目立ちたくない英雄はコッソリ世界を救いたい

四畳半

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第14話 ツナガリ

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聖霊騎士団の拠点に着いた俺達3人

俺も初めて来た訳なんだが、その拠点を見たカノンは、

「…わぁ~…ヒイロさんから話しを聞いたけど、ここがその聖霊騎士さんの家なんだぁ」
「こんな山奥にあるんだねぇ~」

と驚いていた

まぁ無理も無い、普通に生活していたらこの様な場所とは無縁だからな

カノンの言葉を聞いたヒイロは、

「まぁ家って言うか、ここは本拠点じゃなくて、各地にある支部の1つなの」
「私と同じ活動をしている人達の集会所?みたいな所よ?」

カノンにはこれくらいの方が理解し易いだろう

そうして車を降りた俺達3人は騎士団員の案内で拠点内にある少人数で入れる部屋に案内された

「さぁ2人ともそこに座って」
「ここなら余計な邪魔が入らずに話しが出来るわ」

とミケが言った

続けてミケが場を仕切る様に、

「いきなりだけど本題に入るわね?」
「…カノンからは話しを聞いたわ」
「それでデミ…ジュンからも状況を確認したいから話してくれる?」

俺は今更呼び名を訂正するのも面倒なので、

「呼び方はデミスでいいよ…内容はカノンさんから聞いた通りだ」
「どうやらカノンさんは俺と似た様な境遇みたいで、”因子”と言う物が関係しているみたいだ」
「ミケは直接見ていない筈だが、カノンさん達が倒れた後に『業火のヴィズ』と名乗る男が現れ、皆から”バイスル”という物、恐らく生命力の様な物を奪った様だった」
「奴が言うにはどうやら何かの”計画”の為に動いていた様だった…」
「それに自分は魔王軍だとも言っていた」
「その男と対峙していた時、俺とそのヴィズとやらの頭に直接話し掛けてくる別の存在もあったが、そいつは特に名乗らなったからどういう立場の奴かは分からない」
「複数人で行動している事から、魔王軍は組織化しているのは間違いないだろう」

とここまで話した所でカノンが口を開き、

「その話しだけど…私…昔似た様な内容をミヒャエルさんから聞いた事があるの」
「その時聞いたのは、この世界には幾つかの世界線があって、その異なった世界からこの世界に干渉しようとする存在があるって…」

それを聞いた俺はカノンに問いかける

「その話しをミヒャエルさんから聞いたんですか?」
「俺は御伽噺の様なよくある空想世界の内容に思えるんですが…」
「でもあの物語を書いたミヒャエルさんなら何か根拠になるものがあるのかな…」

カノンは少しうつむきながら、

「私も聞かされた時は小さかったから、ミヒャエルさんの作り話としか思って無かったんだけど…」
「今度の事があって、聞いた話しに似ているなって思い出したの…」

それを聞いたミケがカノンを覗き込み、

「そのミヒャエルさん…だっけ?その人って誰なの?」
「車で話していたみたいだけど、ちゃんとは聞こえてなかったの」
「悪いんだけど、簡単でいいから教えて?」

と聞いて来た

カノンの代わりに俺がミケに説明する

「以前カノンさんが小さい頃に住んでいたフランスに住んでいる作家さんだよ」
「俺もカノンさんも、この人が最後に書いたファンダジー調の物語に不思議な魅力を感じて読んでいたんだ」
「その書物以降何も書いていな様だけどな」
「それにそのミヒャエルさんは超常現象についてもいくつか書物を出していて、フランスでは有名な人だよ」

ミケが頷きながら、

「へぇ~、そうなんだ」
「カノンとデミスにそんな共通点があったなんてねぇ」
「…それで、少し話しが戻るけど、その”因子”?について何か分かったの?」

と聞いてきたので、俺は神妙な顔で、

「…実の所良く分かっていないんだ。数年前からの不可解な現象にも関係しているとは思うんだけど…」
「その”因子”は何かを引き付ける物なのか、それとも奴らの言っていた”計画”に関係しているのか…」
「まだあの事が起きてからそんなに日が経っていないのもあるが、あれから他の魔王軍の動きも無いから正直手がかりを掴もうにもな…」

するとカノンが唐突に、

「…多分だけど、もうあの人達は私の前には現れない気がする…」

と言った

俺はカノンの言葉に対して、

「どうしてそう思うんですか?」
「あいつらはあの時明らかにカノンさんを狙っていたから、また狙われる可能性はあると思うんですが…」

カノンは俺の言葉に対してボソボソと話し出した

「…実は目が覚めた後から前まで見えていたり、感じてた感覚が無くなっているの…」
「多分だけど…あの人達に生命力を奪われた時に、今まで感じてた感覚も一緒に無くなったみたい…」
「今はヒイロさんや城島君からは特に何も感じていないの…」

その話しを聞き、恐らくあのヴィズという奴がカノンからバイスルを奪った際に、カノンの中にある”因子”ごと奪ったのでは無いかと俺は考えた

「…多分あのヴィズって奴がカノンさんから”バイスル”と”因子”を同時に奪ったんじゃないかと思います」
「あいつらはカノンさんから”因子”を奪う事、そしてその場にいた観客から生命力を奪う事、この2つが目的だったんじゃないかと考えています」
「…という事はあいつらにとってカノンさんは、もう襲う理由が無いって事ですか?」

俺がそう言うとミケが思い出した様に、

「…そう言えばあの後からカノンの身の回りには不可解な現象が起きていないわね…」
「それに、私たちがいる地域で魔物の発生も極端に減ってきているわ」

そういうとカノンは落ち込んだ様子で、

「…もし城島君の言っている事が本当なら、私を襲う理由が無くなっている筈だから…」
「私…少しでもヒイロさんの力になりたかったけど、もう無理みたい…」
「いつも助けてもらってばっかりだったから恩返ししたかったのに…」

と泣き出してしまった

ミケはカノンを慰める様に背中をさすりながら、

「…何言ってるの!私はいつもカノンに勇気付けてもらってたわよ?」
「あなたが自分やファンの為に一生懸命努力している姿を見て、『私も頑張ろう!この子を守りたい!』と思えたのよ?」
「あなたは歌やその姿勢で、私は培ったこの力で色んな人を助けてきたの」
「…だから、カノンはカノンにしか出来ない事を続けて?私も私にしか出来ない事をするから!」

そう言うとカノンが落ち着きを取り戻し、

「…うん、ありがとうヒイロさん…私、これからも今まで以上に頑張るっ!」

どうやらミケのお陰でそっちの事はどうにかなった様だ

俺はカノンに気になっていた事を聞いてみた

「カノンさん…いいですか?」
「前から出ているミヒャエルさんの事何ですけど、今も連絡を取る事は出来るんですか?」

カノンが泣いて赤らめた顔で、

「…今でも2か月に1回位電話でお話ししているよ?」
「ミヒャエルさんは今フランスの郊外で1人暮らしをしているみたいだけど…」

2ヶ月に1度位連絡取ってるのに名前忘れて無かったか?

と頭の中で突っ込みを入れておいた

俺はこの状況で言おうか迷ったが、今しかチャンスが無いと思い、

「その…この状況で厚かましいとは思うんですが…僕にミヒャエルさんを紹介してくれませんか?」
「あの書かれた物語の内容が気になって…」
「どうしてかは分からないんですけど、何故か僕たちに関係している様な気がして…」
「1度会ってみたいんです!直接あって聞きたい事があるんです」

そう言うとカノンが俺を見つめ、

「そうなんだ…良いわ、分かった」
「私からミヒャエルさんに連絡してみる」
「でも、ミヒャエルさんが嫌がってたら無理にお願いしたくないから…その時はごめんね?」
「ミヒャエルさんが会ってくれる様なら、住んでいる場所と連絡先を後で教えるね」

カノンが快く引き受けてくれた事に感謝した俺は、

「分かりました、ミヒャエルさんが承諾してくれる様でしたらお願いします」

と言った

カノンが俺を少し羨む様な顔で、

「…そういう事なら本当は私も一緒に行きたいんだけど…」
「…だけどヒイロさんが言ってくれたみたいに、今は私にしか出来ない事をしたいから我慢するっ」

ミケはカノンの両手を握りしめ、

「…カノン…私も応援するわ!一緒に頑張りましょう!」

と言った

今後の事についてはカノンから連絡を待つ事になったので、俺はまたあのデカいキャンピングカーに乗って帰って行った

第15話に続く
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