちっていうし、ルトはもっと楽天的に行動したら良いと思う。
「えっへん! ここ、街防衛イベントが起きたら真っ先に被害を受けそうな場所だから安かったんだー」
「マジかよ。地雷物件じゃね?」
「守りきれればお得なだけでしょ」
ドン引きした顔をするルトの言葉を、リリがサラッと流す。僕もリリと同意見だ。
「それより、一緒に温泉入ろうよ」
「……この屋敷、温泉まであるのか」
「うん、あの離れ」
「マジ屋敷だな」
ルトの言いたいことはなんとなくわかるけど、語彙力少なすぎない? これを指摘したら怒られそうだから言わないけど。
示した温泉の方へ進むと、リリとルトもきょろきょろと周囲を観察しながらついて来た。ペタたちはもう慣れた場所なので、僕の先回りをするように温泉がある離れに飛び込む。
「雰囲気あっていいねー」
「温泉は五人くらいは入れそうだな」
中を眺めた二人が感心した様子で呟いた。
ペタがざぶーんと温泉に浸かった。スラリンとユキマルはぷかぷかと浮いている。
「僕、先に入るよー」
服を着てない僕と違って、リリたちは準備もあるだろうと、先に湯船に入った。
程よい温度のお湯に包まれて、体がほぐれていく気がする。スラリンたちと一緒に浮いていたら、ペタが水流を作って遊んでくれた。流れるプールみたいで楽しい!
「ふふっ、モモって、浮くんだ?」
「びっくりだよね。このもふもふの下がひょろっとしてるわけじゃないと思うんだけど」
「筋肉じゃなくて脂肪で構成されてるんだろ」
「……それ、僕が太ってるって言ってる?」
水着姿で現れたリリとルトが温泉に浸かりながら笑った。ルトの言葉はちょっぴり悪口な気がしなくもない。
むぅ、と頬を膨らませてから、パシャパシャとお湯をかけてみた。
「うわっ!?」
「スラリンたちもやっちゃえー」
「きゅぃ(水を吸って、吐くよー)」
「ぴぅ(モモの友だち、攻撃していいのかな?)」
スラリンがルトへ勢いよくお湯を吐き、ユキマルは控えめにシャワーのようなお湯を降らせた。
顔からお湯をかぶったルトはちょっと溺れそうになってる。
「あははっ、ルトがモモをいじめるからー」
「ゲホッ、ゴホッ、……いじめてねぇよっ」
ちょっとやりすぎた気がする?
ご機嫌取りにアイスクリームを差し出したら、ルトは文句を言いながらも受け取って、美味しそうに食べ始めた。ルトってたまにチョロいよね。
それもリリの笑いを誘ったのか、体を震わせてちょっと苦しそうだ。笑い過ぎだよ。
〈『温泉スタンプラリー』スタンプ二つ目がたまりました〉
十個の枠があるスタンプカードに二つ目のスタンプがつけられた。『秘湯発見!』って書かれてるスタンプだった。
まだ二つ目だし、スタンプラリー達成まではまだ遠いなぁ。
〈秘湯を利用したことにより、アイテム【長命水】を入手しました〉
「わっつ?」
思いがけないプレゼントに、変な返事をしてしまった。
時間差をおいてルトたちも同じアナウンスがあったのか、目を丸くして固まってる。
「……なるほど? やっぱりモモに付き合うと、驚くことばっかあるな」
「僕のせいじゃな……くもないね」
今回ばかりは僕のせいかも。僕が買った屋敷だし。
まぁ、アイテムもらえるなら、ラッキーなだけだから良いでしょ。
「秘湯を利用すると、一日一回【長命水】をもらえるみたいだね。素材にできるけど、そのまま飲んでも六時間体力最大値が二十上がるって、良いアイテムで嬉しい」
驚きから回復したリリがニコニコと微笑んでそう言ってくれた。ルトも呆れつつ「まぁ、そうだな。さんきゅ」と受け入れてくれたみたい。
結果オーライ!
長命水は役立つアイテムになりそうだから、ログインする度にこの温泉を利用しよう。
さすがに水場じゃなかったし、敵がスラリンたちよりも大きかったから、ほぼ僕の攻撃で倒したようなものだ。敵は大きな長靴を履いた四足歩行の獣型ロボットだった。
また設計図をドロップしたけど、これをなにに使えるかはまだ謎。説明文が『???』なんだもん。
「狙い通りスラリンのレベリングができたからオッケーだね」
レベル19になったスラリンを見て頷く。このレベルなら、オギンたちと一緒に第三の街周辺でバトルしても、早々に倒れちゃうことはないはず。
というわけで、ダンジョン攻略は一旦終了。地上に帰還だー。
スラリンたちを戻してから、ボス部屋の端にある転移ポートを使って一階に移動して、そこからさらに第三の街まで転移で飛ぶ。転移先は僕の屋敷。
「ふあー、落ち着くー」
二階の座敷で寝転がる。畳の匂いって気分が安らぐよねー。
オギンが顔を覗き込んできた。
「キュオ(お疲れさま?)」
「うん、がんばったよー」
がんばったのは主にスラリンとユキマルだけど。
のんびりするために温泉にでも浸かろうかな? いろいろあって、まだ入ったことなかったんだよね。
「くるる(寝るー?)」
「んー、温泉行く。ペタも行く?」
「くるっ(行く!)」
「オギンは?」
「キュオ(暑いのは苦手よ)」
オギンは行かないらしい。ショコラはベッドでぐっすりだし、ペタとスラリン、ユキマルを連れて行こうかな。
一階まで下りて、庭の離れにある温泉に向かおうとしたところで連絡が来た。
――――――
ルト:
おっす。教えられてた屋敷の前まで来たけど、これ普通に入れんの?
モモ:
入れる設定にしてあるよー。玄関入って右手の廊下から庭まで出てきて。
ルト:
なんで庭?
――――――
疑問に返事を返す前に、ルトとリリが現れた。
二人に屋敷の場所を連絡するのと一緒に『遊びに来て!』と誘ってたんだけど、良いタイミングで来たね。
「屋敷がマジ屋敷でどういう顔したらいいのかわからん」
「さすが大儲けしてる商人だね~」
呆れたような、疲れたような、複雑な顔をしてるルトに対し、リリはニコニコと笑って楽しそうだ。
何事も楽しんだもの勝ちっていうし、ルトはもっと楽天的に行動したら良いと思う。
「えっへん! ここ、街防衛イベントが起きたら真っ先に被害を受けそうな場所だから安かったんだー」
「マジかよ。地雷物件じゃね?」
「守りきれればお得なだけでしょ」
ドン引きした顔をするルトの言葉を、リリがサラッと流す。僕もリリと同意見だ。
「それより、一緒に温泉入ろうよ」
「……この屋敷、温泉まであるのか」
「うん、あの離れ」
「マジ屋敷だな」
ルトの言いたいことはなんとなくわかるけど、語彙力少なすぎない? これを指摘したら怒られそうだから言わないけど。
示した温泉の方へ進むと、リリとルトもきょろきょろと周囲を観察しながらついて来た。ペタたちはもう慣れた場所なので、僕の先回りをするように温泉がある離れに飛び込む。
「雰囲気あっていいねー」
「温泉は五人くらいは入れそうだな」
中を眺めた二人が感心した様子で呟いた。
ペタがざぶーんと温泉に浸かった。スラリンとユキマルはぷかぷかと浮いている。
「僕、先に入るよー」
服を着てない僕と違って、リリたちは準備もあるだろうと、先に湯船に入った。
程よい温度のお湯に包まれて、体がほぐれていく気がする。スラリンたちと一緒に浮いていたら、ペタが水流を作って遊んでくれた。流れるプールみたいで楽しい!
「ふふっ、モモって、浮くんだ?」
「びっくりだよね。このもふもふの下がひょろっとしてるわけじゃないと思うんだけど」
「筋肉じゃなくて脂肪で構成されてるんだろ」
「……それ、僕が太ってるって言ってる?」
水着姿で現れたリリとルトが温泉に浸かりながら笑った。ルトの言葉はちょっぴり悪口な気がしなくもない。
むぅ、と頬を膨らませてから、パシャパシャとお湯をかけてみた。
「うわっ!?」
「スラリンたちもやっちゃえー」
「きゅぃ(水を吸って、吐くよー)」
「ぴぅ(モモの友だち、攻撃していいのかな?)」
スラリンがルトへ勢いよくお湯を吐き、ユキマルは控えめにシャワーのようなお湯を降らせた。
顔からお湯をかぶったルトはちょっと溺れそうになってる。
「あははっ、ルトがモモをいじめるからー」
「ゲホッ、ゴホッ、……いじめてねぇよっ」
ちょっとやりすぎた気がする?
ご機嫌取りにアイスクリームを差し出したら、ルトは文句を言いながらも受け取って、美味しそうに食べ始めた。ルトってたまにチョロいよね。
それもリリの笑いを誘ったのか、体を震わせてちょっと苦しそうだ。笑い過ぎだよ。
〈『温泉スタンプラリー』スタンプ二つ目がたまりました〉
十個の枠があるスタンプカードに二つ目のスタンプがつけられた。『秘湯発見!』って書かれてるスタンプだった。
まだ二つ目だし、スタンプラリー達成まではまだ遠いなぁ。
〈秘湯を利用したことにより、アイテム【長命水】を入手しました〉
「わっつ?」
思いがけないプレゼントに、変な返事をしてしまった。
時間差をおいてルトたちも同じアナウンスがあったのか、目を丸くして固まってる。
「……なるほど? やっぱりモモに付き合うと、驚くことばっかあるな」
「僕のせいじゃな……くもないね」
今回ばかりは僕のせいかも。僕が買った屋敷だし。
まぁ、アイテムもらえるなら、ラッキーなだけだから良いでしょ。
「秘湯を利用すると、一日一回【長命水】をもらえるみたいだね。素材にできるけど、そのまま飲んでも六時間体力最大値が二十上がるって、良いアイテムで嬉しい」
驚きから回復したリリがニコニコと微笑んでそう言ってくれた。ルトも呆れつつ「まぁ、そうだな。さんきゅ」と受け入れてくれたみたい。
結果オーライ!
長命水は役立つアイテムになりそうだから、ログインする度にこの温泉を利用しよう。
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