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第50話 能力の質的変化
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翌日、彼らはいつものように、学院の活気に満ちた練武場で、退屈な「基礎武器技術」の授業を受けていた。
しかし、今日練武場に立つふゆこは、どこか違う感じがした。彼女は手に持った何の変哲もない木の棒を握りしめ、初めて、自分の能力とこの普通の木の棒との間に、あるようなないような、まるで血が繋がっているかのような奇妙な繋がりを感じていた。
授業の基礎的な組手稽古で、ふゆこは自分よりもずっと体格のいいひよこの男の子と組むことになった。
「よう、チビちゃん」
そのひよこの男の子はにやりと笑い、自分では格好いいと思っている表情を浮かべた。
「後で手加減してやるから、泣くんじゃないぞ」
ふゆこはただ緊張して頷くだけで、まともな一言も発することができず、両手で固く木の棒を握りしめ、その手のひらには汗がびっしょりだった。
「はあっ!」
そのひよこの男の子の力強い斬り下ろしに直面し、ふゆこの脳裏に、無意識に、みぞれの、まるで流れる水のような、優雅な受け流しの姿がよぎった。彼女はその「柔よく剛を制す」技術を真似しようとしたが、その不器用な体は、全く頭の思考についていくことができなかった。
風を切る音を立てる木の棒が、まさに自分の頭上に振り下ろされようとしたその時、極度の緊張と「自分を守りたい」という本能に駆られて――
「――『鋭利』!」
ふゆこは自分が何をしたのかさえ意識しておらず、ただ本能的に、その魂の奥底から湧き出る力を、手の中の木の棒へと注ぎ込んだ!
次の瞬間、全ての新入生の驚愕に満ちた視線の中、ふゆこの手の中の普通の木の棒は、相手の力強い木の棒と、正面から激突した。
何の激しい音もしなかった。
そのひよこの男の子の木の棒は、まるで鋭利な刃で切られた豆腐のように、音もなく、滑らかに、真っ二つになった。そしてふゆこの木の棒は、勢いを失うことなく、そのひよこの男の子の、すでに恐怖で固まり、呆然自失となった顔の前で、ぴたりと止まった。
木の棒の先端は、彼の鼻先から、一センチにも満たない距離にあった。
そのひよこの男の子は、斬り下ろしの姿勢を保ったまま、硬直して動かずにいること、実に三秒。そして、そのいつもは自信に満ちている瞳が、ゆっくりと白目を剥き、口から一筋の白い煙を吐き出すと、まっすぐに、実に潔く、後ろへと気絶した……。
「……」
場内は、しんと静まり返った。
「……嘘だろ?」
と、場外に立っていたクレイが驚きの声を上げた。
「まさかふゆこが、緊張のあまり能力を使っちゃうなんて……」
と、隣にいたみぞれが呆れたように言った。
「……」
一方、「師匠」であるクスマは、腕を組み、「こうなると分かっていた」と言わんばかりの、深遠な表情で、得意げに頷き、まるでその全てが、彼の天才的な計算の内であったかのように振る舞っていた。
(……俺は今、何を見たんだ!?)
もちろん、これらは全て、彼が自身の「師匠」としての威厳を保つために、無理やり演じていることに過ぎなかった。実際には、彼の内心は、他の者たちと同様、今まさに「なんてこった」という名の超大型台風が吹き荒れていた。
それと同時に、周りで見物していた新入生たちの中からも、ひそひそ話が巻き起こった。
「おい……見間違いじゃないよな? あの灰色のチビちゃん、クスマの弟子だろ?」
「ああ……でも、あいつの今の一撃……なんだか、あの師匠よりずっと強い気がしないか?」
「お前に言われてみれば……マジだな」
これらの不大不小な議論の声は、鋭利な刃のように、一本一本、必死に「師匠」の威厳を保とうとしている、クスマの脆いプライドへと突き刺さった……!
─ (•ө•) ─
「基礎武器技術」を教えているのは、鋭い眼光の先生だった。頭の上には、かんざしのように、一房のライチが挿してあった。
ふゆこの驚くべき一撃を見て、彼女はすぐに全ての組手稽古を中断させた。
「全員、その場で休憩!」
彼女の声は大きくなかったが、有無を言わせぬ威厳があり、練武場の喧騒は、瞬く間に静まり返った。
気絶した生徒がただ気を失っているだけで、命に別状がないことを確認した後、彼女は隣にいた、呆然としている二人のひよこの男の子に言った。
「君たち二人、彼をそこの日陰まで運んで、寝かせておきなさい」
その後、彼女はゆっくりとふゆこの前に歩み寄り、吟味するような、驚きに満ちた眼差しで、地面からその半分に折れた木の棒を拾い上げた。
彼女は指で、その鏡のように滑らかな切り口をそっと撫で、そのいつもは古井戸のように波一つない瞳に、初めて、隠しきれない震撼の色がよぎった。
ライチ先生は顔を上げ、その鋭い瞳は、初めて、真に、真剣に、目の前の、目立たず、臆病そうに見える灰色のひよこを吟味し始めた。
「君……名前は?」
ライチ先生は、この目立たない生徒に対し、これまでにない、濃厚な興味を抱いた。
「ふ、ふゆこ……」
ふゆこはその強大なオーラに圧倒され、緊張のあまり言葉もはっきりせず、その小さな体は、また制御不能に震え始めた……。
─ (•ө•) ─
「お嬢ちゃん」
ライチ先生の声は、初めて、全ての厳しさを脱ぎ捨て、かすかな感心の響きを帯びていた。
「君は良い才能を持っている。能力は『鋭利』だろう? しかも熟練度は、『開花』にまで至っている」
その突然の褒め言葉に、ふゆこは全身が固まり、下意識に、手中の木の棒をさらに強く握りしめ、ありがとうの一言さえ緊張で言えなかった。
「これが君の最初の能力だろう? 私の最初の能力も、『鋭利』だった。私も初めは、この能力は役に立たないと思っていた」
彼女はそう言いながら、自分の頭の上にある、伴生植物であるライチを指さした。
「ごらん、こんなに小さい一粒では、小刀にさえなりはしない。だがこれは、今や私の最強の能力の一つだ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、一粒の、鮮やかで瑞々しいライチが、彼女の手の中に現れた。練武場の空気は、まるでその一瞬、凍りついたかのように、全員の視線が、その何の変哲もなさそうに見える果物に引きつけられていた。
「よく見ておきたまえ」
ライチ先生はふゆこにそう言うと、二本の指で、そのライチのヘタをそっと『つまみ』、そして、無造作に、遠くにある練習用の木人に向かって、宙を薙いだ。
何の音もしなかった。
しかし、次の瞬間、全員の驚愕の視線の中、あの硬い木人は、まるで鋭利な刃で薙がれたかのように、真ん中から、音もなく、滑らかに、真っ二つになった!
「マジかよ……」
クレイが最初に、堪えきれずに、驚愕と興奮に満ちた低い声を上げた。
「ら、ライチで木人を斬りやがった?! カッコよすぎだろ!」
周りで見物していた新入生たちも、それに続いて、信じられないといった驚きの声を上げた。
「私の『鋭利』は、熟練度がすでに『結果』している」
ライチ先生は平淡な口調で、この奇跡のような現象を説明した。
「能力が質的変化を遂げた時、私は伴生植物の『鋭利』の魔力を、『投射』することができるようになった」
彼女は振り返り、そのいつもは古井戸のようだった瞳は、今や「先輩」としての、期待に満ちた穏やかな光を宿していた。
「同じ能力でも、一人一人が『結果』する時、生じる質的変化は、唯一無二のものだ」
「私は興味がある」
ライチ先生はふゆこを見つめ、ゆっくりと言った。
「君の『鋭利』が、『結果』した後、どのような姿になるのかを」
その場全体の雰囲気が、この伝承を思わせる言葉によって、この上なく神聖で感動的なものになった、その時――
一本の黄色い翼が、おずおずと、しかしどこか当然のように、ゆっくりと持ち上げられた。
クスマは一つ咳払いをすると、全員(特にライチ先生)の困惑に満ちた視線の中、言った。
「あの……先生……私の記憶では……学院の規定によると、練武場の公共施設を破損させた場合は、価格に応じて賠償しなければならないはずですが……」
しかし、今日練武場に立つふゆこは、どこか違う感じがした。彼女は手に持った何の変哲もない木の棒を握りしめ、初めて、自分の能力とこの普通の木の棒との間に、あるようなないような、まるで血が繋がっているかのような奇妙な繋がりを感じていた。
授業の基礎的な組手稽古で、ふゆこは自分よりもずっと体格のいいひよこの男の子と組むことになった。
「よう、チビちゃん」
そのひよこの男の子はにやりと笑い、自分では格好いいと思っている表情を浮かべた。
「後で手加減してやるから、泣くんじゃないぞ」
ふゆこはただ緊張して頷くだけで、まともな一言も発することができず、両手で固く木の棒を握りしめ、その手のひらには汗がびっしょりだった。
「はあっ!」
そのひよこの男の子の力強い斬り下ろしに直面し、ふゆこの脳裏に、無意識に、みぞれの、まるで流れる水のような、優雅な受け流しの姿がよぎった。彼女はその「柔よく剛を制す」技術を真似しようとしたが、その不器用な体は、全く頭の思考についていくことができなかった。
風を切る音を立てる木の棒が、まさに自分の頭上に振り下ろされようとしたその時、極度の緊張と「自分を守りたい」という本能に駆られて――
「――『鋭利』!」
ふゆこは自分が何をしたのかさえ意識しておらず、ただ本能的に、その魂の奥底から湧き出る力を、手の中の木の棒へと注ぎ込んだ!
次の瞬間、全ての新入生の驚愕に満ちた視線の中、ふゆこの手の中の普通の木の棒は、相手の力強い木の棒と、正面から激突した。
何の激しい音もしなかった。
そのひよこの男の子の木の棒は、まるで鋭利な刃で切られた豆腐のように、音もなく、滑らかに、真っ二つになった。そしてふゆこの木の棒は、勢いを失うことなく、そのひよこの男の子の、すでに恐怖で固まり、呆然自失となった顔の前で、ぴたりと止まった。
木の棒の先端は、彼の鼻先から、一センチにも満たない距離にあった。
そのひよこの男の子は、斬り下ろしの姿勢を保ったまま、硬直して動かずにいること、実に三秒。そして、そのいつもは自信に満ちている瞳が、ゆっくりと白目を剥き、口から一筋の白い煙を吐き出すと、まっすぐに、実に潔く、後ろへと気絶した……。
「……」
場内は、しんと静まり返った。
「……嘘だろ?」
と、場外に立っていたクレイが驚きの声を上げた。
「まさかふゆこが、緊張のあまり能力を使っちゃうなんて……」
と、隣にいたみぞれが呆れたように言った。
「……」
一方、「師匠」であるクスマは、腕を組み、「こうなると分かっていた」と言わんばかりの、深遠な表情で、得意げに頷き、まるでその全てが、彼の天才的な計算の内であったかのように振る舞っていた。
(……俺は今、何を見たんだ!?)
もちろん、これらは全て、彼が自身の「師匠」としての威厳を保つために、無理やり演じていることに過ぎなかった。実際には、彼の内心は、他の者たちと同様、今まさに「なんてこった」という名の超大型台風が吹き荒れていた。
それと同時に、周りで見物していた新入生たちの中からも、ひそひそ話が巻き起こった。
「おい……見間違いじゃないよな? あの灰色のチビちゃん、クスマの弟子だろ?」
「ああ……でも、あいつの今の一撃……なんだか、あの師匠よりずっと強い気がしないか?」
「お前に言われてみれば……マジだな」
これらの不大不小な議論の声は、鋭利な刃のように、一本一本、必死に「師匠」の威厳を保とうとしている、クスマの脆いプライドへと突き刺さった……!
─ (•ө•) ─
「基礎武器技術」を教えているのは、鋭い眼光の先生だった。頭の上には、かんざしのように、一房のライチが挿してあった。
ふゆこの驚くべき一撃を見て、彼女はすぐに全ての組手稽古を中断させた。
「全員、その場で休憩!」
彼女の声は大きくなかったが、有無を言わせぬ威厳があり、練武場の喧騒は、瞬く間に静まり返った。
気絶した生徒がただ気を失っているだけで、命に別状がないことを確認した後、彼女は隣にいた、呆然としている二人のひよこの男の子に言った。
「君たち二人、彼をそこの日陰まで運んで、寝かせておきなさい」
その後、彼女はゆっくりとふゆこの前に歩み寄り、吟味するような、驚きに満ちた眼差しで、地面からその半分に折れた木の棒を拾い上げた。
彼女は指で、その鏡のように滑らかな切り口をそっと撫で、そのいつもは古井戸のように波一つない瞳に、初めて、隠しきれない震撼の色がよぎった。
ライチ先生は顔を上げ、その鋭い瞳は、初めて、真に、真剣に、目の前の、目立たず、臆病そうに見える灰色のひよこを吟味し始めた。
「君……名前は?」
ライチ先生は、この目立たない生徒に対し、これまでにない、濃厚な興味を抱いた。
「ふ、ふゆこ……」
ふゆこはその強大なオーラに圧倒され、緊張のあまり言葉もはっきりせず、その小さな体は、また制御不能に震え始めた……。
─ (•ө•) ─
「お嬢ちゃん」
ライチ先生の声は、初めて、全ての厳しさを脱ぎ捨て、かすかな感心の響きを帯びていた。
「君は良い才能を持っている。能力は『鋭利』だろう? しかも熟練度は、『開花』にまで至っている」
その突然の褒め言葉に、ふゆこは全身が固まり、下意識に、手中の木の棒をさらに強く握りしめ、ありがとうの一言さえ緊張で言えなかった。
「これが君の最初の能力だろう? 私の最初の能力も、『鋭利』だった。私も初めは、この能力は役に立たないと思っていた」
彼女はそう言いながら、自分の頭の上にある、伴生植物であるライチを指さした。
「ごらん、こんなに小さい一粒では、小刀にさえなりはしない。だがこれは、今や私の最強の能力の一つだ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、一粒の、鮮やかで瑞々しいライチが、彼女の手の中に現れた。練武場の空気は、まるでその一瞬、凍りついたかのように、全員の視線が、その何の変哲もなさそうに見える果物に引きつけられていた。
「よく見ておきたまえ」
ライチ先生はふゆこにそう言うと、二本の指で、そのライチのヘタをそっと『つまみ』、そして、無造作に、遠くにある練習用の木人に向かって、宙を薙いだ。
何の音もしなかった。
しかし、次の瞬間、全員の驚愕の視線の中、あの硬い木人は、まるで鋭利な刃で薙がれたかのように、真ん中から、音もなく、滑らかに、真っ二つになった!
「マジかよ……」
クレイが最初に、堪えきれずに、驚愕と興奮に満ちた低い声を上げた。
「ら、ライチで木人を斬りやがった?! カッコよすぎだろ!」
周りで見物していた新入生たちも、それに続いて、信じられないといった驚きの声を上げた。
「私の『鋭利』は、熟練度がすでに『結果』している」
ライチ先生は平淡な口調で、この奇跡のような現象を説明した。
「能力が質的変化を遂げた時、私は伴生植物の『鋭利』の魔力を、『投射』することができるようになった」
彼女は振り返り、そのいつもは古井戸のようだった瞳は、今や「先輩」としての、期待に満ちた穏やかな光を宿していた。
「同じ能力でも、一人一人が『結果』する時、生じる質的変化は、唯一無二のものだ」
「私は興味がある」
ライチ先生はふゆこを見つめ、ゆっくりと言った。
「君の『鋭利』が、『結果』した後、どのような姿になるのかを」
その場全体の雰囲気が、この伝承を思わせる言葉によって、この上なく神聖で感動的なものになった、その時――
一本の黄色い翼が、おずおずと、しかしどこか当然のように、ゆっくりと持ち上げられた。
クスマは一つ咳払いをすると、全員(特にライチ先生)の困惑に満ちた視線の中、言った。
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