4 / 7
1-B カウンターを狙う
しおりを挟む
リュミエールは冷静に状況を見極めていた。
後ろには守るべきリュミナがいる。
ここで無理に突っ込むよりも、敵の隙を狙った方が得策――そう判断した。
怪物は得意気に身を大きく振りかぶり、鋭い葉を連続して放つ。
嵐のような攻撃を剣で捌き続け、やがてその動きが止まった次の瞬間、リュミエールは反撃に出ようと一歩踏み出した。
しかし。
足が、動かない。
視線を落とすと、膝から下が結晶に覆われていた。
「お姉ちゃん、足が……!」リュミナの声が震える。
――「思ったより弱いわね」
冷たい声が上から降ってくる。
見上げると、悪魔の角を生やした女性と、無表情の猫耳の少女が立っていた。
「アルマ、データは取れた?」
「どうせすぐやられるから興味はないわ」
そう吐き捨て、アルマと呼ばれた女は姿を消す。
呆然とする間にも結晶化は進み、リュミエールの身体は腰まで覆われていく。
やがて悪魔の角の女が2階から飛び降り、音もなく石床に着地した。
彼女の姿を見た瞬間、リュミエールとリュミナは息を呑む。
透き通るような水色の長髪が揺れ、紫の瞳は冷たい光を放っている。
頭上には黄金の冠、そして額や胸元には宝石の結晶が散りばめられ、まるで氷の女王のように煌めいていた。
身体を包むのは水色の衣装――露出の多いながらも気品を漂わせ、宝石のように輝く装飾が彼女の存在を一層異質にしていた。
その姿は美しさと威圧感を同時に備え、見る者に畏怖を抱かせる。
女は冷ややかに口を開く。
「……わたしは――ジュエリス。そして、そこにいるのが――スラミナ」
名乗りを聞いている場合ではなかった。
リュミエールの身体はすでに胸のあたりまで結晶に覆われ、剣を握る手すら重く、まるで石像のように動かない。
冷たい結晶がじわじわと皮膚に食い込み、体温を奪い、心臓までも締め付けてくる感覚。
そんな彼女の足元へ、ぬるりと迫る影があった。
スラミナだ。観葉植物の残骸を捨て去り、スライムの少女の姿に戻ったその瞳は――怯えなど一切なく、歓喜で輝いていた。
(……何を……するつもり……?)
必死に声を絞り出すと、ジュエリスは妖艶に微笑んだ。
「この子がね……あなたと“一つ”になりたがっているのよ」
リュミエールが視線を落とすと、スラミナは体を小さく震わせながら、
まるで「待ちきれない」とでも言うように きらきらとした目でこちらを見上げていた。
そのゼリーの身体が淡く脈動し、光を反射しては弾ける。
彼女の全存在が「融合」を求めているのだと直感できた。
「この子は無機物にしか取り付こうとしないの。だから……あなたを結晶化させているのよ」
「リュミナ! 逃げろ!」
振り向こうと必死に首を動かすが、すでに硬直した体は言うことを聞かない。
「リュミナ? ああ、後ろの子のこと?」
ジュエリスの声が冷ややかに響く。
「もう振り向けないから見えないでしょうけど――その子はとっくに結晶の檻に閉じ込めてあるわ」
「……っ!」
リュミエールの心臓が凍りつく。
「ふふ……ああ、もう口まで結晶が。声も出せないでしょうね」
ジュエリスは楽しげに囁き、紫の瞳を細める。
「安心して。リュミナちゃんも、あのお方の“器”として立派に使ってあげる。
そして――あなたの体は、この子がもらうのよ」
スラミナはゼリーの体を震わせ、ぴたりとリュミエールの胸元に手を伸ばした。
その目はまるで恋する少女のように、期待に満ちた光で輝いていた。
「……ウフフ……」
リュミエールの視界が白く閉ざされていく。
後日、王城を襲ったのはリュミナだった。
彼女は 悪魔の翼 を生やし、狂気の笑みを浮かべていた。
その傍らには、結晶の怪物。
王女の軍勢は苦戦し――すべては悪魔病の闇に飲み込まれていく。
BAD END
後ろには守るべきリュミナがいる。
ここで無理に突っ込むよりも、敵の隙を狙った方が得策――そう判断した。
怪物は得意気に身を大きく振りかぶり、鋭い葉を連続して放つ。
嵐のような攻撃を剣で捌き続け、やがてその動きが止まった次の瞬間、リュミエールは反撃に出ようと一歩踏み出した。
しかし。
足が、動かない。
視線を落とすと、膝から下が結晶に覆われていた。
「お姉ちゃん、足が……!」リュミナの声が震える。
――「思ったより弱いわね」
冷たい声が上から降ってくる。
見上げると、悪魔の角を生やした女性と、無表情の猫耳の少女が立っていた。
「アルマ、データは取れた?」
「どうせすぐやられるから興味はないわ」
そう吐き捨て、アルマと呼ばれた女は姿を消す。
呆然とする間にも結晶化は進み、リュミエールの身体は腰まで覆われていく。
やがて悪魔の角の女が2階から飛び降り、音もなく石床に着地した。
彼女の姿を見た瞬間、リュミエールとリュミナは息を呑む。
透き通るような水色の長髪が揺れ、紫の瞳は冷たい光を放っている。
頭上には黄金の冠、そして額や胸元には宝石の結晶が散りばめられ、まるで氷の女王のように煌めいていた。
身体を包むのは水色の衣装――露出の多いながらも気品を漂わせ、宝石のように輝く装飾が彼女の存在を一層異質にしていた。
その姿は美しさと威圧感を同時に備え、見る者に畏怖を抱かせる。
女は冷ややかに口を開く。
「……わたしは――ジュエリス。そして、そこにいるのが――スラミナ」
名乗りを聞いている場合ではなかった。
リュミエールの身体はすでに胸のあたりまで結晶に覆われ、剣を握る手すら重く、まるで石像のように動かない。
冷たい結晶がじわじわと皮膚に食い込み、体温を奪い、心臓までも締め付けてくる感覚。
そんな彼女の足元へ、ぬるりと迫る影があった。
スラミナだ。観葉植物の残骸を捨て去り、スライムの少女の姿に戻ったその瞳は――怯えなど一切なく、歓喜で輝いていた。
(……何を……するつもり……?)
必死に声を絞り出すと、ジュエリスは妖艶に微笑んだ。
「この子がね……あなたと“一つ”になりたがっているのよ」
リュミエールが視線を落とすと、スラミナは体を小さく震わせながら、
まるで「待ちきれない」とでも言うように きらきらとした目でこちらを見上げていた。
そのゼリーの身体が淡く脈動し、光を反射しては弾ける。
彼女の全存在が「融合」を求めているのだと直感できた。
「この子は無機物にしか取り付こうとしないの。だから……あなたを結晶化させているのよ」
「リュミナ! 逃げろ!」
振り向こうと必死に首を動かすが、すでに硬直した体は言うことを聞かない。
「リュミナ? ああ、後ろの子のこと?」
ジュエリスの声が冷ややかに響く。
「もう振り向けないから見えないでしょうけど――その子はとっくに結晶の檻に閉じ込めてあるわ」
「……っ!」
リュミエールの心臓が凍りつく。
「ふふ……ああ、もう口まで結晶が。声も出せないでしょうね」
ジュエリスは楽しげに囁き、紫の瞳を細める。
「安心して。リュミナちゃんも、あのお方の“器”として立派に使ってあげる。
そして――あなたの体は、この子がもらうのよ」
スラミナはゼリーの体を震わせ、ぴたりとリュミエールの胸元に手を伸ばした。
その目はまるで恋する少女のように、期待に満ちた光で輝いていた。
「……ウフフ……」
リュミエールの視界が白く閉ざされていく。
後日、王城を襲ったのはリュミナだった。
彼女は 悪魔の翼 を生やし、狂気の笑みを浮かべていた。
その傍らには、結晶の怪物。
王女の軍勢は苦戦し――すべては悪魔病の闇に飲み込まれていく。
BAD END
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


