発明の天敵はムチムチ幼馴染

深海10メートル

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目覚め 2

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 性の目覚め、または才能の目覚めの話をもう少し続けよう。
 初めて才能を発揮して設計図を描いたはいいが、俺はそれがなにかよくわかっていなかった。性欲を昇華している間の俺は、平常時とはかけ離れた発想と能力を得ている。当時の俺は、そのことを当然ながら理解していない。
 自由帳に描かれた図面を眺めたり、反対にしてみたり、幼いながらに様々試してみたが解読にはいたらない。次に俺は学校へ行き、友達にも図面を見せた。小学四年生の頭では、ロボットという単語を引き出すので精一杯だった。
 子どもの狭い人脈ゆえ、同級生がわからないなら次は大人、つまり担任の先生にあたった。
 先生は最初、子供の創作物と微笑ましそうに受け取ったが、自由帳をめくるうちに表情が硬くなっていった。そして「本当にススムくんが描いたの?」と首をかしげたのである。
 先生の問いに俺が頷くと、先生は何度かうんうんと唸った後「ススムくんはもしかしたら、天才かもしれないね」とコメントして、俺に自由帳を返した。
 俺は先生の言葉を額面通りに受け取った。自分が知る中で賢く立派な大人に、天才だと褒められた。その場でぴょんぴょん跳ねて喜び、俺は自分が特別な存在になったような気になった。
 今思えば、先生は本気で才能を感じたわけではないのだろう。よくわからないけど、とりあえず褒めて伸ばしておこう。その程度の認識だったに違いない。
 それでも気が大きくなった俺はクラス中に自慢し、学校から帰ってから両親にも自慢した。
 母は「あら、すごい。きっと大人になったら発明家ね」と俺の将来を示した。
 父は「さすが俺の息子だ。きっと日本人の、いや人類の未来を背負う男になるぞ!」と俺の才能を認めた。
 二人の言葉がもとになり、俺の夢が形成された。
 俺はすっかりその気になり、人類の未来を背負う発明家になると信じて疑わなくなったのである。
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