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第16話 アイに来るアイドル
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翌日、学校が終わり自宅に戻った俺はミケへ電話をする事にした
両親共まだ仕事をしている様で、家の方には居なかった
今の内に電話して色々話しておこうと思った俺は、親が居ない事を確認しつつ電話した
…プルルル、プルルル、…ピッ、はい、もしもし?
「もしもし?ヒイロさんの番号で間違いないですか?」
と俺が言うと電話の向こうから、
『はい、そうですよ』
と答えが返って来た
俺が少し小声で、
「城島ジュンです」
「今大丈夫ですか?」
ミケが明るい口調で、
『ああ、デミス?どうしたのこの時間に連絡くれるなんて』
『この前会ったばかりなのにまた声でも聞きたくなっちゃった~?』
と言ったので、少しイラっときた俺は、
「…切ります」
と言うとミケが慌てた様子で、
『ちょっ…冗談だってぇ~』
『お願いっ!切らないで?』
いつも通りの感じに呆れた俺が、
「…前にも同じ事やってたよね?毎回これをやらないと気が済まないの?」
「まぁいいや…」
「本題に入りたいんだけどいい?」
ミケが半分嬉しそうに、
『えへへっ、いいわよ、丁度今休憩している所だから』
と言うので俺は、
「昨日話していたカノンさんの知り合いでミヒャエルっていう人の事なんだけど、何か進展あったかなって気になって」
「昨日の今日だから流石に何も話しは進んでないよね?」
と言うとミケが、
『ああ、その人の事だけど、カノンから言付けを預かってるわよ?』
『昨日の夜に連絡したみたいだけど、向こうのミヒャエルって言う人だったっけ?会ってくれるそうよ?』
『今日の夜にでも連絡しようと思ってたから丁度良かったわ』
俺は話が都合良く進んでいた事に少々驚きつつ、
「思ったよりすんなりと話しが進んでいるんだな…」
「でも、こっちにとっては都合がいいね」
「…それで、その件に関係しているんだが、頼み事があるんだ」
ミケが少し身構えた様な声で、
『…何?』
と言うので俺は、
「そのミヒャエルさんに会う為、フランスに行く事にしたんだ」
「昨日両親に話して、ホームステイするって言う事にして話しを付けた」
「それで両親は納得はしてくれたみたいなんだが、条件を出されて…」
「その条件が『一度カノンさんに会って話しがしたい』って事なんだ」
「話しの内容的には、カノンさんにフランスに知り合いがいて、そこに俺がホームステイするっていう事にしている」
「カノンさんと出会ったのも、ライブ会場じゃなくて図書館で俺が調べ物していたら声を掛けてくれたって事にしている」
「流石に詳しい話しまでは出来ないからな」
「…そこで、どうにかカノンさんと話が出来る様にセッティングして欲しいんだ」
「この前の事があって色々ゴチャゴチャしていると思うが、お願い出来ないだろうか?」
と言うとミケが、
『う~ん…スケジュール的には2日後の夜だったら空いているけど、カノンにも聞いてみないとねぇ…』
『隣にいるから今聞いてみるわ』
電話の向こうでミケがカノンと話している声がうっすらと聞こえてくる
『…もしもし?城島君?』
電話に出たのはカノンだった
『明後日の夜なら私大丈夫だよ』
『ちょっとヒイロさんから聞いたけど、確かに本当の事を話しても意味分からないと思うから、城島君が言った内容で出会った事にしていいよ?』
と言ってくれた
「ありがとうございます」
「両親を説得する為とはいえ勝手に名前を出してしまってごめんなさい」
「それに会わせろっ!なんて失礼な事まで…」
そう言うとカノンが、
『ううん、気にしないで?私も同じ立場だったら心配すると思うし、どこの誰か分からない人から声掛けられたら不審がるのも納得だわ』
『それに私がご両親とお話しする事で、少しでも心配を減らせなら協力するわ!』
『あなたとヒイロさんは私の…ううん、あの時会場にいた全ての人にとって命の恩人だもの』
俺は電話越しにその優しさに感動してしまった
「…そう言ってもらえるとこちらも助かります」
「それで申し訳ないんですが、内の両親と会って口裏を合わせる様にして頂きたいんですが、どうでしょうか?」
「少しでも両親には安心して行ける様にしたいので…」
そう言うとカノンが、
『大丈夫!任せといてっ!今演技の猛特訓中だから安心してっ!』
…ちょっと不安になって来た
続けてカノンが、
『じゃあ明後日の19時位にこの前待ち合わせした所に行くから待っててね?』
『あ、後ご両親にも宜しくお願いしますって伝えておいて』
俺はそれに対して適当に返事をして電話を切った
父は自宅兼電気店を営んでいるので、母と一緒にいる所に声を掛けに行った
俺は明後日の19時頃に待ち合わせをして家に来る事を伝えた
母はお客さんが来るから片付けないと、と焦って家に戻って片づけを始めた
俺は伝え終わった後、その場にいた父に出かけてくると言い家を出た
俺が家を出て向かう先は、タズキのいる占いの館だ
見つからない様に移動魔法を使いミのタズキ所まで来た
中に入るとタズキがいた
「おや、デミス君じゃないですか?」
「どうしたんです?まだ約束の日まで1週間位ありますよ?」
と言うので、
「とりあえず旅に出れる様に調整はしてきました」
「一応フランスにホームステイという形で伝えてあります」
「…それと、実際にフランスに行って会いたい人がいるので、その事も事前に話そうと思って」
タズキが顎に手を掛け少し考える様な仕草を見せ、
「ふむ、フランスですか…丁度良いかもしれないですね?」
「私も旅の初めにフランス方面に行こうかと思っていたんですよ」
「あの地域に高名な占星術師がいると聞いているので、まずは会ってみようかと」
「…因みにその会いたい人と言うのはどなたですか?」
と聞かれたので、
「ハイド・E・ミヒャエルというフランスの作家さんです」
「僕の知人に知り合いがいて紹介してくれたんです」
と言うとタズキが、
「ほぅ、ハイド・E・ミヒャエルですか」
俺はタズキその名前を知っている様だったので少し驚き、
「知っているんですか?」
と聞くとタズキは、
「あの方の書物は何度か読んだ事がありますよ」
「主に超常現象を否定する様な内容で書かれている作家ですよね?」
「なぜまたその人に会いに行くんですか?」
「あなたからすれば真逆の思想を持っていると思いますが…」
と言うので俺は、
「…実はそのミヒャエルさんが最後に書かれていた本の内容が、今までの本とは全く毛色の違うファンタジー物なんです」
「その内容に対して妙に引き込まれるというか、気になってしまって…」
「内容自体は未完の様な感じで終わっていて、今は執筆を辞めていて郊外で一人暮らししているみたいなんです」
タズキが関心を持ったようで、
「あの作家が書いた最後の書物がそれまでと全く違っているとは…」
「確かに気になりますね…」
「良かったら今度その本を見せてもらえませんか?」
祖父の教会から借りて来ようと思った俺は、
「分かりました、近いうちに持って来ますので読んでみて下さい」
「それと、出発当日は僕の両親が空港まで見送りにくる筈ですので、別れるまでは別行動でお願いします」
タズキはふぅっと一息して、
「そういう事でしたら分かりました」
「旅のプランをある程度考えておきますので、デミスも考えておいて下さい」
そう言うと俺はタズキと別れ家に戻って行った
そして2日後の夜
カノンとミケが来るので俺は最寄りの駅で待っていた
暫く待つと、例のキャンピングカーがやってきた
1km位先でも分かる位目立っている
「おまたせ!」
と言うとミケが運転席から顔を出し声を掛けてきた
俺はやはり見慣れない車に圧倒されながら、
「相変わらずこの車は目立つな…とりあえず家の近くまで案内するよ」
と言って車に乗せてもらった
車内にはカノンがいて、なにやら緊張している様子だった
「き、き、城島く、君、こ、ここんばんわ~…」
?どうしたんだ?明らかに様子がおかしいが…
「カノンさん、どうしたんですか?」
と俺が聞くと、
「な、なんか、城島君のご両親に会うと思ったら、き、緊張しちゃって…」
普段、何千人と言う人の前で歌っているアイドルとは想像がつかない位ガッチガチに緊張しているらしい
「ははっ、大丈夫ですよ?カノンさん」
「別に取って食おうなんてしないですから」
「普段の感じでいてもらって、何となく話しを合わせてもらえればいいですから」
と俺が言うと、カノンは、
「そ、そう?それを聞いて少し気が楽になったわ」
「質問攻めが来ると思ったら、いつも以上に緊張しちゃって…」
「それに城島君の顔見たら安心してきたわ」
俺はお守りか何かか?と思ったが口には出さないでおいた
程なくして家に着いた俺達は、車を降りて家に入っていく
「お父さん、お母さん、連れて来たよ」
と言うと、奥から父と母が出て来た
「いらっしゃい」
「わざわざここまで来てくれてありがとう」
「さ、どうぞ中に入って下さい」
と父が言う
ミケ達は恐縮した様子で、
「初めまして、私はカノンの芸能活動をマネージングしている南雲ヒイロと申します」
「この度はご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません」
とミケが流石の社会人として挨拶をした
その後ろからカノンが出て来て、
「城島君のお父様、お母様、初めまして、私は歌手活動をさせて頂いている、如月カノンと申します」
「突然のお話しで驚かれたと思います」
「本日はお招き頂きありがとうございます」
と言った
…なんだ、結構2人ともちゃんとしているんだな…
それに対し母が、
「ヒイロさんもカノンさんもお忙しいのに、こちらの都合でお呼び立てしてしまってごめんなさいね?」
それを聞いた2人は恐縮をしていた
そして父が、
「今日わざわざお呼びした経緯はご存じだと思います」
「…玄関での立ち話も何ですから、どうぞ中に入ってお話しをしましょう」
と言って2人をリビングに案内をした
リビングに集まり皆が着席した早々に父が話し始める
「カノンさん、ジュンから話しを聞いています」
「この度はジュンの我儘を聞いて下さったようで…」
「私達も親として1度カノンさんに直接お会いして、お話しを聞かせて頂けないものかとお願いしました」
「…ジュンは昔から素直で優しく、私達親に面倒を掛けた事が1度も無かったんです」
「それが、つい先日フランスへのホームステイを強く希望している事を聞かされ…」
「最初はそんな事はさせられないと思ったのですが、ジュンの今まで溜めていた思いを聞かされて、最終的には2人共応援しようと決心したんです」
「ジュンを気持ち良く送り出したいという気持ちで今は一杯です」
「…っと、私ばかり話してしまったようですね」
「カノンさん…何故ジュンに協力しようと思ってくれたんですか?」
と父が問いかけ、カノンは、
「…初めて城島君に会ったのは、昔私が住んでいた所の近くにある図書館でした」
「久しぶりに戻ってきたので、懐かしさを感じていた時に本を読んでいた城島君をみかけたんです」、
「実は城島君がその時読んでいた本を書いていたのが、私が父の仕事の関係で幼い頃に住んでいたフランスの知り合いだった作家さんだったんです」
「私の父は翻訳家の仕事をしていて、私もその作家さんとよくお話ししていたんです」
「日本に戻った後、その作家さんが私宛に送ってくれた本がその時城島君の読んだ本と同じ物でした」
「それを見た私が嬉しくなってつい城島君に声を掛けたんです」
「その後も何度か図書館に行った時に城島君がいて、色々話しを聞いているとフランスに行くのが夢だと言ってくれました」
「私、何故かその話しを聞いて『夢を叶えるお手伝いをしたい』と思ったんです」
「そのフランスの作家さんとは今でも交流があったので、城島君に『向こうさえ良ければ、ホームステイとか出来る様に話しをしてみる?』と、言いました」
「城島君は喜んでくれましたが、直ぐにご両親の事を考えて悩んでいました」
「私もそんな城島君を見て、この話しを無かった事にしようかと思ったんですが、城島君がご両親に話してみると言ったので引き止めませんでした」
とカノンがこれは見事に辻褄が合うように話しをしてくれた
それを聞いた父が、
「…そうですか、…カノンさん、ジュンの事を思っての事だったんですね?」
「あなたと面と向かって話せて良かった」
「とても誠実で思いやりのある方だと感じています」
と父が言うと、母は心配そうな顔でカノンを見て、
「…カノンさん、私は今もジュンの事が心配…」
「でもね?ジュンの気持ちやお父さん、それにカノンさんのお話しを聞いて少しは安心しているの」
「まだホームステイに行くまでは色々と課題はあると思うけど、私達親がしっかりフォローしていくわ」
「申し訳無いけど、カノンさんにもこれからご迷惑お掛けする事があるけど、ジュンの事宜しくね?」
と母の言った言葉にカノンは頷いた
俺はお互いに納得行く様に話しが進むのを待っていたが、どうやら話しが落ち着いた様だ
「お父さん、お母さん、それにカノンさんも、僕の我儘を聞いてくれてありがとう」
「向こうに行くからには、ちゃんと準備して皆に出来るだけ迷惑が掛からない様にするよ」
と言った
すると父がそれまでの緊張を取り払う様に、
「…とりあえず話しはここまでにしよう」
「カノンさん、ヒイロさん、宜しければうちで夕食でもどうですか?」
「元々お迎えするするつもりで夕食を準備してあるんだ」
「遠慮はしなくていいから、一緒に食べて下さい」
それに続けて母が、
「お口に合うか分からないけど、良かったらどうぞ?」
とカノン達に言った
ミケもカノンの始めは遠慮していたが、最終的に押し切られる様に夕食を共にする事にした
第17話に続く
両親共まだ仕事をしている様で、家の方には居なかった
今の内に電話して色々話しておこうと思った俺は、親が居ない事を確認しつつ電話した
…プルルル、プルルル、…ピッ、はい、もしもし?
「もしもし?ヒイロさんの番号で間違いないですか?」
と俺が言うと電話の向こうから、
『はい、そうですよ』
と答えが返って来た
俺が少し小声で、
「城島ジュンです」
「今大丈夫ですか?」
ミケが明るい口調で、
『ああ、デミス?どうしたのこの時間に連絡くれるなんて』
『この前会ったばかりなのにまた声でも聞きたくなっちゃった~?』
と言ったので、少しイラっときた俺は、
「…切ります」
と言うとミケが慌てた様子で、
『ちょっ…冗談だってぇ~』
『お願いっ!切らないで?』
いつも通りの感じに呆れた俺が、
「…前にも同じ事やってたよね?毎回これをやらないと気が済まないの?」
「まぁいいや…」
「本題に入りたいんだけどいい?」
ミケが半分嬉しそうに、
『えへへっ、いいわよ、丁度今休憩している所だから』
と言うので俺は、
「昨日話していたカノンさんの知り合いでミヒャエルっていう人の事なんだけど、何か進展あったかなって気になって」
「昨日の今日だから流石に何も話しは進んでないよね?」
と言うとミケが、
『ああ、その人の事だけど、カノンから言付けを預かってるわよ?』
『昨日の夜に連絡したみたいだけど、向こうのミヒャエルって言う人だったっけ?会ってくれるそうよ?』
『今日の夜にでも連絡しようと思ってたから丁度良かったわ』
俺は話が都合良く進んでいた事に少々驚きつつ、
「思ったよりすんなりと話しが進んでいるんだな…」
「でも、こっちにとっては都合がいいね」
「…それで、その件に関係しているんだが、頼み事があるんだ」
ミケが少し身構えた様な声で、
『…何?』
と言うので俺は、
「そのミヒャエルさんに会う為、フランスに行く事にしたんだ」
「昨日両親に話して、ホームステイするって言う事にして話しを付けた」
「それで両親は納得はしてくれたみたいなんだが、条件を出されて…」
「その条件が『一度カノンさんに会って話しがしたい』って事なんだ」
「話しの内容的には、カノンさんにフランスに知り合いがいて、そこに俺がホームステイするっていう事にしている」
「カノンさんと出会ったのも、ライブ会場じゃなくて図書館で俺が調べ物していたら声を掛けてくれたって事にしている」
「流石に詳しい話しまでは出来ないからな」
「…そこで、どうにかカノンさんと話が出来る様にセッティングして欲しいんだ」
「この前の事があって色々ゴチャゴチャしていると思うが、お願い出来ないだろうか?」
と言うとミケが、
『う~ん…スケジュール的には2日後の夜だったら空いているけど、カノンにも聞いてみないとねぇ…』
『隣にいるから今聞いてみるわ』
電話の向こうでミケがカノンと話している声がうっすらと聞こえてくる
『…もしもし?城島君?』
電話に出たのはカノンだった
『明後日の夜なら私大丈夫だよ』
『ちょっとヒイロさんから聞いたけど、確かに本当の事を話しても意味分からないと思うから、城島君が言った内容で出会った事にしていいよ?』
と言ってくれた
「ありがとうございます」
「両親を説得する為とはいえ勝手に名前を出してしまってごめんなさい」
「それに会わせろっ!なんて失礼な事まで…」
そう言うとカノンが、
『ううん、気にしないで?私も同じ立場だったら心配すると思うし、どこの誰か分からない人から声掛けられたら不審がるのも納得だわ』
『それに私がご両親とお話しする事で、少しでも心配を減らせなら協力するわ!』
『あなたとヒイロさんは私の…ううん、あの時会場にいた全ての人にとって命の恩人だもの』
俺は電話越しにその優しさに感動してしまった
「…そう言ってもらえるとこちらも助かります」
「それで申し訳ないんですが、内の両親と会って口裏を合わせる様にして頂きたいんですが、どうでしょうか?」
「少しでも両親には安心して行ける様にしたいので…」
そう言うとカノンが、
『大丈夫!任せといてっ!今演技の猛特訓中だから安心してっ!』
…ちょっと不安になって来た
続けてカノンが、
『じゃあ明後日の19時位にこの前待ち合わせした所に行くから待っててね?』
『あ、後ご両親にも宜しくお願いしますって伝えておいて』
俺はそれに対して適当に返事をして電話を切った
父は自宅兼電気店を営んでいるので、母と一緒にいる所に声を掛けに行った
俺は明後日の19時頃に待ち合わせをして家に来る事を伝えた
母はお客さんが来るから片付けないと、と焦って家に戻って片づけを始めた
俺は伝え終わった後、その場にいた父に出かけてくると言い家を出た
俺が家を出て向かう先は、タズキのいる占いの館だ
見つからない様に移動魔法を使いミのタズキ所まで来た
中に入るとタズキがいた
「おや、デミス君じゃないですか?」
「どうしたんです?まだ約束の日まで1週間位ありますよ?」
と言うので、
「とりあえず旅に出れる様に調整はしてきました」
「一応フランスにホームステイという形で伝えてあります」
「…それと、実際にフランスに行って会いたい人がいるので、その事も事前に話そうと思って」
タズキが顎に手を掛け少し考える様な仕草を見せ、
「ふむ、フランスですか…丁度良いかもしれないですね?」
「私も旅の初めにフランス方面に行こうかと思っていたんですよ」
「あの地域に高名な占星術師がいると聞いているので、まずは会ってみようかと」
「…因みにその会いたい人と言うのはどなたですか?」
と聞かれたので、
「ハイド・E・ミヒャエルというフランスの作家さんです」
「僕の知人に知り合いがいて紹介してくれたんです」
と言うとタズキが、
「ほぅ、ハイド・E・ミヒャエルですか」
俺はタズキその名前を知っている様だったので少し驚き、
「知っているんですか?」
と聞くとタズキは、
「あの方の書物は何度か読んだ事がありますよ」
「主に超常現象を否定する様な内容で書かれている作家ですよね?」
「なぜまたその人に会いに行くんですか?」
「あなたからすれば真逆の思想を持っていると思いますが…」
と言うので俺は、
「…実はそのミヒャエルさんが最後に書かれていた本の内容が、今までの本とは全く毛色の違うファンタジー物なんです」
「その内容に対して妙に引き込まれるというか、気になってしまって…」
「内容自体は未完の様な感じで終わっていて、今は執筆を辞めていて郊外で一人暮らししているみたいなんです」
タズキが関心を持ったようで、
「あの作家が書いた最後の書物がそれまでと全く違っているとは…」
「確かに気になりますね…」
「良かったら今度その本を見せてもらえませんか?」
祖父の教会から借りて来ようと思った俺は、
「分かりました、近いうちに持って来ますので読んでみて下さい」
「それと、出発当日は僕の両親が空港まで見送りにくる筈ですので、別れるまでは別行動でお願いします」
タズキはふぅっと一息して、
「そういう事でしたら分かりました」
「旅のプランをある程度考えておきますので、デミスも考えておいて下さい」
そう言うと俺はタズキと別れ家に戻って行った
そして2日後の夜
カノンとミケが来るので俺は最寄りの駅で待っていた
暫く待つと、例のキャンピングカーがやってきた
1km位先でも分かる位目立っている
「おまたせ!」
と言うとミケが運転席から顔を出し声を掛けてきた
俺はやはり見慣れない車に圧倒されながら、
「相変わらずこの車は目立つな…とりあえず家の近くまで案内するよ」
と言って車に乗せてもらった
車内にはカノンがいて、なにやら緊張している様子だった
「き、き、城島く、君、こ、ここんばんわ~…」
?どうしたんだ?明らかに様子がおかしいが…
「カノンさん、どうしたんですか?」
と俺が聞くと、
「な、なんか、城島君のご両親に会うと思ったら、き、緊張しちゃって…」
普段、何千人と言う人の前で歌っているアイドルとは想像がつかない位ガッチガチに緊張しているらしい
「ははっ、大丈夫ですよ?カノンさん」
「別に取って食おうなんてしないですから」
「普段の感じでいてもらって、何となく話しを合わせてもらえればいいですから」
と俺が言うと、カノンは、
「そ、そう?それを聞いて少し気が楽になったわ」
「質問攻めが来ると思ったら、いつも以上に緊張しちゃって…」
「それに城島君の顔見たら安心してきたわ」
俺はお守りか何かか?と思ったが口には出さないでおいた
程なくして家に着いた俺達は、車を降りて家に入っていく
「お父さん、お母さん、連れて来たよ」
と言うと、奥から父と母が出て来た
「いらっしゃい」
「わざわざここまで来てくれてありがとう」
「さ、どうぞ中に入って下さい」
と父が言う
ミケ達は恐縮した様子で、
「初めまして、私はカノンの芸能活動をマネージングしている南雲ヒイロと申します」
「この度はご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありません」
とミケが流石の社会人として挨拶をした
その後ろからカノンが出て来て、
「城島君のお父様、お母様、初めまして、私は歌手活動をさせて頂いている、如月カノンと申します」
「突然のお話しで驚かれたと思います」
「本日はお招き頂きありがとうございます」
と言った
…なんだ、結構2人ともちゃんとしているんだな…
それに対し母が、
「ヒイロさんもカノンさんもお忙しいのに、こちらの都合でお呼び立てしてしまってごめんなさいね?」
それを聞いた2人は恐縮をしていた
そして父が、
「今日わざわざお呼びした経緯はご存じだと思います」
「…玄関での立ち話も何ですから、どうぞ中に入ってお話しをしましょう」
と言って2人をリビングに案内をした
リビングに集まり皆が着席した早々に父が話し始める
「カノンさん、ジュンから話しを聞いています」
「この度はジュンの我儘を聞いて下さったようで…」
「私達も親として1度カノンさんに直接お会いして、お話しを聞かせて頂けないものかとお願いしました」
「…ジュンは昔から素直で優しく、私達親に面倒を掛けた事が1度も無かったんです」
「それが、つい先日フランスへのホームステイを強く希望している事を聞かされ…」
「最初はそんな事はさせられないと思ったのですが、ジュンの今まで溜めていた思いを聞かされて、最終的には2人共応援しようと決心したんです」
「ジュンを気持ち良く送り出したいという気持ちで今は一杯です」
「…っと、私ばかり話してしまったようですね」
「カノンさん…何故ジュンに協力しようと思ってくれたんですか?」
と父が問いかけ、カノンは、
「…初めて城島君に会ったのは、昔私が住んでいた所の近くにある図書館でした」
「久しぶりに戻ってきたので、懐かしさを感じていた時に本を読んでいた城島君をみかけたんです」、
「実は城島君がその時読んでいた本を書いていたのが、私が父の仕事の関係で幼い頃に住んでいたフランスの知り合いだった作家さんだったんです」
「私の父は翻訳家の仕事をしていて、私もその作家さんとよくお話ししていたんです」
「日本に戻った後、その作家さんが私宛に送ってくれた本がその時城島君の読んだ本と同じ物でした」
「それを見た私が嬉しくなってつい城島君に声を掛けたんです」
「その後も何度か図書館に行った時に城島君がいて、色々話しを聞いているとフランスに行くのが夢だと言ってくれました」
「私、何故かその話しを聞いて『夢を叶えるお手伝いをしたい』と思ったんです」
「そのフランスの作家さんとは今でも交流があったので、城島君に『向こうさえ良ければ、ホームステイとか出来る様に話しをしてみる?』と、言いました」
「城島君は喜んでくれましたが、直ぐにご両親の事を考えて悩んでいました」
「私もそんな城島君を見て、この話しを無かった事にしようかと思ったんですが、城島君がご両親に話してみると言ったので引き止めませんでした」
とカノンがこれは見事に辻褄が合うように話しをしてくれた
それを聞いた父が、
「…そうですか、…カノンさん、ジュンの事を思っての事だったんですね?」
「あなたと面と向かって話せて良かった」
「とても誠実で思いやりのある方だと感じています」
と父が言うと、母は心配そうな顔でカノンを見て、
「…カノンさん、私は今もジュンの事が心配…」
「でもね?ジュンの気持ちやお父さん、それにカノンさんのお話しを聞いて少しは安心しているの」
「まだホームステイに行くまでは色々と課題はあると思うけど、私達親がしっかりフォローしていくわ」
「申し訳無いけど、カノンさんにもこれからご迷惑お掛けする事があるけど、ジュンの事宜しくね?」
と母の言った言葉にカノンは頷いた
俺はお互いに納得行く様に話しが進むのを待っていたが、どうやら話しが落ち着いた様だ
「お父さん、お母さん、それにカノンさんも、僕の我儘を聞いてくれてありがとう」
「向こうに行くからには、ちゃんと準備して皆に出来るだけ迷惑が掛からない様にするよ」
と言った
すると父がそれまでの緊張を取り払う様に、
「…とりあえず話しはここまでにしよう」
「カノンさん、ヒイロさん、宜しければうちで夕食でもどうですか?」
「元々お迎えするするつもりで夕食を準備してあるんだ」
「遠慮はしなくていいから、一緒に食べて下さい」
それに続けて母が、
「お口に合うか分からないけど、良かったらどうぞ?」
とカノン達に言った
ミケもカノンの始めは遠慮していたが、最終的に押し切られる様に夕食を共にする事にした
第17話に続く
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