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第13話 靄と光明
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家に帰り部屋に戻った俺は今日起きた事を考えていた
”因子”と”計画”
今日色々と起きた中でのキーワードは間違いなくこれだろう…
正直”計画”に関しては、相手から何も聞き出す事は出来なかったから、今時点では何の事だか分からない
後分かっていないのは”因子”か…
この”因子”というのは、俺が掛けられている呪いに関係するものなのだろうか
もっと情報が欲しい所だ…
”因子”を持っているとされている俺とカノン…
まず2人に共通する事をおさらいしておこう
・4年ほど前から起きている不可解な現象
・ヴィズという男が言っていた”因子”持ちだという事
まずはこの2点だろう
2人に共通する”因子”の事がもっと詳しく分かれば、今後の対策や奴等の言っていた”計画”とやらも分かってくる筈だ
それにもし俺の呪いと関係しているのならば、呪いを解くためのヒントにもなる筈だ…
対策等についてだが、俺は転生者として他の世界での経験やスキルが備わっているから問題は無いとして、カノンにはどうやら特殊なスキルは無い様だ
だが、カノンは普通の人が見えない物を感じ取ったり、多少なりとも魔力への抵抗力はある様だ
恐らくこの”因子”とやらが関係しているのだろう
そして、その”因子”持ちのカノンを襲ったあの男…ヴィズが言っていた【バイソル】と言うのは多分生命力の類で間違い無いだろう
それを集めているのも”計画”に関係しているのも間違いないな
後は俺の頭の中で聞こえた声…
怒り狂っているヴィズを制する程の冷静さ…こいつも魔王軍とやらの一員か?
現代の魔王軍は過去の魔王軍より組織化していそうだ…恐らく他にも力を持った奴がいるかもしれない
…魔王軍…以前の世界で壊滅まで追いやった魔王の軍勢が何故この時代に現れていたのか…
それに以前の魔王軍より現代風というか洗練された様な感じだったな…
その時代に合わせた進化とでも言うべきだろうか
敵の力に関しては、まだまだ余裕で俺が対処出来る程度だから何とかなっているが…
それに少しづつだが確実に前より現象の範囲や魔物の強さが上がってきている
現時点では俺にとって全く問題無いが、ミケやカノンの今後が心配だな
ミケはそこそこ強いとは思うが、あのヴィズには恐らく太刀打ち出来ないだろう
カノンに至っては特に戦う為の力は無いだろうから
今回は俺が居たから対処出来たが、もし俺が居ない時にヴィズもしくはあいつと同等以上の使い手が現れたらどうなるか分からない…
俺が居ない時にも対処できる方法を考えなくては…
そう考えながら数日が経った時、家の電話が鳴る
両親は仕事中の為その電話には俺が出た
「…もしもし、城島です」
そう言うと聞き馴染みのある声で、
「城島さんのお宅でしょうか?私、南雲ヒイロと申します」
「デミ…じゃなくて城島ジュンさんはいらっしゃいますでしょうか?」
…やはりミケだな
「僕です」
と言うとミケの口調は明るくなり、
「ああ、デミス?私、ミケよ」
俺は少しあきれた感じて、
「直ぐに声で分かったよ」
「ていうか、最初デミスって言いそうになってたでしょ?」
「電話の近くに誰かいたら面倒だから、ちゃんと名前で呼んでくれないか?」
ミケは申し訳無さそうに、
「ゴメンゴメン、つい…」
「…改めてデミス、カノンから聞いてると思うけど、今度3人で会う時間を決めたくて連絡したの」
俺は他の事を考えているあまり忘れてしまっていた
「ああ、そっか…そうだね」
「約束したからには決めないといけないな」
「こっちは学校行っている時間以外ならいつでも大丈夫だよ?」
「流石に『今』って言われても直ぐには動けないけど」
と言うとミケは電話の向こうでスケジュール帖をめくり、
「そう、分かったわ」
「う~ん…じゃあ今度の日曜日で良いかしら?カノンも私もオフだから」
「待ち合わせ場所は…あなたの住んでいる所の最寄り駅でいいわ」
「私とカノンは車でそっちまで行くから」
俺は『流石は芸能人』と心の中で思い、軽く返事をして電話を切った
―日曜日―
俺は待ち合わせ場所の最寄り駅にいた
最寄りの駅は家近くのバス停から乗って10分程で着くが、電車は1時間に最大4本位しか来ない小さな駅だ
この駅は有人駅なので駅員はいるが、基本2人のみ
ちゃんと自動改札機は設置されている
利用客は朝と夕方位で、19時以降は殆ど人気が無くなる様な所だ
10時に待ち合わせなのでそろそろ来る頃かな
…おっ、どうやら来た様だ…って、えぇっ!?
あっけに取られている俺の前に停まったのは赤い大きなキャンピングカーだった
この時代ではこのサイズのキャンピングカーは珍しく、異様なまでに目立っていた
…おいおい、まさかこの車でミケ達が来たんじゃ無いだろうな?
と思っていると、キャンピングカーのドアが開きカノンが声を掛けて来た
「城島君、おはよう!さぁ乗って!」
と言って、挨拶も程々に引きずり込むように中に入れてもらった
中は見た目より広く、簡易的なキッチンや家具・電化製品等が揃っていてかなり快適な空間になっていた
「…結構広いんですね。初めて乗りました」
「いつもこれで移動しているんですか?(すんごい目立つんだけど)」
と俺が聞くと、
「そう、これが私の移動車よ」
「たまに移動先の現場に控室とかが無くて、待機したり衣装に着替えたりしてるの」
「移動式の楽屋みたいなものね」
俺は改めてカノンが芸能人である事を痛感した
「あれ?ヒイロさんは?車の運転はヒイロさんがしているんですか?」
とカノンに聞いたが、
『そう、マネージャーの私が運転しているのよ~』
と声が聞こえビックリした
『一応そっちと会話が出来る様に、マイクとモニターが付いているの』
『驚いたでしょ?今売れっ子のアイドルは今時こうなのよ?』
室内にはモニターが付いていて、運転席と助手席が映っていた
運転しているミケが良く見える
世間の事を常識の範囲内でしか知らなかった俺にとっては驚く事ばかりだった
その様子を見ていたカノンがこちらを見てニヤニヤと、
「…城島君って、もしかしてこういうの疎い感じ?」
「この前ライブに来てくれた時も一緒にいたお友達とは反応が違うというか、興味が無い様に見えたから」
…結構刺さった、観察力もしっかりしているのんだな…
自分に関係の無い事に関して興味を持つ方では無いが、ちゃんと見破られていたとは…
「…小さい頃からあまりテレビとは雑誌とか読んでなくて、本ばかり読んでたからこういう華やかな世界の事はちょっと…」
「よく友達からはからかわれています」
それを聞いたカノンは嬉しそうに、
「そうなんだ~私も小さい頃は本ばかり読んでいたよ」
「特にファンタジー物が好きだったから、色んな種類の本を読んでいたかな?」
「それで城島君はどんな種類の本を読んでいたの?」
そう聞かれた俺はカノンに合わせる様に、
「僕もファンタジー物をよく読みますよ」
「後は史実に基づいた物やお母さんの実家が教会なので聖書やオカルトチックな物も読んでました」
と珍しく正直に答えていた
それを聞いたカノンは、
「ファンタジー物って何読んでたの?私は親が知り合いの作家さんが書いた本を読んでたよ」
「その作家さんって、殆どの本が超常現象を否定する様な内容の本ばかり書いていたのに、珍しくファンタジー物を書いたの」
「その物語になんだか不思議に魅せられてよく読んでいたわ」
「ちゃんとは完結していなかったんだけど、それ以降書くのを辞めたみたいなのよねぇ」
…うん?どっかで聞いたような感じの内容だな…まさか…
「…その作者のお名前って分かりますか?」
と確信めいた質問をしてみた
そしてカノンは考えながら、
「う~ん…小さい頃の事だからハッキリとは覚えてないけど、確か…ハイド…なんちゃらミハエルだった様な…」
!?やっぱりそうか…
「…もしかしてハイド・E・ミヒャエルですか?」
と俺が聞くと思い出したのかカノンは手をパンっとたたき、
「そうそう!そのミヒャエルって人!」
「へぇ~城島君知ってるんだね?」
偶然と言っていいものなのか…俺が読んでいた本をカノンも読んでいて、更には親の知り合いだって?
「…僕もその本に不思議と魅せられて読んでいました」
それを聞いたカノンはミヒャエルとの関係を話し出した
「私小さい頃に親の仕事関係で2年位フランスに住んでいたの」
「お父さんが海外の翻訳編集業をしていたから、仕事の関係でミヒャエルさんと知り合ったって言ってたわ」
「私も何度か会ってお話している内に仲良くなって、色々な話しを聞かせてもらったわ」
「初めてあった時から不思議な感じのするおじさんだなって思ってた」
「それから私が日本に戻ってきた後にミヒャエルさんが、わざわざ日本に送ってきてくれたのがその本だったの」
「本の題名は確か…」
とカノンが言いかけた所で、
「dissimulation(ディスミゥケーション)」
と俺が遮る様に言った
カノンはまた手をたたき、
「そうそう、その題名だったわ」
「城島君の読んでいた本もその本だったんだ~」
中々の偶然に言葉数が少なくなっている俺を横目に続けてカノンが、
「その本今でも家に置いてあるの」
「…って、そういえばあの本って和訳してなかった筈だけど、何で城島君は読めたの?」
うっ…そうだった…俺は今、日本生まれの中学生だった…
どう誤魔化すか……そうだっ!
「じ、実は母方の父親がフランス人でして教会の神父をやっているんです!」
「小さい頃から僕に色んなフランスの書物を読み聞かせてくれたんですよ」
「普通の絵本より夢中になって聞いていたって親が言ってました!ハハハッ」
どうだっ!中々良い返しだっただろう
それを聞いたカノンが、
「城島君のおじい様ってフランスの方だったんだ~」
「そっかぁ…にしても城島君のご両親ってフランスの本を読み聞かせるなんて高度な教育しているんだね?」
「…まいっか、それにしてもまさか城島君と同じ本に興味が湧くなんて、偶然だね?」
俺は心のどこかに、これは偶然なのだろうか…それとも”因子”が関係しているのだろうか…
とこの奇跡的な偶然に不安を覚えていた
『2人共~そろそろ着くわよ』
と運転席のミケから声が掛かる
車が着いた先はミケが軍団長を務める聖霊騎士団がいくつか拠点にしている出張所?みたいな所だった
第14話に続く
”因子”と”計画”
今日色々と起きた中でのキーワードは間違いなくこれだろう…
正直”計画”に関しては、相手から何も聞き出す事は出来なかったから、今時点では何の事だか分からない
後分かっていないのは”因子”か…
この”因子”というのは、俺が掛けられている呪いに関係するものなのだろうか
もっと情報が欲しい所だ…
”因子”を持っているとされている俺とカノン…
まず2人に共通する事をおさらいしておこう
・4年ほど前から起きている不可解な現象
・ヴィズという男が言っていた”因子”持ちだという事
まずはこの2点だろう
2人に共通する”因子”の事がもっと詳しく分かれば、今後の対策や奴等の言っていた”計画”とやらも分かってくる筈だ
それにもし俺の呪いと関係しているのならば、呪いを解くためのヒントにもなる筈だ…
対策等についてだが、俺は転生者として他の世界での経験やスキルが備わっているから問題は無いとして、カノンにはどうやら特殊なスキルは無い様だ
だが、カノンは普通の人が見えない物を感じ取ったり、多少なりとも魔力への抵抗力はある様だ
恐らくこの”因子”とやらが関係しているのだろう
そして、その”因子”持ちのカノンを襲ったあの男…ヴィズが言っていた【バイソル】と言うのは多分生命力の類で間違い無いだろう
それを集めているのも”計画”に関係しているのも間違いないな
後は俺の頭の中で聞こえた声…
怒り狂っているヴィズを制する程の冷静さ…こいつも魔王軍とやらの一員か?
現代の魔王軍は過去の魔王軍より組織化していそうだ…恐らく他にも力を持った奴がいるかもしれない
…魔王軍…以前の世界で壊滅まで追いやった魔王の軍勢が何故この時代に現れていたのか…
それに以前の魔王軍より現代風というか洗練された様な感じだったな…
その時代に合わせた進化とでも言うべきだろうか
敵の力に関しては、まだまだ余裕で俺が対処出来る程度だから何とかなっているが…
それに少しづつだが確実に前より現象の範囲や魔物の強さが上がってきている
現時点では俺にとって全く問題無いが、ミケやカノンの今後が心配だな
ミケはそこそこ強いとは思うが、あのヴィズには恐らく太刀打ち出来ないだろう
カノンに至っては特に戦う為の力は無いだろうから
今回は俺が居たから対処出来たが、もし俺が居ない時にヴィズもしくはあいつと同等以上の使い手が現れたらどうなるか分からない…
俺が居ない時にも対処できる方法を考えなくては…
そう考えながら数日が経った時、家の電話が鳴る
両親は仕事中の為その電話には俺が出た
「…もしもし、城島です」
そう言うと聞き馴染みのある声で、
「城島さんのお宅でしょうか?私、南雲ヒイロと申します」
「デミ…じゃなくて城島ジュンさんはいらっしゃいますでしょうか?」
…やはりミケだな
「僕です」
と言うとミケの口調は明るくなり、
「ああ、デミス?私、ミケよ」
俺は少しあきれた感じて、
「直ぐに声で分かったよ」
「ていうか、最初デミスって言いそうになってたでしょ?」
「電話の近くに誰かいたら面倒だから、ちゃんと名前で呼んでくれないか?」
ミケは申し訳無さそうに、
「ゴメンゴメン、つい…」
「…改めてデミス、カノンから聞いてると思うけど、今度3人で会う時間を決めたくて連絡したの」
俺は他の事を考えているあまり忘れてしまっていた
「ああ、そっか…そうだね」
「約束したからには決めないといけないな」
「こっちは学校行っている時間以外ならいつでも大丈夫だよ?」
「流石に『今』って言われても直ぐには動けないけど」
と言うとミケは電話の向こうでスケジュール帖をめくり、
「そう、分かったわ」
「う~ん…じゃあ今度の日曜日で良いかしら?カノンも私もオフだから」
「待ち合わせ場所は…あなたの住んでいる所の最寄り駅でいいわ」
「私とカノンは車でそっちまで行くから」
俺は『流石は芸能人』と心の中で思い、軽く返事をして電話を切った
―日曜日―
俺は待ち合わせ場所の最寄り駅にいた
最寄りの駅は家近くのバス停から乗って10分程で着くが、電車は1時間に最大4本位しか来ない小さな駅だ
この駅は有人駅なので駅員はいるが、基本2人のみ
ちゃんと自動改札機は設置されている
利用客は朝と夕方位で、19時以降は殆ど人気が無くなる様な所だ
10時に待ち合わせなのでそろそろ来る頃かな
…おっ、どうやら来た様だ…って、えぇっ!?
あっけに取られている俺の前に停まったのは赤い大きなキャンピングカーだった
この時代ではこのサイズのキャンピングカーは珍しく、異様なまでに目立っていた
…おいおい、まさかこの車でミケ達が来たんじゃ無いだろうな?
と思っていると、キャンピングカーのドアが開きカノンが声を掛けて来た
「城島君、おはよう!さぁ乗って!」
と言って、挨拶も程々に引きずり込むように中に入れてもらった
中は見た目より広く、簡易的なキッチンや家具・電化製品等が揃っていてかなり快適な空間になっていた
「…結構広いんですね。初めて乗りました」
「いつもこれで移動しているんですか?(すんごい目立つんだけど)」
と俺が聞くと、
「そう、これが私の移動車よ」
「たまに移動先の現場に控室とかが無くて、待機したり衣装に着替えたりしてるの」
「移動式の楽屋みたいなものね」
俺は改めてカノンが芸能人である事を痛感した
「あれ?ヒイロさんは?車の運転はヒイロさんがしているんですか?」
とカノンに聞いたが、
『そう、マネージャーの私が運転しているのよ~』
と声が聞こえビックリした
『一応そっちと会話が出来る様に、マイクとモニターが付いているの』
『驚いたでしょ?今売れっ子のアイドルは今時こうなのよ?』
室内にはモニターが付いていて、運転席と助手席が映っていた
運転しているミケが良く見える
世間の事を常識の範囲内でしか知らなかった俺にとっては驚く事ばかりだった
その様子を見ていたカノンがこちらを見てニヤニヤと、
「…城島君って、もしかしてこういうの疎い感じ?」
「この前ライブに来てくれた時も一緒にいたお友達とは反応が違うというか、興味が無い様に見えたから」
…結構刺さった、観察力もしっかりしているのんだな…
自分に関係の無い事に関して興味を持つ方では無いが、ちゃんと見破られていたとは…
「…小さい頃からあまりテレビとは雑誌とか読んでなくて、本ばかり読んでたからこういう華やかな世界の事はちょっと…」
「よく友達からはからかわれています」
それを聞いたカノンは嬉しそうに、
「そうなんだ~私も小さい頃は本ばかり読んでいたよ」
「特にファンタジー物が好きだったから、色んな種類の本を読んでいたかな?」
「それで城島君はどんな種類の本を読んでいたの?」
そう聞かれた俺はカノンに合わせる様に、
「僕もファンタジー物をよく読みますよ」
「後は史実に基づいた物やお母さんの実家が教会なので聖書やオカルトチックな物も読んでました」
と珍しく正直に答えていた
それを聞いたカノンは、
「ファンタジー物って何読んでたの?私は親が知り合いの作家さんが書いた本を読んでたよ」
「その作家さんって、殆どの本が超常現象を否定する様な内容の本ばかり書いていたのに、珍しくファンタジー物を書いたの」
「その物語になんだか不思議に魅せられてよく読んでいたわ」
「ちゃんとは完結していなかったんだけど、それ以降書くのを辞めたみたいなのよねぇ」
…うん?どっかで聞いたような感じの内容だな…まさか…
「…その作者のお名前って分かりますか?」
と確信めいた質問をしてみた
そしてカノンは考えながら、
「う~ん…小さい頃の事だからハッキリとは覚えてないけど、確か…ハイド…なんちゃらミハエルだった様な…」
!?やっぱりそうか…
「…もしかしてハイド・E・ミヒャエルですか?」
と俺が聞くと思い出したのかカノンは手をパンっとたたき、
「そうそう!そのミヒャエルって人!」
「へぇ~城島君知ってるんだね?」
偶然と言っていいものなのか…俺が読んでいた本をカノンも読んでいて、更には親の知り合いだって?
「…僕もその本に不思議と魅せられて読んでいました」
それを聞いたカノンはミヒャエルとの関係を話し出した
「私小さい頃に親の仕事関係で2年位フランスに住んでいたの」
「お父さんが海外の翻訳編集業をしていたから、仕事の関係でミヒャエルさんと知り合ったって言ってたわ」
「私も何度か会ってお話している内に仲良くなって、色々な話しを聞かせてもらったわ」
「初めてあった時から不思議な感じのするおじさんだなって思ってた」
「それから私が日本に戻ってきた後にミヒャエルさんが、わざわざ日本に送ってきてくれたのがその本だったの」
「本の題名は確か…」
とカノンが言いかけた所で、
「dissimulation(ディスミゥケーション)」
と俺が遮る様に言った
カノンはまた手をたたき、
「そうそう、その題名だったわ」
「城島君の読んでいた本もその本だったんだ~」
中々の偶然に言葉数が少なくなっている俺を横目に続けてカノンが、
「その本今でも家に置いてあるの」
「…って、そういえばあの本って和訳してなかった筈だけど、何で城島君は読めたの?」
うっ…そうだった…俺は今、日本生まれの中学生だった…
どう誤魔化すか……そうだっ!
「じ、実は母方の父親がフランス人でして教会の神父をやっているんです!」
「小さい頃から僕に色んなフランスの書物を読み聞かせてくれたんですよ」
「普通の絵本より夢中になって聞いていたって親が言ってました!ハハハッ」
どうだっ!中々良い返しだっただろう
それを聞いたカノンが、
「城島君のおじい様ってフランスの方だったんだ~」
「そっかぁ…にしても城島君のご両親ってフランスの本を読み聞かせるなんて高度な教育しているんだね?」
「…まいっか、それにしてもまさか城島君と同じ本に興味が湧くなんて、偶然だね?」
俺は心のどこかに、これは偶然なのだろうか…それとも”因子”が関係しているのだろうか…
とこの奇跡的な偶然に不安を覚えていた
『2人共~そろそろ着くわよ』
と運転席のミケから声が掛かる
車が着いた先はミケが軍団長を務める聖霊騎士団がいくつか拠点にしている出張所?みたいな所だった
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