8 / 29
甘い香り
甘い香り(1)
しおりを挟む
枕元のスマホが鳴ってる。うるせえな、何時だよ……
手を伸ばして、手探りで、通話をスワイプ。
「はい……辰巳」
「おはよー、寝てた?」
電話の相手は、御堂だった。
「事件だって、早く来てね。住所おくるねー」
くっそ、何時だよ……5時か! なんでこんな時間に事件を起こすんだよ!
体を起こすと、あれ? 隣になんか……
「うう……」
女か! 誰だこいつ!
「あー、あんた誰?」
先に言われたか。
「さあな」
「静かにして」
知らない女はそう言って、毛布に包まって、また寝息をたてる。なんて化粧の濃い女だ、あれ? なんか、まつ毛がずれてないか? あっ! やばい、やばいぞ!
慌てて自分の服一式を探して、ジャケットの内ポケットを探る。やばい、本気でやばい、アレを無くしたら……
「あ、あった……よかったぁ……」
思わず呟いて、全裸のままへたり込んだ。命以下、財布以上に大切な、警察手帳。一回失くしてるからな、今度失くしたら、マジでやばいんだよ。あー、目が覚めた。シャワーでも浴びるか。
しかし、昨日の記憶は一切ない。あの女、誰なんだろう。確か、居酒屋で飯食って、その後、通りすがりのバーに寄って……そこまでは覚えてるんだけど、それ以降の記憶が一切ない。シャワーを浴びて、鏡を見る。そこにいるのは、二日酔いの冴えないオヤジ。はあ、何やってんだろ。髭……まあいいか、どうせ現場だしな、めんどくせえ。
スーツを着て、財布を出した。このホテル、前払いだったんだろうか。もし後払いなら、金払わないと。わかんねえな、一応、置いとくか。そんなに高いホテルには思えないけど、2万で足りるか?
部屋に戻ると、女のバッグが投げてある。テーブルに2万を置いて、その上に女のバッグを置いた。これで見逃さないだろう。あー、でも、誤解されるとやばいからな、ホテル代って書いとくか。メモとボールペンは……
「ちょっと、さっきから何やってんの?」
「あー、起こしたかな。これ、ホテル代ね、ここに置いとくから」
「マジでうるさいのよ、静かにして!」
静かにメモにホテル代、と書いて、静かに部屋を出た。さて、仕事仕事。と、待てよ、俺、ここまでどうやって来たんだろう。そして、ここは……どこなんだろう。スマホのGPSは、ビル街のせいか、くるくる回りっぱなし。どうしたもんか。そうこうしてる間に、また電話がかかってきた。
「まだ? 中ちゃん、めっちゃ機嫌悪いんだけど」
後ろで、中津の怒鳴り声が聞こえる。
「あのさ、御堂くん……悪いんだけど、迎えにきてもらえないかな」
「ええー、今から? どこにいるの、家?」
「それがさ、わかんなくて……」
「はあ? おまえまたかよ! なんか目印ないの?」
「ホテルの名前ならわかんだけど……」
「ほんといい加減にしろよ! 今から行くから酒抜いて待ってろ」
くそっ、御堂みたいな軟派野郎に説教くらうとは! しかし、ここは我慢だ。迎えに来てもらわねえとな。
20分ほどして、御堂が迎えに来てくれた。現場で中津が機嫌が悪いと、ブツブツ言ってる。
「で、また知らない女と寝てたわけ?」
「そうなんだよ、記憶は全然ないんだけどさあ、でも裸だったから、そういうことだと思うんだよね」
「おまえさ、いつか刺されんぜ、絶対」
御堂は笑って、タバコに火をつけた。
「おい、パトカーは禁煙だ」
「誰も見てないじゃん、そこの灰皿とって」
全く、灰皿まで設置して、バレたら俺の責任だろう!
「で、何があったわけ」
「なんか、男の変死体。クルマん中で死んでたらしい」
現場は、国道沿いの、ショッピングモールの駐車場。夜が明けてきて、明るくなりつつある。
「遅い!」
中津の怒鳴り声が頭に響く。
「悪い悪い、ちょっと手間取ってさ」
「辰巳、酒臭い、また二日酔い?」
「うーん、飲み過ぎたかなあ……で、ガイシャは?」
中津は思いっきり嫌な顔で、咳払いをした。
「被害者は宮川俊雄、53歳、住所不定。元大阪府警の刑事」
元刑事か、これが退官後の末路かと思うと、恐ろしい、定年まではなんとかしがみつかねえとな。
「今は何やってるんだよ」
「自称探偵。浮気調査と人探しがメインみたいだね」
男はハンドルにかぶさるように死んでいる。車の中は異臭がして、思わず口を覆った。
「車上生活者か、ひでえな。死因は?」
「側頭部を殴られたことによる脳挫傷かな。ここで殴られたわけじゃなくて、殴られた後、ここに移動してきて死んだって感じだね」
汚く伸びた髪をかき分けると、血が滲んでいる。
「2カ所あるな。傷も違う、別の物で殴られたのか」
「なに、二日酔いでも、ちゃんとみてんじゃん。たぶん、2発目の傷が致命傷だね」
「これ、なんだ?」
髪と血に赤い砂利が混じっている。
「鑑識にまわしてる、それから、船橋が着歴調べてんだけど……遅くて」
「船橋か……」
俺たちは、顔を見合わせて、ため息をついた。
中津とは警察学校からの同期で、もう長い付き合いだ。刑事になって、初めて配属された暴対課で同じだった。俺は5年で配属が変わって、捜査一課へ。中津は所轄をまわって、去年からまた同じ班に。現場で鍛えられただけあって、的確な捜査と、迅速な判断、刑事としては、かなり優秀。そして、誰もが忘れてるけど、一応、女だ。
「中津さーん!」
遠くから、船橋が走ってきた。
「あ、班長、おはようございます!」
でかい声だな……頭いてえ。
「はい、おはよう、船橋くん、今日も元気だね」
「はい! 班長、携帯電話の通話履歴を調べました!」
「そ、そう、ああ、もうちょっと、声、小さくて大丈夫だから」
船橋は新卒のキャリア組。最近は、育成にも気を使う。すぐにパワハラだとかなんだとか、うるせえからなあ。
「で、なにがわかったのかな?」
「はい、最後の通話は昨夜23時半ごろです。相手は、野江聡子という女性です」
「野江聡子、オンナか?」
「はい、女性です」
いや、そうじゃなくて。
「恋人かってことだよ、船橋くん」
どこに行ってたのか、女と聞くと、すぐに出てくる、御堂。こいつは刑事のくせに、いつも洒落たスーツを着て、女もとっかえひっかえ。捜査一課で15年、ずっと一緒だ。
「えーと、そこまでは……でも契約情報から住所がわかりました」
「よし、じゃあ御堂、あんた行ってきて。辰巳もね」
「えっ、俺? 俺も行くの?」
「御堂ひとりじゃ何するかわかんないでしょ」
はあ、俺は、女が病的に苦手。プライベートはもちろん、仕事でもダメだ。取り調べも聞き込みも、本当にダメ。俺が唯一まともに話ができるのは、この中津、ただひとり。
「野江聡子ちゃんかあ、絶対美人だ、知的な感じがするなあ」
運転しながら、御堂はご機嫌だ。どんな女かもわからないのに、なにがそんなに嬉しいのか。
「容疑者にちゃん付けかよ」
「話聞くだけだろ? 容疑者じゃないよ」
通勤ラッシュが始まったのか、道は混み始めている。御堂も眠気とたたかっているらしく、しきりに話しかけてきて、鬱陶しい。
「昨日の子、どんな子だったの?」
「まつ毛がずれてたな」
「ああ、ツケマだろ? つけまつ毛。まつ毛バサバサ系かあ、俺はあんまりだなあ」
「おまえにも好みがあったんだな」
「まあね、好みはあるけど、基本、18歳以上の可愛い子なら誰でもOK」
病気だな、マジで。
「一真は、どんな子がタイプなの?」
「別にねえな。普通でいい」
「普通ねえ、地味系ってこと?」
「派手な女よりはいいかもな」
「俺さ、実はめっちゃタイプのイメージがあるんだよね。髪はストレートのロングで、ファッションもメイクも、シンプルな感じ。笑顔がかわいくて、そうだなあ、スキニージーンズとか、さらっと履いてる、スタイルいい子がいいなあ」
「高校生か、お前は。っていうか、まだつかねえのか?」
「そんなイライラすんなって、ハゲてもしらないよ」
警察官になって25年、刑事になって20年。暴対のころは手柄あげて、ガツガツやってたけど、今はもう、なんでもソツなくこなす、中間管理職。若い頃みたいな熱意もなくなってしまった。フロントガラスにうつる自分を見て、うんざりする。隣の御堂は、大卒だけど、キャリアから外れた現場組だ。歳は2つ上だけど、俺よりずっと若く見える。
「えーと、ここかな」
着いたのは、閑静な住宅街の中にある、小洒落たマンションだった。デザイナーズマンションってやつか、中から、小洒落たやつらがご出勤だ。
「いいね、こんなとこに住んでるんなんて、絶対イケてる系だよ」
御堂は喜んでるけど、俺は憂鬱。一番苦手な部類の女だ。
オートロックのインターホンを押すけど、反応はない。
「もう出かけちまったか」
もう一度押すと、はい、と女の声がした。
「野江聡子さんですか」
「そうですけど」
周りを見回して、警察手帳をカメラに向けた。
「辰巳と申します、少し、お話を伺いたいのですが」
意外にすんなり、女はどうぞ、とオートロックを開けた。
ウキウキと、エレベーターの中で、御堂は髪をなおして、ネクタイのチェック。ああ、髭、剃ってくりゃよかったなあ。まさかこんなマンションに来るハメになるとは……
手を伸ばして、手探りで、通話をスワイプ。
「はい……辰巳」
「おはよー、寝てた?」
電話の相手は、御堂だった。
「事件だって、早く来てね。住所おくるねー」
くっそ、何時だよ……5時か! なんでこんな時間に事件を起こすんだよ!
体を起こすと、あれ? 隣になんか……
「うう……」
女か! 誰だこいつ!
「あー、あんた誰?」
先に言われたか。
「さあな」
「静かにして」
知らない女はそう言って、毛布に包まって、また寝息をたてる。なんて化粧の濃い女だ、あれ? なんか、まつ毛がずれてないか? あっ! やばい、やばいぞ!
慌てて自分の服一式を探して、ジャケットの内ポケットを探る。やばい、本気でやばい、アレを無くしたら……
「あ、あった……よかったぁ……」
思わず呟いて、全裸のままへたり込んだ。命以下、財布以上に大切な、警察手帳。一回失くしてるからな、今度失くしたら、マジでやばいんだよ。あー、目が覚めた。シャワーでも浴びるか。
しかし、昨日の記憶は一切ない。あの女、誰なんだろう。確か、居酒屋で飯食って、その後、通りすがりのバーに寄って……そこまでは覚えてるんだけど、それ以降の記憶が一切ない。シャワーを浴びて、鏡を見る。そこにいるのは、二日酔いの冴えないオヤジ。はあ、何やってんだろ。髭……まあいいか、どうせ現場だしな、めんどくせえ。
スーツを着て、財布を出した。このホテル、前払いだったんだろうか。もし後払いなら、金払わないと。わかんねえな、一応、置いとくか。そんなに高いホテルには思えないけど、2万で足りるか?
部屋に戻ると、女のバッグが投げてある。テーブルに2万を置いて、その上に女のバッグを置いた。これで見逃さないだろう。あー、でも、誤解されるとやばいからな、ホテル代って書いとくか。メモとボールペンは……
「ちょっと、さっきから何やってんの?」
「あー、起こしたかな。これ、ホテル代ね、ここに置いとくから」
「マジでうるさいのよ、静かにして!」
静かにメモにホテル代、と書いて、静かに部屋を出た。さて、仕事仕事。と、待てよ、俺、ここまでどうやって来たんだろう。そして、ここは……どこなんだろう。スマホのGPSは、ビル街のせいか、くるくる回りっぱなし。どうしたもんか。そうこうしてる間に、また電話がかかってきた。
「まだ? 中ちゃん、めっちゃ機嫌悪いんだけど」
後ろで、中津の怒鳴り声が聞こえる。
「あのさ、御堂くん……悪いんだけど、迎えにきてもらえないかな」
「ええー、今から? どこにいるの、家?」
「それがさ、わかんなくて……」
「はあ? おまえまたかよ! なんか目印ないの?」
「ホテルの名前ならわかんだけど……」
「ほんといい加減にしろよ! 今から行くから酒抜いて待ってろ」
くそっ、御堂みたいな軟派野郎に説教くらうとは! しかし、ここは我慢だ。迎えに来てもらわねえとな。
20分ほどして、御堂が迎えに来てくれた。現場で中津が機嫌が悪いと、ブツブツ言ってる。
「で、また知らない女と寝てたわけ?」
「そうなんだよ、記憶は全然ないんだけどさあ、でも裸だったから、そういうことだと思うんだよね」
「おまえさ、いつか刺されんぜ、絶対」
御堂は笑って、タバコに火をつけた。
「おい、パトカーは禁煙だ」
「誰も見てないじゃん、そこの灰皿とって」
全く、灰皿まで設置して、バレたら俺の責任だろう!
「で、何があったわけ」
「なんか、男の変死体。クルマん中で死んでたらしい」
現場は、国道沿いの、ショッピングモールの駐車場。夜が明けてきて、明るくなりつつある。
「遅い!」
中津の怒鳴り声が頭に響く。
「悪い悪い、ちょっと手間取ってさ」
「辰巳、酒臭い、また二日酔い?」
「うーん、飲み過ぎたかなあ……で、ガイシャは?」
中津は思いっきり嫌な顔で、咳払いをした。
「被害者は宮川俊雄、53歳、住所不定。元大阪府警の刑事」
元刑事か、これが退官後の末路かと思うと、恐ろしい、定年まではなんとかしがみつかねえとな。
「今は何やってるんだよ」
「自称探偵。浮気調査と人探しがメインみたいだね」
男はハンドルにかぶさるように死んでいる。車の中は異臭がして、思わず口を覆った。
「車上生活者か、ひでえな。死因は?」
「側頭部を殴られたことによる脳挫傷かな。ここで殴られたわけじゃなくて、殴られた後、ここに移動してきて死んだって感じだね」
汚く伸びた髪をかき分けると、血が滲んでいる。
「2カ所あるな。傷も違う、別の物で殴られたのか」
「なに、二日酔いでも、ちゃんとみてんじゃん。たぶん、2発目の傷が致命傷だね」
「これ、なんだ?」
髪と血に赤い砂利が混じっている。
「鑑識にまわしてる、それから、船橋が着歴調べてんだけど……遅くて」
「船橋か……」
俺たちは、顔を見合わせて、ため息をついた。
中津とは警察学校からの同期で、もう長い付き合いだ。刑事になって、初めて配属された暴対課で同じだった。俺は5年で配属が変わって、捜査一課へ。中津は所轄をまわって、去年からまた同じ班に。現場で鍛えられただけあって、的確な捜査と、迅速な判断、刑事としては、かなり優秀。そして、誰もが忘れてるけど、一応、女だ。
「中津さーん!」
遠くから、船橋が走ってきた。
「あ、班長、おはようございます!」
でかい声だな……頭いてえ。
「はい、おはよう、船橋くん、今日も元気だね」
「はい! 班長、携帯電話の通話履歴を調べました!」
「そ、そう、ああ、もうちょっと、声、小さくて大丈夫だから」
船橋は新卒のキャリア組。最近は、育成にも気を使う。すぐにパワハラだとかなんだとか、うるせえからなあ。
「で、なにがわかったのかな?」
「はい、最後の通話は昨夜23時半ごろです。相手は、野江聡子という女性です」
「野江聡子、オンナか?」
「はい、女性です」
いや、そうじゃなくて。
「恋人かってことだよ、船橋くん」
どこに行ってたのか、女と聞くと、すぐに出てくる、御堂。こいつは刑事のくせに、いつも洒落たスーツを着て、女もとっかえひっかえ。捜査一課で15年、ずっと一緒だ。
「えーと、そこまでは……でも契約情報から住所がわかりました」
「よし、じゃあ御堂、あんた行ってきて。辰巳もね」
「えっ、俺? 俺も行くの?」
「御堂ひとりじゃ何するかわかんないでしょ」
はあ、俺は、女が病的に苦手。プライベートはもちろん、仕事でもダメだ。取り調べも聞き込みも、本当にダメ。俺が唯一まともに話ができるのは、この中津、ただひとり。
「野江聡子ちゃんかあ、絶対美人だ、知的な感じがするなあ」
運転しながら、御堂はご機嫌だ。どんな女かもわからないのに、なにがそんなに嬉しいのか。
「容疑者にちゃん付けかよ」
「話聞くだけだろ? 容疑者じゃないよ」
通勤ラッシュが始まったのか、道は混み始めている。御堂も眠気とたたかっているらしく、しきりに話しかけてきて、鬱陶しい。
「昨日の子、どんな子だったの?」
「まつ毛がずれてたな」
「ああ、ツケマだろ? つけまつ毛。まつ毛バサバサ系かあ、俺はあんまりだなあ」
「おまえにも好みがあったんだな」
「まあね、好みはあるけど、基本、18歳以上の可愛い子なら誰でもOK」
病気だな、マジで。
「一真は、どんな子がタイプなの?」
「別にねえな。普通でいい」
「普通ねえ、地味系ってこと?」
「派手な女よりはいいかもな」
「俺さ、実はめっちゃタイプのイメージがあるんだよね。髪はストレートのロングで、ファッションもメイクも、シンプルな感じ。笑顔がかわいくて、そうだなあ、スキニージーンズとか、さらっと履いてる、スタイルいい子がいいなあ」
「高校生か、お前は。っていうか、まだつかねえのか?」
「そんなイライラすんなって、ハゲてもしらないよ」
警察官になって25年、刑事になって20年。暴対のころは手柄あげて、ガツガツやってたけど、今はもう、なんでもソツなくこなす、中間管理職。若い頃みたいな熱意もなくなってしまった。フロントガラスにうつる自分を見て、うんざりする。隣の御堂は、大卒だけど、キャリアから外れた現場組だ。歳は2つ上だけど、俺よりずっと若く見える。
「えーと、ここかな」
着いたのは、閑静な住宅街の中にある、小洒落たマンションだった。デザイナーズマンションってやつか、中から、小洒落たやつらがご出勤だ。
「いいね、こんなとこに住んでるんなんて、絶対イケてる系だよ」
御堂は喜んでるけど、俺は憂鬱。一番苦手な部類の女だ。
オートロックのインターホンを押すけど、反応はない。
「もう出かけちまったか」
もう一度押すと、はい、と女の声がした。
「野江聡子さんですか」
「そうですけど」
周りを見回して、警察手帳をカメラに向けた。
「辰巳と申します、少し、お話を伺いたいのですが」
意外にすんなり、女はどうぞ、とオートロックを開けた。
ウキウキと、エレベーターの中で、御堂は髪をなおして、ネクタイのチェック。ああ、髭、剃ってくりゃよかったなあ。まさかこんなマンションに来るハメになるとは……
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる