発明の天敵はムチムチ幼馴染

深海10メートル

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公認幼馴染み

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 目覚まし時計が鳴らなくても、ふと目が覚めるときがある。それが今だ。
 寝起きながらも頭はすっきりとしており、まぶたを上げるのにも抵抗がない。一日のスタートとしては最良なものである。
 自然な起床に喜びつつ上半身を起こすと、幼馴染みの夕鶴トマリと目があった。彼女は窓枠を乗り越え、ちょうど部屋に侵入してきたところのようだった。
「おはよう。今日は早いねぇ」
「早いねじゃねえよ」
 朝一番にトマリを見つけるのは珍しいことではない。彼女はたびたび、俺を起こすという名目でうちを訪ねるのだ。
 誰が頼んだわけでもなく、トマリが自主的にやっていることである。
「というか、窓から来るな! 来るにしても玄関から来いよ」
「え、幼馴染みは窓からお邪魔するものだしぃ」
「うちマンション! しかも五階!」
 俺の家はマンションの一室で、それほど豪華なつくりでもない。必然、自室に窓はあってもベランダはない。
「ささいな問題だよぉ」
「どこがだよ……今さらだけど、どうやって入ってきてんの?」
「気合いをいれてる」
「なんだそのふわっとした回答!?」
 疑問はつきないが、それよりもトマリが着く前に起きれたことは喜ばしい。彼女に起こされると、たいてい禁欲が失敗するはめになるのだ。
 先日トマリに搾り取られてしまったばかりだが、新たな禁欲は良いスタートを切れたのかもしれない。
 気をよくして、俺はトマリを誘いリビングへ向かった。


 我が家のリビングはダイニングキッチンとなっている。玄関へ続く廊下側に四人掛けの食卓と椅子が置かれ、窓側に小さなソファーとその正面にテレビが設置されている。家族の団らんの場であり、食事は往々にしてここでとっていた。
 卓上にはすでに朝食が三人前用意してある。今日のメニューは白飯と味噌汁、それから卵焼きだ。
「おはよう、ススム。それからトマリちゃんもいらっしゃい。いつも悪いわね」
 キッチンから母が顔を出す。ちょうど朝食の準備を終えたところなのか、エプロンを外している最中だった。
「お義母かあさん、お邪魔してます。いいんですよ、モーニングコールは幼馴染の権利ですからぁ」
「義務じゃねえのかよ。義務でもおかしいけどよ」
「でもトマリちゃん家、遠いでしょ? なにかお礼ができればいいんだけどね……」
 トマリの家はここから離れた大きな一軒家だ。うちは彼女の通学路を通ってるわけでもないし、寄ればかなりの遠回りとなっている。
「お礼だなんてそんな、ススムちゃんを産んでくれただけでじゅうぶんです」
「お礼がさかのぼってんなぁ!?」
「それじゃあ申し訳ないわよ。もう一人くらいいる?」
「いるって言ったらどうすんだ? 産むのか? おい!」
 三人で食卓につき、食事が始まる。
 卵焼きを箸で切ると、じわりと黄身が滲み出てほのかに湯気がたちあがった。一欠け口に運んでみると、まろやかな卵の味に薄らと醤油のしょっぱい風味が口内に広がる。主食がないと思っていたが、これならご飯も進むだろう。
「トマリちゃんは今日も窓から?」
「はい。やっぱり幼馴染なのでぇ」
「まあ幼馴染だものね。それでも窓かー……窓から……」
 母の問いにトマリがおなじみの返事をした。しかし思う所があるのか、母がなにかを言いたげにもごもごとしている。
 もしや、トマリの奇行を咎めてくれるのだろうか。
「若いと元気ねー。でも、私も若いころは窓から窓へ飛び移ったものよ」
 俺の母親はスパイダーマンか?
「張り合うなよ。危ないでしょって止めろよ!」
「は、張り合ってなんかいないわ。母さんだってね、青春時代は六階、いや七階の窓までよじ登って……」
「張り合ってるだろ!? しかも嘘に嘘を重ねるな!」
 年甲斐もなく「嘘じゃないもん」とつぶやき、母がうなだれる。普段はまともなのだが、母はトマリのことを気に入っており、彼女が絡むと妙にテンションが高いのである。
「お義母さん……すごいですねぇ!」
「お前も騙されんじゃねえ!」
 母の調子にトマリも合わせるため、彼女がいるときの我が家はいつも以上に明るい。楽しくないと言えば嘘になるが、疲れないと言っても嘘になる。
「私のことを信じてくれるのはトマリちゃんだけよ……さすが、私公認の幼馴染ね」
「なら非公認もいるのかよ」
「うるさいわね。非公認息子」
「非公認息子!?」
 衝撃の単語がうまれたあたりで、三人ともご飯を食べ終えた。
 キッチンに空いた食器を置き、鞄を取りに自室へ戻る。当然のようにトマリもついてきた。
 自室に戻ると、トマリは上機嫌に「んふふ」と笑いだした。
「お義母さんに公認されちゃったぁ」
「幼馴染に公認もなにもあるかっての」
「それじゃあ、ススムちゃんは公認してくれてないのぉ?」
 部屋にある時計を見ると、まだ登校には早い時間だった。会話を切ってまで急ぐ必要もないだろう。
 ベッドに腰を下ろすと、ならうようにトマリも隣に座った。
「そもそも幼馴染はトマリだけだよ。これ以上いらん」
「そっかぁ、私だけがいいんだぁ」
「不法侵入する奴なんて、少ないほうがいいに決まってるわ」
「不法侵入されてるの? ススムちゃん、それきっと泥棒だよぉ」
「ならお前は泥棒だよ!」
 俺の突っ込みにトマリは不満そうに頬を膨らました。そして俺のほうへ手を伸ばし、「私は泥棒じゃないもん」と一旦言葉を区切る。
「――だって泥棒は、こんなことしないよねぇ?」
 トマリの手が俺の股間に置かれ、ズボンごときゅっと握られる。痛みとも快感ともつかない感覚が、局部からじわりと広がった。
「さっきは朝の処理ができなかったからぁ、今からしよ? ね?」
「あ、あほ言うな……俺はまた、禁欲をだな……」
 トマリの手がまた動く。今度は撫でるように、さすりさすりと上下に往復した。
「なら今から抜いておこうよぉ。そしたら一日、すっきりして過ごせるし」
「いや、それじゃ意味がないだろ……」
「せっかく気持ちよく起きれたんだから、もっと気持ちよくなろうよぉ」
 言って、トマリが体を寄せて耳元に口を近づけた。彼女は唇を細めて、俺の耳にふぅーっと息を吹きかける。彼女の吐息が耳から脳まで通り抜け、俺の理性を吹き飛ばした。
「それじゃあ、その、頼む」
「うん。ススムちゃんの公認幼馴染だからねぇ」
 理由になっていないとは、突っ込めなかった。


 左隣に座ったまま、トマリが俺のズボンのチャックを下ろす。すると半勃ちの秘部が下着に陰影をつくり、その存在を主張した。
 まだ本調子でないそれを、トマリは下着越しに優しく握る。そして彼女は、空いている右腕で俺の腰を抱き、俺にぴったりと密着するように寄りかかった。
「こっちのススムちゃんはぁ、まだおねむさんだねぇ」
 俺の耳元でトマリがささやく。ぼそぼそとした吐息混じりの響きが、蠱惑的に鼓膜を揺らしてくる。
「どうしたら起きてくれるかなぁ?」
 わざとらしくとぼけながら、トマリの手が下着の中に侵入してくる。薄い布を一枚隔て、彼女の手が見えなくなった。
 包皮にわずかな痛みが走り、思わず尻に力が入る。トマリが軽く皮をつまんだのだ。
「んふふ、痛くしたら起きるかな?」
 今度は陰茎を心地よい熱に包まれた。トマリの暖かい手のひらに、ぎゅっぎゅと緩急をつけて握られている。
「それともぉ、優しくしたほうがいい?」
 トマリの嗜虐的な責めに、俺のブツは硬度を増していった。彼女の滑らかな手のひらを楽しみながら、それはすっかりと反り返ってしまった。
「ちょっといじわるしたら、すぐに起きちゃった。次はぁ、むきむきしてあげる」
 言葉通り、トマリはまだ完全に剥けていない包皮をつまむと、ゆっくり下にずり落とした。
 亀頭にくっついていた皮膚がめくれていき、敏感な粘膜が擦られながら露出する。
 幼馴染みの包茎剥きはあまりに刺激が強く、無意識にまぶたを強く閉じた。
「ススムちゃんの体、がっちがちになってる。むきむき気持ち良すぎた? 大丈夫ぅ?」
 言葉とは裏腹に、トマリの声は弾んでいる。彼女は俺が快楽に反応する様を見て楽しんでいた。
「今からしこしこするからねぇ。いつでもびゅびゅってしていいよぉ」
 嗜虐的とも母性的ともとれる宣言をし、下着の中でトマリの手が上下に動いた。
 皮ごと手のひらで包まれ、粘膜が覆われたかと思えばすぐに剥かれる。包茎剥きの快楽を、短時間に繰り返される。
 トマリの手が下りるたびに、腰が小刻みに浮き上がる。尿道がらじわりとカウパーが分泌され、下着に小さく染みをつくった。
「あ、染みてきてるじゃん。……いいのぉ? パンツ汚れちゃうよ?」
 挑発的な言葉を投げられ、歯を食いしばって快感に抗う。しかし、俺の意思に反してカウパーの分泌は止まらない。
 次第にトマリの手の運動に、ぬちゃぬちゃとリズミカルな水音がつきだした。カウパーが潤滑油となり、彼女から与えられる悦楽が増していく。腰もがくがくと震えだし、全身の力が抜けていくようだった。
「でる? 射精する? いいよぉ、お手てで受け止めてあげるぅ」
 トマリがとどめとばかりに、俺の耳元に再度息を吹きかける。
 体が一瞬硬直した後、二度三度と痙攣した。尿道口がポンプのように白濁液を吐き出す。びゅくびゅくとは飛び出したそれが、亀頭に当てられたトマリの手を汚していく様を俺は想像した。
 トマリが「んふふ」と笑い、下着の中から手を取り出す。そして見せつけるように、手の平を俺に向けた。果たして、そこには俺の想像通りの光景があった。彼女の白く柔らかい手の平に、黄ばんだ白色がへばりついている。
「だしちゃったねぇ……それじゃあ、いただきまぁす」
 なにをと聞く前に、トマリは手の平をべろりと舐めた。猫が毛づくろいするように、丹念に自分の手を舌で掃除する。指の根本まで口に含み、丸い頬をすぼめて貪欲に汚れを吸っていく。満足いくまで味わうと、喉を鳴らして飲み込んだ。
「ごちそうさまぁ。ススムちゃんのデザート、美味しかったぁ」
 トマリがそう言うまでの間、扇情的な光景を俺は茫然と見つめていた。


 我に返って時計を確認すると、すでに家から出るべき時間だった。
「や、やばい! 早くいくぞ、トマリ」
 準備しておいた鞄を拾い、トマリに声をかける。彼女は窓枠に足をかけているところだった。
「え、おい、ちょっと待て!」
「それじゃあ下で待ってるね、ススムちゃん」
 身軽に窓枠を飛び越えて、トマリの姿が視界から消える。
「トマリー!?」
 慌てて窓に駆け寄り、首だけ出して地面を確認する。そこには凄惨な光景が広がって――いなかった。トマリが平然とこちらに手を振っているのが確認できた。
「いや、それはおかしいだろ!?」
 トマリの方がよっぽど超人なのではないかと思いつつ、俺は玄関へと向かった。
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