ひよこクスマ

プロトン

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第45話 チームの歯車

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クスマが、自分の手の中の、まだ「温もり」が残る緑色のゲルが、その正体をスライムの排泄物だとついに悟った後、彼の脳は、極度の羞恥と怒りによって、一瞬にして真っ白になった。

彼は悲憤に満ちた、胸が張り裂けるような声で、まだ「解放中」の三匹のスライムに向かって、一声、吠えた。

「クソでも食らえ!」

そう言うと、彼は手の中のその温かいゲルを、三匹のスライムに向かって、力任せに投げつけた。

そして、クスマの、完全に断線した理性に突き動かされ、彼は逆上し、一人で、三匹のスライムに向かって突進していった。その三匹のスライムは、尻を拭く暇さえなく、こうして、無理やり、彼らの「営業」を開始させられた。

その三匹のスライムの動きは、明らかに、一瞬、止まった。

彼らは、目の前のこのもやしが一体何をしているのか、全く理解できないようだった。しかし、その困惑は、半秒も経たないうちに、すぐさま純粋な「怒り」へと変わった!——なぜなら、他人のトイレを邪魔することは、この世で最も許されざる罪の一つだからだ!

そして彼らの、そのぷるぷるの体は、まるで三つの、制御不能な、異なる角度から放たれた弾力ボールのように、クスマに向かって猛烈に突撃してきた!

「おい!てめえ、また何をやらかしてやがるんだ?!」クレイの怒号が、クスマの背後から響いたが、すでに手遅れだった。

しかし、次の光景は、その場にいた全員を、唖然とさせた。

この、一見、解決不能な、混沌とした軌跡に満ちた跳躍攻撃を前に、クスマの瞳には、一切の恐怖はなかった。彼のその痩せた体は、今この時、まるで、強風の中で乱舞する、何の束縛も受けない木の葉と化したかのようだった。

彼は、まるで足の裏に油を塗ったかのような滑りで、すれすれのところで、一匹目のスライムの突撃をかわし、続いて、いつ腰を痛めてもおかしくないような奇妙な舞で、二匹目のスライムを、紙一重の差で、彼の脇の下から通り抜けさせた。そして最後には、彼にはまだ余裕さえあり、滑稽な、尻を後ろに突き出す姿勢で、三匹目のスライムに、彼の頭頂部のもやしをかすらせ、その後ろのゼリーの木に、重々しく衝突させた。

「師匠……す、すごい」ふゆこは思わず、心からの賛嘆の声を漏らした。

クレイもまた、呆然と見ていた。彼の、いつもは侮蔑に満ちた口元が、今、かすかにひきつっていた。彼は初めて、このもやしが「回避」ということに関して、まるで「妖孽」のような天賦の才を持っているのかもしれないと、意識した。

─ (•ө•) ─

束の間の衝撃の後、クレイとふゆこはすぐさま我に返り、支援に駆けつけた。

「——どけ!もやし!」

クレイは一声怒鳴り、そのいつもは炎を燃やす瞳が、初めて、クスマを見つめる際に、侮蔑以外に、かすかな、見つけにくい、「こいつ、案外やるじゃないか」という複雑な感情を帯びていた。

彼は素早く長弓を引き絞り、頭から一本のシルバーソードを抜いて弦につがえた。矢が弦を離れた瞬間、彼の『粉砕』の能力がすでに発動し、シルバーソードを一つの流光へと変え、正確に、そのうちの一匹のスライムの跳躍軌道を予測して命中させた!

「ズシャッ!」

スイカが砕けるような、鈍い大きな音がした。そのスライムは悲鳴を上げる間もなく、空中で、その巨大な衝撃力によって、直接、形を失った青いゼリーの飛沫へと打ち砕かれた、ただ一つの核だけが地面でかすかに震えていた。

「師匠!私も手伝います!」

ふゆこも続いて一声叫び、もう一匹のスライムがクスマに衝突した後の、束の間の硬直を捉え、手の中に瞬間的に彼女のヤナギマツタケを具現化させた。

彼女は手の中のヤナギマツタケに『鋭利』のかすかな光をまとわせ、刃のような菌傘が完璧な弧を描き、そのぷるぷるのスライムを真ん中から切り裂き、その切り口は鏡のように滑らかだった!

二人が前進し、クスマが最後の一匹を片付けるのを手伝おうとした、まさにその時、みぞれの声が、背後から聞こえてきた。

「待って、まだ行かないで」彼女の声は軽やかだったが、まるで、逆らうことのできない指令のようだった。「クスマは当面、危険はないわ」

みぞれの予測通り、場上の局面は、極めて奇妙な膠着状態に陥った。

クスマと、その最後の一匹のスライムは、どちらも相手に攻撃を当てることができなかった。スライムの跳躍攻撃は、全くクスマに触れることができず、一方のクスマもまた、彼が攻撃を試み、それによって隙を見せた時にだけ、スライムに無様に吹き飛ばされるのだった。

「くそっ!」クスマは信じず、攻撃を試みた。彼の手のもやしが次々と飛び出し、『硬化』の能力の加護を受け、数本の飛針と化してスライムに向かって放たれた。

しかし、スライムの、その、全く予測不能な跳躍軌道が、彼の全ての攻撃を空振りにさせ、たとえ数発が幸運にも命中したとしても、核を捉えていないため、相手のぷるぷるの体に、いくつかの、痛くも痒くもない小さな穴を残すだけだった。

(なぜだ!なぜ俺の攻撃は、核に当たらないんだ!)

最終的に、数十回もの、失敗した攻撃を経験した後、クスマは完全に諦めた。彼はもはや攻撃せず、ただ純粋に、彼独特の、挑発的な意味合いに満ちた、滑稽な舞で、スライムの周りを、絶えず走り、避け、ぐるぐると回り続けた。

そして、全員(みぞれさえも)が、全く予想だにしなかったことが、起こった。

その、元々はまだ元気に跳ね回っていたスライムが、クスマを丸々十分間追いかけた後、そのぷるぷるの体は、だんだんと透明になり始め、跳躍の高さも、ますます低くなっていった。

最終的に、それはまるで全ての体力を使い果たしたかのように、一度の、失敗した跳躍の後、地面に倒れ、体はふにゃりとなり、疲れ果てて、もはや生きる気力もないといった様子で、地面にへたり込んでしまった……。

─ (•ө•) ─

クスマが、その、地面にへたり込んだスライムにとどめを刺した後。

「見たか!」クスマは得意げに、隣のクレイに自慢した。

「はあ?」クレイの顔に、一瞬にして、「こいつ、一体何を言ってるんだ」という表情が浮かび、彼は侮蔑的に反論した。「俺とふゆこが他の二匹を片付けてやらなかったら、お前は今頃まだ地面を転げ回ってるだろうが!」

「お前に何が分かる!」クスマの顔は一瞬にして真っ赤になり、逆上して無理やり説明した。「あれは『敵に弱みを見せる』作戦だったんだ!俺が最初から強すぎたら、最後の一匹はとっくに逃げ出してただろう。そしたら、俺がどうやってあいつの体力の限界を『研究』できるんだ?これは心理戦だ、心理戦、分かるか?!」

その後、彼らが再びスライムの群れに遭遇した時、逆上したクスマは、自分を証明するため、再び一人で突進しようとした。

「もういいわ」みぞれは静かに言った。その澄んだ瞳に、初めて、本物の「隊長」としての威厳が宿っていた。「忘れたの?私たちは『チーム』よ」

今回、彼女は初めて、自ら、チームの最前線に立った。

次の光景は、クスマ、クレイ、そしてふゆこの三人に、何が「本物の天才」なのかを、深く理解させた。

みぞれの足取りは、まるで地面に根を張ったかのようで、ほとんど何の移動もなかった。彼女はただ静かにその場に立ち、その、器霊を持つ小太刀で、身の前に半円を描いた。

彼女は自分から攻撃することさえなく、ただ、スライムが毎回跳躍してきて、まさに近づこうとするその瞬間に、手首をそっと返し、刀身で、こともなげに、彼らの核をそっと一点で突くだけだった。

彼女に近づいたスライムは皆、次の一瞬、透き通ったゼリーへと変わった。

彼女は完璧に、後ろの「遠距離砲台」であるクレイを守り、彼が安心して攻撃できるようにしただけでなく、他の三人が戦う時にも、的確な指示を出した。 

「クスマ、左後方へ三歩!」「ふゆこ、止まって。あいつが自分からぶつかってくるのを待ちなさい!」

しかし、本当に彼らを震撼させたのは、まだ、この後だった。

クスマとふゆこが、一度の連携ミスによって、二匹のスライムに左右から挟み撃ちにされ、まさに衝突されようとする、その、危機一髪の際——

二人は恐怖のあまり心臓が止まりそうになったが、それでも無意識に、手の中の武器を掲げ、不器用な防御を試みた。

しかし、予想された衝撃は、来なかった。

「危ない!」

みぞれの声と、二つの、空を切る音が、ほぼ同時に響き渡った!

彼らは、目の前のその二匹のスライムが、氷漬けにされた箸によって、正確に核を射抜かれるのを、呆然と見つめていた。

事後、クスマ、クレイ、そしてふゆこは皆、まるで怪物でも見るかのような眼差しで、空間の指輪から箸を投げつけた、みぞれを見つめた。

その眼差しには、衝撃以外に、かすかな、はっとしたような表情も混じっていた。

みぞれの『氷化形』の能力が、その熟練度において、すでに、能力を外部の物体に「エンチャント」できる「開花」の段階に達していたことに、彼らはようやく、気づいたのだ!

そして彼らは、そのことに、今まで全く、気づいていなかった。

クスマは心の中で思った。(まさか、食器さえも武器にするとは。この女、恐ろしすぎるだろ……)
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