からふる〜名前に色が入っている殺人鬼達の殺人回想録〜

望月ナナコ

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ボクはそう告げるとミキにそっと別れの口づけをした。そしてベッドに上がりミキに馬乗りになる。

「ミキ、ちょっと苦しいかもしれないけど・・・大丈夫、ボクを信じて。少しの間だけ、耐えて欲しい・・・そうすれば、すぐ・・・すぐ、良くなるはずだからね。」

ボクは昨晩をなぞるかのようにミキの首筋から肩、胸、お腹、太もも、足のつま先、最後に秘部をゆっくりと愛撫した。

まるで神聖なものを扱うかのように、丁寧に、丁寧に心を込めて・・・。

そんなボクの気持ちに応えてかビクンビクン波打つミキの身体は言葉は無くても感じてくれていることがよくわかったよ。

そして再び繋がる瞬間、テーブルの上からゆっくりとロープを手に取った。

「ミキ・・・少しだけ上半身を浮かせるかい?」

一つになる口実に浮かしてもらった身体の隙をつき、ボクは素早く白いロープをミキの首の下にセットし、有無を言わせず勢いに任せて交わる行為を始めだした。

ねぇ、ボクがどうしてわざわざ女の子に目隠しするかわかる?

姉さんが死んだ時、苦しんで死んだ姉さんの瞳はこの世のものとは思えないくらいの悲哀に満ちていて・・・大好きな姉さんなのにその瞳には多少の恐怖を感じてしまったんだよ。

美しい姉さんでもそんな瞳になるんだから、他の女の子の瞳なんてきっと目も当てられないくらい悍ましいものなはずでしょ?

・・・そんなの誰だってわざわざ見たく無いよね。

だからボクは最期の彼女達には必ず目隠しをする。可愛いままの彼女達の記憶を塗り替えてしまわないように。

それにどうせこの世の中なんて大半は綺麗事、おおよそは汚いものばかりでしょ?だったら死ぬ時ぐらい暗闇で何も見えなくてもいいと思うんだよね。その分他の何かに思考がいくだろうし。それにもしかしたら・・・その時に思い出してくれるのはボクの断片かもしれないしね。

そういう思惑があるから、前日の夜はボクが出来る限りの甘い夜をプレゼントするようにしているんだ。

二人の荒い呼吸が重なり、ゴールが近づいて来たボクはドクン、ドクンと胸の鼓動が大きく高鳴るのを感じた。

そしてその瞬間、ボクは迷わずにロープに力を込めてミキの首を思いっきり絞めた。

「サ、サトルさっ・・ヤメッ・・コッ・・ゴフォォッ・・・・・」

防音室には鎖が暴れる音と共に悲鳴にも似た苦しそうな呼吸の音が虚しく響いていた。だけど、その音は残念ながらボク以外には誰にも届く事は無かったんだ。

ボクはその間もずっと腰を振りながら力を止める事はせずに苦しそうなミキの姿を一心不乱に見つめていた。
手に伝わってくるのはミキの首の骨が折れる感覚、痙攣して波打つ身体。

すぐにボクはまどろみの中で頂点に辿り着いた。

・・・知ってる?

死ぬ直前、苦しくて全身に力が入る時、ちゃんと膣にも強い力が入るんだよ。そしてその時の吸いつきは他のどの行為よりも強烈で気持ちよく、何ものにも変え難いものなんだ。

こんな気持ちいい事を知らないでそれぞれ生きてしかセックスしたことない人達ってある意味損してるとボクは思うよ。

事切れた彼女を確認し、ボクは優しく髪を撫でた。

乱れた呼吸をしばらく整えた後、僕はテーブルからナイフを取る。

「ミキ・・・ボク、初めて姉さん以外の人で達する事が出来たよ。本当にありがとう。君はボクにとって特別な人だよ。生きて君のパートナーになる事は出来なかったけど・・・。」

ボクはそう言ってミキの唇を引っ張り惜しむように慎重に切り取り始めた。

「でもボクはこれからキミと一つになるから・・・だから、これからもボクの中で一緒に生きて欲しいんだ。」

手の中の愛おしい唇をボクは笑顔で口に含み咀嚼して飲み込んだ。

・・・赤い鮮血が一粒の涙のように唇から滴っていた。

こんなにも満たされた時間を過ごせるなんて・・・今日までとりあえず、生きてきてよかったな。

目的を達成し、もぬけの殻になったボクは思った。

はて・・・明日からはまた、何を楽しみに生きていこうか?




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