【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。

望月ナナコ

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15 【秋道視点】

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鳥居をくぐり抜け街から一番近い神社にたどり着く。神社には思った通り誰も居ないようだ。

よし、いつでも襲ってこい!

とは思ったがゆきは全然そのような素振りは見せる事なくお賽銭が欲しいと言うではないか。腑に落ちない中で小銭を渡すとなにやらゆきは神妙な面持ちで長い事拝み始めた。

・・・敵にこんなに隙を見せていいものだろうか?背中丸見えだぞ?それともそんなに自分の腕に自信があるのか?

しょうがないので私も横にいき神様にお祈りする。

この、ゆきという女の正体が掴めますように・・・。

・・・・・。

『何をお願いしたんだ?無事に・・・元に戻れるようにか?』

それとなく探りをいれてみる。

『そう・・・ですね。』

歯切れが悪い。その姿は幾分何かを悩んでいるように見えた。

『秋道さんは何をお願いしたんですか?』

『それは・・・ゆきに言うことではなかろう。』

そう言うと何故か少し機嫌がよくなり、とりあえず街に戻る事になった。

そうしてしばらく歩くと何やら街が騒がしいではないか。

『泥棒だ!!!待てー!!!!!』

向こうから泥棒らしき人物と侍達が走ってくるのが見える。こんな真っ昼間に泥棒して追っかけられている時点で大した事はない奴だろう。

しかし・・・これはチャンスかもしれないな。

向かってくる泥棒に対してゆきはどう動くのだろうか・・・もしかしたらずっと隠していた術をここで見せるのかもしれない。私はギリギリまで手を出さない事にした。

さあ、どうする?泥棒がそこまで迫っているぞ!このままでは押し倒されて人質にとられてる可能性もある。

どうだ、何か・・・。

・・・・・。

・・・・・。

ダメだ。

そう思った瞬間にぐっとゆきの身体を引き寄せ、建物の隅っこに避難させる。

『ボーっとしてたら危ないではないか。
ここでちょっと待っておれ。くれぐれもここから動くでないぞ。』

ゆきは青白い顔で頷づいた。泥棒と対峙しながら先程のゆきの顔を思い浮かべる。恐怖に怯えた女性の顔。

『クソっ、そこをどけぇー!!!』

かなり興奮している泥棒は胸から隠していた小さな刃物を出して私に襲いかかって来た。

『秋道さん、危ないっっ!!』

そこで彼女の怯えた顔を見た事で私は理解したのだ。ゆきは明らかに忍びなどでは無い。ただの、普通の、か弱い女性の一人なのだ。

向かってくる刃物を交わし、泥棒の腕を捻り上げ刃物を道に落とさせた。そしてその後思いっきり蹴飛ばし泥棒をぶん殴りながら考える。

それでは何故、あの日牢屋の中にいたのだ?まさか、まさか本当に・・・別の世界から来た・・・? 

それから無事に屋敷に着いた私は頭の中が整理できないままゆきと別れ、今に至る。

そんな事が本当に起こりえるというのか。ありえないとは思いつつ今のところそれしか答えが見つからない。私は悶々とした気持ちでその日眠りについた。
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